キャンパス・アジア KAIST CAMPUS Asia Summer Program <Research-Oriented> 韓国科学技術院(KAIST) 2018年8月12日~2018年9月10日

キャンパス・アジア KAIST CAMPUS Asia Summer Program <Research-Oriented> 韓国科学技術院(KAIST) 2018年8月12日~2018年9月10日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 建築学系 建築学コース
留学先国:
大韓民国
留学先大学:
韓国科学技術院(KAIST)
留学期間:
2018年8月12日~2018年9月10日
プログラム名:

留学先(参加プログラム/受入れ機関)の概略

2018年8月13日~2018年9月7日の4週間、韓国のデジョン市にあるKAISTで行われてキャンパス・アジアのサマープログラムに参加した。KAISTは東工大と同様に総合大学ではなく理系に特化した研究機関である。創立は1971年で歴史は浅いものの、高い実績を誇る。広大なキャンパスの中に寮やコンビニ、飲食店が充実しており何一つ不自由しなかった。(Bar等は学内にはない)

Research courseに参加し、Civil & Environmental Engineering 学部のHan, Jong-In, Assoc. Prof.の研究室でお世話になった。KAISTで行なわれる研究は基礎研究よりも、企業からの依頼を受けて行なわれる実用的な研究が多いと聞いた。研究室にはPh.DやMasterの学生が多く、研究を行う際、学生はお金を得ているそうだ。(日本は学生が大学にお金を払って研究している。)これにより学生はアルバイト等に時間を取られることもなくプロ意識を持って研究を行える。研究のモチベーションも上がる素晴らしい制度であると感じた。研究室は全員で15名程度で女性や既婚者が多かったことも印象的であった。

今回参加したサマープログラムは、”TKT”と呼ばれるプログラムで、中国の清華大学と韓国のKAIST、日本の東工大による3カ国の合同プログラムである。今回の参加者は清華大学からPh.D.の学生が3名と東工大から修士の学生(私)と学部生が2名の計6名であった。例年は清華大学の学生の人数が多くなってしまうことが多く、両大学の学生の人数が同數なのは珍しいそう。
このメンバーで週に2回の韓国語の授業を受ける。また、Jeonjuへの文化旅行もこのメンバーで行ったので仲良くなることができた。

留学前の準備

KAISTには建築学科がないため、マッチングする研究室を探すことは少し苦労した。東工大の私の研究室の教授や、教授の以前の職場の友人で韓国人の先生と相談しながら探した。その他の難しい手続きは韓国のコーディネーターさんが取り計らってくださったので不便はなかった。

留学中の活動及び感想

研究室にはコアタイムがあり9:00〜18:00は基本的に研究室で作業していた。お昼ご飯はラボの人と学食で食べることが多かった。ゼミで東工大での研究を紹介する機会を得て意見交換をした。しかし、基本的にゼミは韓国語で行われるため、私が発表した会以外のゼミには参加していない。

また、土日は完全に自由であった。私の場合は2回ソウルに遊びに行き、他はKAISTの学生とともにGyeongjuに旅行に行った。タクシー代と新幹線代でソウル旅行1回にかかる往復の交通費は5000円程度であった。(工夫すると3000円以内で行くこともできる!)デジョンは学生街であるので、安くて美味しいお店が多いが、より韓国を満喫するには土日の時間があるときにソウルまで行くことをオススメする。Gyeongjuは日本でいう京都のような歴史のある街であった。1つ1つの観光名所が離れているので、レンタカーがあると便利だと思う。大人数で行ったのでとても楽しかった。

最後の土日は釜山に行く予定。こちらにもKAISTの学生の実家があり一緒に回る予定。単に観光地を巡るだけでなく、KAISTの学生とともに回ることが多かったのでより充実していたと思う。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

留学をして一番良かったと思うことは、人の優しさに触れることができたことだと思う。関わる人は優しく友好的な人が多かった。文化や国が違う人と、表面的な付き合いではなく、きちんと友達になりたいと思って、少しでも縁があった人とはなるべく関わるように心がけた。以前の私はあまり、自分から積極的に人と関わろうとするタイプではなかったが、意識的に変わっていた。このような経験から留学以前には考えられなかった程多くの友達を作ることができた。

話してみるととても優しい人が多く、自分から積極的に人と関わることのメリットを肌で感じることが出来た。このコミュニケーションのスタイルは日本に帰ってからも続けていきたいと思う。

