社会連携

シャモロボコン!

子どもたちに「ものつくり」の面白さを伝える、復興支援イベント

子どもたちに「ものつくり」の面白さを伝える復興支援イベント「シャモロボコン!」をご紹介します

「シャモロボコン!」とは

シャモ型ロボット

シャモ型ロボット

2014年8月30日~31日、福島県川俣町にて、町の恒例行事「川俣シャモまつり」のイベントの一環として「シャモロボコン!2014」が開催されました。
「シャモロボコン!」は、東工大の大学院理工学研究科 国際開発工学専攻 阿部直也研究室、東工大公認サークル「国際発開発サークル(IDA)」、東北大学、福島工業高等専門学校の学生有志から成る「シャモロボコン!実行委員会」と川俣町役場が協力し、2013年春から始まったイベントです。福島県川俣町の子どもたちとともに、川俣町の特産品である「シャモ」をモチーフにしたロボットを作り、熱いバトル(闘鶏)を繰り広げるという企画です。
参加した子どもたちが「ものつくり」の面白さを体感でき、観客と一緒に盛り上がることのできるイベントの実現を目指して企画・運営を行っています。

「シャモロボコン!」の誕生

「シャモロボコン!」の発端は、20年以上前のことになります。阿部統 東工大名誉教授(当時・社会工学科教授)と倉又孝氏(株式会社国際開発アソシエイツ前代表取締役、当時・東工大社会工学科助手)らは、「社会工学会議」という地域過疎問題を議論する研究会を定期的に開催していました。この会議に、現川俣町町長の古川道郎氏が参加していたのです。ここで生まれた東工大と川俣町の縁が巡り、20年以上の時を経て、「シャモロボコン!」の誕生へ繋がりました。 第1回「シャモロボコン!」開催のきっかけは、現在川俣町ふるさと大使も務めている倉又氏が、東日本大震災の被害を受けた川俣町のために何か貢献したいという熱い思いを、社会工学科卒業生の阿部直也 国際開発工学専攻准教授に語ったことでした。その結果、阿部研究室に所属していた石尾淳一郎さん(博士課程)ら国際開発サークルのメンバーが、東北大の学生、川俣町出身の福島高専の学生らとともに、実際に川俣町を訪ねてフィールドワークを行い、「子ども同士のコミュニケーションの場・遊び場の確保(子ども教育)」「地域の名産の認知度向上(産業振興)」につながる企画をしようと議論を重ねた結果、川俣名物の「川俣シャモ」と「ロボコン」を掛け合わせた「シャモロボコン!」というアイデアが誕生したのです。
東工大基金事業の支援のもと、シャモ型ロボットの試作とキット作りに心血を注いだ当時の東工大学生メンバーである川合康太さん、幸寺健悟さん、高橋祐貴さんらの活躍もあり、2013年3月24日、晴れて第1回目の「シャモロボコン!」の開催に漕ぎ着けました。第1回は全くの手探りの状態での開催でしたが、参加した子どもたちにはとても楽しんでもらい、保護者や役場職員の皆様からも大変好評だったとシャモロボコン!実行委員会の東工大メンバーは語っています。

第1回シャモロボコン!の様子
第1回シャモロボコン!の様子

第1回「シャモロボコン!」の成功、そして、石尾さんがインターンシップとして3ヶ月間川俣町で過ごし、町と東工大のつながりがさらに深まった結果、第2回目の「シャモロボコン!」からは、川俣町最大級の行事である「川俣シャモまつり」の企画のひとつとして開催されることとなりました。
第2回は、悪の巨大シャモロボットを、参加した子どもたちの作った正義のシャモロボットの友情パワーによって打ち負かす、というストーリー仕立てとなっており、子どもたちだけでなく、当日「川俣シャモまつり」に参加した皆様からも大好評を博しました。

