派遣交換留学 インド工科大学マドラス校 2019年7月15日~2020年2月28日

派遣交換留学 インド工科大学マドラス校 2019年7月15日~2020年2月28日

留学時の学年:
修士課程1年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 土木・環境工学系 都市・環境学コース
留学先国:
インド
留学先大学:
インド工科大学マドラス校
留学期間:
2019年7月15日~2020年2月28日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

  • インド工科大学マドラス校(IITM)
  • L&T Infrastructure Engineering Ltd. (インド最大手の建設コンサル兼ゼネコン)
  • JIC (高速鉄道建設や東南アジアを中心とした都市鉄道事業等への参画を行う建設コンサル)

留学前の準備

留学を現実的なものにするための準備

留学をしたいという考えはぼんやりとしていたものの学部一年のころからの思いではあった。そのため 、学部の比較的早いうちから留学実現への努力をしており、特に、良い成績をキープすることで「自分のやりたい内容を扱い、かつ、留学に寛容で学部4年で、院の講義の先取りを許可してくれる 教授の 研究室」を選べるように努力した 。というのも、私が浪人していたこともあり、できれば長い間留学しつつも在学期間を延ばさない方法はないものかと考えていたからである。また、学部時代から英語力増強に励み、「国際コミュニケーション選択」にあたる講義を豊富に受講した。 留学1年前を目安に 、留学に関する様々な募集が始まるわけだが 、特にTOEFL受験はギリギリになりがちである。私も結局ギリギリになってしまったが、学部から培ってきた準備もあり無事切符を得ることができた。

トビタテに関する対策として、留学1年前から留学の内容を具体的なものにしなければならないため大変ではあったが、東工大コミュニティーの力を借りながら準備をした。第一ステップである書類審査におけるコツ(後になって苦労しない書き方)や、面接におけるコツ(専門的な内容を簡単な形にして伝えることや、面白さ・情熱を伝えることなど)など、トビタテ選考に求められる独特な対策ができた。また、他の志望生の留学計画を知ることができ、加えて、背景知識の異なる東工大生に自分の専門的な留学計画を説明する場ということで、自分の留学計画や面接スタイルを見直す有意義な場でもあった。

修士課程の単位履修に関して

学部4年となった後は、先輩の修士課程履修要項を拝借して修士の卒業要件を人一倍 読み、特に「文系、キャリア、必修講義、単位読み替え」の部分を熟読して、早いうちから担当教諭に相談した。努力の甲斐あって、M1で東工大に在籍した期間は1Qのみであったが、M2の1Qで文系科目を1単位1履修するだけで済むように(講 究を除く)効率的に計画を立てることができた。すなわち、B4の時点でM2までの履修計画をおおよそ立て終わっていた。

就活に関して

土木の学科では、学部三年の夏休みにインターンを行う風潮があることもあり(単位にもなる)、私もインターンを経験した。後述するがこれが大変大きな意味を持つことになるため、本当に経験してよか ったと思う。私の場合は一度学部で就職したいと考えた経緯があり(留学したいから就職を辞めた)、冬・春のインターンにも参加したり、当時の周りの人よりも具体的に将来を考えたりした。このおかげで、留学前の時点で就職したい企業を具体的に持っていることができ、留学前にOB訪問をすることができた。

インド独特の準備

インドということで予防接種が強く推奨されるが、その準備が思ったより大変であった。大変というのは期間とお金の問題(詳細は後述)で大変であった。私は、大学が主催する安全講習会が開催された留学2か月前から考え始めたが、これですら十分な予防接種を終わらせるのがギリギリであった。加えて、予防接種等の代金支払いの時期とトビタテのお金が振り込まれる時期にギャップがあり、留学前は想像以上に金欠になってしまったことも予想外であった。

また、東工大からIITMに交換留学した学生はこれまで居なかったため、かなり手探り状態で準備をする必要があった。研究室に関しても、何度かメールのやりとりはしたが話し合いもあまりうまく行かず、研究室の環境もつかめなかった。そこで、「とりあえず授業履修生という形でインドに渡航しても、後ほど研究室所属をしたり期間延長をしたりすること が可能 」ということを確認し、とりあえず渡航した(結局研究室所属はしていない)。生活に関しても詳しいことはよく分からなかったが、とにかく留学をしている他の学生よりもたくさんのものを日本から持ちこまなければならないということは判断できたため、たくさん荷物の積み込めるタイプの航空券を予約した。

