派遣交換留学 シャルマーズ工科大学 2017年1月16日~2017年8月26日

派遣交換留学 シャルマーズ工科大学 2017年1月16日~2017年8月26日

留学時の学年:
修士課程1年
東工大での所属:
総合理工学研究科 人間環境システム専攻
留学先国:
スウェーデン王国
留学先大学:
シャルマーズ工科大学
留学期間:
2017年1月16日~2017年8月26日
プログラム名:

留学先大学の概略

Chalmers University of Technology
私立の工科大学。建築学科の名誉教授としてはWingardhsがいる ( 近年人気の現代建築家)。
Student UnionはWingardhsの設計。

留学前の準備

奨学金では、トビタテを渡航一年前に応募。
合格した先輩のエントリーシートや面接情報を参考にしながら準備を行い、無事合格した。
英語は、IELTS6.0を取るために約半年かかった。
IELTS対策として留学生の友人に面接の練習を手伝ってもらった。

留学中の勉学・研究

春学期

ARK077 Nordic Architecture

これは絶対に取った方がいい授業。北欧4カ国の建築の潮流を、毎回違う先生(大学の教授だったり建築家だったりする)が講義してくれる。毎年1週間程度のStudy Tripも授業に含まれているので、実際に建築を見て学ぶことができるのがいい。クラスでバスを貸し切ってまわるので、普段入れないような建物や、市街から離れていて行きにくい場所にある教会などを見ることができるのでとても価値のある授業。そして、この旅行で友達を作ることができるのもいいところ。

今回の旅行はノルウェーで、オスロやベルゲンだけでなく、その間に点在する建築も含め、1週間でまわった。木造教会や現代教会建築、Svere Fehnの建築を主に廻った。最終課題は自分が思う北欧建築について、建築作品を各々1つ選んでレポートを書くのと、そのプレゼン。私はルイジアナ美術館を選び、SANAAの金沢21世紀美術館と比較したレポートで、先生やクラスの反応は結構良かった。先生が北欧建築と日本建築の関わりについて授業で言及することが何回かあったので、皆が日本の建築と北欧建築の関わりに興味を持ってくれていたために評価が高かったとも思う。

ARK347Urban transformation and Architecture Heritage

リサーチと設計の両方を行うグループワーク。設計だけのスタジオより長く、修士論文の前段階という位置づけが強い。前半は講義とリサーチ中心、後半から設計のみというスケジュール。クラスは20人ほどで、メインの教授が2人と、アシスタントティーチャーが3人ほどつく。授業自体は授業の進行・最終提出物の内容など様々な面で自由度が高く、学生に任せるという部分が多い。

設計は都市計画レベルから建物レベルまで自分たちで選べる。
正直授業の進行や管理に関しては、自由度が高すぎて生徒間でいろいろと不満が出ることが多かった。(もちろん教授に対して意見を言うことは可能な環境だし、伝えていた)日本のスタジオとは違い、時間に大幅に余裕をとったスケジュールであるため、全く徹夜をしなかった。この点ではいかにも北欧の学校という感じで、詰め込まずにゆったりと進行するスケジュールだった。前半期間(最初の3ヶ月くらい)はレクチャー形式が多く、その時はほぼ毎日朝8時に授業開始、昼もしくは16時ごろに授業が終了する。後半の作業期間は毎日朝9時ごろ集まり、17時ごろまで作業して帰るというのが私のグループの進め方だった。クラスのメンバー構成はスウェーデン学生と留学生が半々。スウェーデン人はスウェーデン人同士で組みたがる傾向が強く、留学生だけで組んでいるチームが多々見られた。課題を行うための情報はスウェーデン語で書かれていることが多いので、スウェーデン人の助けがないと厳しいことが多い。

私のグループはスウェーデン人2人、インドネシア人1人、私の4人だった。スウェーデン人の二人はのんびりした性格だったので、私とインドネシア人の子で設計に関する作業を前に前に進めるようにし、スウェーデン人の二人には主にレポートの構成・執筆など、現地の知識や英語力が必要なところを主に担ってもらった。だが、案はもちろん全員で議論するようにした(結構バトルもした)。4人の意見をうまく取り込みながらまとめるのに苦戦した。

正直授業の雰囲気としては、期間が長すぎてダラダラ進んでいる印象だった。だが、ポーランドのグダンスクへの見学旅行や、ヨーテボリ近郊の古城、ヨーテボリ市内のアスプルンドの裁判所やPagoden(リノベーションしたオフィスビル)を見学できたのは良かった。特に裁判所は普段入れない場所なので、見ることができて良かった。

また、建築保存に関するエキスパートが多く授業でレクチャーをしてくれるので、日本にいてはなかなか学ぶことのできないことを学ぶ機会が多く得られたことは大きい。

ちなみに他のスタジオだと、設計に集中してやりたいのであれば、Housingスタジオがオススメ。集合住宅の設計で、とても人気のスタジオ。留学生のほとんどが履修していて楽しそうだった。ただし、個人作業なのでグループワークは経験できない。

また、ケニアに行くReality Studioというのも人気。ケニアに2ヶ月滞在し、現地の子供たちのための遊び場を作るというもの。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

旅行はかなり行った。
北欧諸国はもちろん、イギリスロンドンやスペインもヨーテボリから直行便が出ていて行きやすいので行った。ポーランドやバルト諸国も、安い飛行機があるので行きやすい。

