AEARU(東アジア研究型大学協会)AEARU Student Summer Camp 2018 中国科学技術大学 2018年8月12日~8月19日
留学時の学年: |
学士課程2年 |
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東工大での所属: |
理学院,工学院,物質理工学院,情報理工学院,生命理工学院,環境・社会理工学院 |
留学先国: |
中華人民共和国 |
留学先大学: |
中国科学技術大学 |
留学期間: |
2018年8月12日~8月19日 |
プログラム名: |
プログラムについて
AEARU Summer Camp とは、1996 年に東アジアの大学間のパートナーシップ強化の為に設立された AEARU が主催する大学生向けのプログラムです。今年はInnovation in Science and Technology: Engine for Development というテーマのもと、講義や研究室訪問や文化ツアーを含む様々なプログラムが開かれました。
中国、韓国、日本、台湾、香港から合計 18 の大学がこの事業に参加しており、今年は 4 つの地域から 7 大学 15 人の学生が参加しました。
スケジュール
各日の様子について
1 日目
まず、各参加者が自己紹介と自分の大学についてプレゼンテーションをしました。その後、USTC の4 人の学生(彼/彼女らもキャンプの参加者として全行程についてくれました)の案内のもと、キャンパスツアーを行いました。
午後は、USTC の歴史博物館とAI について研究している研究室を訪れました。一日の終わりにはUSTC の教授たちとともにディナー、その後カラオケにも行き、親睦を深めました。この日一日で同じアジア各国から参加している学生との距離が一気に縮まりました。
(Brain Science 写真)
2 日目
2 日目はイノベーションに関する講義で始まりました。興味深かった点は、以下の点です。
- 現在イノベーションの拠点は世界で3 箇所ある(北米, 欧州, 東アジア)
- 漢字圏とアルファベット圏では人々の物事の捉え方が違う
- この数百年東洋は科学技術では西洋に先を越されていたが、これからのテクノ ロジー(量子コンピュータなど)は漢字文化圏の人々のマインドセットで捉えた方 が捉えやすい、よってアジアがまたリードするだろう
西洋(アルファベット=論理, 決定論的)と東洋(漢字=イメージ, 確率論的)の哲学の違いをニュートン(古典物理)とアインシュタイン(現代物理)の違いと似ていると指摘した点は特に興味深かったです。
午後には量子テレポーテーションを研究している研究室を訪問しました。この分野において世界的に有名な拠点のようです。非常に難解でしたが、少なくとも中国の研究力を垣間見るには十分でした。その後はアーチェリー体験、中国語体験をし、中国の文化に徐々に馴染んできた一日となりました。
▲皆でアーチェリーをする
3日目
この日の午前中は最先端テクノロジーを扱っているビジネスについて学びました。Institute of Advanced Technology はUSTCの施設の一つで、USTCが関与している研究、スタートアップの活動を知ることができました。他にもUSTCの卒業生が起こしたスタートアップの一つであるiFLYTEKにも訪れましたが、その人工知能による言語解析の技術に感嘆です。
午後は、伝統的な茶文化を体験し、体内の気の流れを整えました。
▲人工知能による言語解析を研究する企業iFLYTEK
4日目
この日の午前中は2つの講義を受講しました。とりわけ、1つ目の異なる社会で人々の性格、行動、価値観などがどう異なるかという講義は大変興味深く、参加した私たちも楽しみながら、中国と日本の共通点、相違点などを話し合いました。例えば、「日本は欧米と比べて集団主義とよく言われるが、他のアジアの国の人から見るとはるかに個人主義な国だ」など。
合肥最後のプログラムとなったこの日の午後は、この安徽省の博物館に訪れ、この地域の歴史について学びました。
▲中国,香港,日本,韓国人の考え方の違い
5日目, 6日目
この2日間は合肥から300km離れた黄山に行き、主に地域の観光をしました。5日目に訪れた宏村は宋の時代から続く非常に歴史の豊かな村で、その伝統的な雰囲気の中、楽しくウォーキングしました。6日目には黄山に登り、その壮大な眺めに圧倒されました。
