派遣交換留学 アーヘン工科大学 2017年9月1日~2018年7月31日

派遣交換留学 アーヘン工科大学 2017年9月1日~2018年7月31日

留学時の学年:
修士課程1年
東工大での所属:
生命理工学院 生命理工学系 生命理工学コース
留学先国:
ドイツ連邦共和国
留学先大学:
アーヘン工科大学
留学期間:
2017年9月1日~2018年7月31日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

アーヘン工科大学は、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州アーヘンにある工科大学である。アーヘンはドイツの最西端にあり、オランダとベルギーとの3国の国境点もある。アーヘン工科大学はキャンパスに集約された大学ではなく、大学の建物はアーヘン中心部に分散している。私は医学部に属する研究室に申し込んだため、アーヘンのさらに西部の大学病院に通っていた。学生が多いうえ、留学生の割合も多い。国境近くということもあり国際的な街である。

留学前の準備

以前から留学に行きたいとぼんやり考えていたが、何も行動を起こしていなかった。なんとなく交換留学の募集要項を見てみたところ応募締め切りの2か月前だったので、急いでTOEFLの勉強を始め、留学先研究室を調べて連絡をした。奨学金応募のための準備にもかなりの時間を割いた。

半年ではなく1年間行きたかったこと、講義は受けず研究をしたかったこと、研究分野が東工大での研究と異なることと、就職活動の時期なども考慮し、修士を1年延ばすことにした。
留学課からの説明を受けたので、何を準備したら良いのかわかりやすく、大きな問題はなかった。

留学中の勉学・研究

研究をしたいと思ったので専門的な講義は取らなかったが、9月と前期はドイツ語の講義をとった。しかし研究室と講義室が離れていたため実験に支障があり、後期は受講しなかった。日本で初級レベル(A1)は習っていたので、A2レベルを受講したが、説明もドイツ語だったので非常にハードだった。また、周りの学生はA2レベル以上に話せる人が多かった。しかし文法となると周りよりも自分の方ができると感じた。自分は今まで、ツールとしてではなく知識としてドイツ語を学んでいたのだと気づいて悲しくなった。成績は悪くはなかったが、スピーキングはあまり上達していなかった。

平日は毎日研究室に通っていた。ALS(筋萎縮性側索硬化症)という運動神経変性疾患の病理解明を目的とした研究をおこなった。病院に研究室があったため、マウスや細胞モデルだけではなく、患者の診断用につかった生検材料や検死材料も扱っており、専門的だと感じた。また、東工大の研究室でおこなったことのない実験を主に扱い、新たな技術を習得できたので良かった。同じ実験でも少しずつプロトコルが異なり新鮮だった。

実験プロジェクトを与えてもらい、研究室ミーティングでプレゼン発表できるぐらいの成果を出すことができた。後半は他のプロジェクトも手伝いはじめ、両立が難しかったが、十分な結果は残せたと感じている。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

ヨーロッパのいろいろな国に旅行に行った。週末だけでも旅行することができる近さだったので良かった。今まで地図や写真でしか見たことのない世界だったので、自分の足で行くことができ感動した。自転車を使うこともあった。

大学でテニス、バレーボール、バドミントンなどのスポーツをした。特にテニスでは一緒にプレーするコミュニティーができ、そのメンバーでご飯を食べたり飲みに行ったりなど、仲良くなれたので良かった。また、街の中心部にピアノが弾ける本屋さんがあり、しばしば通っていた。たまに拍手してくれる人や話しかけてくれる人がいて嬉しかった。

様々な国の出身の友人たちと一緒にホームパーティーをして、それぞれの国の料理をごちそうしてもらった。日本で食べたことのあるような他国の料理とはまた違ったが、どれもおいしかった。自分自身も、手巻き寿司、お好み焼き、たこ焼き、すき焼き、照り焼きチキン、いちご大福などを作った。

研究室の先生夫婦の子どもに折り紙を教える機会があった。鶴や手裏剣、恐竜の作り方を教えてあげると、すごく喜んでもらえた。日本人としてはなんてことのない折り紙も、外国人から見ると感動するのかもしれないと思った。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

