社会連携
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夏休み、東工大のキャンパスではたくさんの子どもたちの姿を見かけることがあります。子どもたちはそれぞれ、顕微鏡で何かを観察したり、大きな機械で何かを作っていたりと、目の前の出来事に夢中になっています。
東工大では、夏休みを中心に、子どもたちを対象とした理科教室イベントを実施しています。今回は、地球史資料館の夏休み特別企画「地球とあそぼう」、そして、ものつくり教育研究支援センターの「夏休み親子工作教室」について、担当者から話を聞きました。
「地球とあそぼう」では、主に小学校高学年の子どもたちを対象に、大学院理工学研究科地球惑星科学専攻(取材当時)の教員・学生の指導のもと、実体顕微鏡を使って鉱物の形の秘密を観察したり、比重の違いを利用した岩石・鉱物分離実習や、化石探しなどの体験実習を行います。毎年、夏休みに大岡山キャンパスにて開催しています。
澤木 佑介 助教
大学院理工学研究科地球惑星科学専攻(取材当時)の澤木 佑介 助教は、学生のころから「地球とあそぼう」の運営に関わってきました。
「この「地球とあそぼう」は2014年に20年目を迎えます。毎年100人くらいの子どもたちが参加してくれており、実際に自分の目で見て、触って学べるということが、子どもたちにはとても魅力的みたいですね。」
地球の成り立ちについて説明を聞く子どもたち
顕微鏡を使って、実際にその場で割ってみた鉱物の形を観察します。
不規則な形をしている標本でも、よく観察してみると、その中に正三角形やピラミッドのような規則的な形が見つかります。
ハンマーで鉱物割りに挑戦
鉱物を観察している様子
化石探しでは、「化石スタンプラリー」を用意しており、子どもたちはたくさん化石を見つけようと夢中です。三葉虫、巻き貝、二枚貝などいろいろな化石が見つかります。
見つけた化石からひとつ、記念に持ち帰ってもらっています。
化石スタンプラリー
化石を探す子どもたち
実験の様子
砂金探しの様子
岩石・鉱物分離実習では、重液(純水より比重の大きい液)を使って、比重が大きい石と小さい石を分ける実験を行います。液体の中で浮かぶ石を見て、子どもたちは不思議そうな顔をしています。
比重の差を利用して、砂金を集める実験も行います。ここでは「椀かけ」という方法を用いて砂金探しをしています。簡単そうに見えて、意外と難しく、子どもたちも説明を聞きながら砂金探しに夢中になっています。
「地球とあそぼう」は日本学術振興会の小・中・高校生のためのプログラム「ひらめき☆ときめきサイエンス」に平成24年度から26年度まで3年連続で採択されています。
平成25年度には、よく工夫されたプログラムとして紹介されました。
「この「地球とあそぼう」に参加した子の中に、勉強が苦手だという子がいました。けれど、こうして実際に自分の目で見て学ぶことで、理科に興味を持つことができたとイベントの後に教えてくれました。子どもたちには、本で読んだりするだけではなく、まず自分で触れてみよう、自分の目で見てみよう、ということを伝えたいですね。」
ものつくり教育研究支援センターでは、すずかけ台キャンパスにて、「夏休み親子工作教室」を開催しています。主に小学生の子どもたちを対象に、保護者と一緒にオリジナルの木工作品を作り上げる工作体験を行います。
また、大岡山キャンパスでも、毎年10月に開催される学園祭「工大祭」において、ものつくり体験教室を開催しています。
山田 明 センター長
普段は学生たちにものつくりの場を提供している「ものつくり教育研究支援センター」。このセンターをまとめているセンター長は、大学院理工学研究科電子物理工学専攻(取材当時)の山田 明 教授です。
「ものつくり教育研究支援センターは、学生・教職員が研究やサークル活動などのため、レーザー加工機や旋盤などの“ものつくり”の機器を利用できる施設です。子どもたちにとっても、使ったことのない道具を実際に使ってみるいい機会になるのではと思い、夏休みや工大祭に合わせて工作教室を開催しています。」
すずかけ台キャンパスの夏休み親子工作教室では、小学生の子どもたちが保護者と一緒にウェルカムボードやティーテーブル、タオル掛けなどの木工作品を作ります。毎年、作る題材は違いますが、作品に自分の絵をつけたり、自分の好きな形で作ったりと、オリジナルの作品を作り上げるという点は同じです。
オリジナル作品を作ります
親子で共同作業
「図工が得意な子も苦手な子も、みんな熱中して工作に取り組んでいますね。中には親御さんの方が工作に夢中になってしまうこともあります。」
工夫点を発表しています
「最後に、それぞれ作品を作るときに工夫した点を発表してもらいます。自分の作品を作って終わりではなく、他の参加者の作品も見て、皆がどんなところを工夫したのか聞くところまでが、ここでの学習です。」
家では見たこともない、初めて触る道具を使いこなすのは子どもたちにとって簡単なことではありません。教員や大学生の指導を受けながら、親子一緒に一生懸命工夫して作り上げた作品は、子どもたちの宝物となったようです。
工作教室で使う様々な道具
完成したティーテーブル
大岡山キャンパスで行われる工大祭のものつくり体験教室も子どもたちに人気です。
自動でこまを回すことができる「パワーこま」や、「万華鏡入り珠手箱」など、ユニークな作品を作っています。
パワーこま
万華鏡を作る参加者
「子どものころに手を動かして何かを作った体験は、意外なところで役に立ったりします。ですが、残念ながら、実際にのこぎりやカッターなどを使って工作する機会はどんどん減っています。ぜひ、子どもたちには、機会を見つけて実際に自分でものをつくる楽しさを味わってほしいと思いますね。」
東工大では、「地球とあそぼう」や「夏休み親子工作教室」に限らず、様々なイベントを開催しています。ぜひ、機会を見つけて東工大のイベントに足を運んでみてください。
きっとそこには、初めての感動と、新しい発見が待っています。
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2014年7月掲載