協定校シーズンプログラム (ベルリン工科大学) 2023年8月14日~8月25日

 協定校シーズンプログラム (ベルリン工科大学) 2023年8月14日~8月25日

留学時の学年:
B3
東工大での所属:
生命理工学院生命理工学系
留学先国:
ドイツ
留学先大学:
ベルリン工科大学
留学期間:
2023年8月14日~8月25日
プログラム名:

プログラム概要

ベルリン工科大学でのSummer Universityのプログラムに参加した。Term1から3まであり、東工大がちょうど夏休みの期間である8月14日から8月25日の2週間、Term3のプログラムに参加した。Term3では6つのコースがあり、そのうち私はIntroduction to Biomechanicsというコースを選んだ。私は生命理工学系に所属しているため、自分の専門分野である生命に関連した授業で、これでバイオメカニクスという分野をあまり学んだことがなかったためこのコースを選択した。Trem3に開講されていているコースの中でIntroduction to Biomechanicsは最少人数の8人で、自分の他にアメリカ、ポルトガル、スペイン、フランス、イタリア、モロッコ、中国からきた生徒が参加していた。このコースでは、骨や靭帯、筋肉など人体のそれぞれの部分に関する講義をする日と、それに関連した力学の問題を解く演習をする日が交互にあった。また、講義と演習の最終日には授業をしていた教授の研究室に見学する機会があり、実際に授業で学んだ内容と演習で扱った問題に関する実験を行った。最終日には講義と演習に関するテストが1時間ずつあった。この授業の他にもベルリン工科大学がCulture Programを用意していて、ベルリン市内の有名な博物館や近くにあるポツダムへのツアー、オーケストラを見に行く機会などがあった。

日程

2週間の日程は以下の通りであった。
灰色の部分が講義で、水色の部分が演習であった。お昼の時間は授業のある建物の中にMensaがあったため、クラスメイトなどと一緒にお昼を食べた。授業は毎日ほぼ3時頃には終わっていたので、Culture Programのある日はCulture Programに参加し、ない日はホテルに戻り、ゆっくりしたり、授業の復習や課題をしたり、ルームメイトやクラスメイト、他のコースの友達と夜ご飯を食べに行ったりしていた。また、8月19日までにレポート形式の課題1の提出があり、その前は夜遅くまでホテルのフロントで課題をしていた。8月23日には課題2の提出があったが、クラスの生徒の多くが課題の負担が重すぎると教授に言ったため課題2の提出が無くなった。

1週目時間割
1週目時間割

2週目時間割
2週目時間割

自身がプログラムに参加する目的

私がこの協定校シーズンプログラムに参加した目的としては、まず実際に海外大学での授業履修をしたいからである。私は派遣交換留学をすることを考えていて、派遣交換留学に行く前に実際に海外の大学での授業を体験してみたいと思った。その中でも私は生命理工学院に所属しているため、自分の専門分野に関連のありそうなIntroduction to Biomechanicsを選択し、専門分野の勉強に繋がることを学びたいと思った。次に、派遣交換留学の派遣先の候補としてドイツの大学も考えていることから、ドイツの大学やドイツでの生活を経験したいからである。実際に異文化での生活を経験して、今後の進路について考えたいと思った。また、長期留学に向けた海外経験を積み、様々な人と英語でコミュニケーションをすることで英語力を向上させたいと思ったからである。日本に生活をしていると英語を話したり使ったりする機会がほぼないため、英語を使わなければならない環境にいることで英語力を向上させたいと思った。このような理由から大学三年生の夏休みの期間を利用してこのプログラムに参加することにした。

活動の内容

・講義
 講義は1コマごとに骨、靭帯、筋肉、膝、背骨、組織工学、細胞などの1つのテーマについての講義だった。骨、靭帯、筋肉などの人体の部分についての講義についてはそれぞれの組織の組成や動きなどについての内容が多かった。これまで学んだことのない内容が多く専門用語で説明されていたため、講義の内容を理解するのが大変だった。翻訳や自分で講義に関連する内容を調べることで理解をしていった。組織工学や細胞についての講義についてはこれまで東工大で学んだ内容が重複していたため講義の内容を理解しやすかった。ある程度知っている分野の内容であったため応用の話になっても理解でき興味を持てた。

