派遣交換留学 国立台湾大学  2023/2/12~2023/6/10

派遣交換留学 国立台湾大学  2023/2/12~2023/6/10

留学時の学年:
博士2年
東工大での所属:
電気電子系エネルギーコース
留学先国:
台湾
留学先大学:
国立台湾大学
留学期間:
2023/2/12~2023/6/10
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

大学内は大きな木がうっそうと茂っている
大学内は大きな木がうっそうと茂っている

台湾の中で、一番ランキングの高い大学です。30,000人ほどの学生を有しており、そのうち留学生の数は4,000人ほどです。留学生内の日本人の比率はわずか4.3%ほどであり、想像よりはあまり多くないと思います。台北市内に存在しており、大きな街(中山、台北101など)とのアクセスがかなり良いです。また、大学の周りには公館をはじめとする様々な学生街があり、そこへ研究室の皆と夕飯を食べに行くということをよくやりました。

留学前の準備

留学時期

就活や博士論文にかぶらない様に、博士課程2年の前半に取ることをお勧めします。また、私は学部生の時から半年間程度の留学をすることを決めていたので、学部時代において半年間の早期卒業を行いました。これで早めた半年間を博士課程に回し、博士課程を3.5年で卒業する予定です。3.5年の内の半年間を留学に充てることで、博士課程の研究の時間を減らすことなく、留学をすることが出来ます。

留学先の選定

留学先として台湾を選んだ理由としては、まずTSMCなどの半導体産業を牽引する大企業がいくらか存在することです。私の専攻は半導体を使った太陽電池であり、留学先も半導体材料の研究室にしようと考えていたので、半導体に強い国に留学したいと考えました。また、父親が以前台湾で働いており、その当時台湾の話を色々聞いていたので、興味を持っていたということもあります。さらに、日本に近い国の方が環境にとけこめやすく、4か月という短期間でも、様々なことができるのではないかとも考えました。博士課程の留学ということもあり、留学先で行う研究を無駄にせず、ある程度形にして、出来れば論文を出すところまでやりたいなと考えていました。なので、環境や食文化の大きな変化で体調を崩し、研究が全然できずに留学が終わってしまうというようなことは避けたいなと思っていました。
留学先の決定に関しては、少しいい加減なやり方をとりました。台湾に留学したかったので、「自分の研究分野」+「台湾」+「研究室」でGoogle検索を行い、出てきた研究室のHPを見比べ、一番楽しそうな所にしました。(私が選んだところは、研究室旅行の写真が楽しそうだった)また、よくない考え方かもしれませんが、そこの教授が准教授だったので、留学生の受け入れ実績を積極的に作りたいのではないか、つまり受け入れてもらえる可能性が高いのではないかという打算も働きました。
教授に直接メールを出し、運がいいことに良い返答をもらえたので、所属先が無事決まりました。
ビザの取得に関しては特に困るところはありませんでした。住居に関しても、台湾大学のほうから出願サイト内で「寮に宿泊したいですか?」と聞いてきたので、その案内に従って、無事に台湾大学専用の寮に行くことが出来ました。

英語に関して

留学直前が特に忙しく、十分な準備をしていくことが出来ませんでした。そのため、留学の初めの頃は、単語やかなり短い文を使ってでしか会話できない状態でした。ただ、生活していく内に、慣れもあってある程度は話せるようになっていきました。皆優しく、また一を聞いて十を知るような所があるので、コミュニケーションに関してはどうにでもなると思います。

留学中の勉学・研究

留学生向けの中国語授業
留学生向けの中国語授業

授業に関しては、博士学生ということもあり、研究室での活動に専念したく、週に6時間の中国語初級クラスを履修しただけでした。
研究の進め方としては、まず最初の1~2か月で、向こうの研究室の研究分野を学ぶ期間を作っていただきました。論文をいろいろもらい、それを読んで疑問に思ったことについて、博士学生や教授に説明してもらうということを数回繰り返しました。そこから、研究したい内容を自分で見つけ出し、研究室MTGで「何がしたいか」「どのように取り組むか」「そこから何が得られるか」も含めて発表しました。
残りの数か月で実際に研究を行い、定期的にMTGで成果を発表といった流れでした。研究内容としては、4か月だけでは製膜装置を使いこなして品質の良い膜を作れるようになるのは難しいだろうと話し合い、製膜ではなくて解析や計算をやっていました。関連する膜を向こうの学生に作ってもらって、それを自分の計算結果と合わせるといった感じで進めていきました。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

