国際交流
国際交流
第一期:「日中韓先進科学技術大学教育環」(TKT CAMPUS Asia Consortium)
2011年度~2015年度実施
第二期:「日中韓先進科学技術大学教育環高度化プログラム」(Advanced TKT CAMPUS Asia Consortium)
2016年度~2020年度実施
キャンパス・アジアプログラムは、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」として運営されている交換留学プログラムです。
東京工業大学(日本)、韓国科学技術院(KAIST)(韓国)、清華大学 (中国)という世界トップレベルの理工系3大学が、学生交流を通じ、それぞれの大学の国際化を推進することで、国際的な舞台で活躍できる人材の育成を目指しています。
また、3大学の協力の下、教育の質の保証を図りながら、協働して教育・研究を行っています。
大学院生命理工学研究科生命情報専攻 修士1年 梅津純平
留学期間:12ヵ月
清華大学
数ある留学プログラムの中で清華大学を選んだ理由は、日本との繋がりが強く、発展著しい中国において研究活動を行い、人脈を広げることは、国際化社会において、大きな強みになると考えたからです。さらに、学部3年次に生命理工学部の講義である科学技術開発の一環で清華大学短期訪問を行った際、清華大学の学生は研究に対して意欲的かつ勤勉で、さらに英語に堪能であると感じました。彼らと勉学を共にすることで、異文化理解だけでなく、語学力と研究能力の向上を期待できると考えました。
授業中の様子(右手前が梅津さん)
キャンパスはとても広く、研究室や教室だけでなく、食堂、寮、スーパー、書店など学生生活に必要な物が学内にあります。学内で時間を共有することが多いためか、日本の大学と比べると、学生間及び学生と教師の距離感が非常に近いという印象を持ちました。私も一日のほとんどを学内で過ごすため、食事は学内の人ととることがほとんどです。
また、清華大の学生は講義を遮ってでも質問するように、学生が非常に積極的だと感じました。生命科学倫理の授業で、学生が講義を遮り自分の意見を3分くらい主張した時には、驚きました。
研究室にて
RNA※に結合するタンパク質の結合部位を解析し、RNA結合タンパクとその結合部位のデータベースを構築しました。RNA結合タンパクは遺伝子発現(遺伝子がもっている遺伝情報が、さまざまな生体機能をもつタンパク質の合成を通じて具体的に現れること)に大きく影響を与えるので、様々な分野で研究されています。
RNA結合タンパクの結合部位を特定する実験法としてCLIP法があります。複数のデータベースが散在するCLIP法の実験結果を集約し、網羅的に解析することで、RNA結合タンパク結合部位を特定しました。さらに、それをデータベース化することで、今後のRNA結合タンパクの研究に利用できるようにしました。
※ RNA:リボ核酸。塩基・糖(リボース)・リン酸から成る核酸DNAの遺伝情報にしたがって、タンパク質を合成する役割を担う。
博士課程には進まず、企業で働きたいと考えています。研究で培ったデータ解析のスキル、及び留学で得た語学力やコミュニケーション能力を活かしていきたいと思います。
経済状況がどうなろうと、中国は日本の隣国であり続けます。どのような仕事に就こうと清華大学での留学経験を活かす機会は多くあると思っています。
生活面・文化面に関するさらに詳しい留学体験談
TKT CAMPUS Asia > 東工大からの留学 > 留学体験談 > 清華大学
大学院情報理工学研究科計算工学専攻 博士2年 小林諒平
留学期間:4ヵ月
KAIST
修士2年の11月ぐらいでしたか、研究室の指導教員からメールで「キャンパス・アジアという留学プログラムで、KAISTに留学生の枠があるので、手を挙げたら行けるかもしれませんよ」と案内が届きました。当時私は、自分の専攻する分野で有名なJohn Kim准教授の元で学ぶ機会が得られるのなら、すぐにでも行きたいと思っていたところでした。Kim准教授はKAISTに在籍していて、国際学会の中でも特に権威ある学会(例えば、ISCA - International Symposium on Computer Architecture やMICRO - International Symposium on Microarchitecture)では、ほぼ名前が挙がる先生です。しかもキャンパス・アジアのプログラムでは奨学金も支給されるというので、迷わず「はい」と手を挙げました。
授業中の様子
留学中の4ヵ月間、英語で行われる授業を選択しながら、研究を行いました。KAISTでは授業のほとんどが英語で行われていました。