第2回シャモロボコン!子どもたちと学生メンバー
第2回シャモロボコン!子どもたちと学生メンバー

「シャモロボコン!2014」

「シャモロボコン!」の開催は今回で3度目になりますが、今回から「電源地域振興・原子力事故影響回復市町村等支援事業」に位置づけられたこともあり、川俣町の活性化に貢献できるようなイベントを目指し準備を行ってきました。
そのため、参加した東工大のメンバーは、
「子どもたちにオリジナルのロボットを作ってもらう」
「見に来てくださる川俣町の皆様にも一緒になって楽しんでもらう」
ということを強く意識したと言います。
新たにチームリーダーとなった平井雄之さんのもと、子どもたちが自分でロボットを組み立てられるよう、ロボットをキット化し作成マニュアルを用意しました。さらに、子どもたちにはただ組み立てるだけではなく、思い思いにシャモ型ロボットの外装をデザインしてもらい、オリジナルのロボットを作れるようにしました。ロボットコンテストでは、見に来てくださる町の皆様にも盛り上がって頂けるように、バトルの勝敗が誰にでもはっきりと分かるよう、風船を割り合うというルールを採用するなどの工夫を重ねました。

打合せの様子:川俣町役場企画財政課の方々と川俣町にて

打合せの様子:川俣町役場企画財政課の方々と川俣町にて

東工大での準備:ロボットの開発とキット化

東工大での準備:ロボットの開発とキット化

「シャモロボコン!」1日目はシャモ型ロボットの組み立てを行います。参加した20名の子どもたちに、手作りの卵形パッケージに入ったキットが配布されました。学生メンバーの指導のもと、ロボットの作成を始めます。保護者から、「勉強もこれくらい集中してほしいです」との声が出るほど、子どもたちはロボット作りに熱中していました。

ロボットのキットが入った卵を配布

ロボットのキットが入った卵を配布

ロボット作成の様子

ロボット作成の様子

ロボットの外装は、子どもたちひとりひとりのオリジナルです。紙コップやカラーボール、色画用紙を組合せてできたシャモ型ロボットはどれも個性溢れる作品になりました。

子ども達が作成したシャモ型ロボット
子ども達が作成したシャモ型ロボット

「シャモロボコン!」2日目には、作成したシャモ型ロボット使ったロボットコンテストを実施しました。1分間、ロボットの背中につけた3つの風船を割り合って、最終的に1番多く風船が残っていたチームが優勝です。
子どもたちは、自分の作ったロボットを無線リモコンで巧みに操作し、熱戦を繰り広げました。会場には多くの観客が集まり、子どもたちへの応援や、巧みなロボットさばきに対する歓声で会場は大いににぎわいました。
また、観客の皆様に気に入ったデザインのシャモロボットに投票をしてもらい、最も得票数が多かったロボットにデザイン部門での優秀賞が授与されました。

会場に集まった子どもたちとシャモロボット

会場に集まった子どもたちとシャモロボット

ロボットコンテストの様子

ロボットコンテストの様子

イベント終了後、「川俣シャモまつり」のメインステージで、ロボットコンテスト優勝者とデザイン部門の優勝者の表彰式を行い、優勝賞品として、しゃもの丸焼きとシャモカレーが贈呈されました。
ロボットコンテストで優勝した菅野雄大くんは表彰式で、「今年6年生で、シャモロボコン!に出られるのが最後なので、優勝できてうれしいです」と、笑顔で話していました。

