東工大について

教育研究資金不正防止計画

本学では、過去に発生した学内外の事例を含む不正事案の再発防止のため、「教育研究資金不正防止計画」を策定し、その計画のもと、本学独自の各種取り組みを実施してまいりました。

一方で、これら取り組みによる研究者への過度な負担や事務処理の非効率化が生じていたこと、大多数の研究者は高い倫理観を持って研究費の管理・使用に適切に対応していることから、平成29年度及び令和元,3年度に、再度取り組みの見直しを図り、「教育研究資金不正防止計画」の改訂を行いました。

国立大学法人東京工業大学における不正防止に向けた基本方針

科学技術・学術の振興を図るためには、研究成果を社会に還元していくことが肝要であり、研究費を有効かつ効果的に活用し、適正に管理することが重要となります。研究費の不正使用は、それを起こした職員のみならず大学にとっても重大な問題であるだけでなく、税金として研究費を負担している国民に対する重大な背信行為であり、国民の信頼を揺るがす深刻な問題であって、如何なる理由があろうとも許されるものではありません。

そこで、本学が精力的に進めている様々な改革に加え、“研究費不正を起こさせない環境を構築し、高いモラルをもって教育研究に注力すること”を本学の文化とすることを目指した「コンプライアンス意識の改革」も大学改革の重要事項として位置付け、研究者(研究室)と業者との癒着防止や教職員同士の相互牽制の効く対策を講じると共に、フォローアップを行うことで実効性のある取り組みを継続します。万が一にも不正使用が発生した場合は、懲戒処分のみならず関与した者の告訴や損害賠償請求も視野に入れ、大学として厳格に対応します。

第1章 教育研究資金の適正な管理・監査に向けた体制整備の目標と取組方針

第1 組織体制の強化 — 学内の責任体系の明確化(ガバナンス)—

目標:

役割分担・責任及び権限の明確化、人員配置、教職員間・事務局内の連携の実現により、健全な教育研究資金管理が推進される組織の実現を目指す。

取組方針:

  • 運営・管理に関わる者の責任と権限の体系を明確化し、周知・徹底を図り、学内外に公表する。
  • 本学の役員や部局長等が担う管理責任者の明確なリーダーシップに基づく全学的な連携体制を構築する。
  • 教育研究資金の管理責任者としての教職員の意識の向上と浸透を図る。

第2 運営・管理基盤の整備 — 適正な運営・管理の基盤となる環境の整備(統制環境)—

目標:

教育研究資金の適切な執行・管理を推進するための実効性の高いルールを整備すると共に、全教職員がそれらを理解し、使いこなせるようわかりやすく提示し、周知を徹底する。また、不正を起こさせない風土を実現するため、本学が不正には関係者の懲戒処分を含め強い態度で臨むことを明らかにする。さらに、「東京工業大学における研究者等の行動規範」の浸透をはじめとする諸施策により教職員の意識の向上を図る。

取組方針:

  • 教育研究資金の不正な使用が行われる可能性が常にあるという前提の下で、不正を誘発する要因を除去し、不正を起こさせない風土を実現する。
  • 教育研究資金の管理・運営に関するルールについて、教職員に対する研修を行い、基礎的な部分も含めて周知を徹底する。
  • 不正事案に対する懲戒処分の基準等、事後対応に係るルールを明確に制定し、大学として不正に断固とした対応をとることを明らかにする。
  • 公費である教育研究資金の執行・管理を行う者が持つべき意識について、教職員に徹底する。
  • 不正経理の情報を公表し、同様の事態が起きないよう対応策を検討、周知し教職員に徹底させる。
  • コンプライアンス教育・啓発活動の実施により、教職員の意識の向上と浸透を図る。

第3 不正の要因の把握、分析と計画管理 — 不正発生リスク評価と対応 —

目標:

不正につながりうる問題把握及びその要因を特定し、対応策の実行を目的とした計画の策定・推進・管理を行う体制を強化し実施する。

取組方針:

  • 不正に関するリスクとその発生要因を網羅的に把握・分析し、必要に応じて関係規則等を見直し、実施することにより不正の発生を防止する。
  • 不正発生要因の把握・分析は、教育研究資金適正管理室が中心となって全学的な視点で行い、関係規則等の見直しを促す。
  • 部局等は、不正根絶のために教育研究資金適正管理室と協力しつつ、主体的に不正防止計画を実施する。

第4 教育研究資金の適正な運営・管理活動 — 統制活動 —

目標:

教育研究資金の適切な執行を確保し、「不正を行うことができない」管理体制を目指し、可能な限り不正発生のリスクを低減する運営・管理体制、不正使用のリスクを早期に発見する管理体制を構築し、教員が安心して教育研究活動に従事できる環境を作る。

取組方針:

  • 研究者を意図せざる不正やルール違反から守り、有効かつ効率的な教育研究資金の執行を実現する体制の構築を図る。
  • 教員と取引業者の癒着の発生を防止し、不正につながるリスクを早期に捉えられるよう、教員発注に係る情報や予算執行状況をシステム等で適切に管理するなど、物品等の購入に際して当事者以外の者によるチェックが効く環境を構築する。そのためにも、取引業者に対し本学の不正防止に向けた取組への協力を強く求める。
  • 旅費や謝金・給与等の支払いに際しては、出張や作業等を行ったことの事実を、事務職員が確認することの徹底を図る。
  • 学生アシスタント等の作業従事者等に対して不正使用事例や通報窓口等の周知を行い、不正使用防止に対する意識の浸透を図る。

第5 情報の伝達 — 情報の伝達を確保する体制の確立 —

目標:

教員の教育研究活動及び職員の教育研究支援活動を効果的に支援するため、通報・相談窓口の認知度を高め、通報者の保護体制を確立するとともに、全学的な情報共有環境を整備する。

取組方針:

  • 教育研究資金の不正に関する通報・相談窓口を有効に機能させるため、それらの使用方法や手続きの周知を徹底するとともに、通報・相談者を守る。
  • 教育研究資金の効率的な運用のため、教職員の予算執行状況等の情報を予算責任者と事務職員が共有できる環境を構築する。

第6 モニタリング体制の強化 — 全学的な視点から実効性のあるモニタリング体制の整備 —

目標:

教育研究資金管理の継続的な推進と全学的な自浄作用を強化するために、モニタリング機能、コンプライアンス体制の強化を図り、継続的な管理施策の改善を推進する。

取組方針:

  • 不正発生の可能性を最小にすることを目指し、不正発生のリスクを早期に発見できる全学的な視点から実効性のあるモニタリング体制を整備する。
  • 教職員への各種ルールの浸透状況や、不正等の不適切な事例を適時に発見・把握し、適切な事後対応につなげるための体制、仕組みを構築する。
  • 内部監査の実施に当たっては、監査計画を随時見直し、効率化・適正化を図るとともに、専門的な知識を有する者(公認会計士等)を活用して内部監査の質の向上を図る。

第2章 目標の達成に向けた体制・仕組み

1.教育研究資金の管理・責任体系の状況

教育研究資金は大学で管理する。その管理・運営に係る責任体系は以下のとおり。また、教育研究資金を執行する際は、運営・管理に係るものとは異なる責任体系になるので、自らの責任と役割を把握し、その責務を遂行する必要がある。管理監督の責任が十分に果たされず、結果的に不正を招いた場合は、懲戒処分の対象となることがある。

(1) 運営・管理に係る責任体系

  • 最高管理責任者=学長
    教育研究資金の予算執行について最終責任を負う者で、不正防止対策の基本方針を策定し、必要な措置を講じる。
    また、統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者が責任を持って教育研究資金の運営・管理が行えるよう、適切にリーダーシップを発揮する。

  • 統括管理責任者=理事・副学長(研究担当)
    教育研究資金の予算執行について機関全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者で、基本方針に基づき具体的な対策を策定し、実施状況を最高管理責任者に報告する。

  • コンプライアンス推進責任者=部局長
    部局における教育研究資金の予算執行について実質的な責任と権限を持つ者で、不正防止対策の実施、コンプライアンス教育の実施及び統括管理責任者への報告を行う。

  • コンプライアンス推進副責任者=部局長が指名する教員、事務職員
    コンプライアンス推進責任者を補佐する者。

  • 監事
    大学の業務運営等を監査し、学長に直接意見を述べる立場にあることから、競争的研究費等の運営・監査についても監査対象に含み、全体の観点から確認し、意見を述べる。

(2) 予算執行に係る責任体系

  • 予算責任者=部局長
    部局における教育研究資金の予算執行について実質的な責任と権限を持つ者で、部局における教育研究資金の執行等についてモニタリングし、必要に応じて改善を指示する。

  • 予算詳細責任者=予算責任者が指名する教員(研究代表者等)
    予算詳細ごとに配分された教育研究資金について実質的な責任を持って予算を法令等に則って執行する者で、教育研究等業務の進捗、及び予算執行の状況を厳格に管理する。