・演習
 演習は講義の内容に関連した力学の問題を解いていった。前半は応力ひずみ曲線やせん断応力、ねじりモーメントに関する演習が多かった。この分野はこれまで学んだことがなかったため、解くのにとても苦労した。日本語のサイトで検索して理解したり、教授やクラスメイトに質問したりして解けるようにしていった。後半は力のつり合いやモーメントに関する演習が多かった。この分野は大学受験で勉強したことがあったため解きやすかった。演習の授業は教授からその日に解く問題が渡され、1問につき10分くらい解く時間があり、その後時間があれば指名して黒板に解答を書き、解き方を説明する形式であり、1コマにつき4,5問を扱った。自分が指名された時は解き方を説明する際に数式を英語で表現するのが難しかった。また、演習問題の解説の際に分からないところがあったらすぐにその場で質問していたのが印象的であった。東工大の授業では教授がずっと話しているような講義が多い印象だが、ベルリン工科での授業は分からないところを質問して解説することで授業が成り立っているように感じた。
・研究室見学
 最終日の前日に教授の研究室に見学をする機会があった。東工大での研究室所属に向けて生命理工学系の研究室にはいくつか見学に行ったことがあったが、海外のBiomechanicsの研究室に行く機会は初めてだったためとても新鮮だった。ここの研究室では実際に様々な骨や人体のサンプルを用いて性質を調べることで代替となる人工医療機器を作ったり、リハビリに役立てるものを作ったりする研究であった。ここでは実際に講義と演習で扱った内容に関する実験を行った。まず、大腿骨の骨のサンプルを用いて骨をゆっくりと回転させた。回転させ続けると骨がある時点で折れるため、その点での回転角と力のかかり方を計測した。大腿骨の全長や大腿骨の内径、外径を測り、これらのデータを基に最大ねじりモーメントをクラスメイトと協力して計算した。実験によって得られた最大ねじりモーメント結果と実際の大腿骨のサンプルの最大ねじりモーメントの値の語差は10%未満であり、よくできている方であった。この誤差が生じた原因としては、大腿骨のサンプルを回転させた際に骨が垂直であるか確かめていなかったことや大腿骨の全長を計測する際に折れた後に計測したため正しい長さではなかったなどと考えた。この研究室では他にも骨盤を用いて計測や、細胞を用いた実験などもありとても興味深かった。また、本物の人の大腿骨が保存されていて触らせてもらった。
・Culture Program
このSummer Universityのプログラムではベルリン工科大学がCulture Programを用意していて、ほぼすべてのCulture Programに参加した。初日のオリエンテーションではすべてのコースの人が集まり、このプログラム全体の説明、自己紹介などがあった。その後軽食が用意されていて、自由にいろんな人と話した。その後キャンパスツアーがあり、ベルリン工科大学のスタッフの人とキャンパス内を回った。大通りを挟んで多くの建物がベルリン工科大学の建物で東工大よりも大きい印象であった。
Culture Programではベルリンテレビ塔の近くのアレクサンダー広場やベルリン大聖堂の辺りなどベルリンの市内の散策や、Humboldt-Forumに行き、ベルリンの歴史に関する展示の見学、Judisches Museumの見学、Pergamon Museumの見学があった。目的地まではみんなで行き、その後自由行動で、他のコースの人とも合同であったため、多くの人と仲良くなる機会であった。ベルリン市内は博物館島という博物館が集まっているところがあり、様々な展示を見学することができた。また、ベルリンは過去に第二次世界大戦でナチスによるユダヤ人の殺害や東ドイツや西ドイツに分けられていた歴史などがあったため、これに関する展示やベルリンの壁があり、歴史について深く考えさせられる街であった。また、希望者は事前申込制でオーケストラに見に行く機会があった。私が聞きに行った回はエストニアの音楽のオーケストラであった。今まで本格的なオーケストラを聞きに行った機会がなかったため、とても良い経験となった。さらに、1週目の土曜日にはCulture Programでベルリンから電車で30分ほどのところにあるポツダムへ行く機会があった。ポツダムでは地元のガイドさんと共にサンスーシー宮殿をはじめとする宮殿や美術館などを見て回った。街の雰囲気などベルリンとまた違っていてとても綺麗な街であった。
最終日には修了式が行われた。それぞれのコースでどのようなことを学んでいたかの発表や修了書の授与、記念撮影が行われた。クラスメイトや仲良くしていた人たちとのお別れはとても悲しくかった。これまで2週間の短い期間であったがこれほど仲良くなれるとは思っておらず、とても充実した日々を過ごしていたことを実感した。

