国際交流

東工大初の英語による学士課程プログラム—GSEP—

東工大初の英語による学士課程プログラム―GSEP―

2016年4月、全学的な教育システムの刷新を契機に、東工大初の英語による学士課程教育プログラム、融合理工学系国際人材育成プログラム(GSEP(ジーセップ):Global Scientists and Engineers Program)が始動しました。世界各国の優秀な学生に東工大が提供するレベルの高い工学教育の門戸を開くために、従来必須とされてきた日本語能力の入学要件を取り払い、留学生の受入体制を整えたグローバルエンジニア育成プログラムです。

グローバル化とボーダーレス化を見据えて

歓迎の挨拶をする岸本喜久雄環境・社会理工学院長歓迎の挨拶をする岸本喜久雄環境・社会理工学院長

近年の産業界のグローバル化は著しく、人や物が移動する上で制約を課す国境(ボーダー)の影響力は失われつつあります(ボーダーレス化)。そして、このボーダーレス化は学問の世界でも進んでいます。現代社会において、地球規模で波及する諸問題の解決や新たな価値の創出には、複数分野の知見を総合的に、そして最大限に活用することが求められ、その波は科学技術の分野にとどまらず、文系・理系の壁も越えるようになってきています(文理融合)。このような社会情勢の中で、真に社会から必要とされる人材は、躊躇なく異分野の専門的な知識を学習し活用できなくてはなりません。そのことに照準を合わせて誕生したのが、異分野の知識を取り込む際の土壌となる、基礎的な内容を横断的に学習する「融合理工系国際人材育成プログラム(GSEP)」です。

GSEP第1期生の始業式GSEP第1期生の始業式

GSEPカリキュラムの特徴

広範囲な基礎知識の習得

本プログラムを支えるのは、本学環境・社会理工学院融合理工学系を担当する教員たちです。その専門分野は、材料、化学工学、機械、電気、通信、情報、土木、建築、生物、原子力、地球、環境、エネルギー、宇宙、マネジメント、デザイン、国際関係、経済、社会、コミュニケーション、言語など、多岐にわたります。GSEPの学生は、こういった各分野の基礎となる知識を横断的に学習したうえで、専門分野の最先端の研究活動に参画します。

ディスカッションの課題ディスカッションの課題

グループワークグループワーク

日本での留学経験を最大限に活かす

GSEPの講義はすべて英語で実施され、卒業するために日本語を学ぶ必要はありません。しかし、カリキュラムに は、実践的な科学技術用語を日本語で学べる講義や日本文化に関する講義なども用意され、留学生が日本での留学経験を最大限に生かせるような工夫が豊富に盛 り込まれています。問題解決型授業(=プロジェクトベース学習(PBL))が多く取り入れられているGSEPの講義は、日本人学生も受講可能となってお り、さまざまな国の留学生と日本人学生が協働して課題に取り組みます。グローバル化する実社会さながらの環境における課題解決をとおして、日本のグローバル企業が留学生に求める日本への理解と、日本人学生に求める世界への理解がここで養われます。

GSEP版東工大立志プロジェクトでの発表GSEP版東工大立志プロジェクトでの発表

プロジェクトの感想の寄せ書きプロジェクトの感想の寄せ書き

入学直後に全学生が履修する必修科目。学士課程4年間の教養教育を、各自のゴールに向かって志を立てるプロジェクトととらえ、そのための自己発見と動機付けを行う。

GSEP1第期生の声

今年、GSEPが第1期生として迎えたのは、アジア4ヵ国からの14名。プログラム開始から数ヵ月経った今の印象や心境を、学生たちがそれぞれの言葉で語ってくれました。

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  • GSEPは画期的なプログラムだと思います。ここで勉強を始めてから、科学技術以外の多くの知識を学び、人や社会といった概念を通じて物事を考えるようになりました。また、東工大、そして日本で生活するうえで得た貴重な経験も多く、自分の将来や自分に何ができるかを考えるようになり、刺激の多い毎日を送っています。4年間のカリキュラムを通して深い知識を身に付け、将来、科学技術の分野においてイノベーションや新しい流れを生み出せるようになりたいと思っています。
    GSEPへの入学を考えている人たちへ。このプログラムでは、さまざまな分野の知識を習得できます。広い分野の知識を持つことにより、工学分野全体を見渡すことが可能となり、エンジニアとしての豊かな知識を実践に役立てることができます。

  • GSEPは、僕にとって大きな転機となりました。新しい文化を経験したり、語学力を磨いたり、人生経験を積んで自らの可能性を伸ばす機会があふれています。アクティブラーニングや時間管理の大切さもここで学びました。新しい環境に慣れるのは大変なことも多いですが、このプログラムで新しいことを学ぶのはとても楽しいです。世界を見たい、次の新しいステップにと思っている人なら、これほどよい機会はないと思います。ぜひチャレンジして僕たちの仲間になって欲しいと思います。

  • 何か新しいことに挑戦してみたいという人にとって、GSEPは最適だと思います。ありきたりのエンジニアではない、大きなことに挑戦してみたいならなおさらです。大きな夢があるなら、GSEPでかなえられると思います。

  • 「自分の殻を破る」というのが、GSEP生としての自分の経験を一番よく表していると思います。単に理工系科目の基礎知識にとどまらず、将来的に役立つツールとなるビジョンやアイデアも学びます。講義もそれ以外の活動も充実していて、この恵まれた環境での新しい生活を楽しんでいます。留学生活を通じて多くの出会いがあり、自分のなかで変化を感じています。先生方は本当に親切にサポートしてくれます。学術界と社会に貢献したいと思っている人、僕のように学ぶことが好きで、どんな知識でも必ず世の中の役に立つと信じているなら、GSEPは最高のプログラムです。

