東工大について

平成28年度 学部卒業生インタビュー

平成28年度学位記授与式に先立ち、学部を卒業予定の3名の学生に、東工大での大学生活について話を聞きました。

専門知識を深め、
応用力や実践能力を
身に付けたい。

姜竣銘さん

姜 竣銘さん

Kyou Shunmei

工学部
国際開発工学科4年

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください

母親がずっと日本で仕事をしていたこともあり、高校1年生の時から日本の大学に進もうと決めていました。中国の高校を卒業後、来日して日本語学校で日本語を学びました。そこで、東工大で勉強している優秀な中国人の先輩たちと知り合って、東工大が日本最高の理工系大学であること、美しいキャンパスと充実した研究施設を持ち、留学生のサポート体制も整っている大学であることなどを聞きました。私もそのような優れた環境で勉強したいと思い、東工大を目指すことに決めました。

大学生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

大学生活を通じて、たくさんの海外派遣プログラムに参加したことです。初めて参加したのは、1年生の春休みの欧州短期派遣プログラムです。英国のオックスフォード大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンで授業を受け、現地学生と交流しとても楽しかったです。3年次の夏休みには、タイのラヨーン県で行われたPSDT2016(Planning for Sustainable Development in Thailand:タイにおける持続可能な開発計画)というフィールドワークのプログラムに参加し、4年次の夏休みにはロンドンでSCRG(Science Communication Research Group:サイエンスコミュニケーション研究グループ)に参加しました。どのプログラムでも貴重な経験を得ました。一生の思い出です。

欧州短期派遣プログラム(後列左端が姜さん)
欧州短期派遣プログラム(後列左端が姜さん)

SCRGの参加メンバー(右端が姜さん)
SCRGの参加メンバー(右端が姜さん)

卒業研究の内容を教えてください

卒業論文のタイトルは、「Development of Low Cost Indoor Localization System by using Raspberry Pi(ラズベリーパイ※1を使った低コスト屋内ナビゲーション・システムの開発)」です。現在、GPS技術を使った位置情報サービス(LBS)の利用が普及し、人々の生活の中で役立っていますが、屋内ではこのGPSの効果があまり発揮されていません。そこで、製品の宣伝、大型展示会の案内、介護施設等での高齢者の位置検出など、屋内のさまざまな場面での活用が期待できる屋内ナビゲーション・システムの低コストでの構築を、BLE信号※2によるフィンガープリント方式※3でラズベリーパイを使って目指しました。

卒業後の予定と将来の展望について教えてください

大学卒業後は東工大の修士課程に進学し、現在行っている研究をより深めます。私の将来の夢は、グローバル・エンジニアになることです。そのために、修士課程ではさらに専門知識を深め、インターンシップへの積極的な参加を通して応用力や実践能力を身に付けたいと思っています。自分の目標に向けて、修士課程でもいろいろな体験をし、充実した学生生活にしたいと考えています。

後輩に向けてメッセージをお願いします

東工大はさまざまなことに挑戦する機会を提供しています。人生は「素晴らしき冒険旅行」です。東工大での経験は、人生の冒険の一部をなすものとして非常に有意義なものとなるでしょう。大学生活を通して、自分の専門だけでなく、勇気を持って、たくさんの未知の分野や考えに触れてください。きっと自分の世界が広がっていくと思います。

チャンスがあるなら、
チャレンジしてみる。
その経験がとても貴重。

峯岸美紗さん

峯岸 美紗さん

Minegishi Misa

生命理工学部
生命工学科4年

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください

高校時代、理数系の科目が得意だったので漠然と理系に進みたいと思う気持ちはあったものの、専攻したい分野については決めかねていました。そんなとき、世界レベルの研究が行われていて、入学後に自分の専攻を変えることもできる東工大のことを知りました。それまで、生物をほとんど勉強したことがありませんでしたが、志望校選択のときに理科の受験科目だった物理と化学の2つをベースに生命の不思議を解明していくことに興味を持ち、生命理工学部に進むことにしました。

大学生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

3年次に、米国ボストンで開催された合成生物学の学生の国際コンテストiGEM(アイジェム:The International Genetically Engineered Machine Competition)に東工大チームの一員として参加し、金賞を受賞したことです。このコンテストには世界から多くの優秀な学生が参加するので、「世界中の学生たちと競う」という経験ができました。約1年間の準備期間を通じて、自分たちがやっていることが世界初であることがわかり心躍ったことも今のことのように思い出せます。共に参加したメンバーは、最初は顔見知り程度の友人でしたが、今ではお互いの研究の近況などを語り合う良いライバルです。

iGEM参加メンバー(前列左から3番目が峯岸さん)
iGEM参加メンバー(前列左から3番目が峯岸さん)

研究室の河口湖旅行(左から3番目が峯岸さん)
研究室の河口湖旅行(左から3番目が峯岸さん)

