TASTE 海外短期語学学習(英語)夏派遣 ワシントン大学 2018年8月27日~2018年9月14日
留学時の学年: |
学士課程2年 |
---|---|
東工大での所属: |
生命理工学院 生命理工学系 |
留学先国: |
アメリカ合衆国 |
留学先大学: |
ワシントン大学 |
留学期間: |
2018年8月27日~2018年9月14日 |
プログラム名: |
留学先(参加プログラム/受入れ機関)の概略
ワシントン大学のInternational & English Language Programsという大学の学部などとは独立した機関で、様々なプログラムを有しているが、その一つがShort Term English Programs(STEP) である。STEPは3週間で英語の語学力向上とアメリカの文化について学ぶことを目的として構成されているものであり、細かく4つのコースに分かれていた。私はAcademic Skillsに参加した。このコースはアメリカにおける大学レベルの学びの入門編として設定されており、参加にはTOEFL iBT61点以上の相当する英語学力が必須とされていた。授業初日にプレースメントテストがあるはずであったが、人数が1クラス分しか集まらなかったためテストはなかった。クラスには14人が在籍し、サウジアラビア人5人、フランス人1人、日本人8人であった。担当してくれた先生は1人で、語学留学生向きの授業をよく担当している方であった。
留学先での授業内容
授業は平日の8:30から11:50で、休憩を差し引いて3時間ほどであった。授業のメインは最終週に行ったディベートとプレゼンテーションで、それに向けて練習をしたり、参考となる映像を見たり、小さな課題が出されたりした。
プレゼンテーションは、レッド・リストから絶滅の危機に瀕している動物を1つ選び、それについて10から15分ほどのプレゼンテーションを3、4人のグループで行った。授業の中では、教科書に従って、本番までのスケジュールを話し合って決めたり、プレゼンテーションに大事なスキルは何かを考えたりすることがメインであったため、リサーチやスライドの作成は授業の時間外を使って各自で進めた。私のグループは日本人2人とサウジアラビアの学生1人の3人組だった。プレゼンテーションの中で言及すべき事柄は教科書に載っていたため、それを3等分してリサーチやスライドの作成を各自で進め、それらを共有する形をとった。サウジアラビア人の学生は授業に遅れてくることが多かったため、先生の説明やグループでの話し合いの決定事項をLINEなどで説明する必要があった。それぞれの調べたことや作業量を共有するためにもできるだけ前もって取り組んでほしい旨を伝えたが、マイペースな人柄でなかなか準備を進めてくれずに本番を迎えてしまったことが少し悔しかった。それでも、私個人としては、質疑応答に備えてリサーチをしておいたことなどを先生に褒めてもらえた。
ディベートは「動物保護は必要か」というテーマで、これも3、4人でチームになって行った。グループはランダムに決まり、そのグループ内で話し合って、テーマについて賛成か反対かを決めて、各々調べた根拠から理由を一つ選び、それを元にディベートに望むというものであった。ディベートの準備は授業内で進められることが多かった。日本人学生はじめ、ディベート自体に慣れていない人が多かったため、教科書で挙げられていた様々なテーマで練習をおこなった。私たちのグループは「反対」を選択した。正直、今までそのような視点で考えたことがなかったため、自分の意見をまとめることや賛成意見に対抗することが難しかったが、リサーチしていい文献を見つけることができたため、先生やディベートを見ていたクラスメイトからもいい評価をもらった。しかし、グループ内でそれぞれの意見を照らし合わせてまとめることが不十分であったため、話題が脱線してしまうなどのマイナス面もあった。
留学先での課外活動
