派遣交換留学 シンガポール国立大学 2023年8月7日~2024年5月12日

派遣交換留学 シンガポール国立大学 2023年8月7日~2024年5月12日

留学時の学年:
学士3年
所属:
工学院 情報通信系
留学先国:
シンガポール共和国
留学先大学:
シンガポール国立大学
留学期間:
2023年8月7日~2024年5月12日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

シンガポール国立大学(National University of Singapore)はQS世界大学ランキングにおいてアジアトップとして評される大学である。2023年度の学生数は約5万人で、そのうち約3割は国外からの留学生であり、シンガポール特有の非常に多文化的な雰囲気がある。学生は勉強・研究に対して非常に熱心であり、潤沢に整備された学習環境(自習室、図書館など)は常に混雑しているほどである。加えて、学生は学業に熱心なだけでなく、クラブ活動やイベント活動にも力を入れており、常に活気に満ち溢れた大学である。

留学前の準備

学士課程で留学した場合

留学期間: B2の秋に留学に行くことを決め、申し込んだ。期間はB3の8月~B4の5月であった。

研究室配属: 私が所属する情報通信系では、例年B3の12月に研究室配属会が開かれ、対面で所属する研究室を調整する。この時期はすでに留学中の予定であったため、渡航前に系主任の先生に確認したところ、代理を立てて参加が可能とのことだったので信頼できる友人にお願いをし、無事に研究室が決定した。

必修授業: B3の後期に履修することになっていた教養卒論やその他の専門科目の必修授業については、渡航前に本学授業科目履修届を教務課に提出することでオンラインでの参加を申請した。しかし、教養卒論及びある専門必修科目はオフラインのみでの開催であったため認可されず、帰国後のB4の後期に履修することになった。専門科目は一つだけオンラインでの参加が認められたため履修した。

学士特定課題研究: 研究室決定後、オンラインで指導教員の先生と面談をした。私の指導教員の先生の場合、対面での参加を基本とされていたため、具体的な研究は帰国後のB4の5月からということになった。

大学院入試: 本学の修士課程に進学するつもりだったため留学中に特に大掛かりな準備は必要なかった。しかし、出願にはTOEFLのスコアの提出が必要で、留学前のスコアでは少し不安であったため留学先でTOEFL-IBT Home editionを受験した。就職は全く考えていなかった。

その他

英語: 元々、リスニングとスピーキングが非常に苦手だったため、留学前はそれらを重点的に毎日訓練していた。特にTOEFLの勉強が中心であったが、それに加えてPodcastなどは普段の移動時に聞いていた。

現地での生活まわり: 家庭の事情でシンガポールの生活には精通していたため、現地に知り合いも多く、ビザや情報収集などに困ることはなかった。学生ビザ取得は、ICAというシンガポールの機関から送られてくるメールに記載されてある手順に従えば基本的には問題はない。ちなみにコロナワクチン接種は三回以上が必要であった。もしこれからの渡航先としてシンガポールに興味がある方がいれば遠慮なく聞いてください。

留学中の勉学・研究

1年間の交換留学であったため、前期に4科目、後期に3科目履修した。統計学や機械学習に関して学びたかったためそれらに関連する授業を中心に履修した。教授によるレクチャーだけでなくグループで問題演習をするチュートリアルや実際にコーディングなどをするラボラトリーと呼ばれる時間が各科目に毎週あったため、1科目あたりの濃度が非常に濃かった。座学だけでなく実際に手を動かす能力を養えたのは良かったと感じている。また、グループプロジェクトなども頻繁にあったため学生間でのコミュニケーションが非常に活発で刺激的だった。

具体的な履修結果は以下のとおりであり、全体として上位約20%の成績を修めることが出来た。元来大変興味があったものを履修したため、非常に楽しみながら比較的満足のいく成績を取れた。英語の堪能さなどよりもその授業への熱心さや強い興味が成績につながると実感した。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

インターンシップ: シンガポール国立の研究機関であるA*STARにて研究インターンという形でプロジェクトに加わった。学生ビザの場合、現地でお金を稼ぐことはできないため無給インターンとして参加した。内部で実際に動いているプロジェクトに参加できたことは非常に良い経験であった。

スポーツ: 大学とは関係のない、現地のラクロスチームに一年間参加した。ラクロスは今までやったことがなく現地で始める形になったが、チーム自体が初心者歓迎の雰囲気であったため、親切に指導してくれた。実際に試合に2度ほど出場し、2度目の試合ではゴールを決めることができた。学外のより現地味溢れるコミュニティに参加できたことは、学内では知り得ないことを知る良い機会になった。

