東工大について
東工大について
東京工業大学の前身・東京高等工業学校のキャンパスは現在の台東区蔵前、隅田川の河畔にありましたが、1923年9月に関東大震災で罹災し、壊滅的な被害を受けました。
折しも大学昇格準備を進めている最中の出来事でした。授業場所の確保のため都内の他大学・学校の敷地を転々とし、何とか同年11月に授業を再開、その後、1924年4月に現在の大岡山に移転し、仮校舎を建設しました。
1929年に東京工業大学への昇格が決まり、官立大学の震災復興事業として大岡山キャンパスの整備が始まりました。この事業で建設された建物のうち、本館と分析化学教室(現・西1号館)などが現存しています。
1931年に建設が始まった本館は、2期に分けて建てられ、1934年に完成しました。設計は東工大学内に設置された「復興部」が行いました。鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て地下1階塔屋付きで、延床面積は24,269m²です。大岡山キャンパスの中心となる建物で、分析化学教室以外の学科・講義室・学長室・会議室・事務室・図書館を収めていました。
第2次大戦末期の1945年5月の空襲で大岡山キャンパスも多くの建物が被害を受けた中、本館は奇跡的に焼失を免れました。1945年7月、当時の和田小六学長は、学生を勤労動員先から大学へ集め、焼失を免れた本館を中心に授業を再開しました。
戦時中、本館は迷彩色に塗装され、本館前のスロープはさつまいも畑として利用されていました。
東工大の歴史を見守ってきた本館は、昭和初期の近代建築物としても見ごたえがあり、今も大岡山キャンパスのシンボルとして輝き続けています。