国際交流
国際交流
東工大は、学生の海外留学に積極的に取り組んでいます。派遣交換留学の対象校は、米国や欧州、東アジア、オセアニアなどに50校以上あり、受入先の大学の授業料が免除される授業料等不徴収協定が結ばれています。他にも、20を超える様々な留学プログラムを展開しており、語学力に自信がない人には短期間の語学留学を、語学が得意で本格的に研究に打ち込みたい学生には長期留学を、というように、留学の目的や語学力に合わせて柔軟に希望に応えています。
実際にプログラムを利用して、世界へ羽ばたいた学生たちの声を紹介します。
TASTEとは、「将来、中長期の留学を予定し、本学協定校が提供する短期間の語学研修プログラムに参加する東工大生に対して支給される奨学金」のこと。「将来留学したいけど、今はちょっと不安が...」という人への、最初のステップとして最適です。
カリフォルニア大学バークレー校は誰もが知っている名門校。その評判に違わず、世界各国から夢を持った学生や教員が集まり、自由闊達な雰囲気と熱気に溢れていました。ここでは、夏季休業期間中、Berkeley Summer Sessionと題して正規学生と他校生の両方を対象に約600科目が開講されています。参加学生は延べ1万5千人。人と学問と世界との様々な出会いがありました。
移民の国、アメリカ。英語を母国語としない人向けに様々な配慮があり、授業法(English as Second Language; ESL )が研究されており、私が履修した2つのコースも楽しく効果的に学習できました。
ESL8は英語の基礎力を鍛える、レベル別・少人数制の授業でした。私達のクラスでは、毎日2時間半、6週間にわたり、Storytellingの授業が進みました。小説の読解や英作文、街頭インタビューやディスカッションなど内容は多岐にわたっており、語学力・コミュニケーション力の幅広い向上が図れました。また、世界中の学生と各国のおとぎ話や経験談を交換し、夢を語り合えたことで、グローバルな視野を広げられました。
一方のESL 9Vは、研究職を志す学生向けの少人数・実践的な授業。毎週5時間、6週間のコースでした。この授業のすごさは、「英語で思考し、コミュニケーションする術」を与えるべく設計されていること。科学的思考法の導入として文献の要約が課され、研究生活の術として伝わりやすい英語(アクセントや発音、語彙など)が教授されました。それに加え、専門分野の論文の要約、15分間のプレゼンテーション、それを論文の体裁にまとめたものを提出という一連の課題も...。授業の準備にかなりの時間を要し、寝られない日も多くありましたが、プレゼンの成功と温かいフィードバックは将来へのモチベーションを高めてくれました。
留学の実現は本当に大変です。しかし、それだけの価値は必ずあります。英語テストのスコア向上といった「見える」価値に目が行きがちですが、友人と出会えたり、やる気をもてたり、人生観が変わったり、そんな「見えない」価値の方が、ずっとずっと大きいことに気が付きました。こうした素晴らしいチャンスを頂けた事に感謝するとともに、機会があれば留学にチャレンジしてみることをおすすめします。
清華大学は、北京に位置する中国トップの理工系大学です。多くの優秀な技術者を輩出するのみならず、政界にも胡錦濤元首席や習近平首席などの清華大学OBが多くいます。キャンパスはとても美しく、「アジアで最も美しい大学」に選ばれたこともあります。
私は清華大学の材料系という学部に入り、授業を履修しました。学部3年時の留学であったため研究室には所属しませんでした。毎週5~6コマ程度の材料系の講義の他に、留学生向けの語学の講義や射撃の授業など、各学期10コマ程度の授業を履修していました。留学生は想像していた以上に少なく、多くの授業で私が唯一の外国人学生でした。授業は当然、全て中国語で行われたため、新出語句の意味を調べていたら置いていかれる、ということも度々ありました。講義を一度聞くのみでは理解できないため、インターネットにて日本語や英語の文献を探して勉強し直す必要がありました。一学期目は専門科目の授業を履修しすぎ、試験前に焦ってしまったので、後半期は科目数を減らして集中的に勉強することにしました。分からないことも多かったですが、クラスメイトの力を借りるなどして乗り切ることができました。