留学中の勉学・研究

履修した講義は4つで、ミクロ交通学に関する講義、フィールドワークや最新シミュレーションの活用を含めた交通計画に関するスタジオ形式の講義、交通工学の事象を題材にプログラミングを学ぶ学部の講義、そして文系である。言語は全て英語、いや、インド英語である。というのも、他にも興味がある講義はあったが、教授の英語の訛りがひどすぎて聞き取れず、履修を断念した。選択した講義は比較的聞き取りやすい英語を話す教授の講義である。単位互換が可能なのは前半の二つのみであるが、卒業単位には余裕があるため、比較的自分の興味で履修講義は選択した。

履修講義はたった4つかと感じるかもしれないが、各講義は週3回程度開催され、また、世界的基準に合わせた大量の課題を与えてくる(日本は世界的に見ても課題が緩すぎるようです)ため、そこまで 暇ではなかった。また、私は今回の留学でインドならではの文化を体得する要素も取り込みたかったため、大学に縛られる時間は少なくしたいと考え、自分のペースより少なめに履修したという部分もある。

講義の環境は正直言って悪い。講義室に関しては室温35°Cを超える部屋の中でファンが回っているだけである。また非常に古いスタイルを貫いている教授も居て、講義にスライドは使うが学生にはシェアせずノートに書きとらせるタイプであったため、英語の速記になれていない私としては辛かった。私の場合はスライドの下からノートを書いていき、全て書ききれなかった他のインド人学生とシェアすることで、内容を埋め合わせた。パソコン環境もよくなく、最新でもWin 7、 さらには、Win XPのものもいくつかあった。Computer Science学科のインド人の友人のラボを見学した際は、Win10、また、AC付きの部屋であった。学科によって全く環境が異なるようである。

また、講義予定の変更や振り替えは頻繁に行われるが、連絡なく中止となったり直前にメールが来たりと、インドらしさ満載である。一方で扱っている内容はトップレベルで、学生のレベルの高さ・集中力の高さは恐ろしかった。中間・期末テストの難易度は非常に高く、3時間というテスト時間もさることながら、「問題に対して簡潔に述べる というよりは、与えられているテーマについて知っていることを沢山書くことで評価される」という インド流のスタイルがあり、長時間連続で英語を書きなぐるというのは大変であった。
なお、今回の留学において研究活動は一切していない。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

学内での活動

基本的には全寮制なので、夕方は頻繁にバレーボールやクリケット、卓球、ジム、バトミントンなどのスポーツを楽しんでいた。また、ヨガの講義(単位にはならない・一学期約3000円)が週に3回あり、毎回出席というよりは気が向いたら参加していた。日本人が想像するようなセレブのヨガとは異なり、かなりハードなポーズ(逆立ち、静止が難しいポーズなど)を要求されるので、かなり疲れるが刺激的であった。教授の奥さんが料理教室を有志で開いており(有料、1回1000円くらい)、カレーやナンをはじめとしたインディアンブレッドを粉か ら作るレシピを学べるということで、留学生に人気のイベントであった。

また、10月末にInternational Dayという、留学生がインド人に向けて行う催しがあった。クッキング部門は、各国で数人にチームを作り、学生や教職員に提供、そしてインド料理店で働くシェフをゲストとして迎え順位がつけられる。我々は焼きそばを提供し、20チーム 中3位の成績を取った。ベジ対応のメニューにしたこと、アジアの味付けがインド人の舌にあったことなどが高評価だったと思われる。また、パフォーマンス部門では我々は盆踊りを披露し、会場を 盛り上 げた。浴衣や法被を着 てパフォーマンスをし、私は和太鼓風のドラムを演奏、簡単な振り付けにして途中から 会場の人々をステージへ引っ張り躍らせたこと も良い工夫点だったかもしれない。他の国からの人々は、ボリウッドダンスやバンドを披露するなどしていた。

