TASTE 海外短期語学学習(英語)夏派遣 ブリティッシュ・コロンビア大学 2019年2月26日~3月23日

TASTE 海外短期語学学習(英語)夏派遣 ブリティッシュ・コロンビア大学 2019年2月26日~3月23日

留学時の学年:
学士課程3年
東工大での所属:
工学院 機械系
留学先国:
カナダ
留学先大学:
ブリティッシュ・コロンビア大学
留学期間:
2018年8月27日~9月14日
プログラム名:

留学先(参加プログラム/受入れ機関)の概略

ブリティッシュ・コロンビア大学内の機関“English Language Institute”では、英語を学ぶ学生のための各種プログラムを行っている。施設内では“English Only”というポリシーを掲げ、英語以外の言語を使用するとペナルティが課される。“English for the Global Citizen”は、3週間もしくは4週間の短期プログラム。英語4技能、特にスピーキングとリスニングを実践しながらグローバル問題について考える。

留学先での授業内容

初日の口頭テストでレベルごとに6クラスに分類され、1クラスの人数は20名程度。私は一番上のクラスに参加することができた。授業は9:00~12:30の午前と13:30~15:45の午後とに分かれており、それぞれ1人ずつの講師が担当する。週ごとにテーマが1つ与えられ、それに沿ったディスカッションやプレゼンテーションなどの様々なアクティビティを行う。基本的な授業は、まず講師が質問を投げかけ、それについて2~3人で議論をし、発表することを繰り返して行われる。加えて、学びのまとめとしてエッセイを書いたり、5人対5人の少し大きな議論をしたりした。

テーマの一つに、「多文化交流」があった。文化の違いにおけるコミュニケーションの取り方の違い、表現の違いについて考えた。印象的だったのは、大学キャンパス内で学生に声をかけインタビューを行ったことである。パーソナルスペースに関する質問として「列に並んでいるときに前の人との間隔をどのくらい必要とするか」に対する回答では、意外にも日本人とカナダ人の結果にあまり差は見られなかった。現地の生の声を直接聞けたことは、そこでしかできない体験となった。

また、最終日は他クラスと合同で、今まで学んできたことを発表するためのブースを自由に回るオープン・ハウスを開催した。私たちのクラスは、Kahoot!というサイトを使って、スマートフォン参加型のクイズを制作した。私はポスターの制作を担当した。絵を描く特技を生かしてクラス全員20人の似顔絵を描き、喜んでもらえたことは忘れられない思い出だ。

↑(左から)作成したポスター、UBC人類学博物館でクラスメートと(前列、右から5番目)。

授業の一環としての外での活動も多い。大学内にある人類学博物館を訪れ、先住民族の歴史に触れた。他にも、食料に関する学びを深めるためにスーパーマーケットを視察し、栄養士の方に話を聞いたり、グローバルな問題を提起するための動画をグループで撮影・編集し、発表を行ったりした。



↑制作した動画の様子(インターネットで知り合った人と会うことは安全か?というテーマで、誘拐犯と手を組む女性を演じた)。

留学先での課外活動

Cultural Assistant(CA)と呼ばれる同大学の学生たちが、プログラム参加者のための様々な課外活動を企画している。私は、ショッピングモールや美術館などの建物が数多く並ぶダウンタウンのツアーや、バンクーバー島の南端部に位置するヴィクトリアへフェリーで行くツアーなどに参加した。また、これらのアクティビティ中も“English Only”ポリシーは守られる。授業中とは違い、日常の些細な会話も全て英語で話すことで、事前に「英語を話そう」と心構えなくても言葉が出るようになった。これらのツアーでは他クラスの学生や長期プログラム参加者とも親睦を深めることができた。授業の無い日でも英語を話せて、また友達を増やすことができた良い機会となった。

↑ヴィクトリア・ツアーで訪れたブッチャート・ガーデンにて(2列目、左から3番目)。

↑ヴィクトリア・ツアーで訪れたブッチャート・ガーデンにて(2列目、左から3番目)。

他の課外活動としては、同大学内で行われたファーム・パーティーに参加した。学生による様々なブースが立ち並んだ。私はランド・フードシステムに関する研究室の学部生によって催されていたブースに立ち寄った。持続可能な食糧供給に関する展示や、何の作物の種かを当てるクイズ、学生によって企画されたヴィーガン・カフェなどが紹介されていた。そして、それらについて学生の方から直接話を聞くことができ、大学生活の様子も垣間見ることができた。