表彰式の様子

表彰式の様子

古川町長を囲んで参加者・運営スタッフ集合写真

古川町長を囲んで参加者・運営スタッフ集合写真

古川道郎 川俣町長のコメント

古川道郎 川俣町長

古川道郎 川俣町長

「昨年から始まった「川俣シャモロボコン!」も、今回で3回目を迎えることができました。以前から、町出身者を通じてつながりのあった東京工業大学ですが、震災による復興支援を契機に、東京工業大学の学生にインターンをしていただき、その学生を中心に、このような取り組みを発案し、継続して取り組んでいただいておりますことに感謝申し上げます。
さらに本年度からは、東京工業大学を中心に、交流のある東北大学などの学生にも参加を呼び掛け、実行委員会を組織していただき、町事業(福島原子力事故影響対策特別交付金事業)として実施できることとなり、町と東京工業大学の交流が、より広く、深くなっておりますこと、本当にうれしく思います。
当町の特産品である川俣シャモと、絹長者(※)の楽しみであった闘鶏、そして「ロボコン」の組み合わせは、学生ならではの発想だと思います。そして自らルールを考え、演出し、子どもたちと一緒に取り組む実行委員会の学生皆さんの姿こそが、子どもたちの目を輝かせ、未来のエンジニアを育てているのだと実感いたします。東京工業大学の学生たちとの交流と、前向きに育つ子どもたちは、町の財産であり、未来への宝ものです。
今後とも、川俣町復興の応援団として、東京工業大学との交流、そして学生ならではの情熱と、ひらめきで、「川俣シャモロボコン!」をよろしくお願いいたします!」

※ 江戸時代、絹織物の生産で財を成した人々のこと

参加した子どもたちの声

佐藤 空くん(5年生)

「自分で作ったシャモロボを自由に動かせることが、ビックリした。
他の人が作ったシャモロボとの戦いも楽しかった。
家に帰って、もっと改造したりして、遊んだ。来年も絶対に挑戦したい。」

石川璃空くん(4年生)、石川真羽さん(2年生)

「2年続けて参加したが、今年は何倍も楽しかった。
今年は兄妹で参加したので、家でもバトルをしている。来年も必ず参加したい。」(璃空くん)
「大学生のお兄さん・お姉さんが丁寧におしえてくれたので、作ることができた。」(真羽さん)

運営スタッフの声

山下優希(東工大1年6類)

「企画・運営の段階で大変なこともありましたが、当日子供たちが楽しくロボット作りやロボコンに取り組む姿を見ることで、元気をもらいました。また、このイベントを通じて様々な人と出会うことができ、新鮮でした」

緒方麦(東北大法学部4年)

「意欲十分にロボット製作に取り組み、白熱した闘いを繰り広げる子どもたちの顔を見て、参加してよかったと実感しました。「自分の手で作って遊ぶ」楽しさを、子どもたちと共有できて楽しかったです」

これまで関わってきたメンバー(所属は参画当時)

相田玲奈(福島工業高等専門学校)
齋藤快(福島工業高等専門学校)
高橋雄一(福島工業高等専門学校)
緒方麦(東北大学)
田中麗子(東北大学)
安藤洋子(東北大学)
冨澤奈々(東北大学)
芳井朝美(東北大学)
アミール偉(東京工業大学)
安藤恒徳(東京工業大学)
Mohamed Ateia(東京工業大学)
石尾淳一郎(東京工業大学)
大屋森太郎(東京工業大学)
風間裕之(東京工業大学)
川合康太(東京工業大学)
幸寺健悟(東京工業大学)
白土和志(東京工業大学)
高橋祐貴(東京工業大学)
中村友哉(東京工業大学)
平井雄之(東京工業大学)
深尾翔太郎(東京工業大学)
山下優希(東京工業大学)
御手洗玲子(東京工業大学職員)
阿部直也(東京工業大学教員・国際開発サークル顧問)

「シャモロボコン!」はこれからも「川俣シャモまつり」のイベントとして開催を続けていく予定です。実行委員会の学生たちは、もっと参加者に楽しんでもらえるようさらに工夫を凝らし、川俣町を一層盛り上げていくと話しています。新たに企画に参加してくれる学生も募集中とのことです。
ぜひ、川俣シャモまつりとシャモロボコン!にお越しいただき、その熱気を感じてみてください。

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2014年11月掲載

お問い合わせ先

東京工業大学 総務部 広報課

Email pr@jim.titech.ac.jp