最後に、活動というほどでもないが、学内には数えきれないほどの犬・猫・鹿・サルが生息しており(学校全体が自然保護区)、気づかないうちに合計50時間以上はおそらく動物との触れ合いに時間を費やしてしまっていたと思う。

IITM時代の学外

旅行という点では、例えば、大学からバスに乗って1時間ほどのビーチではサーフィンが1000円くらいで楽しめる場所があり、週末に何度か体験しに行った。海の水はきれいではないと思われるが体調を崩したことはない。運が良いとイルカと一緒にサーフィンができる。近くにあるヒンドゥー教寺院などにも足を運んだ。本殿にはヒンドゥー教徒しか入れない部分もあるため注意が必要であるが、それでも 生活の一部としての宗教は十分に理解できるし、様々なしきたりにも参加できる。加えて、チェンナイ近郊にはいくつか有名な観光地がある。IITMの学生団体が主催してくれていた留学生向けのツアーもあったが、私は予定に縛られるのが好きではないので、仲良くなったインド人にガイドをしてもらいながら、マハバリプラムやポンディシェリーという都市(チェンナイから50km, 150kmの距離 )へ旅行し、週末を満喫した。

また、DiwaliやPongalというインドの大きなお祭りも大変楽しんだ。特にDiwaliは花火や爆竹を楽しむ祭りなのだが、道の真ん中で打ち上げ花火を上げる、深夜まで爆発音、大気汚染の酷さ(タバコを吸っていた方がましというレベル)などなどインドらしさ満点で、個人的には大変楽しめた。留学生交流課の職員の方が結婚するという事で、結婚式に参加させてもらったこともあった。3日間に及ぶ結婚式全日に参加したわけではないが、インド伝統の服を身にまとい、名前も知らないおじさんおばさんと永遠に踊り、日本と全く異なる結婚式の文化を学んだ。

最後に、私は美味しいグルメを求めて頻繁に学外へ出ていた。1000円くらいで絶品カニカレーやエビカレー、そして日本人がシェフの日本料理屋では、チェンナイの魚を用いた刺身まで楽しめるため、大変満足したのだが、インド人の金銭感覚からはズレており、また、欧州人も学生は料理にお金をかける文化はあまりないようなので、日本人を誘うか、一人で行くことが基本である。私の場合は仲の良いインド人と共にレストランへ行き、友達分の一部も支払う代わりについてきてもらった。

ちなみに、大学側としては大学敷地外に行くことはあまり推奨していないが(学外に行かなくてもよいようにスーパーや病院、床屋なども学内に完備されている)、私は完全に流れに逆らい、頻繁に学外に出ていた。

ヒンドゥー都市を巡るミニプロジェクト

かつて、神社を中心とした都市区画についてリサーチしたことがあった。その際、神社近隣は神社を中心に四方に延びる道に大きな意味を持つ一方で、ヒンドゥー教寺院近隣は寺院を四角形に何重にも取り囲む道に大きな意味があるという背景知識があった。この違いを都市レベルで視察したいと考えていた。そこで、自分の専門からは少し離れるが、南インドの寺院を巡り都市構造の違いを視察するミニプロジェクトを自ら計画し、IITMの構造建築系の先生にこのプロジェクトに協力してもらうよう依頼した。

初めの二週間で背景知識を研究室の学生のアドバイスをもらいながら身に着け、その後二週間をかけて、マドゥライ、スリランガム、チダンバラム,ティルヴァンナーマライの4都市を巡り、随所にみられるヒンドゥー都市特有の区画構造や、宗教観に基づくカーストの住み分けを反映した業種の偏りなどを体得することができた。

インターン

一社目のインターンはL&Tというインドを代表する大建設コンサル・ゼネコン企業で行い、自分以外はインド人しかいないという環境で約1か月半、チェンナイにて業務を 行った。業務内容としては、Guindy駅という、大きな国道に沿ってメトロと国鉄と大バスターミナルが集まっているエリアの改善案 を考えるというものであった。元々存在していたプロジェクトではなく、完全にインターンのために与えられたテーマであるが、背景には、この地域の改善を日本的な目線で考えた成果物を以って、担当していただいた部長が今後のインドでの交通結節点での開発を議論する際のアイデアの引き出しにしたいという意図があった。