卒業研究の内容を教えてください

近藤科江教授の指導のもと、がん細胞の骨転移について研究しました。がんによる死亡原因の90%以上は転移によるもので、骨は乳がんや前立腺がんなどによって転移が頻発する臓器です。がん細胞が抗がん剤抵抗性を獲得するなど、骨髄にはがんにとって優位になるような手助けをする環境があることが示唆されていますが、具体的なメカニズムは解明されていません。そこで、がん細胞が骨髄にたどり着き、定着して増える過程で、周辺細胞と相互作用するメカニズムを解析し、その環境の解明を目指しました。

卒業後の予定と将来の展望について教えてください

大学卒業後は東工大の修士課程に進学し、卒業研究の内容をさらに深め、研究者を目指す上での方向性や考え方を構築したいと考えています。がんだけでなく、さまざまな分野の研究者が集まる学会にも積極的に参加し、がんが専門でない研究者とたくさんの議論をして、自分の研究内容を上手く伝える方法を模索したいと思っています。また、修士課程在学中に米国のがん学会で発表することも目標にしています。

後輩に向けてメッセージをお願いします

積極的にいろんなコミュニティーに参加してみることをお勧めします。大学や勉強だけでなく、アルバイトや趣味でもかまいません。自分が今まで経験してこなかったものに挑戦することで、自分の未知なる領域を開拓でき、よき友人やライバルにも出会えると思います。「チャンスがあるなら、チャレンジしてみる」ことによって、その経験自体がとても貴重なものになるはずです。

出会いや経験は、
人生のさまざまな場面で
私の支えとなる。

鎌田龍太郎さん

鎌田 龍太郎さん

Kamata Ryutaro

理学部
化学科4年

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください

高校時代にさまざまな科目の授業を受けていく中で、理系科目、特に数学、物理、化学の面白さに惹かれ、さらに深く学びたいと思うようになりました。東工大では学問領域を大まかに分類した類別入試が行われていますが、1年次はその「類」に分かれて幅広い専門分野を学び、2年次からは自分の選んだ学科に進んで1つの専門分野を深めていくというカリキュラムになっています。何を専門としたいのかまだ決まっていなかった高校生の私は、このカリキュラムに魅力を感じ、東工大を志望しました。

2016年4月の新教育システム導入により、現在は学院・系に進学

大学生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

所属していたアカペラサークル「あじわい」での活動です。できたばかりのサークルだったので、日々の練習や地域の行事参加、合宿等を手探りで行いながら、少しずつ活動範囲を広げていきました。学生の本分である学業との兼ね合いから思うように事が運ばず、悩むことも非常に多かったです。しかしその中での出会いや経験は、この先の人生のさまざまな場面で私の支えとなると思っています。

オープンマイク・イベントでのパフォーマンス(右端が鎌田さん)
オープンマイク・イベントでのパフォーマンス(右端が鎌田さん)

工大祭でのパフォーマンス(中央が鎌田さん)
工大祭でのパフォーマンス(中央が鎌田さん)

卒業研究の内容を教えてください

金属錯体や半導体を用いた光化学、特に人工光合成を目指した基礎研究を行いました。人工光合成とは、植物が行う光合成、つまり太陽光をエネルギー源として水を酸素に、二酸化炭素を炭素資源に変換する反応を人工的に行うというものです。この人工光合成が実用可能になれば、大気中の二酸化炭素濃度の増加に伴う地球温暖化や、炭素資源の枯渇によるエネルギー問題等を解決する糸口になるのではないかと考えられています。

卒業後の予定と将来の展望について教えてください

卒業後は東工大の修士課程に進学し、現在の研究を続けます。学部時代に比べると、修士課程では2年間というまとまった時間を使って研究できるので、現在取り組んでいる研究課題についてさまざまな角度から深めていきたいです。そして最終的には、研究で得た成果を論文の形にして学術誌で発表したいと考えています。

後輩に向けてメッセージをお願いします

東工大は理工系分野を志す人にとって、とても恵まれた環境です。ここでは、あらゆる分野の研究が行われているので、自分の興味にあった研究室を必ず見つけられると思います。図書館にも膨大な数の専門書が並んでいます。そして何より、周りに優秀な学生がたくさんいるなかで、互いに刺激し合いながら学問を深めていける環境があります。後輩となる皆さん、ぜひ充実した大学生活を送ってください。

この春に東工大を巣立つ皆さん、学部での経験を生かし、次のステップに、そして世界を舞台に羽ばたいてください。

※1 ラズベリーパイ

イギリスのラズベリーパイ財団が開発した、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータ

※2 BLE信号

ブルートゥース技術を使った超低電力で発信するビーコン信号

※3 フィンガープリント方式

利用者の特徴的な情報を総合して特定の利用者を識別する方式

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2017年3月掲載

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東京工業大学 総務部 広報課

Email pr@jim.titech.ac.jp