平日の午前中の授業時間中に課外活動へ出かけたことは2回あった。1週目の金曜日に行ったのは、バラード・ロックスだった。これは、ワシントン湖とピュージェット湾を行き来するボートや船をスムーズに誘導させるために作られた運河で、実際に水門が開閉する様子を見ることができた。この運河の横には、サケやニジマスが海と湖を行き来するための魚道であるフィッシュラダーが設けられていた。第1週目の授業では、野生動物保護に成功した例としてこのフィッシュラダーを学んだ。実際に海から湖に向かうサケを数匹見ることができ、そこにあった展示などでフィッシュラダーの仕組みや歴史について学ぶことができた。2授業後には先生も含めてほぼ全員で近くのオイスターバーに出かけた。こういった状況では、日本人学生よりもそれ以外の学生の会話に混ざって積極的に英語を使うように心がけた。
図1 オイスターバーでの クラスの 集合写真
2週目の金曜日には、シアトルパブリックライブラリーに出かけた。ダウンタウン中心部から遠くないところにある、風変わりな外見の建物であった。非常におしゃれな建物で、蔵書やスタッフの数も、私が今まで利用したことのある公共図書館の中ではもっとも充実していた。寮の住所と大学の学生証があれば図書館のカードを作ることができて、そのIDで本来ならば有料のネット授業や論文の検索サイトを無料で使うことができる。この帰りにもクラスの数人でダウンタウンの湖沿いのシーフードレストランに出かけた。
授業とは別に週2回、授業後の午後にシアトルの有名な観光地などを訪れるアクティビティがあった。任意参加であったが、私は寮の友達とともにできる限り参加した。内容としては、大学内で待ち合わせをして全員で目的地まで移動したら、あとは自由行動だった。毎回ワシントン大学の学生やスタッフが3人引率してくれた。その学生たちは、私たちが気軽に話しかけることのできる唯一にネイティブであったため、移動中のバスや電車で積極的に話しかけ、オススメのお店などを教えてもらっていた。全6回のアクティビティの中でもっとも思い出に残っているのが、ベインブリッジ島である。ダウンタウンからフェリーに乗ること約40分で、高い建物の一切ないおしゃれな雑貨店が並ぶ静かな島へ行くことができ、有名なアイスとクレープを食べたり、ラベンダーの専門店で買い物をしたりした。そのフェリーの運賃はあらかじめ学費に含まれていた。
図 2 ベインブリッジ島に向かうフェリーの様子
留学から何を学び、それを今後どのように活かしたいか
授業中は3人程度のグループワークが多かったが、それで日本人以外の学生と取り組むことで非常にたくさんのことを吸収した。もっとも強烈な思い出は、日本人がいかに真面目でシャイかということである。毎日8:30に始業するときには、教室にいる学生が日本人のみであることがほとんどで、サウジアラビアの学生たちは毎日少し遅れて、コーヒー片手にやってくる、という様子であった。プレセンテージョンやグループワークで彼らと一緒になると、あまりの自由気ままさに苛立ってしまうこともあったが、その国民性の違いをむしろプラスに捉えて役割分担などができればよかったと反省した。日本で経験して来たグループワークと、様々な国の人が集まるそれとは、他のメンバーに期待することや自分が果たせる役割も変わってくるということを学んだ。同時に、自分自身が海外の人から見た典型的な日本人であるのだということを自覚した。
さらに他の国の学生は、授業中、先生の説明を割ってでも質問をしたり意見を述べたりしており、聞き取ることに夢中な私はしょっちゅう置いていかれた。私含め日本人学生は、授業中は静かにただ先生の話を聞いていれば良いというスタンスだったが、授業になれるうちに積極的に質問したり先生の問いかけに対して答えたりするようになった。アメリカではこのようなスタイルが当たり前であり、その方がよりエネルギーのある、行きたいと感じられる授業であると感じた。
3週間を通して、もっともリスニングのスキルが上達したと感じた。スピーキングについては、とっさに使えるボキャブラリーやイディオムが増えたことが収穫であった。今後、長期の留学をするためには4技能全てにおいて足りていない部分がたくさんあるが、担当の先生に英語に触れ続けることが一番大切であると言われたため、これからも英語スピーキングの授業や積極的に資格試験を受験するなどして勉強を続けていきたいと思う。
図3授業教室の入る建物と大学名物の噴水