研究室の皆で研究室旅行に出かけました。皆忙しかったため、一日のみの小旅行となりましたが、とても楽しかったです。台湾の南西にある街「新竹」に出かけ、老街探索やお茶づくり体験など楽しみました。私の行きたいところややりたいことをかなり反映して旅行計画を練ってくれたので、感謝でいっぱいです。
また、研究室のメンバーの一人と仲良くなり、彼の実家で、「その人+私+その人の母親+その人の叔母」の四人で麻雀を打ちました。台湾麻雀は日本の麻雀とルールが違う所も多いため遊び方が分からず、彼に教わりながら、麻雀を楽しみました。その他にも、ロープウェイに連れて行ってもらったり、お土産を買うのを手伝ってもらったり、様々楽しい経験を彼にはさせてもらいました。
一人で出かけることも多く、その際には、台北周辺の山に登ることが多かったです。研究室のメンバーにお勧めの山を聞いて、その翌週や翌々週に実際に登りに行くということを繰り返していました。

かなりキツイ山を登っていた
かなりキツイ山を登っていた

研究室旅行でのお茶作り
研究室旅行でのお茶作り

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

東京生まれ東京育ちなので、大きく生活環境が変わるという事をこれまでの人生であまり経験したことがありませんでした。ほとんど言葉も通じない、周りの人が何を言っているのか全くわからない環境の中を人で生活していくことは、大変でしたが、実りある経験になりました。また、研究室の人がとても優しくフレンドリーなので、ありがたく感じるとともに、どうしたら私のほうからお返しができるだろうか、どうしたら彼らのようにフレンドリーになれるだろうか、考えて試行錯誤する日々でした。試行錯誤がいい結果を結んだのかは良く分かりませんが、研究だけでなく性格や人としても成長できた留学だったと思います。

留学費用

移動費

東工大のプログラムの一つである、「越境型理工系博士人材育成プロジェクト」により、移動費を払う必要はありませんでした。

奨学金

Jassoから「海外留学支援制度(協定派遣)」という奨学金をもらっていました。(月6万円)

寮費

月USD 300(1人部屋)でした。ここから光熱費が別途引かれますが、かなり安い印象です。

生活費

物価が安いので(コンビニのペットボトルのお茶が1本80円くらい)、出費抑えられます。ただ、外食が基本なので食費はかかると思います。寮内に料理ができるスペースがなかったので、強制的に外食でした。

留学先での住居

大学専用の寮に行きました。設備が整っている寮と整っていない寮の二つがあるらしく、私は運よく設備が整っている方の寮に行くことができました。大学のそばにあるので、寮から研究室まで自転車で15分くらいでした。寮の前にレンタル自転車の停車場(?)があるので、そこで自転車を借りて通学をしていました。一回25円くらいでした。
壁はそれなりに厚く、隣の部屋の人の声が聞こえてくるというようなことはありませんでした。
光熱費などは、部屋の入口にカードを指すところがあって、電気や水道を使った分だけそのカードから金額が引かれていく、カードの残高が足りなくなったら受付でチャージする、という便利なシステムでした。地下一階にランドリーがあって、そこで洗濯→乾燥ができます。服がダメになるのが怖いので、一応洗濯ネットを持っていきましたが、別に必要なさそうでした。
寮で布団を買おうとしたら売り切れだったので、イケヤで購入しました。そのほか買ったものはドライヤーや除湿器などです。
寮近くに大きなコンビニがあり、買い物に便利でした。

寮の部屋(汚くてすみません…)
寮の部屋(汚くてすみません…)

お土産を買うのを手伝ってもらいました
お土産を買うのを手伝ってもらいました

留学先での語学状況

研究室の人は、当たり前のように英語を話せました。皆とてもフレンドリーで、たくさん話しかけてくれたので、助かりましたし、英語のトレーニングにもなりました。また、日本語がある程度話せる学生もいて、本当に困ったときは、その人と日本語で話すということもありました。研究室のMTGは、基本的に英語と中国語の半々でした。

