協定校シーズンプログラム (カリフォルニア大学バークレー校) 2024年6月17日~8月9日
留学時の学年: |
B3 |
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東工大での所属: |
情報理工学院情報工学系 |
留学先国: |
アメリカ合衆国 |
留学先大学: |
カリフォルニア大学バークレー校 |
留学期間: |
2024年6月17日~8月9日 |
プログラム名: |
プログラムの概要
カリフォルニア⼤学バークレー校のサマーセッションの中から授業を選択して現地の学⽣と共に受講するというものである。主にセッションごとに異なる期間が設けられており、短いもので3週間、最⻑で12 週間である。私は8 週間( 2024年6 ⽉17 ⽇から2024 年8 ⽉9 ⽇) のセッションC の授業の中からCS188 (Introduction to Artificial Intelligence) と STAT155 (Game Theory) を受講した。
私の選択した授業の基本形式は東⼯⼤のものと似ており、講義、宿題、テストで成績評価が決まる。それぞれCS188 は各90 分週4 ⽇(4 単位), STAT155 は各60 分週3 ⽇(3 単位)である。
⽣徒の割合は授業により様々であるが、私の受講した授業は体感で正規学⽣が半分程度である。留学⽣については中国からの⽣徒の割合が多く、その次に多いのが韓国のように感じた。⽇本⼈はほとんどいなく、⾃分を含めてCS188 は2⼈,STAT155 は1 ⼈も⾒かけることが出来なかった。ただし、授業内で他の受講⽣と交流する機会はなかったので正確な割合は不明で体感にすぎないことに注意してほしい。
滞在先は最初の2 週間はホームステイとしてAirbnb を利⽤し、残りの6 週間はBerkeley Student Cooperative の寮に滞在した。どちらの宿泊先にも⽇本⼈はいなかった。そのため、基本的には英語漬けの⽣活であったように感じる。
日程
CS188は中間と期末テストが1回ずつ、STAT155は中間テストが2回、期末テストが1回あった。
CS188は講義の他にdiscussionという時間がありTAが問題演習を通じて講義の復習をしてくれる。Discussion は基本的には毎講義の前と後の時間に1 ⽇2 回各1 時間設けられていて、1週間に合計で8回あり任意で参加できる。
1⽇あたりの時間割は図のようであった。
平⽇は⽉曜から⽊曜までは授業がありその前後に宿題や復習、試験準備をこなしていた。その後、⼣⾷からは常に寮の友⼈と⾏動していた。これらの時間は英語⼒を向上するのに⼤変役⽴ったように感じる。就寝前には毎⽇のように寮の仲間たちと映画やオリンピックを⾒たり、ビリヤードやバスケをしたりしていた。⾦⼟⽇はテスト前を除いて旅⾏やイベントに参加していた。
プログラムに参加した⽬的、きっかけ
私がこのプログラムに参加した⽬的は、将来的に仕事や研究として利⽤出来る語学⼒を⾝につけることである。
留学前は、東⼯⼤で英語系の選択授業を概ね全ての学期で受講していたこともあり簡単な⽂章を話すことに対してはある程度⾃信があった。しかし、学術的な内容を英語で理解したり説明したりする事は難しく感じていた。
また、チームとして働く際に異なる⽂化や背景を持つ⼈との交流経験は重要であるに感じていた。そのため情報をただ伝える以上のコミュニケーション能⼒を⾝につけることも必要だった。
これらのことを実現するために、「コンピュータサイエンスの講義を受講することが出来る」「様々な国から留学⽣が集まる」プログラムを探していたところ本プログラムが有意義に感じた。
加えて、バークレー校はコンピューターサイエンスで権威のある⼤学であることもあり、かなり充実した教材で学習出来ること、巨⼤テック企業が集まるシリコンバレー近郊に位置していることも魅⼒の1つであった。
活動の内容
授業の構成的には東⼯⼤とほとんど同様で、講義で理論を紹介し、宿題や試験を通した問題演習を通して理解を深めるといった⽅式である。
私が感じた最⼤の違いは「宿題や試験の内容が実世界の問題により近い」ことであった。
宿題については、CS188は理論の問題とPythonでのアルゴリズム実装の両⽅が毎週出題される。前者は基礎的なものから、かなり深く理解していなければ答えられない問題まで幅広く出題されていた。分量は概ね3時間程度のものである。後者のPythonについても授業で扱ったアルゴリズムをコンピュータで実現するというもので5~7 時間程度の分量であった。
授業風景
STAT155では⼤問5個の発展的な問題が毎週出題され、3時間程度の分量である。
どの課題も実際の問題を題材としており、机上の空論として終わらないような⼯夫がされていた。
例えば、私が2年次の2Qに受講した東⼯⼤の「⼈⼯知能基礎」で⽐較すると、「⼈⼯知能基礎」における「探索」の問題(ミニマックス法など)は仕組みの理解に重点が置かれていた。そのため、「数学的な問題としてどのように探索問題を解くか」といったことについては⼗分に学ぶことができた。⼀⽅でCS188 ではこれに加えて「実際の問題をどのように数学的な問題に落とし込むか」と⾔ったことまで考えた。ある課題では「パックマン」(敵に⾒つからないように迷路の中にある⾷料を集めるゲーム)を題材にまずどのような状態変数を⽤意するのか、そしてA*探索のコスト関数は何を⽤いると良いのかと⾔ったことについて細かく⼩問が設定されていて、最終的にパックマンのゲームを⾃動的に攻略するコードが完成させることが出来た。
