東京工業大学基金

寄附者 落合 宏行様

後輩たちの頑張っている姿に共鳴

私が学生に寄附をしようと思い立ったのは、私自身学生時代に籍を置いていた機械科学科のOBで構成される「白星会」の会合でお話しいただいた、とある研究室の先生の講演がきっかけでした。内容は、その研究室の学生がJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で行った衛星開発のようすを紹介するもので、非常に夢のある素晴らしいプロジェクトだったのですが、完成品をロシアで打ち上げる際に、製作に関わった学生の旅費が自己負担で非常に苦労されたのだそうです。そのお話を聞いて、「これはぜひ応援してあげないと!」と思い立ち、僅かながらその研究室に寄附をさせていただいたのが最初です。

後輩たちの頑張っている姿に共鳴

それと前後して、白星会でも5年ほど前より学生とOBとの交流会が行われるようになり、毎年11月に催される研究室やサークルの学生の活動報告を通して、後輩たちが頑張っているようすに感銘を受け、寄附を続けています。例えば、1977年以降ほぼ毎年開催されている 「鳥人間コンテスト」では、製作費用や現地への搬送費用など総費用は600万円にもなるそうで、部員一人当たりにして15万円から20万円の負担額になります。NHK主催の「学生ロボコン」も同様に学生が費用を分担しているのが実情です。そんな話を耳にすると、自分も奨学金を得て学業に充てるなど苦学をしたこともあり、やはり無性に応援したくなるのです。幸い、今の私は実生活に少しゆとりが生まれ、子どもたちにも住宅資金など最低限のことはしてきましたので、できる範囲ではありますが、後進のためになるならばこれからも力になりたいと考えています。

必要以上に溜まったお金は世の中のために使うべき

必要以上に溜まったお金は世の中のために使うべき

日本経済は回復基調にありますが、国全体を見渡すと、まだまだ経済は復興したとは言い難いものがあります。一方で、国民の金融資産は1,300兆円を超えており、うち半分以上の約700兆円は60歳以上の高齢者が保有していると言われます。その高齢者の貯蓄理由として顕著なものは「老後の不安」「万一の病気に備えて」ということなのですが、私個人としては、そんなにお金を持っているのなら、世の中のために使ったほうが良いと考えています。

私が住んでいる町にある農協(JA)でも、口座に毎月振り込まれる年金に手をつけていない高齢者の方が多くいると聞きました。もちろん、高齢者の皆さんの中には現在もご苦労をされている方もいますのですべてに当てはまるわけではありません。が、少なくとも、必要以上に預貯金を蓄えているのなら、お子さんやお孫さんに生前贈与したり、資金を必要としている団体などに寄附をするなどして、ぜひ有効な活用方法を考えていただきたいですね。特に、東工大基金では「ここにこれだけの額を寄附したい」というピンポイントな寄附が可能ですので、自らのアクションが目に見える形で反映されるのはとても嬉しいことだと思います。

不要にお金を残したところで、遺産相続問題などを起こしてはかえって残された家族が嫌な思いをするばかりです。ならば自分のお金なのだから贅沢した方がいいという方もいらっしゃるかもしれませんが、必要以上の贅沢は、かえって身を滅ぼすことにもつながりかねません。もし、将来病気になることが不安であるというのなら、食事の改善や適度な運動など、もっと日頃の健康に気を配るほうが、ずっと幸せな老後を送ることができるのではないでしょうか。

問題の本質を捉える訓練をどんどん積んでほしい

私は生産技術者として、さまざまな工場や企業に出向き、「生産技術講座」という内容で講義をしているのですが、毎回講義の最後に必ずお伝えしていることがあります。それは、「問題が起きたら、とにかく現象の根本に潜む原因をとことん自分の頭で突き詰めましょう」ということです。

工場など我々の現場においても、問題が起きるとその表面に起きている現象だけ見て、問題解決を図ろうとするケースを多く見かけます。しかしながら、それでは無駄なことばかりいくつも手をつけて、結局のところ根本的な原因にまで行き着けません。知識も必要ですが、「なぜそうなるのか?」と常に頭の隅に置いておき、さまざまな事象からヒントを得て、自分で解を探していく訓練を積むことが肝要です。

学業でも同じです。机上で知識ばかり詰めこんでも、応用力がなければ社会では何の役にも立ちません。「なぜ?」と自分たちで考える。そういった「考える」力を養う場こそが、先の鳥人間コンテストやロボコンといった自主的なサークルやグループでの活動なのであり、だからこそ、私はそうした若者たちを「寄附」という形で支えていきたいと思っているのです。

私たちが戦後の貧しい最中に一生懸命親に育てられてきたように、今度は私たちの世代が、明るい世の中を築くための「人」を育て、その育ちを支えていく。その「人」を育てる場こそがまさしく大学であり、大学をサポートするのはお世話になった私たち大人の役目です。どうか学生たちには、諦めずに、辛抱強く自分の思う道を邁進してほしいと願っています。

(インタビュー実施:2015年12月18日時点)

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