留学から何を学び、それを今後どのように活かしたいか

留学をしたいと思いながら、3年生まで後延ばしにしていた。周りの友人からも留学をしたという話はちらほらと聞くようになり、数週間の留学をすることはそれほど大それたことではない。
それでも躊躇っていたのは、金銭面の懸念と、高校時代の海外研修のときに感じた不安があったからだった。私は高校1年生の時、イオンが主催するアジア・エコリーダーズという海外研修に参加した。開催国はインドネシアで、英語を第1言語としないアジア数ヶ国の学生たちが、環境問題についてディスカッションやプレゼンテーションを行なった。そのツールとしての英語を使えることは必須事項で、帰国子女の学生も多かった。私はどうにか皆に置いていかれないように精一杯で、1週間という期間がとてつもなく長く感じた。高校2年生になり、私は再びイオンが主催する海外研修に参加する機会を得た。去年よりも自分から積極的にコミュニケーションを取ろうと奮闘したが、最終プレゼンテーション目前に熱を出してしまった。プレゼンテーションには参加できたものの、与えられた原稿を読むのみだった。

これらの経験から私は、周りの人達が自分よりも良くできて、思うように自分を発揮できないことに不安を感じていた。カナダ留学に行った私は、驚いた。まず日本人がとても多いこと。しかし英語を話すことで、出身や年齢を気にせず対等になることができた。ルームメイトも日本人だったが、彼女とも常に英語で話していた。もう一つは、クラスメート、同大学の学生たち、そして先生とのコミュニケーションの機会の多さだ。皆が話しているのをほとんど聞いているだけだった高校生のときとは違い、私がアイデアを発信することができる。完璧な英語を話すことが求められている訳ではない。周りにいる友達は自分と同じくらいのレベルで話しやすく、尊敬できる人達ばかりだ。「私はできる」という自信と「周りに負けないように頑張ろう」という闘争心とが、バランス良く同時に存在していた。3週間はあっという間だった。

↑修了証を手に、最後のクラス写真(前列、左から3番目)。

↑修了証を手に、最後のクラス写真(前列、左から3番目)。

もちろん、高校時代の経験があったからこそ、今までコンスタントに英語力の向上に努めることができたし、今回の留学をここまで有意義にできたのだと思う。私は今、また留学がしたいという思いで一杯だ。そのために今、オンライン英会話でほぼ毎日英語を話す時間を取りながら、大学では「科学技術者実践英語」という少人数授業を受講している。この留学を通して私は、「英語が好き」という気持ちを思い出すことができた。将来話せると便利だから、就職に役立つから、といったことの前に、私は英語を話しているときの自分が好きで、英語によって広がる世界を見ることが好きだ。生まれ育ってきた日本という国中心の考え方から抜け出して、フラットに物事を見ようと思うようになった。カナダはとても多文化な国で移民も多い。「人種」というフィルター無しに交流するカルチャーに触れた。今まで私の大部分を支配していた「日本人」というアイデンティティの他にも、まだ私はたくさんのアイデンティティを創り上げることができる。私のフィールドはどこまでも広がっているし、どこまでも広げることができる。これから研究や就職など自分で何かを選択するときに、自信を持って進めるよう日々努力していきたい。

留学前の準備

東工大HP、TASTEに参加したことのある友人から情報を得た。航空券はスカイ スキャナー、エクスペディア、Trip.comなどで価格比較しJALを購入。カナダはビザ取得の必要はないが、インターネット上で事前 に「電子渡航認証」の取得が 必要。出発3か月前からオンライン英会話を再開しほぼ毎日、1日30分は英語を話す機会を設けた。7月には現段階 の能力の把握のためにTOEICを受験。

留学費用

渡航費14万、授業料(手数料 込)20万、住居費(食事付)7万、保険料1万、現地での交通費/ツアー参加費/外食費/その他パスポート発行やお土産など10万、奨学金8万。

住居の形態はホームステイで、大学から手配。申し込み方法は大学にメールで(プログラム申し込み後、案内が届く)、ホストマザー1人、日本人ルームメイト1人。

学先で困ったこと

思ったよりも寒かったこと(15°C 程度)。

学を希望する後輩へアドバイス

今までの自分を一旦リセットして、新しい自分を見つけることもできるのが留学。躊躇せずにできる限りのことを体験してほしい。外国の空気が気持ちを開放的にしてくれる。

この体験談の留学・国際経験プログラム情報

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