卒業生の方

退職に寄せて(2022年3月定年退職者からのメッセージ)

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公開日:2022.03.28

2022年3月をもって定年退職となる教職員から寄せられたメッセージをご紹介します。

皆様に支えられて ―金属50年―

物質理工学院 教授(材料系) 熊井真次

職員としての勤続年数は37年かと思いますが、高専から東工大に編入学した20歳から数えると45年、15歳で入学した高専も金属工学科でしたので、金属という材料にかかわった月日を積算すると「金属50年」になります。

大学教員の仕事を選んだのは、卒業研究のため所属した研究室で味わった充実感や幸福感からだと思います。将来自分も研究室をもって、学生と一緒に仕事をしたいと考えるようになりました。博士課程修了後、1985年すずかけ台キャンパスの精密工学研究所の助手に採用していただきました。1987~89年にかけて英国ケンブリッジ大学に留学。家内と幼い子供たちと4人、一生の思い出となる充実した素晴らしい日々を過ごすことができました。帰国後精密工学研究所に復帰、焦燥感や停滞感を感じる時期もありましたが、1995年大岡山キャンパスの工学部金属工学科の助教授に昇任させていただきました。1年半後、すずかけ台の総合理工学研究科 材料科学専攻(その後の材料物理科学専攻)に異動、2005年に教授に昇任させていただきましたが、2013年に再度大岡山の理工学研究科 材料工学専攻に異動し、物質理工学院 材料系の一員として今日に至りました。このように2つのキャンパスを2往復した教員は学内でも珍しいのではないかと思っています。

良き師、同僚、学生に恵まれ、充実した日々をおくらせていただきました。約30年の間に30人ほどの博士課程学生の指導をすることができました。単純に平均すると、研究室に常にD1、D2、D3の学生が1人ずついたことになります。先輩が楽しく頑張っている姿を見て修士課程の後輩が博士進学を志すという、良き連鎖の賜物かと思います。

学内では、両キャンパスで学生相談室長を務めさせていただきました。相談室員の先生方、保健管理センターの医師、カウンセラーの先生方のご助力のもと、学生との面談、指導教員を含めての3者面談、ときには親御さんとの面談等、貴重な体験をさせていただきました。これらの面談を通じて指導教員の熱意が必ずしもその学生のプラスにならないケースもあることを知りました。「人を育てる」という意欲はもちろん大切ですが、「人は育つ」と信じ、個々の学生の特徴をよく理解して、各人がその天分を生かせるよう、できる限りのアシストをするのが教員として大事なことであることを学ばせていただきました。

長い間本当にお世話になりました。東京工業大学の今後ますますの発展を祈念いたします。

2016年、研究室メンバーを自宅に招待しての慰労会(前列右から3人目が熊井教授)

2016年、研究室メンバーを自宅に招待しての慰労会(前列右から3人目が熊井教授)

すずかけ台での38年

科学技術創成研究院 教授(化学生命科学研究所) 穐田宗隆

福岡生まれで、関西で学位を取得直後、1984年に資源化学研究所助手として採用され、以来資源研・化生研にお世話になりました。現在の分子デバイスの研究につながる炭素リッチな多核有機金属錯体や後半は可視光駆動有機合成反応を中心に研究を進めて、一定の成果を残して定年を迎えることができ、学生さんはじめ関係の皆様のご協力とご指導の賜物と感謝に堪えません。2002年に教授に昇任してから関わった研究所・大学運営について3つの思い出を紹介します。

資源研分析支援センター

研究所の元素分析室(当初技術職員1、2名で運営)を母体として元素分析、質量分析を中心に支援していたものを、2007年に当時は独立部局であった資源研の援助によりR1棟1階の東半分を改装してセンターが開設され、センター長を務めました。その後概算要求や研究所教員の研究費で導入した分析機器を管理に加えて分析種目も増え、それに伴って技術職員も増員して、現在のOFC(オープンファシリティセンター)につながっています。特にNMR(核磁気共鳴)やMS(質量分析法)など有機化学系の分析機器が整っていて、多様な分析サービスに拡大して国内最高レベルの分析環境を全学に提供できている現状は整備にかかわった教員として喜ばしい限りです。

研究所長

2012年10月に前任の辰巳敬所長が三島良直学長を補佐する理事・副学長になられた後を受けて所長を拝命し、その後大学改革をはさんで5年半所長を務めました。なので、私が資源研の最後の所長、化生研初代所長になります。大学改革にあたっては4研究所を代表して基本構想会議などに出席しましたが、大学改革を経て研究所は研究院に統合され、その良し悪しは別として、準備会議では研究所を援護してくれる委員もあまりなく、苦戦した記憶が残っています。
話は変わりますが、環境や資源を抜きにして現代社会は語れません。資源研OBとしては伝統ある「資源研」の略称が何らかの形で復活することを願ってやみません。

すずかけ台図書館長

最後の2年間務めました。老朽化した建物の改装とコロナ禍のため館長としては開店休業状態でしたが、この間の図書館職員の移転の負担は察するに余りあります。ご苦労様でした。昨年7月にリニューアルオープンを迎え、その後個人スペースを中心に客足(?)が戻ってきたことから、今後ニーズがさらに高まってますます活用されることを期待しています。

研究所、研究院、東工大、ならびに構成員の皆様のますますのご発展を祈念しています。

すずかけ台図書館リニューアルオープン(2021年7月12日、前列右から3人目が穐田教授)

すずかけ台図書館リニューアルオープン(2021年7月12日、前列右から3人目が穐田教授)

お問い合わせ先

東京工業大学 総務部 広報課

Email media@jim.titech.ac.jp

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