東工大について

年頭のご挨拶 2019

皆様、あけましておめでとうございます。
2019年、新しい年を迎えご挨拶を申し上げます。

私が学長に就任し、もうすぐ1年が経とうとしています。就任したらまず実行しようと思っていたのが、本学を構成する様々な立場の教職員・学生と対話を行い、どのような思いを持って日々の教育・研究活動を行っているのかを理解することでした。私は対話を重ねていく中で、本学はとても素晴らしい構成員に恵まれているということに、あらためて気付くことができました。教職員・学生ともアクティブで、物事を深く考える力があります。このような構成員でつくられた「Team東工大」ならば、2019年も本学はさらなる飛躍を目指すことができるだろうと、確信を持っています。

「東工大コミットメント2018」で共有したいこと

「東工大コミットメント2018」で共有したいこと

2017年4月に発表した「2030年に向けた東京工業大学のステートメント」では、本学教職員・学生が持ち続けている、教育・研究に対する変わらぬ思い、そして、未来に向かう新しい意思をSpirit & Actionの形でまとめました。その思いを実現するために、これから本学構成員はどのような価値観をもって未来に向かっていくのかを、「東工大コミットメント2018」として2018年10月に発表しました。コミットメントで提示した「多様性と寛容」「協調と挑戦」「決断と実行」とは3つそれぞれに意味があると同時に、『多様性を認めあって、その中でも協調しながら困難に立ち向かい、新しい道を切り拓いていこう』という、ひとつながりのメッセージでもあります。そうして実行していけば、Team東工大はより強い絆によって未来を志向していくことができるでしょう。教職員・学生の皆さん、このコミットメントを意識して2019年のスタートを切り、1つずつ前に進んでいきましょう。

2019年の抱負

昨年3月に、本学は世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる大学として、文部科学大臣から指定国立大学法人の指定を受けました。2019年も本学の指定国立大学法人構想を着実に進めていき、「世界最高の理工系総合大学」の実現に向けて取り組んでいきます。我々はグローバル化の中で激変する社会にあってこれらの取組みを進めなければなりません。また、世界の大学の変化も速いことを実感しています。本学はそうした変化をより敏感に察知し、そして深く理解した上で、本学ならではの学術的な叡智をもって世界規模の課題解決に貢献していきたいと思います。

教育面では、教育改革を行った2016年に入学した学士課程の学生がいよいよ4年目となり、研究室での生活が始まる点に注目しています。新しいカリキュラムの中で学びを深め、多様な見識に触れる中で物事を考えてきた学生たちが、研究に近い場で新しい息吹をもたらします。学生が自ら進んで学び、鍛錬する“志”を育てるという教育改革を実践する最終段階として、全体の成果と課題を検証する年となると思っています。

2019年の抱負

もう1つのトピックとして、今年の4月から「学士課程学生のための博士志向プログラム(B2Dスキーム)」を新たにスタートします。B2Dスキームとは、学士課程2年目(B2)のうちから博士後期課程(D)を目指そうという、研究への強い熱意を持つ学生を呼び集めた、学士から博士まで一貫した教育プログラムです。所属する学生は、4年目になる前から複数の研究室での研究体験を行ったり、大学院生等との異分野交流の場で学び合いながら、それぞれのキャリアプランを深めたりすることが可能となります。2016年以降、特にリベラルアーツ教育の充実によって学生たちがとても活発になってきました。次は本学の強みである「世界最高水準の研究」を通じた教育を最大限に活かし、本プログラムを筆頭に教育の質をさらに高めていきたいと思います。

先に述べたコミットメントにもあるように、多様性は重要な要素です。本学の歴史ある教育に加えて教育改革を通じた新しい教育と学生支援によって、女子学生や地方出身の学生、また留学生などが学修しやすいオープンなキャンパスの雰囲気・環境整備を進めます。

研究面では、分野のトップをはしる研究を尖らせていくことに加え、これからはインターディシプリナリー(学際的)な研究も強化、充実させていきたいと考えています。昨年は未来社会DESIGN機構が発足し、10月にキックオフイベントを行いました。今年は本格的な活動に発展させ、未来を創造していくという機構の活動を通じて、社会の方々と本学教員から新しい学術領域や融合領域の芽が出てくると期待しています。また11月に実施した「Tokyo Tech Research Festival」では、本学研究者たちの間で、自分の専門とは異なる領域の研究・人と出会い、交流を深めることができました。今後、様々な場所でこのような動きを広げていくつもりです。

三島良直前学長のころから、産学連携を推進することが大学改革の次のステップとして位置づけられていました。共同研究は数も規模も着実に増加しており、2017年度には共同研究費が17.2億円から20.3億円に大きく躍進しました。私も学長として企業のトップの方とお話をさせていただく中で、本学の研究力に可能性を感じていただいているという手応えを感じています。一例として、自動車業界等と進めている全固体電池のプロジェクトなど、社会実装に向け本学は一歩発展した連携を進めていくことができると自負していますので、今年もいっそう力を入れていこうと思います。

社会連携にもよりいっそう取り組んでいきたいと思います。教育と研究など本学の発展を支えつつ、諸活動を社会にとって意義深いものにしてくださっている存在として、同窓会でもある蔵前工業会outerがあります。本学と社会との橋渡し役となる同窓生の皆さんも、Team東工大の一員です。蔵前工業会が本学大岡山キャンパスに設置されていることで、大学も一体となって活発な活動を行うことができます。これは本学の特長の1つですので、教職員や同窓生など個人同士、また本学と蔵前工業会という組織同士が今後ますます交流を深めて、協力体制をさらに強固にしていきたいと考えています。

2019年の抱負

今、日本だけでなく世界は多くの困難な課題に直面しています。その中でSDGs(持続可能な開発目標)に示されているように、人類がその叡智をかけてそれらの課題を解決し世界を変えようという試みも、地球規模で起こってきました。本学も、これまで科学・技術を発展させ、新たな地平を開拓することで、例えばエネルギー、気候変動、産業と技術革新の基盤、といった課題の解決に大きく寄与してきました。それに加えて、これからの東工大は「我々が望む未来」、つまりひとりひとりが思い描く未来、それぞれの思いを尊重し我々も世界も生き生きできる未来を作っていく場となります。Team東工大の皆さん、我々は誇りを持って、その責務を果たしていこうではありませんか。

東京工業大学学長
益 一哉

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2019年1月掲載

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東京工業大学 総務部 広報課

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