東工大ニュース
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11月11日、東京工業大学の大学院課程学生4人(修士課程2人、博士後期課程2人)が、東工大や東工大生の魅力を中高生に伝える目的で、鷗友学園女子中学高等学校(東京都世田谷区)を訪問しました。
同校は、女子高等教育のために1935年に創設された中高一貫校で、東工大とのつながりも深く、年々理工系志望の生徒も増えています。今回の訪問は東工大の大学院生が、自身の研究内容や大学院生活を分かりやすく説明することで中高生に理工系の魅力を知ってもらい、将来の選択肢を広げるきっかけとなるように企画されたものです。鷗友学園からは中学3年生~高校2年生までの約45人が参加しました。
はじめに、東工大 教育本部 アドミッション部門の篠﨑和夫特命教授(名誉教授)が、東工大の「特徴」「カリキュラム」「各学院の研究内容」「入試制度」などについて説明しました。また、東工大の女子学生比率は、学士課程で13%、全学で17%と、世界の大学と比較して低いため、女子学生を増やして研究の幅を広げることを目的に2024年4月入学の学士課程入試から導入する「女子枠」について説明し、「理工系分野における女性研究者、技術者の割合を増やすことを目指した制度なので、ぜひ皆さんにもチャレンジしてほしい」と話しました。また東工大の6学院について「それぞれの研究室で、さまざまな研究をしている」という説明とともに学院を選択する際のヒントが示されると、中高生は熱心にメモをとって聴いていました。
次に、博士後期課程学生2人が、自身の研究内容や大学院生活について授業を行いました。各学生は、東工大イノベーション人材養成機構(IIDP)が開講しているキャリア科目「博士アカデミックティーチング」の履修者で、専門外の中高生に短時間でわかりやすく説明できるよう、事前に準備をしてきました。
物質理工学院 材料系の丸井莉花さん(博士後期課程1年)は、「よく熱を伝える接着剤はどうやったらできるのか」と題し、熱伝導率の高い接着剤の開発はとても難しいが、分子の構造と性質の関係を明らかにし、高い熱伝導性を示す接着剤を開発していることを説明しました。鷗友学園の卒業生である丸井さんは、自らの高校時代の興味から東工大を志望した理由や母校である鷗友学園の魅力、中高生時代にやっておいたほうが良いことなどを先輩からの目線を交えて話し、中高生は身を乗り出して熱心に聴いていました。
環境・社会理工学院 建築学系の三橋拓哉さん(博士後期課程2年)は、氷河表面の変化の把握を通して気候変動を研究していることを説明しました。Google Earth Engineを使用するとオンライン上で大量の衛星データを自在に扱うことができるという説明に、中高生は驚いていました。また、三橋さんは、現在、いくつかの高校で非常勤講師を務めながら研究に励んでおり、忙しい毎日のなかで自らの夢に向かって研究と仕事を両立させている三橋さんの姿に、中高生は刺激を受けている様子でした。
質疑応答の時間には、中高生から、「研究生活で苦労することは何か」「研究の成果をどのように生かしていけると考えているか」「博士後期課程に進学する人は周りにどのぐらいいたか」などの質問がありました。
最後に、鷗友学園卒業生である修士課程学生2人が、「東工大を選んだ理由」「現在の研究内容」「学業以外の大学生活」「中高時代に取り組んだこと」「後輩へのメッセージ」などについて講演しました。
女子校から女子学生の少ない東工大に入学して感じたこと、東工大の充実した研究環境、大学院課程においても自身の興味・関心に応じて様々な専門外の学修をできるといった東工大の魅力、留学希望者に用意されている多様なプログラム(期間・国)、自身の将来のキャリアを決める際に考えたことなど、苦労話やそれを乗り越えた経験も含めて話しました。
質疑応答の時間には、「進路選択を迷っているが、どのように進路を決めたか」「理系に進むと、毎日朝から晩まで研究室にいなくてはいけないか」「高校時代、どのように勉強していたか」といった率直な質問も寄せられ、訪問した学生はユーモアを交えながら答えました。
今回の訪問は、中高生にとって、年齢の近い大学院生から直接話を聞く機会となり、東工大や理系の魅力を充分に伝える貴重な時間となりました。