TAIST-Science Tokyo Student Exchange Program in Thailand (A2TE) タイ国立科学技術開発庁 (NSTDA) 2025

留学時の学年: |
M1 |
|---|---|
所属: |
工学院システム制御系 |
留学先国: |
タイ王国 |
留学先大学: |
タイ国立科学技術開発庁(NSTDA) |
留学期間: |
2025年8月29日 ~ 2025年9月29日 |
プログラム名: |
留学先(参加プログラム/受入れ機関)の概要
参加プログラム:TAIST-Science Tokyo Student Exchange Program in Thailand (A2TE)
機関名:National Electronics and Computer Technology Center (NECTEC)
1 か月間派遣され、インターンシップとして研究活動に取り組んだ。
留学前の準備
・このプログラムを知ったのは所属研究室の教授からの紹介である。このプログラムは費用が安い割に充実した経験ができるとおすすめされた。
・科学大では画像処理(Image Processing, Computer Vision)を専攻しており、対象として医療用画像を用いて研究していた。そこで、NSTDA及び連携大学の中で関連性がありそうな研究室を何個か候補として挙げ、その中から受入れられたのがNSTDAのCTスキャン機器開発の研究室であった。そして、配属先の研究室長の方とLINEで連絡を取り、前もって読み込むべき論文を送ってもらった。そして、その論文と、関連した論文を何個か勉強した。
・英語力に関しては単語力が特に足りないと思い、単語帳で勉強した。ただ、正直じっくりしっかりと英語の勉強をしたわけではなかった。
・短期の留学だったためビザは取る必要がなかった。
・寮が無料で提供されるプログラムであったため住居を探す必要もなかった。
・大学の留学手続き、単位の申請等、マルチタスクをこなす必要がありタスク処理能力が鍛えられたと感じている。
留学中の勉学・研究や生活
配属研究室が開発するスキャン機器 企業にも導入されている
・留学先は大学ではなく国立の研究機関であり、無償のインターンシップという形だった。そのため授業はとることはなく、研究室に配属し、与えられたテーマに関して研究を行うというものだった。
・研究テーマは、歯科CT画像において、クラウンやインプラントが原因で生じてしまう金属アーティファクトの低減手法におけるセグメンテーションの段階を、実行時間を短くするように実装する、というものであった。Visual Studio、C++やCUDAコードを本格的に使うのは初めてだったが、研究室の担当の方の協力のおかげで開発を進めることができた。
・担当の方と都度進捗や方向性を確認したり、およそ週1で研究室長を含めた数名でのミーティングをしたり、色々な方のサポートもあって、最終的にはopencvを使った実装をいくつかのデータセットで実行し、時間を記録して報告することができた。
・観光に関しては、期待以上に研究室の方々(と、研究室の友人のコミュニティの方々)が色々なところに連れて行ってくださり、素晴らしい体験が出来た。巨大ショッピングモール、水上マーケット、研究室の担当の方が所有するココナッツ農園、アユタヤ遺跡、ビーチでのバナナボート体験、プール付きのエアビー、その他ランチでおいしいレストランに連れて行っていただいた。非常に皆さん優しく、温かく迎え入れて下さったため、非常に充実した濃い日々を過ごすことができた。
・そのほか、一人ではバンコクのバーでの音楽ライブと、バンコクの寺院巡り(ワットプラケオ、ワットポー、ワットアルン)に行った。
・研究室の友人のコミュニティの方々に、放課後のバレーボールやトレーニングに誘っていただいた。皆さん非常に明るく、私が年下な方なのにこちらが元気をもらった気分になった。

現地学生と訪れた水上マーケット

研究室のメンバーが所有していたココナッツ農園
留学を終えて自分自身の成長を実感したエピソード
・留学後に、笑顔が増えたと言われることがある。そして実際自分もそうだと感じる。それはタイの方々が毎日楽しそうに過ごしている環境の中で生活したためだと思う。タイで私が関わった人たちは、時間にあまり厳しくなくゆったりとした生活リズムで過ごしており、みんな仲良く、終業後は遊び、まるで高校生活のようだった。私は、お世話になったコミュニティの中では若い方だったが、もはや私が彼らから元気をもらったように感じる。また、彼らは全員とても優しくて感動し、私はそのやさしさに囲まれてタイでの生活を楽しく過ごすことができたので、日本に帰ってからはもっと優しい人間になりたいと強く思った。そういったタイの方々の人間性に触れ、性格がちょっと前向きになったと感じることができるのは成長ではないかなと思う。
・タイという日本とは環境の大きく異なる国で過ごしたので、帰国後日本の良いところもはっきりと認識できるようになった。例えば、街中のあらゆるものが美しく整備されていること、衛生面の水準が高いこと、ぼったくりがないことなどである。これらは今までメディアなどで幾度となく紹介されてきたが、実際の経験によってそれが分かったので、日本をよりグローバルな視点から捉えられるようになったと思う。