  • 予算詳細執行支援者=教員、事務職員(事務支援員等)
    予算詳細責任者の管理監督の下で、予算執行を補助する者。

予算ユニット
大学に交付される補助金等により複数の部局が教育研究を行う場合、当該補助金等における代表者の所属する部局の予算責任者は、当該補助金等の全般的な管理・執行に責任を負う。 また、関係する部局ごとに予算詳細を設け、予算詳細責任者を指名する。

教育研究資金の運営・管理に係る責任体系

2.教育研究資金の執行ルールの概要

職員等は、教育研究資金が国民からの税金、学生納付金その他の貴重な財源で賄われるものであることを十分に認識し、大学による管理を通じて、公正かつ効率的な執行を確保しなければならない。当然のことながら、取引業者や作業従事者等に対して証憑類の改ざんやねつ造を依頼することは懲戒処分の対象となる。

(1) 物品の購入に係る基本的な流れ

(2) 旅費の支出に係る基本的な流れ

(3) 学生アシスタントの雇用、給与等の支払いに係る基本的な流れ

(4) 支援員等(有期雇用職員)の雇用、給与等の支払いに係る基本的な流れ

(1)~(4)基本的な流れ

3.物品購入、旅費支給に係る事務の集約化

教育研究資金の執行に当たって、予算詳細責任者が行う経理事務の一部を代行する複数の職員を集約配置し、処理を集中化することで、複数の者によるチェックが機能する仕組みを導入する。併せて予算詳細責任者の負担を軽減し、教育研究活動の充実を目指す。

集約化された事務職員の業務内容

物品購入

教員(予算詳細責任者)からの指示を受け、100万円未満の物品購入・役務等に係る発注書の作成及び取引業者への連絡、物品等請求システムの入力補助に関すること

旅費支給

教員(予算詳細責任者)からの指示を受け、物品等請求システムの入力補助(旅行伺、出張報告手続き)、出張者への証憑書類提出依頼に関すること

検収業務

100万円未満の検収に関すること

4.教育研究資金の執行に係るモニタリング体制

教育研究資金の執行に係るモニタリングは、次に掲げるように複数の手法により、それぞれの立場から多様な観点でモニタリングを行う。相互に必要に応じて連携等することにより、また取引業者等の協力も得ながらモニタリング全体の機能を強化する。

(1) 日常的なモニタリング

  • 予算責任者による日常的・定期的なモニタリング(事務局からのリスクの情報提供)
  • 支払い手続きを通じた事実確認

(2) 内部監査室によるモニタリング(リスクアプローチ監査等)

(3) 教育研究資金適正管理室によるモニタリング
(不正防止計画の実施状況の確認・分析)

上記のモニタリングを通じて把握されるリスクや課題を低減・解消させる対策の検討、実施による大学全体でのPDCAサイクルを実行する。

5.研修会、説明会等の開催(コンプライアンス教育)等

会計に関する事務処理や公的研究費の応募ルール等の説明・周知のみならず、公的研究費に携わる職員としての責任と役割、不正使用事例等の周知を図ることを通じてコンプライアンス意識の向上を図り、行動規範に則って活動することを徹底する。

このため、研修会や説明会等の参加または受講、誓約書の提出は公的研究費の応募・執行や経理事務を行うに際しての条件とする。各種ルールの理解不足による不適切な経費使用を防ぐため、FAQをHPに掲載するとともに、相談窓口を設置する。

全学的な研修・説明会等の開催

会計研修、コンプライアンス研修、科研費説明会、その他不定期に開催または開講

コンプライアンス推進責任者による研修・説明会(部局単位での研修)

HPによる情報提供(不正防止に向けた取組、不正防止計画等々)

使用ルール・手続きの相談窓口

教育研究資金の適正な執行に関する相談窓口:研究支援窓口 内線2337

教育研究資金の管理・使用に関する取組全般に係る意見・要望窓口

教育研究資金適正管理室

電子メール:tekisei@jim.titech.ac.jp

総合通報・相談窓口

(学内窓口)

住所:東京都目黒区大岡山2-12-1
ファクシミリ:03-5734-7697
電子メール:sodanmadoguchi@jim.titech.ac.jp

(学外窓口)

窓口:霞ヶ関総合法律事務所
担当弁護士氏名:石村信雄
電子メール:gakugaimadoguchi@abox3.so-net.ne.jp

(留意事項)

通報・相談は、顕名によることを基本とします。
通報者はそのことを理由に不利益な取り扱いを受けることがないよう保護されます。

お問い合わせ先

教育研究資金適正管理室

Email tekisei@jim.titech.ac.jp
Tel 03-5734-7643