改善案を考えるにあたって、まずは現状把握から取り掛かったが、駅周辺の詳細な設計図は無く、また信じられないことに、バスの路線図や時刻表、各駅の利用者数などの基礎データが全く存在していなかった。そこで、現場視察は当然のこと、360度カメラ(自前)を用いた利用者数把握や人の流動数の計算から始めた。加えて、駅周辺利用者に英語とタミル語で作成したアンケート調査を行い、人々の不便の原因やその不便が発生している箇所を明らかにした。その後アンケートの結果を用いて、主にハード面での改善計画をまとめ提案させていただいた。

二社目のインターンはJICというインド高速鉄道プロジェクトの主体である日本企業で行い、二本人とインド人が約2:1という環境で約2週間、グルガオンにて業務にあたった。業務内容は、まさにこれから建設されるムンバイ駅の開発について、これまでの経緯を批評したうえで、一定の提言を行うというものであった。

日本側とインド側の協議の場に参加させて頂いたり、これまでの関連資料を読み込んだり、2日間現地調査(自費)を行ったりしたうえで、ムンバイ駅の敷地策定の評価や、ムンバイ駅建設による広域的な交通の影響を副軸としながら、「日本流の開発をムンバイ駅で行うためのプロセスやデザイン」について深く考察した。日本流の開発とは、駅ビル一体開発や各交通のシームレスな結節を意味しており、焦点となったのはそのような日本流開発の良さがインド側に理解されていない一方で、公共交通機関はインドにおいて下級層が利用する交通であるため、土地所有者やデベロッパー側からすると一体開発はかえって土地の価値を下げてしまうという意識があることであった。そのような背景の中で、様々な階層の人々にメリットのある開発計画とは何かについて提案し、まとめさせていただいた。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

タフさ・営業力

タフさに一段と磨きがかかった。40°Cを超える環境の中でデング熱にかかったり、インド特有の急な予定変更に何度も見舞われたり、現地調査中に駅員に怪しまれ拘束されたりと、想像外の出来事は毎日のように起きる。元々タフさを持っている人間ではあったものの初期はさすがに疲弊した。しかし生活を重ねるうちに、何のための留学だったか考えたり、ここでひるんで文句を言っていたところで何も変わらないと考えたりするようになり、次第に冷静にベストな行動を考えるようになり、結果としてどんな状況においても自分の立てた留学の目標を見失わないように努力することができた。

特に、予定していた2か月のインターンの受け入れが難しくなりそうだと連絡を受け た時は一番想定外のハプニングであったが、使えるコネは最大限使い、様々な人に短期間でも開催してもらえるように依頼し、最終的には2週間の期間を確保することができた。加えて、空白になってしまった期間を生かそうと考え、たまたま開催されていた技術EXPOに足を運び、誰も知り合いのいない中で自分を売り込み新たなインターン先の斡旋をお願いした。最終的には3社からのOKを貰い、その中でベストなインターン先を選ぶことができた。コネや成績、大学名などを使わずにゼロから自分を売り込む力、いわゆる営業力のようなものは、これまでの人生では経験したことのないものであった ため非常に成長を実感している。



素直さ ・図々しさ

また別の視点としては、素直さが増したことも成長を実感したエピソードがある。プライドのせいか、良くないとわかっていても英語を聞いていてわかったふりをしてしまうことが初期はあった。何か話の流れを止めてしまうような気がしてしまうことも原因の一つだと思う。また、「交通先進国日本から来た優秀な学生」のような扱われ方をされていたのも、地味なプレッシャーになっていたかもしれない。しかしその分議論に参加できなかった経験も多く、一方でインド人は小さいことでもずかずかと質問していく様子を見ていると、もっと図々しく正直になっていい気がして、それ以降徐々に素直さが増していっ た。すると講義でも「日本的視点からはどう思うか」などと先生に絡まれるようになった 。加えて、「わからない」「難しい」「つまらない」などと正直な心持ちを学科内外問わずさらけ出すようになってから一気に友達が増えた。いらないプライドのようなものが取れた感覚があった。