単位認定(互換)、在学期間

「越境型理工系博士人材育成プロジェクト」の卒業要件が「三ヶ月以上の海外研鑽」だったので、今回の留学をその海外研鑽にあてはめました。
また、電気電子コースの「博士留学」という単位を取りました。留学の期間によって変わりますが、4~6単位はとれるはずです。

留学先で困ったこと

博士課程で留学するということ

博士学生は数枚の論文を出す必要がある上、学会への参加も多くなると思います。そのため、学士課程や修士課程の学生以上に、東工大の担当教授としっかり時期や研究計画について話し合う必要があります。特に時期に関しては、早めに教授と相談して決定しておく必要があります。(教授の研究計画とも合わせてしっかりと時期を決める必要があります)
また、学会参加のための論文提出や予稿提出のため、留学先のイベントや研究に100%の力や時間を費やすことができないこともあります。実際私も、論文提出の期限が留学期間と重なってしまい、最後の一か月間は台湾で行っていた研究をストップし、東工大の研究に関する論文執筆に集中する必要がありました。

生活について

予想以上に街中で日本語も英語も通じなくて困りました。台湾旅行をしていた友人に「日本語でも買い物ができるよ」と聞いていましたが、実際に行ってみると全く日本語は通じませんでした。
学内では英語が通じますが、学校を出ると、学校のそばのコンビニでも英語が通じず、買い物など研究室の人に助けてもらうこともありました。(もちろん通じる店員もいます)
また、ほかの日本人留学生とコミュニケーションを取りたい場合は、自分でSNSを使って積極的につながっていく必要があります。大学のイベントなどで繋がれるかなと考えていましたが、そのような場ではほかの日本人にほとんど出会うことがなかったです。
蚊が多く、サイズも大きいです。一回窓を開けっぱなしで寝てしまったことがあり、次の日に起きてみると、バカでかい蚊が何匹も壁に張り付いていました。私の部屋は10階だったので、入ってくることはないだろうと高をくくっていましたが、しっかりと蚊の対策をするべきでした。一回刺されると、中々腫れが引きませんでした。ただ、大学内や町中で刺されるということはあまりなかったように感じます。
最後に、台湾は湿度が一年を通じてかなり高いです(70%~80%)。そのため部屋に除湿器を用意した方が良いです。除湿器は値段が高く、買うのを渋っていましたが、来てから一週間くらいで部屋がカビ臭くなり、置いていたプリントが湿気で丸まってしまうような状態になったので、あきらめて買いました。

留学を希望する後輩へアドバイス

国選びや留学プログラム選びはとても重要だと思います。個人的には「派遣交換留学制度」を使って「台湾」に留学することは、正解だったと思います。台湾の人はフレンドリーであり、文化や食生活も日本から遠くないので、環境にすぐ溶け込めることが出来ました。向こうの学生から積極的に話しかけてもらったり、研究室のみんなで誰かの家に行くというようなイベントなどにもよく誘ってもらえたので、たくさんの交流ができたし、英会話の練習にもなりました。また、すんなりと自分の研究に入れて、台湾大学の教授や学生も私の研究に大変協力してくれたので、博士学生の留学としても大変よかったです。東工大の留学生で、別のプログラムを使いヨーロッパに行った人は、「現地学生とのコミュニケーションがほとんど取れずに終わってしまった。」と言っていたので、現地の人との交流を取りたい人は、派遣交換留学制度を使ったアジア留学はオススメです。
積極的に現地の学生をお出かけに誘う・誘ってもらいましょう。今SNSを使えば、現地でも簡単に他の日本人と関わることができてしまいますが、せっかくの留学なので異文化交流を是非。
最後に、留学に関して、あまり難しく考えないことが大事だと思います。行くまでは、もしくは行こうか悩んでいる段階では、不安なことをたくさん考えてしまいます。ただ、行ってみるとほとんどの問題は大抵どうにかなります。どこの国でも留学生にやさしくない学生はいないと思うので、積極的に人を頼りましょう。

研究室旅行で研究室の皆と

研究室旅行で研究室の皆と

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