留学費用

私は修士学生なので奨学金は90万KRWを得た。寮費や食費を除いても十分な額で、土日の旅行にも当てられた。奨学金は振込が少し遅いので最初の1週間と少しの期間は自費で生活していた。またWi-Fiに関して、イモトのWi-Fiを日本で購入して使用していたが、学内のWi-Fiが充実していたので必要なかったと思った。イモトのWi-Fiは1ヶ月で1.5万円と高価で現地での調達で十分であったと感じている。

留学先での住居

オンキャンパスのNarae寮に住んでいた。立地は良く研究室からも歩いて15分程の距離だった。寮は完全に2人部屋で、ルームメイトと消灯時間や生活スタイルに違いがあったため不便を感じることもあった。最初は冷蔵庫、ドライヤー等がなかったが段々と取りそろえて行き、QOLが増していった。

留学先での語学状況

寮母、タクシーの運転手は基本的に英語が通じず不便が多かった。デジョン付近の学生街にある飲食店は英語のメニューが置いてあることが少なかったので、韓国人の友達と行くと良いと思う。韓国語の授業や日々の生活から韓国は読めるようになった。日本語と韓国語は似ているので、もう少し長く滞在できたら徐々に日常会話も出来るようになってきたと思う。

Google翻訳のカメラ入力等非常に便利なアプリもあるので、本当に困ったときはこれを使用すればなんの問題もない。しかし、一人で解決し過ぎないでトラブルをきっかけに現地の人とコミュニケーションを図るのも良いと思う。(タクシーの運転手や年配の方はスマホの小さい字が読めないので注意が必要。)

単位認定(互換)

特にその予定はない。グローバル理工人上級の必要要件の一部として申請する予定はある。

留学経験を今後、どのように活かしたいか

いろいろな人から助けてもらうことが多かった。特に研究室で私のバディを引き受けてくださったHoonさんには本当によくしてもらった。彼は以前に1年間東工大に留学した経験がありその時に研究室の人に親切にしてもらったそうで、今度は自分の番だと行ってくれた。韓国の美味しい料理や魅力をたくさん教えてくれて、本当に感謝しても仕切れない。もし日本で留学生や困っている人を見かけたら積極的に助けて、この親切と優しさのバトンを繋いで行きたい。また、ラボの他のメンバーが話しかけてくれたり、ご飯に誘ってくれたりと行った小さい心遣いも本当に嬉しかった。このような経験を忘れることなく、今まで以上に身の回りの人を大切にして行きたい。

留学先で困ったこと(もしあれば)

特になく、充実した日々であったが強いて挙げるとすると研究である。やはり、テーマを決めてある程度発表できる程の成果を挙げるのに1ヶ月はあまりにも短い。今回は機材の発注等トラブルが多く当初に予定していた段階までの実験が行えなかった。しかし、ゼミでの発表の機会もあり、有意義な日々を過ごすことが出来たと確信している。

留学を希望する後輩へアドバイス

「大学生になったら留学してみたい。」これは漠然と高校生の頃からずっと思っていたことである。しかし、大学に入学してかれこれ5年以上の月日が経ち、気が付いたら修士2年生になっていた。(所属している学科にもよるが、)留学は自然な流れの中では難しい。どこかで大きな決断をして、準備しなくては行くことが出来ない。私は留学をしてみたいと思う理由が自分の中ではっきりとしていなかったため、「課題が忙しい」とか「英語力が足りていない」とか自分に言い訳をして先延ばしにし続けていた。そもそも留学はメリットばかりではないと思う。長期の留学は学年が遅れてしまうし、留学したからには何かしらの成果を挙げなくてはいけないというプレッシャーも大きい。そういったデメリットに打ち勝つ程の「留学する理由」を見つけられずに、私は留学を断念していた。

就職先も決まり、残すは修論だけとなったが、やはり「留学」に心残りがあり急遽修士2年の今からでも参加できそうなプログラムを検索し、このプログラムの参加を決意した。

そして、実際に留学してみて、「自分の知らない世界を見てみたかった」という気持ちに気が付いた。好奇心という言葉が一番近いかもしれない。自分の気持ちを知れたことは留学から得られた大きな収穫の内の1つである。今回のプログラムは1ヶ月だが、仮にこれが1年のプログラムで学年が遅れてしまっても全然悪くないと思えるものだった。私が留学に行く以前に恐れていたデメリットは現状維持を好む自分への言い訳に過ぎないと改めて気付いた。

「留学」に限らず何かしらのチャンスは私たちの周りにたくさん転がっていると思う。そのようなチャンスのデメリットを恐れることなく飛び込める勇気が留学する以前よりも備わったなと思える。勇気を出して知らない世界に飛び込んでみて良かったなと思える1ヶ月間であった。

この体験談の留学・国際経験プログラム情報