TASTE 海外短期語学学習(フランス語)夏派遣 2025年8月18日~8月29日

TASTE 海外短期語学学習(フランス語)夏派遣 2025年8月18日~8月29日

留学時の学年:
B3
東工大での所属:
環境・社会理工学院 土木・環境工学系
留学先国:
フランス
留学先大学:
レンヌ第二大学
留学期間:
2025年8月18日~8月29日
プログラム名:

プログラムの概略

私が参加したのは、レンヌ第二大学附属語学学校CIREFEの「Summer University」である。本プログラムでは、書面および口頭での理解力・表現力の向上を目的とし、2週間で計41時間の対面によるフランス語レッスンが実施された。

留学先での授業内容

授業は、言語学、発音、文化の3つのカテゴリーに分かれていた。私はフランス語の学習経験がほとんどなかったため、最も初級者向けのA1クラスに配属された。A1クラスには、大学などで半年から1年程度フランス語を学んだ者や、ほとんど初学者の者が在籍しており、国籍もさまざまで、合計8名のクラスであった。
全体的な印象としては、大学で第二外国語として1年間フランス語を履修した程度であれば、A1クラスで授業に大きな支障はないと感じた。
授業内容として、言語学の授業では自己紹介や挨拶の表現から始まり、簡単な質問の受け答えの練習などが行われた。発音の授業では、各発音記号の発音方法やその具体例について学んだ。文化の授業では、フランス語話者の分布をはじめ、フランスの基本的な特徴や、レンヌが属するブルターニュ地方の伝統について扱われた。
言語学と文化の授業では、教員の方針によりフランス語のみで授業が進行された。そのため、学生側も英語の使用は禁止されていた。ただし、教員はジェスチャーを交えながら、全員が理解できるよう丁寧に授業を進めており、初学者にとっても無理なく学べる環境であった。

留学先での課外活動

授業以外にも、ほぼ毎日のように放課後イベントが予定されていた。参加は自由であったが、毎回多くの学生が参加していた。中でも印象に残っているのは、コンサートと美術館の訪問である。
コンサートは、公園内の野外ステージで開催され、大変な盛り上がりを見せていた。演奏された楽曲も、MCのトークもすべてフランス語であり、内容の理解は難しかったが、非常に貴重な経験となった。
また、美術館訪問では、FRAC現代美術センターを訪れた。私はもともと美術館巡りが好きで国内外問わずよく訪れているが、この美術館は展示方法が他と大きく異なっており、非常に興味深かった。

野外ステージ
野外ステージ

留学から何を学び、それを今後どのように活かしたいか

旧市街の石畳
旧市街の石畳

私が今回の留学を通じて最も学んだことは、国による文化の違いである。これまで私は海外に行った経験がほとんどなく、留学前には海外から来た友人も一切いなかった。そのため、フランスでの生活はすべてが新鮮な体験であり、多くの発見があった。
中でも特に印象的だったのは、「美的センス」と「利便性」のバランスに関する考え方の違いである。日本では利便性が非常に重視されており、日常生活において効率や快適さが最優先されていると感じる。一方で、フランスでは美的価値や伝統的な景観が重んじられており、利便性よりも見た目の美しさや雰囲気を大切にしている印象を受けた。日本の便利さに慣れていた私にとっては、少々不便に感じる場面も少なくなかった。
具体的な例として挙げられるのは、水道設備である。フランスでは水圧が全体的に弱く、手洗い場では水が真下に落ちるだけの構造になっていることが多かった。日本のように斜めに勢いよく出る蛇口に慣れている身としては、非常に使いにくく感じた。これまで日本の水道設備を特別便利だと意識したことはなかったが、フランスでの生活を通じて、日本における細やかな気遣いや工夫の素晴らしさを改めて実感した。
また、私の専攻である土木工学に関連した分野でも多くの興味深い違いを見つけることができた。まず、道路の舗装に関して、日本では主にアスファルトが使われているのに対し、フランスでは石畳の道路が多く見られた。これは特に旧市街地や観光地に顕著であり、趣深く、美しい街並みを形成していた。また、自転車道の整備状況にも大きな違いが見られた。日本ではまだ整備途上であり、歩行者と自転車が同じ道を共有する場面が多く、安全面や快適性に課題があると感じていた。一方でフランスでは、自転車道が車道と同等の幅で確保されていたり、歩道を自転車用と歩行者用に明確に区分していたりと、利用者のことをよく考えた設計がされていた。自転車の利用が生活の一部として定着していることがうかがえた。
さらに、パリで見た橋梁の数々も非常に印象深かった。鉄橋、コンクリート橋、石橋といったさまざまな構造形式の橋が存在し、それぞれが高いデザイン性を持ち、都市景観の一部として調和していた。土木工学の観点から見ても、実用性だけでなく、景観との調和や美しさを重視した設計思想に触れることができ、大きな学びとなった。
このように、留学を通じて私は単に言語を学ぶだけでなく、文化的な価値観や都市設計に対する考え方の違いを肌で感じることができた。日本では当たり前に思っていたことが、海外ではそうではないことも多く、それらに気づくことで自国への理解も深まった。今後、土木工学を学ぶ者として、こうした多様な価値観を取り入れながら、より柔軟な視点で都市やインフラを捉える姿勢を大切にしていきたいと考えている。