▲宏村にて
▲黄山の壮大な眺め
学んだこと・所感
大きく感じたことは2つあります。
まず、中国の勢いは想像以上に莫大なものでした。私たちは実際に中国科学技術大学や現地の企業を訪問し、量子テレポーテーションや人工知能を対象に研究している施設を訪れましたが、中国のパワーをその身にひしひしと感じました。中国は経済力や人口といった単純な数値だけでなく、科学、技術、文化、伝統…といったあらゆる側面において、総合的にナンバー1の国になると私は感じます。
一方で、今回の訪問を通して、中国に大きな親近感を抱くようになりました。中国は日本と同じ東アジアに位置し、日本人と中国人はほぼ同じ文字を用い、似たような社会構造・文化を有しています。近代は戦争を含む多くの複雑な出来事があり、それが多少なりとも両国の協力・信頼関係を築くのを阻んでいますが、今後両国がパートナーとしていい関係を築くことでより良い社会が実現することを私は願っています。
留学先(参加プログラム/受入れ機関)の概略
中国科学技術大学は合肥に位置する大学で、中国の中でも特に自然科学研究に力を入れている研究機関です。
留学前の準備
夏に短期で行ける場所がないかと留学のてびきを探していたら本プログラムを見つけました。これといった準備は必要な手続きを踏んだくらいで特にしませんでした。
留学中の活動及び感想
(プログラムの内容、新たな気づき、、取り組んだことなどを詳しく書いてください。)
中国に行ったのはこの夏が初めてでしたが、それまで持っていたイメージがガラリと変わりました。一言で表すと、「より親近感を感じるようになった」ということに尽きるかと思います。中国は日本と同じ東アジアに位置し、同じ文字を使い、また儒教の影響か極めて似た社会構造を共有しています。私の中で「近いけど遠く感じていた」中国が、「身近な国」になりました。
留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード
他国の学生等との交流、海外における勉学・研究等の学校生活や日常生活を経験して、自身の成長を実感したことと思います。留学前に立てていた目標に対する達成度や苦労話など、何でも結構ですので、自身の成長を実感した中で一番記憶に残っているエピソードを記入して下さい。
今回の留学は1週間という短期のものであり、怒涛のように過ぎ去ってしまったので、自分がどのように成長したのか私の中でも整理ができていません。このような短期間の留学は、「その期間中にどれだけ成長するか」、よりも、「帰ってきてからどれだけ新しい自分に変われるか」が大事だと思うので、のちに振り返って「あの時中国に行って自分がこのようにあのように変わった」と言えるように努力を続けます。
留学費用
渡航費、プログラム参加費、生活費、住居費、保険料、奨学金の有無など。
奨学金は5万円支給されました。本プログラムにかかった費用は主に、航空券が85000円(東京-上海)、新幹線代(上海-合肥)が往復7000円程度、プログラム参加費が150USドル、保険料(数千円程度)、その他(お土産代など)でした。食事代や宿泊代などの生活費は主催者側が負担してくれます。今回私たちは航空券を6月末に買ったのですが、より早く買えばより安くなると思います。
留学先での住居
住居(寮、ホームステイ等)、申し込み方法、ルームメイト、その他。
住居は大学内にあるゲスト用のホテルに泊まりました。一緒にプログラムに参加した東工大生と同じ部屋でした。
留学先での語学状況
留学期間中は主に英語を使用しました。私はTOEIC, IELTS共に高得点を取っていたのでコミュニケーションに不具合はありませんでしたが、中国語が少し話せたらより実りある留学になったのかなと思います。
留学経験を今後、どのように活かしたいか
前述のように「中国をより身近に感じるようになった」というのが私の中の一番大きな変化です。将来私がどのような道を歩むのか不透明ですが、再び中国の地に縁があることを願っています。
留学先で困ったことがあったか またどのように対処したか
特にありませんでした。
強いて言えば、一緒に参加した東工大生が中国語を話せたので新幹線に乗るのに困りませんでしたが、中国語が話せないと新幹線に自分で乗るのはやや大変かと思います。
留学を希望する後輩へアドバイス
東工大にはこのような素晴らしいプログラムがたくさん整っているので、この環境を利用して、自分の羽を自分の広げたいままに広げてください。応援しています。