研究

東工大ニュース

「夏の電脳甲子園」第21回スーパーコンピューティングコンテスト開催報告

RSS

2015.09.03

高校生・高専生が4日間をかけて難題を解くプログラムを作成し、その性能を競う「スーパーコンピューティングコンテスト(SuperCon)」。本年度は予選を勝ち抜いた20チームが東京工業大学・大阪大学に集結し、8月17~20日に本選、8月21日に成果発表会と表彰式を行いました。

東京会場全体記念写真
東京会場全体記念写真

SuperConとは

SuperCon は、1995年より始まったプログラミングコンテストです。予選を通過したチーム(1チーム2~3名)が大阪大学、東京工業大学の会場に分かれ、スーパーコンピュータを使ったプログラミングを行います。数日間かけて本選課題の問題を解くプログラムを作成し、作成最終日に提出されたプログラムの正確さ・速度を審査委員会が評価し、コンテスト最終日の成果報告会で発表します。本選課題には、科学技術の様々な分野から最先端の話題が選ばれ、それを高校生にもわかりやすい問題にして挑戦してもらいます。

パソコンが乗用車ならば、スーパーコンピュータはレーシングカーです。けれども、原理はパソコンと一緒。プログラミング大好きな高校生ならば十分使えます。ただし、そのスーパーな性能を引き出すには、技術やアイデアが必要です。技術については、事前の資料や講習会で学べます。また、コンテスト中にもチューターの大学院生がアドバイスします。けれどもアイデアは、参加者本人のもの。いかに斬新なアイデアを出し、それをうまくプログラムに結びつけるかがポイントとなります。

大阪会場全体記念写真
大阪会場全体記念写真

本選課題

今年の本選課題は、「化学振動のパターンを見つけよう」です。

この問題は、化学振動を循環的セルオートマトン(CCA)でモデル化し、(a)CCAの最初の盤面、(b)CCAをあるステップ数だけ進めた盤面の一部でぼやけた画像、の2つが与えられ、(b)は(a)を何ステップ進めたどの位置に出現するかを解答するという内容でした。以下で詳しく解説します。

現在のカメラは、リアルタイムで人の笑顔を認識し、自動的にシャッターチャンスを判別するなど、高度な機能を備えています。また、自動運転技術では、自動車の周囲に設置されたカメラに映された映像から、標識や障害物、歩行者や他の車などを識別し、適切に運転を行います。これらの技術の背景では、刻一刻と変化するファインダーの中の映像を、実時間で画像解析する高度な処理が行われています。今年のSuperCon本選では、その画像解析技術を擬似的に再現し、解析の正確さと処理速度が競われました。

まず、カメラのファインダーの中で変化する動画として CCAを用いました。CCAは、シャーレの中の化学振動を単純化して、計算機上にモデル化したものです。化学振動とは、化学反応が波のように生じ、進行波、同心円状、螺旋状などのパターンを描き、様々な時間的変化をする現象のことです。本質的には同様の原理が、心臓の拍動などにも働いていると考えられている、生命現象を理解するうえで非常に重要な現象です。

CCAは、格子状に区切った平面上のひとつひとつの格子(セル)が、周囲のセルと相互作用しながら時間変化する、単純なルールで記述されます。ルールは単純ですが、実際にプログラミングして動きを見てみると、化学振動と類似した多様な現象が再現できることがわかります。

課題では、CCAの時間発展(動画)の中に現れる、あるパターンの一部分をぼかした画像が与えられました。この画像が、CCAのどの時刻にどの場所で現れるかを特定することが課題でした。これは、前述した画像解析技術の例えでいうと、笑顔を判定する部分に相当します。

今回の課題の第1のポイントは、高速なCCAをプログラムで実現することでした。そのためには、ベクトル化といわれる技術を駆使すること、計算を並列に処理させる工夫が必要になります。また、与えられた画像はぼやけているため、CCAの動画と完全に一致するわけではありません。高速に処理するために、いかに「だいたい一致しているのか」を判定するアルゴリズムを考えられるか、がもうひとつのポイントとなりました。

本選問題で用いた循環的セルオートマトン(CCA)の動画

競技結果

競技結果の発表に先立ち、優れたプログラムを作成したチームに贈られる学会奨励賞が発表されました。

学会奨励賞(電子情報通信学会、情報処理学会)

  • チームgomaba(筑波大学附属駒場高等学校)

続いて、本選審査では、全3問中の正解数の多い順、正解数が同じ場合は総実行時間が少ない順により、順位を決定しました。今大会で用いられた大阪大学のスーパーコンピュータ、SX-ACEのコンパイラの特性をよく理解し、より上手にベクトル化を行なったチームが上位を飾りました。

順位
チーム名
学校名
正解数
総実行時間
1
gomaba
筑波大学附属駒場高等学校
3問
104秒
2
WestDiv
久留米工業高等専門学校
3問
280秒
3
ReewNen
明石工業高等専門学校
3問
316秒

1位から3位までのチームには、大阪大学サイバーメディアセンター 下條真司副センター長より、賞状とメダルが授与されました。

では来年もまた「夏の電脳甲子園」、スーパーコンピューティングコンテストでお会いしましょう。

チームgomaba
チームgomaba

RSS