留学前の準備

留学情報の入手方法、航空券・ビザ取得方法、語学の勉強など。
留学に関する情報は、私が履修しているフランス語会話の授業を通じて入手した。その後、タキプラザの国際教育課を訪問し、参加申請や渡航準備など、手続きに関する詳細を丁寧に教えていただいた。
航空券については、7月の初旬に予約を試みたが、その時点で安価な便はすでにほとんど売り切れていた。したがって、航空券は可能な限り早めに手配することを強く勧める。なお、今回の留学ではビザの取得は不要であった。
語学の準備に関して述べると、私は大学2年次に第二外国語としてスペイン語を選択していたため、フランス語の学習はほとんど独学であった。およそ1年ほど自学自習で軽く勉強した後、大学の前期に開講されたフランス語会話初級の授業を履修したのみである。そうした背景でも、最も初歩的なクラスであるA1レベルの授業を受けるには、語学力の面で特に支障はなかった。
しかしながら、授業外のコミュニケーションや現地での生活においては、英語の使用が必要となる場面が多かったため、英語力をもう少し高めておけば、より円滑なやり取りができたのではないかと感じた。

留学費用

渡航費、プログラム参加費、生活費、住居費、保険料、奨学金の有無など。
渡航費:約25万円(飛行機往復)+3万円(空港からレンヌの高速鉄道)
授業料:約11万円
住居費:一泊5000円程度
保険料:10000円ほど
奨学金:11万円

留学先での住居

私の留学中の住居は、いずれもホステルを利用したものであった。まず、フランス到着初日は空港近くのホテルに宿泊した。料金は一泊約8,000円で、シャワーとトイレは共用であったが、一人部屋で比較的清潔感があり、快適に過ごすことができた。
その後、レンヌでの滞在先はホステルで、4人から最大8人で1部屋を共有する形態であった。滞在期間は14泊で、費用はおよそ7万円である。料金的には比較的手頃ではあったが、清潔感という点では十分とは言い難く、共同生活における不便さも少なからず感じた。部屋にはシャワーが1つ設置されており、トイレは各階で共有であった。また、共有キッチンもあり、簡単な自炊が可能であった。
洗濯に関しては、1回あたり6ユーロとやや高めであったため、できるだけまとめて洗濯するようにして費用を抑える工夫をした。また、ホステルの性質上、常に部屋に見知らぬ宿泊客がいる状態であったため、貴重品や荷物の管理には非常に気を遣った。特にパスポートや財布、電子機器類は常に身に付けるよう心掛けた。
留学プログラムの授業が終了した後には、パリに2泊滞在した。ここでも費用を重視し、ホステルを選んだ。こちらの施設はレンヌのホステルよりも清潔感があり、比較的快適に過ごすことができた。費用は2泊で約15,000円であった。
住居の手配に関しては、語学学校の案内やウェブサイトを参考にしつつ、自分で予約を行った。 Booking.comという日本のサイトを利用してすべての宿泊先を予約し、クレジットカードで決済した。なお、今回の滞在ではホームステイや学生寮は利用していないため、それらの情報には直接触れていない。

留学先で困ったこと

宿泊先や観光地の入場券などは、すべてオンラインで事前に予約を行った。そのため、現地で言語が通じない場面があっても、大きく困ることはなかった。予約サイトは多くが英語対応しており、支払いもクレジットカードで簡単に済ませることができた。
一方で、語学学校での友人関係においては、言語の壁を感じる場面もあった。クラスメートの多くは英語でのコミュニケーションが非常に流暢であり、雑談やグループワークも英語を中心に進められることが多かった。それに対して、私は英語に関しては主に受験勉強を通じて学んできたため、スピーキングの機会がこれまでほとんどなく、英語で自分の考えを即座に伝えることに慣れていなかった。そのため、会話のテンポについていけないこともあり、意思疎通が難しいと感じる場面があった。
この経験を通じて、英語を使った実践的なコミュニケーション能力の重要性を改めて実感した。今後は、フランス語のみならず、英語力の向上にも力を入れていきたいと考えている。

留学を希望する後輩へアドバイス

フランスに少しでも興味がある方には、ぜひこの留学プログラムに参加していただきたいと思います。私自身も、参加するかどうかを最後まで悩みましたが、思い切って参加して本当によかったと心から感じています。
フランスの町並みや観光地は、世界的に人気があるだけあって、どこも非常に魅力的でした。特に、以前から憧れていたモン・サン・ミッシェル、エッフェル塔、凱旋門、ルーブル美術館などの名所を実際に訪れることができ、大きな感動と満足感を得ることができました。
たった二週間という短い期間ではありましたが、新しい文化や価値観に触れることで、自分の視野が広がり、人生観にも大きな影響を与える貴重な経験となりました。この留学は、語学力の向上だけでなく、自分自身を見つめ直すきっかけにもなると思います。
少しでも興味がある方は、ぜひ勇気を持って一歩を踏み出してみてください。きっと、かけがえのない経験になるはずです。心から応援しています。

この体験談の留学・国際経験プログラム情報

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