この成長は追加のインターン先候補との面談の時にも役立った。日本のインターンのように業務を与えられる、もしくは、選ぶというような状況はない。「君はうちの会社で何をして、何を学びたいのか」とのみ尋ねられ、基本的には自分のやりたいことをやらせてくれる。しかし大抵は自分のやりたいことを伝えても100%は伝わらず、やりたいことにはかなり 近いがドンピシャではない内容の業務を 向こう側から提案してくる。かつての自分ならば、「ほぼや りたい事に近い内容だからOK」と考えたり、「インターンを受け入れてくれただけありがたいので十分だ」と考えたりしていたと思う。しかし成長のお陰で、「ここは合っているがここは違う、もっと○○な経験ができる事業はないか、無いとすれば、そのような業務に近しい人を紹介してほしい」と若干図々しくも主張することができ、自分の立てた目標が達成できるインターンを実施できるように交渉することができた。

留学費用

渡航費:合計約73,000円

  • 留学の最初と最後の渡航費...トビタテ補助金(JAL)により支出なし 【羽田→香港→チェンナイ/Cathay Pacific】、 【デリー→成田/JAL】
  • ビザ変更のための一時帰国と再入国...往復で13, 890円&17.300ANAマイル(就航記念割) 【チェンナイ⇔成田/ANA】
  • L&Tインターン→JICインターン...1,800円(CC/AC)、2, 800円(2A)、16,000円 【チェンナイ→バンガロール/インド国鉄】、【 バンガロール→ハイデラバード/インド国鉄】、【ハイデラバード→デリー/Air Asia】
  • JICインターンでのムンバイ視察...往復で28, 000円 【デリー⇔ムンバイ/Air India】
  • 荷物超過分料金...約12 ,000円(約4,000円×3回)

住居費:合計約239,000円

  • IITM寮...約60,000円(約10, 000円/月×約6か月)
  • 南インドプロジェクト時代...約28,000円(2週間/宿の質はピンキリ(800円~8,000円))
  • L&Tインターン時代...約100,000円(約2,500円/日×約40日)
  • JIC/JICAインターン時代...約42,000円(約2,800円/日×約15日)
  • JICインターンでのムンバイ視察...約9,000円(約4,500円/日×2日)

生活費:合計約192,000円

  • 生活必需品初期費用...約30,000円
  • SIM...約12,000円(JIO SIM:1.5GB/日×7か月)
  • 食費(IIT時代)...約75,000円(約500円/日×5か月)
  • 食費(L&Tインターン時代)...約45,000円(約1,000円/日×1か月半)
  • 食費(JIC/JICAインターン時代)...約30,000円(約2,000円/日×2週間)

保険料等:合計約253,000円

  • 保険料...約105,000円(大学指定 海外旅行保険/危機管理サービスKプラン:約7か月分)
  • 予防接種...約105,000円(A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、破傷風、狂犬病)
  • 健康診断...約35,000円(身体測定、視力、聴力、尿検査、血液検査、心電図、腹部超音波)
  • ビザ...約5,000円(学生ビザ)+約3,000円(観光ビザ)

奨学金:合計1,010,000円

有...トビタテ!留学JAPAN(月々12万円、準備金5万円、渡航費全額補助(JAL))

留学先での住居

IITM時代

大学内の学生寮(Bhadra Hostel)、9000円/月、エアコンなし、ファン有、飲料水有、お湯なし(たまに断水)、食事別、約4畳、共用シャワー&トイレ、洗濯機使用可能(無料)、乾燥機なし、有線ネットワーク有(問題なし)、部屋の密閉性0%、一人部屋、ルームメイト豊富(留学生と博士課程学生)、寮内にバレーボールコート(屋外)・バドミントンコート(屋内)付き、たまに動物が騒ぐくらいでイベントがなければ基本的には静か、飲酒・喫煙禁止(構内全域)

L&Tインターン時代(チェンナイ近郊)