研究室のメンバー
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研究室の友人コミュニティ
留学費用
・すべて含めると、約35万円であった。内訳は、渡航費約10万円、予防接種16.5万円、旅行保険1万円、お土産等も含めた生活費7万円、SIMカード 5千円。予防接種に関しては狂犬病やA・B型肝炎など、渡航外来で勧められたものを、念のためとほぼすべて接種した。
留学先での住居
自室と自室からの景色 9階にあり眺めがとても良い
・Sirindhone Science Homeという大きなマンションのような寮を無料で利用することができた。二人部屋だったがルームメイトはおらず一人で生活していた。シャワーとトイレが部屋に備わっており、洗濯機は寮の5・6階にそれぞれ一個ずつあった。
・3階に体育館があり、そこでバレーボールに参加していた。
留学先での語学状況
・ほとんど英語を使用した。TOEIC785点を取っていてそこまで心配はしていなかったが、実際は苦労する場面も多かった。意思疎通はおおむねできたが、スムーズに単語や文が出てこないためにコミュニケーションに時間がかかることも多かった。シンプルに自分の語学力の不足を実感した。Gooogle翻訳に頼る場面も多かった。
・日本と同じく、英語が公用語でないため、タイ語訛り(子音がよく省かれる、日本訛り英語と逆の傾向)の英語を聞き取るのが難しかった。例えば、「Shrimp」は「シン」と聞こえ、「Plan」は「パン」と聞こえた。それには時間をかけて慣れていった。
・タイ語は正直あまり勉強していなかったが、挨拶は積極的にタイ語でしていた。お礼の手紙は、英語で下書きしたものをタイ語に翻訳してタイ語の文字で手書きしたが、慣れない文字に苦労した。だが受け取ってくれた時に「とてもきれいな文字で書けている」と言われ嬉しかった。
・現地で3週間ほど過ごしたころ、原因不明の下痢になった。研究室の方々に相談したところバンコクで食べたボートヌードル(タイの伝統的な麺料理)が原因の可能性が高いとのことだった。彼らによると、器を洗うときは流水ではなく、水が入った大きなボウルにくぐらせるというだけということがあるとのことで、その水が使いまわされたために不衛生なものが体に入ってしまった可能性があるとのことだった。ネットで調べた有名店を選んだつもりだったが、衛生面はネットの評判とはあまり関係がないのかもしれない。当時一人でその店に来ていたため、有識者と一緒に来ることは大事だと思った。
・下痢になって何日か経った後、施設内のクリニックに連れて行っていただいた。そこで約1万円相当分の薬(のちに海外保険を適用)を処方してもらい、その後数日間は寮で安静に過ごしていた。その間、研究室の方が食事に関してアドバイスをくれたり、さらにはコンビニや市場でおかゆやバナナを買ってきてくれたりした。非常にお世話になったので本当に感謝している。結果的に帰国時には完全に回復することができた。

ボートヌードル

療養時に食べていたおかゆ
留学経験を今後、どのように活かしたいか
・このプログラムへの参加によって、準備期間を含めて海外で生活するためのノウハウをかなり吸収できたと感じる。具体的には、とにかく感謝とあいさつを忘れないこと、キャッシュレス決済に順応すること、食事の衛生面には気をつけること、ボディランゲージを使うことなどである。今後海外へ仕事などで行く際には今回の経験が大いに役立つと考える。
・研究面では、Visual StudioやC++を使っての開発が初めてだったため、それに慣れるいい機会になった。今後職を得た後や研究に役立つと思う。
留学を希望する後輩へアドバイス
・留学の感想として、現地で起こるすべてが自分の人生にとってプラスに働いた、というのが最もこの経験をよく表した感想だと思う。研究室の方々は優しく温かく迎え入れてくださり、週末には何にも代えられない貴重な経験ができた。また、タイの文化は日本と違い、どれも刺激的だった。間違いなく人生で一番楽しく学びのあった1か月間であったので、もし行きたいか迷っているのであれば強く勧めたい。
・留学に参加する時期に関して、私は修士1年の9月という就活真っ只中の時期に参加したが、春休みなどの方が就活との両立がしやすいと思う。当初学部4年の3月に参加出来たらいいなと考えていたが気づいたら募集が終わっていたため、思い立ったら即行動して準備を進めるといいと思う。
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