日本に興味のある学生との交流: シンガポール国立大学には日本に興味のある現地学生と日本人留学生をマッチングするバディ制度があり、それに応募すると定期的にそういった学生と交流ができる。その制度を通して仲良くなった学生とは月に2回ほどは会い、日本食レストランで食事をし、日本について様々な話ができた。彼らの日本への積極的な態度に触れることで、以前よりも日本が魅力的に思えた。



留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

英語を介したコミュニケーション能力には成長を感じた。授業関しては、様々な国(シンガポール、インド、アメリカ)のバックグラウンドを持つ学生とともに約3か月の大規模なグループプロジェクトを行なったことがあった。最初は、話す英語のアクセントや表現が大きく異なるため、相互理解にとても苦労をしたが、最終的には円滑なコミュニケーションができ、なんとか満足のいく形で締め切りに間に合わせることができた。そのプロジェクトでは私が積極的に統率をとることができ、多文化なグループの意思決定を管理するという経験を得た。最後に全員お互いに”Thank you!” と言い合った瞬間は忘れられない。学業外の生活に関しては、親友といえるようなアメリカ人の友人ができ、大変多くの時間を共に過ごした。私の英語力の乏しさも理解してくれて、私の表現が間違った時は遠慮なく訂正したり、より良い表現などを提案してくれたりと、speakingの面では非常に向上できた時間であった。それだけでなく、お互いの性格や感情をより深く理解できるようになり、日本人以外の人と初めて ”深い” 付き合いができたと実感している。

留学費用

渡航費: 往復約15万円

奨学金: B1の春から頂いている奨学金と、本留学のために頂いた奨学金(JASSO)を併用していた。合計で月18万円頂いていた。

生活費: 月の主な出費は食費であり、学内の学食や街中に点在しているホーカセンターと呼ばれるローカルのフードコートでは、一食500~800円ほどで満足のいく食事ができるため、対して大きな出費はなかった。

保険料: 約12万円

留学先での住居

コンドミニアムの一室を借りた。一人暮らし用の部屋であったためルームメイトはいなかった。PropertyGuruというシンガポールの住居関連を網羅的に扱っているWebサイトを用いて探した。

留学先での語学状況

授業含め生活の全てにおいて英語は必須だった。渡航前のTOEFL-IBTが75でNUSに応募できる最低点であったので、現地での生活に非常に不安を持って渡航したが、意外とコミュニケーション面では苦労しなかった。あまり渡航前のTOEFLの点数で動揺する必要はないと思った。しかし、シンガポールではシングリッシュやヒングリッシュと呼ばれる特殊なアクセントの英語を話す人がほとんどなので、それらに適応するには時間がかかった。抵抗がなくなるまでは2か月ほどかかったが、完全に聞き取ることは最後まで難しかった。

単位認定(互換)、在学期間

全ての履修科目を単位認定する予定。在学期間を延長する予定はない。

就職活動

大学院進学する予定なので、就職活動関連いついては一切行なっていない。

留学を希望する後輩へアドバイス

目的の明確化:
予定している交換留学は何を目的としているものなのかを渡航前に明確に定める必要がある。期間は人によるが、短くとも半年間は母国を離れ、慣れない地で生活する上では様々なストレスやプレッシャーを感じることが必ずあるが、そのような時に一貫した目標がないと継続的に努力をすることは困難である。目的が英語の上達なのか、研究・授業履修なのか、課外活動なのかで現地での生活スタイルやマインドセットが大きく変わってくると思う。自分が一番達成したいことをしっかりと定めて渡航してほしい。
   

孤独への覚悟:
他国での生活では孤独を感じることが多々ある。我々日本人の多くからしたら英語は母国語ではなく、当然英語ネイティブの会話について行くことは最初は簡単ではない。そんな時に少なからず孤独感や疎外感を感じてしまう場合があるが、おそらくこれは初めて海外に出た日本人の多くが感じることで、至って普通のことであると思う。そういった経験は避けようもないことであり、ある程度の覚悟は必要であると思う。孤独感を感じながらも達成したいものや得たい何かがあるという強い気持ちを大切にしてほしい。
   

所詮交換留学、という気持ち:
学位を修める留学とは違い、本学に籍を置きながら行う留学であるので、そこまで神経質になる必要もないと思う。もちろん、勉強・研究は中心になってくるが、それ以外にも得られるものは数えきれないほど生活の中であるため、それらを楽しみながら気楽に過ごす気持ちも大切だと思う。特に欧米から来る交換留学生は授業を受けながらも可能な限り近隣国を旅行することが一般的であった。そのようにある種の”バケーション”に来ているというマインドも心にゆとりを持たせてくれると思う。

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