  • GSEPは始まったばかりの少人数のプログラムですが、プログラムの学生とは一緒に過ごす時間が多いのですぐに仲良くなれました。クラスには日本人の学生もいるので日本人の友達もできました。言葉の壁はありますが、日本語の練習をするいい機会だと思っています。「頑張ってる」という言葉も最近覚えました。毎日いろんな人からいろんなことを学びます。科学技術分野の知識のほかに、社会学や東工大立志プロジェクトなどおもしろい講義もたくさんあります。日本やテクノロジー、そして新しいことが好きな人に、GSEPはお勧めのプログラムだと思います。

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  • GSEPの第1期生として入学してから3ヵ月が経とうとしています。学究的な質の高さと、エンジニアとしてそして個人として成長する機会であるということのほかに、このプログラムの素晴らしいところは「人」です。上手くいくときもいかないときも、助けてくれたり励ましてくれたりする先生方や、文化の異なるクラスメート、そして日本人の学生たちが近くにいてとても心強いです。この東工大ファミリーのおかげで、家族から遠く離れていても、寂しい思いをすることや落ち込んだりすることなく、いろんなことに失敗を恐れずに挑戦できます。

  • 日本最高峰の理工系大学である東工大への留学を決めたのは、これまでの人生で一番大きな決断でした。プログラムが始まってからまだ数ヵ月ですが、既に多くのことを学び、大変充実した時間を過ごしています。ここに来て、いろんな国から来た学生と友達になりました。みんな探究心があり個性的で、グループワークやディスカッションをするたびに新しいことを学べます。先生方もとても親切で、学生の興味を引き出すのが上手で、細かいことでも相談に乗ってくれます。東工大ファミリーの一員になることができて、自分の夢に一歩一歩近づいていることが実感できます。

  • GSEP は「チャンス」です。質の高い理工系教育からだけでなく、高い倫理性と豊かな文化を持った社会で生活することからも多くを学ぶことができます。文部科学省からの奨学金、そしてGSEPの先生方がいつもそばにいてくれるおかげで、自分の国にいるように落ち着いて勉強に取り組むことができています。これからGSEPを目指す人々には、より早く日本に慣れるためにも来日前に日本語の基礎を学んでおくことをお勧めします。東工大で過ごす4年間は、冒険と成果に満ちたものになるに違いないと思います。

  • GSEP生としての生活を言葉で上手く表現するのは難しいですが、いろんな意味でいい影響を受けていて、東工大に来て本当によかったと思っています。ここに来てから、これまで気付かなかったことに気付き、知らなかったことを多く学んでいます。

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  • 留学しようと思ったこと、そしてGSEPを選んだことは、これまでの人生のなかでも最良の選択だったと感じています。人としての成長はもちろん、自分の可能性だけでなく、世界の可能性も広がると感じます。文化の異なる友達もたくさんできました。「GSEPってどう?」ときかれたら、答えは「素晴らしい!」です。来日当初は少しホームシックになりましたが、それは僕だけではないと思います。GSEPへの入学が決まって、ホームシックを乗り越えたら、もう何も心配することはありません!多くの人にGSEPをお勧めしたいです。

  • GSEP生としての学生生活は本当に充実しています。ここに来てから、グローバル社会の問題に関心を持ち、社会の変化にどう貢献できるかなどを考えるようになりました。留学生として、自分が育った環境と大きく異なる東京での生活は、視野を大きく広げ、人生の転機となる経験となることは間違いありません。GSEP生になってわかったのは、サポートし、励ましてくれる先生方、先輩、仲間たちが常に近くにいて、そのことが日々の学習と生活を充実したものにしてくれているということです。科学技術の力で、変化し続ける世界に貢献する強い意志を持っている人、そして東工大での人生経験と冒険を求める人には、ぜひGSEPに参加して欲しいと思います。

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  • 留学生を対象としたGSEPの講義は全て英語で行われ、日本語の知識は必要ありませんが、英語力を試したい日本人学生も受講しているため、日本人学生との接点がないわけではありません。GSEPでは、理工系科目だけでなく、リベラルアーツや社会学など文系科目も学びます。自分の得意分野以外の知識を得ることにより、これまで気付かなかった分野での自身の成長のきっかけとなっています。GSEPの先生方をはじめとする、東工大の寛大な支援体制に本当に感謝しています。

国際舞台を視野に

本学では、いち早くグローバル化を目標に掲げ、これまでも他大学に先駆けて様々な取り組みを行ってきました。GSEPの先駆となる修士・博士後期課程対象の国際大学院プログラム(IGP)は2007年に開始され、ここから飛び立った多くの修了生がすでに世界各地、様々な分野で活躍しています。今回、国際社会のニーズを掘り下げて誕生したGSEP。従来の専門分野特化型では対応しきれない地球規模の課題解決に資する人材育成に向けて、東工大がまた一歩踏み出しました。近い将来、科学技術を横断する基礎知識を身に付けた本プログラム卒業生が国際舞台の様々な分野で活躍します。ぜひその姿にご期待ください。

SPECIAL TOPICS

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2016年7月掲載

お問い合わせ先

東京工業大学 総務部 広報課

Email pr@jim.titech.ac.jp