コペンハーゲンやオスロ、ストックホルムは電車で3~4時間で行けるので、より旅行しやすい。また、夏休みには春学期にできた友人を訪ねてフランスやベルギー・オランダに行き、友人宅に泊めてもらうといった経験ができたのはとても貴重だった。彼らにまちを案内してもらい、よりディープなところまで短期間で知ることができた。

また、スウェーデンの文化を体験すべく、夏至祭などのお祭りには参加した。
特にChalmersのStudent Unionが所要する湖畔のサウナ付きコテージはとても良いところで(学生グループで貸し切れる)、サウナに入って湖に飛び込むという体験ができた。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

英語力はかなり上がった。またグループワークの授業を選んだことでグループワークならではの問題や苦労が少なからずあったが、最終的にスタジオで他のグループと比べても教授から良い評価を受けたことは良かった。英語での議論は特に英語のできる人のほうへ流されがちになってしまうが、自分はスケッチや図を駆使し、他のメンバーよりなるべく作業を進めることで説得するようにしていた。

留学費用

生活費は月約9万円くらい(内家賃が月約5万円、夏休みの7,8月は家賃無料だった)。自炊すれば食費をかなり抑えることができる。学校では皆お弁当を持参しており、学食(レストランとtakeawayの2種類ある)を利用するのは月に1~2回だった。学食はとてもおいしく、学割がきく。

旅行に行くと、友人宅に泊まったとしても、往復交通費含め1日約1万円かかるという感じだった。物価の安いEU加盟国(ポーランドやバルト3国、ハンガリーなど)だと、予算低めで楽しめる。

奨学金はトビタテを月16万円受給。
渡航費もトビタテから往復20円万受給。JALの学生ロングステイ便を利用。

留学先での住居

家はSGSという学校が斡旋してくれる学生用のサイトで探した。学校から案内が来てから1週間以内で決まった。

家賃は月約5万で、個室(キッチンバスルーム付き)、場所はStudiegangenという学校からバスとトラムを乗り継いで30分ほどのところにある、住宅地に位置するアパート。古いが、近くにスーパーがあるので住みやすい。

他の留学生はOtskopanというキッチンバスルーム共用の学生寮に入っている子がほとんどだったので、ここを選ぶと自分の専攻以外の留学生とも友達になりやすいと思う。

またこちらはサウナも付いていた。(Studiegangenにはついていない)
個人で部屋を探した友人は、スウェーデン人の家にホームステイしている子もいた。これは専門のホームページがあり、そこから部屋を探すことができる。(URLは連絡くだされば送ります)その友人の家に2度パーティーで遊びに行ったが、他にも留学生の子がホームステイしているおうちで他にも学生が何人かいて良い雰囲気だった。スウェーデンの暮らしをより感じるには良い方法だと思う。

留学先での語学状況

英語のレベルが本当に高い。かなり苦戦した。
だが、スウェーデンの人のほとんどは一人でもスウェーデン語がしゃべれない人がいると、必ずと言っていいほど英語で話してくれるので、疎外感を感じることはなかった。それだけスウェーデンの英語環境は成熟しているので、とても過ごし易い。

その代わり、私の場合は全くスウェーデン語は上達しなかった。それに発音がとても難しい。スウェーデン語を学びたい人は、学校の授業を受けるか、移民局が無料で開講している語学レッスンに通うことができる(その代わり、申請してパーソナルナンバーを手に入れることが必須)。

聞きなれない他の国の人達の英語訛りにも苦戦したが、終盤はだいぶ慣れてきた。また、自分の発音のくせも明確になった。

街中の表示はスウェーデン語のみなので、基本的な用語は知っておくと便利。(出口入り口、トイレなど)

単位認定、在学期間

既に卒業単位は足りているので、しない予定。

就職活動

ARKIPERAGOという建築用の就活団体(マイナビ的なものだと思う)があり、そこのホームページやイベントを通じて合同説明会や募集・インターンの紹介があり、学校でもイベントが定期的に行われているので、気軽に参加できる(いつも無料のFika(コーヒーとお菓子)付き)。しかし、私はスウェーデンで就活する予定はないので、帰国後すぐに日本で就活する予定。

インターンをするのであれば、秋学期のインターン募集は4月くらいから始まり、4月中には募集が終了する。その後面接。夏休みのみのインターンはほぼどこの事務所もやっていない。

留学先で困ったこと(もしあれば)

風邪をひいたとき、高熱が出てその後10日以上喉の痛みと咳が治まらなかった。東京海上の健康保険サービスを利用して病院に行き、飲み薬を処方してもらったところよく効いた。この飲み薬は薬局で処方箋なしでも買える。

気候がとても乾燥しているので、全身の肌がかなりダメージを受ける。ボディクリームやワセリンなどはこちらでも買えるので有効に活用したほうがいい。前述の咳も、終盤は乾燥による空咳のようになっていて辛かった。

留学を希望する後輩へアドバイス

英語は早くから勉強して、余裕を持って大学を選べるようにしておいたほうがいいです。事前に、行きたい大学や気になる大学をちゃんと調べる時間を持つことは、その後の留学生活のためにとても大切なことだと思います。

また、街の印象だとヨーテボリは結構田舎です。スウェーデン第二の都市と聞いていましたが、意外にコンパクトでびっくりしました。ストックホルムに比べると刺激は物足りないかもしれませんが、治安がいいほうで学生の街でもあるので、住むにはとてもいいところです。ヨーロッパ内を旅行するのにも、結構便利な場所でした。

この体験談の留学・国際経験プログラム情報

他の関連する体験談