派遣交換留学 デルフト工科大学 2022年8月9日~ 2023年8月28日

派遣交換留学 デルフト工科大学 2022年8月9日~ 2023年8月28日

留学時の学年:
修士2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 建築学系
留学先国:
オランダ王国
留学先大学:
デルフト工科大学
留学期間:
2022年8月9日~ 2023年8月28日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

TU Delft Bouwkundeは、建築、エンジニアリング、ランドスケープ、アーバニズムをコースとして含む建造環境について学ぶ学科です。

留学前の準備

大学院課程で留学した場合:就職活動、修士・博士論文などとの兼ね合いを含め、修了までの計画をどう立てたか

建築分野の中小企業の就職活動が入社の直前に行われること、オランダでの就職も考えていたことから、事前に就職活動はしなかった。
自分の学びに継続性を持たせるため、修士研究の調査を留学先で行うことにした。またこのことで留学の半年間と修士研究の半年間が重なり、半年の短縮になる。短いことは良いこととは言い切れないが、担当してくださっている教授のご退官には間に合うようスケジュールした。

その他

行ってみるのが一番だと痛感した。行って行動すれば大体のことは何とかなるし、事務的なものを除いて、事前情報で役に立ったと思えるものはほとんどない。
事務的なことに関しては、デルフト工科大はかなり手続きが整備されている。ビザは大学が半分手続きを肩代わりしてくれて、現地では簡単な手続きで済んだ。住居の手配も大学を経由して出願時に済ませることができる。

留学中の勉学・研究

留学中の1年は普通の修士1年生と同じカリキュラムをやった。建築を勉強する環境としては信じられないぐらい高いクオリティのものが実現されていると感じた。一方で、学生からは、日本ではしばしば感じる競争的な雰囲気は感じなかった。
始めのセメスターは半年間の設計課題とグループで執筆する論文の準備講座のようなものをやり、後期のセメスターは1クウォーターの設計課題ふたつに加え、個人執筆の論文の授業があった。結果は数値的には、総じてかなり満足のいく成績だったとはいえ、1年では1つの授業の枠組みにあるほんの一部の文脈にしか触れることができなかった。



留学中に行った勉学・研究以外の活動

とにかくたくさん国内外の旅行をしようとした。予定を立てる際に、国際免許証を取ってからくればよかったと後悔することも多かったが、そもそも留学プログラムでは運転は許可されていない。帰りは荷物をあらかじめすべて日本に送って、8か国ほど経由して帰ってきた。
設計課題の敷地調査で、観光地でも何でもないノルウェー北端の街に行った時から、観光地ではない場所を歩くことの魅力を知って、留学後半はそういった場所も訪れるようにしていた。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

授業の最終プレゼンテーションで、滑らかに質疑応答ができたときが印象に残っている。
また、半年で交換留学を終えたシンガポールの友達と半年ぶりに会ったとき、会話力がかなりついていることに気づいてうれしかった。

留学費用

渡航費はトランジットを使うなら片道€700-800で、直行便では€1,000ほどだったと記憶している。
生活費は、家賃が光熱費込みで€500、食費や交際費などが€300ほどかかっていた。
保険料は学校指定のもののみで、オランダ国内で入りなおす必要はなかった。
ただし、ビザを申請するのに、十分な生活費があることの証明として、予め€12,000ほど送金する必要がある。これはデポジットなので、半年したら返金される。
奨学金は、トビタテが無い年だったのでJASSOだけいただいていた。また、建築分野の奨学金を複数いただいていたので、それを生活費に充てた。

留学先での住居

大学の契約している寮に住んだ。出願時にインターネットで寮を選ぶことができる。
3人で一つの個室以外にリビングと水回りを共有するタイプの寮だった。ルームメイトは両方ともインド人で、生活スタイルや価値観を合わせていくのにお互いが苦労したと思う。

留学先での語学状況

オランダ人は子供から高齢の方まで、信じられないぐらい英語が話せる。大学院では半数がインターナショナルだが、全て英語で授業が行われている。授業で話す言葉よりも、日常会話の方が慣れるのに時間がかかった。英語の環境に慣れるのに最初の1,2か月は要したと思う。

単位認定(互換)、在学期間

行う予定。在学期間の延長は行った。

就職活動

オランダのオフィスとは一回だけ話した。そこでは、能力的には大丈夫なのでほとんどビザの問題だという話を聞いた。ヨーロッパでビザを取るのであれば、30歳を過ぎると収入の要件が追加されるので、30歳以下でかつ学生としてヨーロッパに入ったほうがいいとのことだった。今はデルフトのポストグラジュエートという修士卒向けの課程への進学も視野に入れつつ考えている。

留学先で困ったこと(もしあれば)

とくに大きな悩み事はなかったように思う。

留学を希望する後輩へアドバイス

一年でも、日本の外へ出て帰ってくると、以前はなんとも思っていなかったものに強烈な違和感を感じるようになるのが、海外に住むことの面白いところです。それは大げさに言えば、社会的な規範を自分の中で相対化する過程です。オランダが自分に与えてくれたものの中で、学際的な知だけでなく、このような直感的で身体的な知のほうにも価値があったと思っています。社会に出てその規範が深く身についてしまうと、そこから距離を取るのは難しいと思います。だから学生のうちが絶好のチャンスだと思います。いまはトビタテなどの事業もまた活用できるようになったと聞きますので、ぜひ行ってみてください。

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