昼は講義を受け、夜は友人と遊びに行ったり、講義の課題をしたり、主催していた日中交流事業の打ち合せをしたりといった具合でした。1限目は午前8時から始まるのですが、学内の寮に住んでいたため苦には感じませんでした。ほとんどの学生が学内の寮に住み、自転車で通学します。食事は基本的に学内に点在している食堂でとり、週末は学外に出かけることが多かったです。留学中に1か月半の長期休暇が一度あったのですが、私は中国国内を旅行して過ごしました。電車を乗り継いだ貧乏旅行でしたが、私の留学生活を語る上で忘れられない、刺激的なものとなりました。
日中関係が特に悪化した時期に留学していたため、大変な思いをしたこともありました。しかし、この時期であったからこそできた貴重な経験であったのも事実です。実際に現地の友人達と会話することで、自分の中に様々な固定概念や先入観があることに気付くことができました。普段より多くの「気付き」に出会えることも、留学することのメリットであると思います。
プログラムは授業、大学の研究室でのインターンシップ、企業インターンシップと3段階に構成されていて、約1年半で電気自動車を軸に授業履修と研究を行い、修士号を修得するというものです。プログラムの開始が9月で、その後は12月末までパリで授業、1月からはフランス北部の街リールで4月末まで授業、その後再びパリで6月末まで研究室に所属し研究、7月からプログラム終了までルノーにてインターンシップを行いました。
初めの方は語学のレベル不足から授業にとてもついていけず、授業を毎回録音しては寮に帰って聞きなおし、さらに日本語の関連資料を読んで知識を補っていました。授業の内容に関しては、パリの大学での授業は非常に幅広い分野にわたっていて、プロジェクトマネージメント、自動車にかかわる機械工学の基礎、フランスの交通システムなど講義中心の授業体系でした。
一方、1月から4月のリールでは授業は電気工学分野に限定されていて、講義、演習を交互に繰り返すような授業体系でした。毎演習後課題があって大変でしたが、グループワークでの作業も多く、友人たちと協力しながら取り組んでいました。
履修科目を一通り終えてからは大学の研究室での2か月間、そしてルノーで6か月のインターンを行い、「電気自動車に使われる材料の戦略的選択」というテーマで、資源枯渇問題とコストの観点から今後どのように自動車材料を選択していけばよいかという研究を行いました。実際にフランスの企業に勤める、というのは非常に貴重な体験で、フランス人と日本人の働き方の違いや企業での業務とは、などたくさんの新しい発見がありました。
海外の大学で修士を取るというのは決して楽なことではありません。落第しないように、というプレッシャーも大きく辛い時期もありましたが、学位を修得できた時の喜びと達成感は特別です。さらに"修士号修得"という目標が常に目の前にあったからこそ、困難も乗り越えられたのだと思います。また私は留学で日本の外に出たことで、他国の良さはもちろん、日本の素晴らしさに気付くこともできました。このように留学によって日本という国を客観的に眺めることもできるし、日本以外の世界、文化も知ることができます。東工大にはたくさんの良い留学プログラムがありますし、現在さまざまな団体が留学を推奨するための奨学金制度を用意しているので、資金面でもまた語学に関しても諦めずに挑戦する価値があると思います。
多彩な国際交流プログラム、様々な奨学金、留学経験者の生の声を紹介するイベントが開催されます。
大岡山キャンパスには、日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)、スイス大使館等の方々もいらっしゃいますので、留学に少しでも興味のある方は是非いらしてください。
全体説明(ホール)で留学経験者による体験談、各種留学プログラムや語学のアドバイスを紹介し、個別相談(ブース)では皆さんの個人的な相談に応じます。参加費無料、事前登録不要です。
東工大の留学についてさらに詳しく知りたい方は、トップページ>在学生の方>留学ガイド をご覧ください。
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2014年3月掲載