もちろん、授業外の放課後や休日に友達と一緒にシアトル観光を楽しんだことでも、たくさんの収穫があった。私は、日本人の友達とも極力英語で会話するように決めていたが、ある日、電車の中で私たちの会話を聞いていた女性からカフェと図書館のクーポンを頂いた。2日に1回ほど通ったコンビニエンスストアの陽気な店員も私たちの顔と名前を覚えて、幾度も雑談をした。シアトルには世界的に有名な企業のオフィスが集まっていたり、ワシントン大学のような規模の大きい大学があったりするためか、拙い英語の私たちにもこのように非常に優しく対応してくれる人がとても多かった。初めて1人で訪れた外国で、この街を選んで本当に良かったと感じた。
留学前の準備
ワシントン大学のホームページには、Academic Skills STEPに参加するにはTOEFL iBTのスコア61以上が必要であると書かれていました。私はそれ以上に該当するTOEFL ITPのスコアを持っていたのですが、直接メールして尋ねてみたところそれでも大丈夫とのことだったので、特に事前に英語の試験は受けませんでした。勉強は夏休みに入ってから、初日のテストに備えて、TOEFL iBT対策模擬問題のリスニングセクションをいくつか解きました。また、出発1ヶ月前から英会話にも通いました。直前まで部活をしていたため、準備が十分でないと不安も感じていましたが、何かわからないことがあるたびに、ワシントン大学側へ直接メールして質問していたため、そのようなことの繰り返しから何となく精神的に準備が進んでいたかなと思います。
留学費用
- 航空券:往復約20万円(ANAの直行便
- 住居費:寮が3週間で700ドル(約77,000円)+手数料、加えて前泊に50ドル(5,500円)最終日のホテルに約7,700円
- 保険料:約8,000円
- 授業料:約18万円
- 生活費:約12万円(遊び、お土産等に使ったお金を全て含めて)
- 奨学金:8万円
留学先での住居
私は大学内の寮を選択しました。部屋は2人用でしたが、ルームメイトはおらず、3週間ひとりで広々と使いました。食事は全くついておらず、シャワーやトイレも共用でした。洗濯機と電子レンジはありましたが、冷蔵庫はありませんでした。毎日教室へ行くのに交通費と時間がかからなかった(徒歩10分)のでその点は楽でしたし、少し歩けばユニバーシティディストリクトにコンビニやスーパーマーケットがあったので生活しやすかったです。何かあった時も、すぐ隣の寮のデスクに24時間スタッフがいたので安心でした。
過去の参加者のコメントに、寮だと日本人ばかりで日本語を使ってしまうためホームステイの方が良い、という意見があったため、少し不安に思っていましたが、私の場合は、むしろ逆の状況であったと言えます。大学を通して団体で申し込んで来ている人はほとんどホームステイでしたが、その分ホストファミリーに会わない日中は友達とずっと日本語を使って話している印象でした。さらに、放任主義のホストファミリーに当たると、あまり会話をしない様子でした。しかし、寮の日本人はほとんどが個人申込で来ていたため、「英語で話したい!」という意識が合う学生が多く、最終的には寮の友達とは日本人同士でも英語のみを使うように決めて頑張りました。台湾の学生もいて、寮のみんなで夜ご飯を食べに行ったこともあり、とてもいい思い出です。私は、クラスの学生と一緒に遊びに行くことはなく、休日もほとんど同じ寮の友達と過ごしたので、クラスと寮という二つのコミュニティがあってそれを選べたことは良かったと思います。
留学先で困ったこと(もしあれば)
終始風邪をひいていたことです。出発前3日くらいは無理をせず、特に予定を入れずにゆっくり過ごすことをお勧めします。シアトルの夏は、明け方には12度ほどまで冷え込みますので、暖かい服装を用意して行くといいです。
留学を希望する後輩へアドバイス
夏休みは部活やサークルなど他にも熱中したいことがあるかと思いますが、このプログラムは3週間ですのでそれらと両立して充実した夏休みを送ることができるためオススメです。3週間じゃ何も変わらないだろうと思う人も多いと思いますが、私は海外のいい友達ができたり、授業のグループワークを通して他の国の学生の考え方から学んだり、日常生活でシアトルの人々の暖かさに触れたりなど、かけがえのない経験ができました。シアトルはとても治安が良くて過ごしやすいところですので、海外が初めてという方でも心配せずに3週間過ごせると思います。
この体験談の留学・国際経験プログラム情報
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