紹介してもらったゲストハウス:Happy Home Apartment(会社から徒歩15分)、2,250円/日(値下げ交渉しました)、エアコン有、ファン有、飲料水有、お湯有 (お湯継続1分)、朝食付き、昼食夕食オーダー可能、約12畳、プライベートシャワー&トイレ、洗濯機使用可能(無料)、乾燥機なし、無料Wifi有(微弱)、部屋の密閉性50%、 一人部屋、ルームメイトなし(他人)、静か



JIC/JICAインターン時代(グルガオン中心部)

Booking.comで探したゲストハウス: Arkaya Inn(会社から徒歩15分)、1,600円/日、エアコン有、ファン有、飲料水有、お湯有(お湯継続3分)、朝食付き、昼食夕食オーダー可能、約12畳、プライベートシャワー&トイレ、洗濯機・乾燥機使用可能(無料)、Wifiなし、部屋の密閉性100%、一人部屋、ルームメイトなし(他人)、パーティーがあると25時までうるさい

留学先での語学状況

大学構内やインターン先

一般的な生活をする分にはヒンドゥー語やタミル語を習得する必要は全くない。まず大学について、IITMはタミル語を話す地域に位置するが、それでもヒンドゥー語を母国語とする学生とタミル語を母国語とする学生が2:1くらいである。よってインド人同士でも意思疎通が取れないため、大学内では学生同士のちょっとしたお喋り以外は全て英語である。(ちょっとしたお喋りでも、こちらが英語で話しかけるからといってわざわざ英語をしゃべらせてしまう、というような雰囲気は全くない。)講義、講義資料、レポート、テスト、学内での生活、全て英語で完結できる。このような特徴は南インドでの活動特有のメリットであり、逆に、デリーといった北インド やムンバイをはじめとした、ヒンドゥー文化が根強くヒンドゥー至上主義が蔓延している地域 に留学するならば多少ヒンドゥー語の勉強も必要と言える。

またインターン先についても、基本的には資料、会議、相談、日常会話等含め、全てが英語で完結できる。強いて言うならば、グルガオン(デリー付近)でのインターンにおける外部との討議の場では、やはり上記の理由からヒンドゥー語が主に使われていた。しかし、自分が現地語を知らない事によってインターン先での業務に支障が出たという事はない。

ただし、現地調査を行うのであれば別である。北インドは当然のこと、南インドでも、一般的な庶民は若者を除いて英語はあまり 話せないことを考え、対象地域の言語が達者なインド人と共に調査に出るなどの対策が必要だと思う。また今回の私の留学のように、アンケート調査のような無作為抽出を行う場合は、特に南インドにおいては様々な言語が存在するため、偏りのない結果を得るのは非常に難しい。私の場合は英語しか基本的には会話できなかったため、まずGoogle Formで英語版のアンケートを作り、インターン先の方に手伝ってもらいながらタミル語版のアンケートも作り、そのURLとQRコードを印刷したビラを配ったが、少数ながら一定数存在するヒンドゥー語しか理解できない人々というサンプルを逃してしまっていた部分は反省点である。

学外等での生活

北インド南インド問わず、大手店舗やUber等を使う分には現地語は必要ない。ただし、北インドにおいて、屋台や流しのリクシャー等を使う場合は、相手が若者でない限り意思疎通は不可能になる。南インドについては、特に年配の人は英語を使えない人はいるものの、店に一人は英語が話せる人はいるため、スムーズではないものの意思疎通は取れる。しかし、もし少しでも現地語を知っていると非常に喜ばれ、信じられないほどの割引やサービスをしてくれる上、非常に仲良くなれるので、出国時に日本から現地語の本を持っていき、現地で少しずつ覚えることをお勧めする。

学外等での生活

以上で述べてきた「英語」とは「インド英語/ヒングリッシュ」のことである。語末のtpd等が全て省略される、rが全て巻き舌になる、イントネーションが全て尻上がりで肯定文か疑問文かがわからない等、独特な英語であり最初の2ヶ月は苦労した。例えば「near your hostel」は、「ニアルヨールホステ」に聞こえる。留学前のTOEICの点数は800強くらいだったと思うが、そういう力というよりは、インド英語に対しての耐性が必要だと思う。そのため例えばDMM英会話等でインド出身の人と何度か話すことなどが良い対策だと考える。