他にもOffice Hour の利⽤のしやすさ(平⽇は常に質問⽤のzoom が開かれている)など課題が難しい故のサポートも⽋かさずあることも印象的であった。
サマーセッションの講義は別の通常学期にも開講されていることがあり、例えばCS188 は全ての学期で開講されている。しかし、期間は秋学期等に⽐べると半分なので授業スピードはかなり早かった。
また、授業の宿題を同じクラスの友⼈と取り組んだことも貴重な経験だった。メンバーは私の他は全員正規学⽣であったので、英語を使って議論をする事は留学の⽬的を実現する上で⼤変役に⽴った。
課外活動についてサマーセッション主催のイベントは多くはなかった。その内、私はキャンパスを探索する「Campus Scavenger Hunt」に参加したが他にはサンフランシスコの探索があった。
個⼈的には寮に住んだことがかなり良かったように思う。寮では定期的にパーティが開催されていて、⾷事をしながらゲームや映画を楽しめた。加えて、寮で出来た友⼈と休⽇にロサンゼルス、ラスベガス、サンノゼに旅⾏へ⾏ったことや、プログラム終了後にニューヨークを⼀緒に旅をすることが出来た。これらの英語で旅⾏をする経験は語学⼒向上や異なる⽂化を理解することに繋がった。
その他キャンパス内の広場では様々なサークルがイベントを開催しており声をかければ気軽に参加出来る。
本プログラムに参加することで気づいた成⻑点と課題
今回のプログラムによって専⾨分野の基礎はかなり深まったように感じる。CS188については東⼯⼤の講義ですでに学んだことも多く含まれていたが、実世界の問題と絡めて考えることによって⾃分の学んでいることがどのように応⽤出来るかという視点を持って学習することが出来た。また、これから先の学習でもそのような視点を持って学習していきたい。
英語の語学⼒については発⾳⾯で成⻑を実感した。プログラム参加当初は⾃分が思っていた以上に⾃分の英語を聞き直されることが多く苦労したが、試⾏錯誤を経て「r」と「l」,「th」と「s」,⽂全体の強弱のバランスといった⾃分の弱点を学び改善できたように感じる。⼀⽅で会話をする事は出来ても、物事を説明するという点では英語の語彙⼒が不⾜しているという課題も⾒つかった。短い⽂を組み⽴てることは出来ても複数の⽂になると⽂⾃体の構造と語彙が次第に簡素になってしまう。これから先は物事を英語で説明するということを練習していきたい。
費用
今回使った費⽤は以下のようであった。(1ドル= 150~160円)
ビザ諸費⽤8万円
家賃 Airbnb 15万(16泊)、⼤学寮 20万(6週間)
授業料 82万
⾶⾏機 12万
⽣活費 30万程度
奨学⾦ -16万
計 約150万円
その他
⽴地について
バークレーはサンフランシスコから電⾞で約1時間程度の場所に位置している。地中海性気候のため、夏の気候は⼤変過ごしやすく20度前後で基本的には昼間は薄⼿の⻑袖で⽣活することが出来る。また、乾燥しており8週間の間に⼀度も⾬が降らなかった。近郊の街としてはサンフランシスコの他にサンノゼ(⾞で1時間程度),オークランド(電⾞で1時間程度)などがある。
治安について
バークレーはキャンパスの北側(Albany, North Berkeley)は南側に⽐べると治安は良好で、南側のOaklandに近づくほど悪化傾向があるように感じた。
近年サンフランシスコの治安が問題視されているが、ネットニュースなどで⾔われているほど治安は悪く無いように感じた。バークレー含め留学期間中は危険な経験なく利⽤することが出来た。しかし、ホームレスやドラッグ等は⾝の回りにあるので、夜中で歩かないなどの⽤⼼は必要だと感じた。
物価について
⽇本と⽐べると物価は2~3倍程度である。外⾷をすると基本的には20ドル(3000円弱)程度はしてしまう。交通費についてはサマーセッションの期間中はバークレー内のバスを無料で利⽤できる機能が付与されたClipper Cardが配布されるので移動はしやすい。UberやLyftといったタクシーも複数⼈で使えばかなり安く使うことが出来る。
寮について
後半に宿泊した寮は古いアパートメントを安価で借りることが出来る代わりに⽫洗いや掃除などのワークシフトをする必要がある。寮は正規学⽣とサマーセッションの留学⽣のどちらも宿泊しており、正規学⽣は⼤半がアメリカ出⾝、留学⽣は中国出⾝が多く、⽇本⼈はいなかった。⾷事のプランは寮によるが私の宿泊した場所には無かった。
サマーセッションの期間中は前半と後半それぞれ6 週間の2 つの期間に分けられて、申し込みは3 ⽉の頭から始まる。申し込んだ順に希望が割り当てられるので早めに申し込むと良い。また、後半(6/29~8/10)の寮はサマーセッションの直前まで分からないので不安であればメール等で確認すること。
私の宿泊した寮はかなり古く、清掃等も学⽣によるものなので⼤学内の寮に⽐べると多少の汚れはあるので注意してほしい。
部屋は当初2⼈⽤であったが、⼈数に余裕があったため同じ料⾦で1 ⼈部屋として宿泊することが出来た。
寮の中にはビリヤード台、プロジェクター、バスケットコートなどがあった。
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寮の部屋
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寮のイベント
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サンノゼ