派遣交換留学 シャルマーズ工科大学 2020年1月17日~2020年6月12日

派遣交換留学 シャルマーズ工科大学 2020年1月17日~2020年6月12日

留学時の学年:
修士課程1年
東工大での所属:
情報工学院 情報工学系 情報工学コース
留学先国:
スウェーデン王国
留学先大学:
シャルマーズ工科大学
留学期間:
2020年1月17日~2020年6月12日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

スウェーデン第二の都市ヨーテボリにある工科大学。スウェーデンにおいては非常に人気な大学で
(国内の社会的評価ランキングでは1位)、特に建築学系と材料系、電子工学系が強い。同じ都市内に総合大学のヨーテボリ大学があり、ヨーテボリ大学の工学部門とシャルマース工科大学はセットになっている。

留学前の準備

元々北欧、特にスウェーデンの生活やコミュニティに関心があったため、東工大の指導教員に留学をしたい旨を相談したところ、知り合いの研究者を紹介して頂いた。6月にその指導教員に日本で直接お会いする機会に恵まれたため、そこで留学に興味があることを説明すると、現在計画中の研究についての説明をして頂いた。その中で自身の研究関心と近いものを選び、それをもとに渡航後の計画を立てた。留学を実現するためのフレームワークとして最も手軽なものとして派遣交換留学を利用した。

大まかなスケジュールは以下の通り。

  • 6月:現地指導教員と日本で直接お話しをする。
  • 7月:春追加出発の申請を行う。合わせて奨学金の応募を行う。
  • 同月:学内選考および奨学金選考を通過する。
  • 10月:派遣先大学に申請を行う。
  • 11月:派遣先から受け入れ許可が下りる。指示に従い、学生寮の申し込みを行う。
  • 12月:スウェーデン大使館に滞在許可の申請を行う。また、航空券の予約を行う。

※この他、現地指導教員とは定期的にSkypeを通じて留学準備の進捗、研究計画の進捗、渡航後の予定について連絡をとっていた。

留学中の勉学・研究

Academic activities during study abroad: courses, research, etc.

COVID-19の影響を受け、元々1年の渡航計画が大幅に短縮(現地にいられたのは2ヶ月)されてしまった。渡航中は、月木金は主に授業、火水は主に研究室での作業というスケジュールで生活していた。授業自体も長く(朝9時から夕方5時まで通しの日も週1回はある)、比較的リソースの多くを授業に費やしていた。授業はTangible User Interfaceというコースを取っていた。これは名前の通りTangibleなUser Interfaceについて、基礎知識、文献読み、プロトタイプ技術習得、プロジェクト演習などを通して総合的に理解を深めるコースであった。コースの前半は文献読み(ACM DLからのものが多い)およびプロトタイプのための技術(基礎的な電子工作、Arduino等々)に関する実技課題が多く、後半からはグループでテーマ(今回は、再利用可能な素材を用いたTangible Interfaceを作成せよというテーマであった)に合わせたプロジェクトを作る課題が出された。いずれもグループワークであり、授業時間外の作業も取る必要があった。

研究については、留学前に指導教員と話していた通り、Tabletopを含めたインタフェースの応用研究群に携わることとなった。自身の研究テーマと絡め、「Joint attention(物体に対する複数人の焦点。視線データから計算できるいくつかの指標が認知科学において提案されている)を利用したインタフェースの評価」を行うこととした。意思決定系の研究者と実験計画を詳細に練りワルシャワで実験を行う予定であったが、COVIDの関係で帰国を余儀なくされ、オンラインでの打ち合わせ、文献調査、実験に使用するインタフェース改良、解析用アプリケーションといった遠隔で実施できるものを行っていた。

※履修登録した科目と履修結果、また、その結果についての自己分析

  • CIU180 Tangible Interaction, Grade 4(out of 5)…プロジェクト、期末レポートともに順当に進められたため、順当な成績が与えられたと考える。
  • TDA335 Individual project in interaction, Finished…研究プロジェクトを実施したため、終了の記録がえられたと考える。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

滞在期間が3月までであったことから旅行や現地のソーシャルアクティビティはあまりできなかった。1月は部屋の整備や生活の動線の確認を主にやっていた。少しずつ生活が落ち着いていた2月以降は、授業や研究室で知り合った学生とボードゲームをやる、市内の散策、カフェで書籍を読むといった形でゆっくりと過ごしていた。現地の指導教員がとても気さくで、土曜日は時折夕食に誘われたこともあった。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

特に具体的なエピソードがあるわけではないが、留学に際して必要であった様々な計画、準備、フットワークのいずれも、その後の自身の進路選択やライフプランニングを進める上で役に立っているのではないかと感じることがある。

また、多文化主義が前提である社会にいられたことは貴重な経験であったと思う。私は日本においては民族という軸においてマジョリティであるため、それが必ずしも自明ではない空間、自分自身を(文化と結びつけ)説明せねばいけない空間にいることで、自分自身と自分の背景を説明することが多くなり、結果自分自身を捉えなおすことができたように思う。

留学費用

生活費は月9万ほど(うち家賃が5万ほど)。渡航費は行きに中国経由で6万(価格重視で選択)、帰りはノルウェー経由で15万ほど(確実に帰国できるものを選択)。
海外保険は大学指定のものを加入(1年で14万ほど)。
幸い給付型奨学金を頂き、これらの費用は全て賄うことができた。

留学先での住居

Accommodation at the destination

SGSというヨーテボリの学生寮を扱っている団体があり、交換留学の申請が通った後に、派遣先大学の紹介を通じてオンラインで学生寮の申し込みができる。多くのヨーテボリは寮を探すのに苦労する(現地で話した多くの他の学生はかなり苦労しているようだった)ようなので、申請開始日をきちんと確認して、すぐに申し込みを行うことが望ましい。私の場合は幸い、希望していた一人部屋を確保することができた。

情報系の人が気をつけることは、シャルマース工科大学のキャンパスの位置である。他の多くの学部は、Johanneberg(市の中心南)にキャンパスが位置するのに対して、情報系のみLindholmen(市の中心北、川向こう)キャンパスで活動することになる。両者はバス(+フェリー)で30分なので寮を選ぶ際に通学が大変になる。

留学先での語学状況

Language at the destination

授業はスウェーデン出身者が多かったものの、講読文献、グループワークも含めて全て英語。研究室についてもバックグラウンドが様々であるためもっぱら英語が使用されていた。日常生活におけるバス・トラムの利用や買い物の際にはスウェーデン語表記があるが、翻訳や地図アプリを時折駆使すれば、スウェーデン語を一切知らなくても問題なく生活できた。

単位認定(互換)、在学期間

Recognition of credits earned at the host university, enrollment period at Tokyo Tech

修了までの単位は足りているため単位認定は行わない。留学期間を短縮したため在学期間の延長は行わない予定。

就職活動

Job-hunting Activities

元々1年在学期間を延長する予定であったため、就職活動は特に行わなかった。

留学先で困ったこと(もしあれば)

寮の生活に慣れるまで細々としたトラブルはあった(e.g. 提供された部屋が埃っぽい、共同キッチンの鍵が開かない)が、渡航中の大きなトラブル、例えば事故や犯罪、病気などは特になかった。

留学を希望する後輩へアドバイス

スウェーデンは思っていた以上に日本人がほとんどいない(アジア系は圧倒的に中華系バックグラウンドの人が多かった。実際に知り合った日本人は市内で2人ほどか?)。自分の置かれている状況から一度離れて白紙の環境に行く機会としてスウェーデン留学は良い機会であったと思う。

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