単位認定(互換)、在学期間

「留学前の準備」でも述べたが、私は在学期間を延ばさないで最長の留学ができるように計画をした。そのため在学期間は通常通りの学部4年+修士2年で卒業する見込みである。

また「留学中の勉学・研究」でも述べたが、自分の専門に関する修士の講義を2つ、学部の講義を1つ、加えて修士の文系講義を1つ受講した。単位互換可能なのは修士の講義であるため、単位互換の候補は3つあったが、文系講義は既に単位が足りていた、かつ、内容が似ている東工大の講義を探して担当教員に交渉するのが面倒だったため、専門2科目を単位互換した。

私の場合は似た内容の講義が東工大に存在しなかったため、英文表記のままで単位互換したが、この場合は専門の内容を扱う講義にも関わらず専門科目にはならず、広域科目扱いになるため注意が必要である。本来ならば渡航前にシラバスを参照しながら留学先の履修計画を立て、似た内容の講義を担当する先生に交渉・説得をし、渡航前に単位互換の計画を立てるものであるが、IITMの場合はシラバスをWebで閲覧することができないため、事後の対応となった。

最後に、所属するコースに留学自体を評価する科目が存在しなかったため、グロ理開催の「グローバル理工人研修アドバンスト4A」という科目を履修して広域科目の単位とした。

就職活動

現状/5月上旬現在

まさに今就活中(志望は日本企業)だが、結論から言うとかなりキツい。私は3月1日に帰国した。まず、志望したい企業の可能性が狭まってしまったという事は基本的にはない。しかし、周囲の学生は既にいくつか内定を持っているにも関わらず自分は何もないという状況がメンタル的に焦る。
2月までに就活が終わる、いわゆる「早期選考」には参加できない。修士一年の夏に行われたインターンシップの参加生に向けた特別な選考ルートを進むこともできない。とは言っても、留学の経験を加味した何かしらの特殊な選考ルートを期待して、私は3月1週目に行われるk-meetというイベントに合わせて帰ってきたのだが、コロナの影響で中止になってしまったため、何のコネもないまま一般選考に進み、コロナの影響もあって 現在内定は一つもない。繰り返しになるが、決して志望企業の幅が狭まったわけではない。ただ、周りはほとんどの人が就活を終えているということで少なからず焦る。

就職活動開始直前に帰ってくる場合、帰国前にすべきこと

留学前にお勧めすることとしては、学部3年次に少なからずインターンシップに積極的に参加することで、少なからずコネを作ること、また、志望企業を考えるための下地を作っておくことである。前者について、上部の現状では「何もコネがないまま」と述べたが、そうはいってもかつてお世話になった方に連絡し、現在+αの力貰いながら選考を進んでいることは事実である。コネというと響きが悪いが採用する方々も人間なので、少なからず情報が多い人の方が興味を持たれやすいのは当然で、すがれるコネにはすがるべきだと私は考える。後者については「留学前の準備」でも述べたが、これにより、OB訪問や興味を持った業種について先輩に話を聞くこと、また、私のように建設というハードを伴う業種であれば、それぞれの企業が計画した建造物や空間を実際に 肌身感じるという経験を、留学前に行うことができる。コネどうこうよりもむしろこちらの方が重要だと思う。

