東京工業大学基金
東京工業大学基金
東工大は、理系の単科大学ではありますが、文系一般教養を重視した教育をしています。これは、私が学生だった時代から変わりません。
専門分野の知識を深く身に付けていることは大切ですが、それだけではいけません。専門以外の幅広い知識・教養がないと社会で活躍することができないからです。
社会にでると、応用問題だらけです。応用問題を解いていくには、専門分野の深い知識だけでは、不十分です。
“気づき”がないと応用問題を解くことはできません。その“気づき”を与えてくれるのが、幅広い知識・教養です。
そのため、私の学生時代から、「横幅を拡げなさい」ということを常に言われていました。社会に出てから、この重要性をすごく感じることができました。
私の場合は、東工大時代に勉強した心理学が社会に出てから非常に役に立ちました。仕事というのは、一人では完結しません。多くの人と協力して仕事を進めることで、大きな成果をあげることができます。多くの人と仕事を進める上で、心理学の知識は非常に役立ちました。
私は、東工大を卒業後、“ものつくり”企業に入社し、現在に至ります。
“ものつくり”と正面から向き合ってきた経験からこそ感じるのですが、“もの”というのは、本当に正直です。どれだけ努力をしても、時間をかけて作っても、ダメなものはダメです。“ものつくり”は簡単ではありません。多くの失敗、周囲からのサポート・協力関係の中で、一つずつ生み出されていくものです。
だから、それに関係する仕事をする人は、高い志を持っていないといけません。「何としてもやりぬく」という心意気を持っていなければなりません。
そして、フレキシビリティも必要です。理系出身者は、とかく思い込みが激しく、ワンパターンな思考にとらわれてしまいがちです。そうではなく、いろいろな人の意見を聞き、それを取り入れてみるフレキシビリティが必要です。そのために、大学時代から、良い友達とのネットワークをつくって欲しいと思っています。
更に、東工大には、様々な分野の特徴のある優秀な先生が数多くいらっしゃいます。三島学長(当時)を中心に進められている教育改革では、一般教養の更なる充実や学生が海外に出ていきやすくするための取り組みをされています。フレキシビリティを磨いていく上で、東工大は、素晴らしい環境だと思います。
過去に、基金のサポートを受けて留学をした学生達と帰国後に会う機会がありました。留学体験談を聞かせてもらい、しっかりとがんばって勉強をしてきたなと非常に感心しました。基金の一部が、学生の活躍や成長のために使われていることが、本当に嬉しかったです。それと同時に、チャンス・場面を作ってあげれば、学生は成長すると改めて感じました。
基金のサポートで海外に行ったり、活動をしたりしている学生は、プレッシャーも感じるでしょうし、大変だと思います。しかし、プレッシャーに対して、委縮するのではなく「このチャンスを活かしてやるぜっ!」くらいの気持ちで取り組んで欲しいと思います。
そして、世のために尽くせるような人材になって欲しいです。
東工大生は、みんな、素晴らしい才能を持っています。
基金は、そんな学生達にチャンスを与える道具だと思っています。
基金は、多くの方のサポートで成り立っています。基金のサポートを受けて活動している学生達は、感謝の気持ちを持ち続けながら、自分の力を最大限発揮して、更に努力をして欲しいと思っています。
「後輩や学校が更に伸びて欲しい、活躍して欲しい」「もっともっと世界に開けた大学になって欲しい」と願いながら、育てて頂いた東工大に感謝の気持ちを持って、先輩として協力していきたいと思っています。
インタビュー実施:2015年1月22日時点
(所属・職名はインタビュー時点のものです)
寄附の使用用途を指定できます。