東工大ニュース
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9月6日~16日、Tokyo Tech-AYSEAS 2015に東工大生15名が参加し、東南アジアからの参加学生17名とともに、インドネシアを訪問しました。
Tokyo Tech-AYSEAS(以下、AYSEAS:エイシアス)とは、短期留学プログラムTokyo Tech-Asia Young Scientist and Engineer Advanced Study Program(東工大・アジア理工系学生派遣交流プログラム)の略称です。東工大生が東南アジアの国に赴き、訪問国・近隣諸国の大学生と共に、企業、政府機関、大学等の施設を訪問し、学生同士のディスカッションを通して、相互理解を深め、国や文化の違いを超えて協働できる能力を備えたグローバルな人材の育成を目的としています。
AYSEAS 2015では、インドネシアで最も古い国立大学であるガジャマダ大学をホスト大学として、プログラムに協力いただきました。
政治・経済の中心地である首都ジャカルタ、歴史と文化の溢れる古都ジョグジャカルタの2都市を訪問し、現地の日系・インドネシア企業、政府機関、国際協力機構JICAのプロジェクトを見学しました。
毎日の見学後に行われるグループディスカッションでは、訪問先で得た知識を基に、インドネシアの抱える問題やその改善策について意見を交わし、それをまとめて最終日にプレゼンテーションを行いました。
参加学生の各国文化を紹介する文化交流会や世界遺産見学も実施し、東南アジアの国々の歴史・文化を知る良い機会となりました。
学生達は成長著しいインドネシア産業の現場を肌で感じるだけでなく、国籍・文化・宗教の違いを超えて協働する難しさや、相互理解の大切さを学び、将来世界で活躍する人材となる上で重要な素養を養うことができました。毎日寝食を共にし、同じ目標に向かって真剣に語り合った仲間との強い絆もまた、かけがえのない財産となりました。
11月2日には、本学において帰国報告会を実施し、現地でのプレゼンテーションをさらに深め、本プログラムの成果を発表しました。その後、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)より参加者全員に修了証が授与されました。続く懇親会では、食事を楽しみながらAYSEAS 2015の感想を語り合い、インドネシアでの楽しく充実した日々に改めて思いを馳せました。
生命理工学部 生命工学科2年 室伏佑香
AYSEASは「留学」と一口では言い表せない、中身の濃いプログラムだと思います。まず日本で事前研修を行い、インドネシアで密なスケジュールの11日間を過ごし、最後に日本に帰ってきてから帰国報告会でプレゼンテーションを行い、プログラムを修了します。そこでは工場見学や講義といった受動的な勉強に留まらず、海外学生とディスカッションを重ね一つのものを作り上げるという経験ができ、とても面白かったです。私のグループのプレゼンテーマは、「モータリゼーションと交通渋滞」でした。先ほど述べたようにスケジュールが綿密に組まれていたので、プレゼンの準備は連日深夜に及ぶこともありましたが、一方で充実していました。例えば、「国民は交通渋滞を深刻視しているのに政府は問題を先延ばしにしている」という現地の生の意見を聞いたり、日本の交通機関の時間の正確さに驚嘆する姿を見ることができたりと、一つ一つが新鮮でした。
最後になりますが、本年度、過年度の参加者、関係教職員の方々、このプログラムを通して私と関わってくださった全ての人に感謝してやみません。
工学部 電気電子工学科2年 李恒
体験談を書くにあたって、本プログラムを選んだ理由と他のプログラムには無いAYSEASの特徴、という2点に焦点を当てていこうと思います。私の体験談が、特に将来の長期留学に向けた第一歩を模索している人にとって少しでも参考になれば幸いです。
私は現在学部2年で、大学院での長期海外留学という目標に向けて専門科目・語学の準備を進めています。その一環として海外経験を積む、という目的の下、私は東工大主催の短期留学プログラムを様々探していました。運よく常日頃から長期留学経験(予定)のある東工大生の先輩方と関わる機会に恵まれ、その中でも多くの先輩方が過去このプログラムに参加していたことから私もAYSEASに応募しました。