留学を開始したばかりの頃は、不安や寂しさがあったり、英語で思うようにコミュニケーションできなかったりしてストレスを感じることが多かった。すぐに慣れはしたものの、なかなか自信をつけるのは難しかった。帰国する直前、友人に誘われ1週間のイギリス旅行に行った。自分以外は3人とも台湾人と聞き、楽しめるか不安ではじめは迷っていたが、結局行くことにした。実際行ってみると、なんのストレスもなく楽しむことができ、友人たちのおかげもあるが自分の成長も感じた。1年前の自分だったら、外国人3人と1週間の旅行に行き楽しめるなんて考えられなかったなと思った。英語力、コミュニケーション力ともに成長したと思う。

留学費用

  • 渡航費:直行便往復16万円
  • 生活費:5万円ほど
  • 住居費:ネット代込みで3.5万円/月
  • 保険料:東工大指定の保険と現地の保険あわせて28万円
  • 学費(学生のサービスを受けるために必要な費用):7万円
  • アーヘンは小さな街なのもあり物価は安かったと思うが、旅行費と日本の食品は高くついた。
  • 奨学金:16万円/月

留学先での住居

大学病院内の研究室で研究していたため、教授が病院従業員専用のアパートを確保してくれた。研究室への受け入れが確定した直後に予約してくれたため、スムーズだった。一人の部屋で、キッチン、バスルームもついており、洗濯機と乾燥機のみ共用だった。自分でネットワークを申し込まなければならなかったが、家賃もそれほど高くなく、十分にきれいであり、恵まれていたと思う。楽だった一方で、フラットシェアの友人などはいつでも話し相手がいて、気持ちの面でも英語力の面でもうらやましく思うこともあった。

留学先での語学状況

研究室での活動も、日常生活もほぼ英語だった。留学応募直前からTOEFLの勉強をはじめ71点をとったが、スピーキングについては半ばあきらめてほぼ何もしていなかった。留学することが決定してからは積極的に留学生と話したり、英語のディスカッションがある授業をとったりした。しかし十分でなく、留学初期は非常に困った。聞き取ることも話すことも苦労したが、周りの人の手助けもあって徐々に慣れてきた。また、出身国や人によってそれぞれ発音やアクセントに癖があるのも、難しく感じた。

日常生活でも、街の若い人はほとんど英語も話せるため、ドイツ語を話す必要はほとんどなかった。お年寄りはドイツ語しか話せない人が多い。ドイツ語は高校と大学で少し習ったことがあり、簡単なものは知っていたのと、講義も受けたので、困るほどではなかった。重要な手続きの際などは、ドイツ人の友人に協力してもらった。ただ、ドイツ語が話せたらもっとたくさんのドイツ人と交友関係を持てたのだろうと感じるので、その点は少し後悔している。

単位認定(互換)、在学期間

研究を目的にしたので、単位の認定はおこなわない予定である。在学期間は1年延長する。

就職活動

留学先で就職活動は特におこなわなかった。普通の修士1年生と同様に、次の3月から始める予定である。

留学先で困ったこと(もしあれば)

特に大きな問題はなかった。

留学を希望する後輩へアドバイス

実はアーヘン工科大学は第一志望の大学ではなく、第一志望の大学に半年行くか、第二志望のアーヘンに1年行くか選択しなければならなかった。半年留学では慣れてきたころに終わってしまうだろうと予想し、1年行くことを選んだ。結果、アーヘンという小さい街はとても住みやすく、人々も国際色豊かであり優しく、知り合った友人たちにも恵まれ、こちらに来てよかったと感じている。また1年という期間を選択したことも正解だった。ぜひ1年間の留学にトライすることをおすすめしたいし、どの大学に行っても貴重な体験ができると思う。

留学を実現するうえで一番必要なのははじめの勇気だと思う。不安なことや面倒なこともあるが、たいてい乗り越えていくことができるし、周りの人に助けてもらうこともできる。達成できたこと、できなかったことどちらもあるが、いろいろな経験ができ、刺激があり充実していた。また、1つチャレンジをすると、その経験が次のチャレンジの際に助けになる。留学に限ったことではないが、ぜひ勇気を出してトライしてみてほしい。

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