東工大では同じコマの授業が週に1回なのですが、KAISTでは週に2回ありました。そのため、授業密度が濃いなと感じましたし、スピード感もありました。特にKim准教授の授業は、スピードだけでなく知識も要求され、かなり厳しいものでした。それを乗り切れたことは、自分の中で大きな自信になっています。企業の方や著名な方を講師として招き、学生に対して自社の技術や研究内容をプレゼンテーションする「セミナー」という授業も受講しました。
研究室のメンバーと食事(左手前が小林さん)
KAISTで取り組む研究内容については、事前に東工大の指導教員と話し合って修士論文とは異なる内容にしました。テーマに選んだのは、パソコンの処理機能を司るプロセッサに実装されたルーター(プロセッサ内のコアとコアをつなぐ接続器)の信頼性の保証についてです。この部分について、壊れにくい仕組みを考案し、それが本当に堅牢な仕組みかどうかを評価するという研究内容になります。
留学するまでは、研究の利点が欠点を多少上回っていれば、その利点に注目して論文を書けば良いと思っていました。しかし、KAISTの研究室では、研究の利点が欠点を凌駕するまで、指導教員と議論、関連研究の調査、研究の見直しを徹底的に行いました。研究室の学生は、「先生が論文を書いて良いと認めるまで少なくとも1年はかかる。」と言っていました。妥協せず、徹底的に研究と向き合うということが、権威ある学会で発表することにつながると感じました。
英語で生活・講義の受講・研究のディスカッションをこなしたという経験を、今後海外に行くチャンス(留学/国際会議/インターンシップ)があったら物怖じせず積極的に参加するという形で生かしていこうと考えています。
そして将来は研究者になりたいと考えています。ただし、大学に残るというのではなく、一度企業に身を置いて、企業で行われている研究を経験してみたいと考えています。将来、自分がアカデミア(大学)/企業、どちらに所属しているのかは分かりませんが、最終的には未来に貢献できるような研究成果を生み出せたらうれしいですね。行き先は国内でも海外でも、これからの巡り会いとチャンスに期待したいと思います。
生活面・文化面に関するさらに詳しい留学体験談
TKT CAMPUS Asia > 東工大からの留学 > 留学体験談 > KAIST
原 正彦 教授
プログラム構想責任者 原 正彦 教授からのメッセージ
世界に目を向けると、これまで圧倒的なパワーで世の中をリードしてきたアメリカやヨーロッパ諸国に対し、中国、韓国をはじめアジア諸国の力がそれに迫る勢いで伸びています。日本は、世界的にみてもハイレベルな文化水準や高度な技術を持ちながら、果たして国際社会において寄与しているかと問われれば、必ずしも十分であるとは言えません。そうしたなか、距離的にも近く、文化的にも似通った部分を持ち合わせている中国や韓国と日本の学生が交流し、理解を深め、協力関係を築き上げていくことは、お互いの国々の発展、さらには世界全体の発展のためにも、より一層盛んに行われるべきものであると考えます。加えて、多様な考えに触れることで思考を柔軟にするという意味でも、留学体験は大いに寄与するものと期待しています。
中国、韓国の言語や文化背景を学びながら専攻の授業も受けたい場合、または研究のみに専念したい場合など、状況に応じてプログラムを選択することが可能です。
KAISTにて
(1)清華大学
1. 授業と研究(セメスター単位)
2. 研究のみ(3ヵ月以上)
(2)KAIST
1. サマープログラム(1ヵ月)(延長可)
2. 授業と研究(セメスター単位)
3. 冬季プログラム(Winter Break Program)
※ 2、3いずれも最低1ヵ月要滞在
支援内容、応募資格等詳細について
TKT CAMPUS Asia > 東工大からの留学 > プログラム紹介
サマースクールの様子
(1)サマープログラム
学部生と修士課程学生が東工大で研究室に所属し、サマースクールの履修および短期研究プロジェクトを行います。
(2)大学院共同指導プログラム
研究のみを行う大学院生向けのプログラム。東工大とKAIST、清華大学の指導教員の間で設定した研究テーマについて、学位(修士号、博士号)の取得に向けた研究に取り組みます。所属する大学と東工大の教員が共同で、一人一人にテーラーメイド型の教育指導を行います。
(3)Summer & Joint Educational Combined Program
「サマープログラム」と「大学院共同指導プログラム」を組み合わせたプログラムです。研究活動をしつつサマープログラムを体験し、秋学期には単位互換が可能な講義を受講することもできます。
支援内容、応募資格等詳細について
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2014年7月掲載