その後私は、事前学習の段階から現地派遣期間を終えた今でさえも本プログラムの本質を強く感じています。それはアウトプットの機会の多さです。AYSEASは学習内容を吸収するのに留まらず、時にはグループメイトに対し、企業の上層部に対し、大勢の人に対し、意見を主張する場が豊富に与えられます。私はこれこそがAYSEASの特徴であり、なおかつ最大の魅力だと考えます。私自身英語での日常会話には自信がありましたが、密度の濃い討論になると単語が中々出ずに混乱したり、そもそも上級生達と比べ自分の論理展開が未熟だと感じたりすることが多々ありました。学生リーダー、グループリーダーという立場でもあったため、体力的にも刺激的な期間でした。しかし、この様なハードな経験を学部2年の時期に経験できたことは、今後の大学生活を見据える上で大きな分岐点となり得るでしょう。
また、海外学生との交流も深く印象に残りました。私はとにかく彼らと対話を多く重ねました。見学内容について、文化的特徴について、時にはここには載せられないこと等、寝る間も惜しんで交友を深めました。現地の文化にも深く浸りました。涙もろい性格も相まって、彼らとの別れは今になっても名残惜しいものです。
私はAYSEASというプログラムを通して東工大生としても、1人の人間としても大きく成長しました。他の短期留学プログラムとは明らかに一味違う、それがAYSEASです。東南アジアの優秀な学生たちと切磋琢磨しながら、学習内容をしっかりと形に残すことができます。かつての私の様に、プログラム選びに悩んでいる人がいたら私は自信をもってAYSEASを勧めるでしょう。
最後に私達を全面的に支えてくれた職員・教授陣、本当にありがとうございました。
大学院理工学研究科 電気電子工学専攻 修士2年 多田靖弘
私がAYSEASから得た一番大きいものは、海外の学生たちと友達になり親密な関係を築けたことです。それにより、私の海外に対する印象が受動的なものから能動的なものへと変化しました。海外で生活したことがない人にとって、ニュースや新聞、インターネット等のメディアが外国の印象を決めてしまっていると思います。AYSEAS参加以前、私は自分の国の政治的意思決定や宗教観を中心に考え、「外国人とは根本的に考えが違う」という漠然とした印象を持っていました。私と同じような考えを持つ人も少なくないはずです。しかし、本プログラムを通して海外の学生と実際に会話し同じ体験を共有することで、私達は外国人同士である以前に同じ人間なのだから、大して変わらないということに気付かされました。これはやはり、11日間同じ体験を共有したことでお互いの文化や環境から起こる考え方の違いを認め合えたことが大きいと思っています。「○○人は○○な傾向にある、○○な性格だ」という事実だけでなく、それ対する国の背景や状況を生の声で聞いたり感じ取ったりすることで、自分とは違った価値観や文化をより親密に感じることが出来ました。特に、7日間一緒だったインドネシア人のルームメイトにインドネシアの大統領選挙の実情を聞いたり、お互いの宗教観について意見を交換しあったりした時が最も楽しく、分かり合えた瞬間でした。
日本および東南アジアのモチベーションの高い理工系学生が集い、同じ体験を共有して海外の学生と親密になれるのは、AYSEASならではだと思います。そして今回のインドネシアへの渡航を通して、将来グローバルに活躍するためのヒントを得られたと私は確信しています。日本に帰ってからも海外のことをもっと理解したい思いが強まり、語学学習に対するモチベーションが上昇し、東工大の外国人留学生と以前よりも多く会話するようになりました。また、自分が今まで全く興味のなかった宗教や文化に対して新たな興味を持つようになりました。将来グローバル社会で活躍してみたいと考えている人、海外の人や文化をもっとよく知りたい人等、是非AYSEASに参加してみてください。私と同じようなことに気付くかもしれませんし、もっと面白いことに気付くことが出来るかもしれません。
お問い合わせ先
国際部国際事業課国際事業グループ
Email : ayseas@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7607