留学先で困ったこと

正直なところ挙げだしたらきりがないので、意外なトラブルと対処のみ記述する。

  • ほとんどの物が日本より格安で手に入るが、ポリ袋・ジップロック等のビニール製品、ポカリスエットの粉(体調を崩したたときに重宝)、お湯や水で調理できるお粥等(体調を崩したときにカレーは食べる気が起きない)などはインドでは売っていない。
  • Amazon Indiaの品揃えは非常に悪く、国内製品しか扱っていないため、多少こだわりのある、日本では簡単に手に入る商品が手に入らない。
  • 日本からの国際宅急便は意外と無事届くし、インドから日本へ送っても無事届く。その上発送料も 段ボール1つ8000円程度で意外と安い。しかし、日本から送る際は内容物をすべて英語で明記しなければならないので親に負担をかける。また、液体物は一切送ることができない。
  • 大学の寮の部屋には網戸がない。そのため蚊と共に生活するか、窓を閉めて40°Cを超す環境で寝るかという 選択になってしまう。(私は高温の部屋で快適な睡眠がとれず、体力が低下した際に、仕方なく窓を開けて寝たところデング熱にかかった。)マジックテープとセットになった自在型の網を日本から持ち込むことをお勧めする。(蚊帳はインドでも手に入るが、部屋全体をカバーできないのでお勧めしない。)
  • 日本で流通している虫よけスプレーは、インドの蚊には弱すぎて全く効かない。医薬品扱いにされている強力な虫よけスプレーか、Odomosというインドで主流の強力虫よけクリームを使うべき。
  • インドの大気汚染はひどく、特に乾期は目に染みる程である。アイボンのような眼球洗浄液とマスクを買っておくことや、コンタクトの人は大量の1dayコンタクト を購入しておき、インドでは必ず使い捨てのコンタクトレンズを使うことをお勧めする。
  • 公的機関に何か相談しても、必ずたらいまわしにされる。また、人が変わると言っていることが変わる。 まずは日本のようなサービスを期待しないこと、うまく行かない前提でプロセスを進めること が精神衛生上大事で、電話でも対面でも内容は全てメモして、わからないと言われても強気で文句を言う、または、インド人の友達や留学生交流課の人に頼む。
  • Webで手に入れることができる大学や講義の情報が圧倒的に少ない。留学生交流課の方に積極的にメールを送ることがベスト。(日本人的な目線の情報が欲しければ、私に相談してもらえばなんでも相談できます !IITMで日本語を教えている日本人の方を紹介することもできます!)

留学を希望する後輩へアドバイス

「留学で沢山のことを学べる」ということは決して間違いではない。しかし、留学で失うものもある。私のように在学期間を延ばすことなく長期間留学した場合はなおさらであるが、例えば留学に行っている間の日本の講義は受けることができないし、人生を決める要素として非常に大切なインターンシップを経験できる期間もかなり狭まる。そんなデメリットがある中でも自分が留学をするのはなぜか、必要なのはなぜかを自分の中でじっくり考えて、それをどんな環境に置かれていたとしても見失わず、継続して行動する「タフさ」が必要であると思う。
世間は留学を 美化しすぎである。現在信じられないほど留学が流行っている。一方で企業や大学は、「結局留学で何を学んだの?」という事が聞きたいし、それによって評価される。ここに、世間の言うほど、留学したこと自体には評価が至っていないことが分かる。私はB3でもM1でも就職活動をしたが、その傾向は強まっていると今感じている。

だからこそ自分らしい留学とは何か考えじっくり計画を立てて、「これを学ぶまでオレは日本には帰れない!」くらいのタフさを持って留学してほしいし、そんなオンリーワンの留学が達成できれば、この上ない達成感と充実感と経験を得ることができ、誇りを持って今後の人生を歩んでいけると思う。留学をしたいと「漠然」 と考えている後輩が今この文章を読んでいるとするならば、このアドバイスは留学へのモチベーションを下げてしまっているかもしれない。違う。その漠然を引き起こした勘は間違いなく正しいものだと思う。私は、「新しい世界へと足を踏み入れた時、案外新しい世界知るというよりも元居た世界を知る要素の方が大きい」と考えており、誰しもがこの経験はあると言える。

そういう意味で、「こんな狭い国にとどまらずに海外に 出たい!=留学したい!」という勘は、これまでの経験に基づいた 自然な発想だと思う。幸運にも東工大は留学生も比較的多く、留学をサポートするプログラムも手厚い。留学をすでに決意している人はもちろん、留学をしたいと漠然と考えている 人もその勘を大切にして、恵まれた環境を生かしながら自分らしい留学をしてほしいと思う。

追伸:
もしインドに少しでも興味がある人がいれば、遠慮ゼロで連絡してください!アドバイスとして珍しくガチガチ堅固な文章で書いてみましたが、本当の私はフワッフワで気さくな人間ですので、ご心配なさらず!笑

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