  • 講義の様子

    講義の様子

  • 折れた後の大腿骨

    折れた後の大腿骨

  • 最大ねじりモーメントの計算の課程

    最大ねじりモーメントの計算の課程

現地での生活

宿泊場所はベルリン工科大学から徒歩15分ほどのところにあるAletto Hotelに滞在していた。ベルリン中央駅からは電車で3駅ほどでアクセスのよいところであった。部屋は2人1部屋であり、私のルームメイトは同じコースを選択していたフランス人の人であった。一緒に夕食を食べに行ったり、お土産屋さんに行ったり、ベルリン市内を観光したりした。部屋でも英語で会話をしていたため、英語漬けの日々であった。
 夕食はルームメイトやクラスメイト、Culture Programで仲良くなった人と食べに行くことが多かった。ベルリン市内は国際色豊かでドイツ料理を含め、様々な国の料理を食べる機会があった。中華料理やインドのカレー、韓国料理を食べに行ったときは久々に米を食べることができとても嬉しかった。他にもスペイン料理やイタリア料理、ケバブなども食べた。
また、1週目の日曜日には友達とそのルームメイトと共にハンブルクに観光に行った。ベルリンからはICEで2時間ほどの距離にある都市で、ミニチュアワンダーランドなどが有名である。ヨーロッパの移動用にユーレイルパスを購入していたため、ユーレイルパスを利用した。日曜日であることもあり、お店がほぼ開いていなかったことに驚いた。ハンブルクの街並みがとても綺麗であり、とても充実をした一日を過ごせた。

  • Humboldt-Forumとベルリンテレビ塔

    Humboldt-Forumとベルリンテレビ塔

  • オーケストラの様子

    オーケストラの様子

  • ポツダムの街並み

    ポツダムの街並み

本プログラムによる今後の影響

今回のプログラムを通して、初めは英語で専門的な授業を受けてもあまり理解できないのではと不安になっていた。実際、講義では専門用語を専門的な言葉で説明されて理解できないことが何度かあったが、その分復習をする時間が多く、自分から分からないところを調べたり質問したりすることで、普段よりも理解することができた。このように自ら分からないことを調べ、学んでいく精神はとても重要であると実感した。
また、英語に関しては、日常生活をするにあったって困らない程度の英語はできた。初めの数日間は英語を話す時になんて言えばよいか少し考えてから言っていたが、いろんな人と話すにつれて段々と思ったことをそのまま言えるようになり英語力の成長を感じられた。しかし、ヨーロッパから来た人たちは少し移動すると公用語が違うことがあるため英語を使う機会が多く、会話をしているときの話すスピードがとても速かった。一緒に話していると会話の内容は聞き取れはするけど、自分から話せない時が何度かあり悔しい思いをした。日本で生活をしていると英語を使う機会が減っているため、今後も日常的に英語の勉強を継続していきたいと思った。そして次に留学に行く時には速い会話のスピードでも自分から会話に入れるようにしたいと思った。さらに、授業を受けていて自分の専門に関する分野は英語でもある程度知っておく必要があると感じた。授業や研究をする際に分からない専門単語を毎回調べているととても時間がかかってしまうため、自分の専門に関する論文を英語で読むなどして専門的な英単語を今からでも少しずつ勉強していたいと思った。
Culture Programでの博物館や展示の見学やオーケストラへの参加などを通してベルリンの歴史や文化について知る機会が多くあった。特にベルリンの歴史的背景やユダヤ人に関する歴史に対して理解を深めるきっかけとなった。また、この期間中に他の国の人たちとそれぞれの国について話す機会が多くあった。日本だけにいると知らなかったことや文化の違いを感じる経験があり、まだまだ知らないことが世界にあるのだと実感した。今後、グローバル化が進むにつれて多くの国の人と関わるようになるため、このように様々な文化や価値観を知るとこが大切であると感じた。
私は派遣交換留学をしたいと考えていて、初めは他の言語を学ぶのが面倒であるため、英語圏の国に行きたいと考えていた。しかし、今回のプログラムでドイツに来て、街中では英語を使えれば困ることがなく、ドイツ語でしか表記されていない時でも翻訳機を使えば理解することができたため安心した。街中はドイツ語で表記されているためドイツ語についても勉強したいと思った。英語圏の以外の国に派遣交換留学で行く際はその国の公用語を日常会話程度勉強してから行きたいと実感した。また、第二外国語でスペイン語を学んでいて自己紹介はできたため、スペインから来た人にスペイン語で自己紹介したら通じたことや、元からある程度中国語ができていたため、中国から来た人と中国語で時々話していたことなどがあった。様々な言語を知っていると会話の幅も広がるため、英語以外にも他の言語もさらに積極的に勉強したと思った。

その他所感

私はこれまで何度か海外に行く機会があったが、今回の留学は初めてひとりで海外に行くため緊張と不安がとても大きかった。また、ヨーロッパに行くことも初めてで、日本に比べてスリが多いなど治安が悪いと聞いていて心配していた。しかし特に怖い目にも合わず何事もなく留学を終えることができ、とても充実した2週間であった。また、一人で知らない土地に行き生活することができることを実感し自信がついた。海外での生活は毎日刺激的で新たな発見がありとても充実していたため、派遣交換留学を含めさらに長期間海外で生活したいと思った。
今回のベルリン工科大学での協定校シーズンプログラムを通して、自分の将来について視野が広がり、とても有意義な経験ができ、参加して良かったと感じている。今後も勉学も含めいろいろなことに挑戦し、様々な経験をしていきたい。

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