派遣交換留学 国立台湾大学 2019年2月12日~2020年1月19日

派遣交換留学 国立台湾大学 2019年2月12日~2020年1月19日

留学時の学年:
博士課程2年
東工大での所属:
情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース
留学先国:
台湾
留学先大学:
国立台湾大学
留学期間:
2019年2月12日~2020年1月19日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

日本統治時代の1928年に設立された帝国大学の一つである。50以上の学部があり、全校合わせて3万人以上の学生を擁する。メインキャンパスは公館駅にあり、台北駅からMRTで15分ほどと立地もすごく良い。

正門
正門

椰林大道
椰林大道

酔月湖
酔月湖

図書館
図書館

留学前の準備

2月からの留学に応募したため、就職活動・修士論文を一年間遅らせて留学することにした。幸いにも国立台湾大学で研究室に参加させてもらえることになったため、修士論文に関連付けられる可能性がある内容を新たに研究した。

もともと、留学を絶対にしたいというわけではなかったため、あまり情報集めはしていなかったが、長期留学を行った友達が、とても楽しく、卒業を延長してでも行くべきであると言っていたため、留学関連の資料を事務室からいただいた。留学には英語の成績が必ずいるため、留学をするかどうかで迷っているときに、手遅れにならないように前もってテストを受けた。留学先はヨーロッパと台湾で迷ったが、中国語を勉強しておくと今後のキャリアの中で役に立つと思ったことと、国立台湾大学の教授から許可書が届いたので、台湾に留学することを決めた。中国語はもともと第二外国語で履修していたので簡単な文法は知っていたが、学んでから時間が経過していたため、留学前に簡単な文法をおさらいした。

私の場合は研究室に所属しようと考えていたため、留学を東京工業大学に申し込む際に、留学先候補の大学の教授にアポイントをあらかじめしている必要があった。また、アポイントのメールは返信を返してくれるとも限らないため、候補の研究室には一通りメールを送った。

台湾はヨーロッパの国に比べてビザが取れやすく、書類を提出した日の翌日にビザを受け取ることができる。また国立台湾大学には留学生用の寮が用意されているため、住居探しも困ることはなかった。

留学中の勉学・研究

国立台湾大学には留学生向けの中国語の授業が準備されており、それを履修した。また、前期には院の専門科目をとったが、スライドは英語で、言語は中国語だったため、先生の言っていることが理解できず、スライドのみで内容を理解する必要があった。授業は初級から高級まで7段階に分かれており、自分のレベルにあったクラスで授業を行うことができる。一クラス20人程度で、中国語を話す機会が多かった。研究に関しては、教授が学会などで台湾にいないことが多く、なかなかミーティングをする時間を取れなかったが、前期の授業内容が研究に関連しているのと、独学でいろいろな論文や参考書を読んで勉強・研究を行った。

一学期目のスケジュール

一学期目のスケジュール

人工智慧在臨床資料的分析與應用に関して

分析:中間試験は英語での解答も可能だったため、 大した問題ではなかったが、期末レポートに関しては、中国語で発表、また グループになって討論が必要だったため、貢献度がかなり低くなってしまった。

國際生商務華語

分析:ビジネス上で用いる単語や文法を中心に学んだ。毎日ある下記の授業とは異なり、週一回しかなく、毎日ある語学授業と比べて課題が少ないため、なかなか復習する時間が取れなかった。そのため成績はあまりよくなかった。

以下の授業は初級一から三、中級一から三、高級の7段階で分かれている授業である。

國際生華語(二)

クラス:中級一

分析:留学して最初の頃、簡単な文法と単語しか知らない状態で、課題が多かったため新出単語や文法は課題をこなすだけで覚えられるようになっていた。最初のほうはリスニングが大変で、先生がどのような質問をしたか、自分の発音が正しいか不安になり、質問に対して発言を恐れていたが、一学期目の中盤のほうから少しずつ聞き取れるようになり、発言の回数も増えていった。

國際生華語(一)

クラス:高級

分析:前学期中級一で履修をしており、高級は華僑の人も履修していてレベルが高すぎるということもあり、中級三を履修しようとしたが、向こう側の手違いで高級になってしまった。ニュース原稿を教科書にしており、内容は見てもわからない単語が少しあるが大体の内容はつかめるレベルだった。一番苦労したのが華僑の人たちが話す中国語が初めのほうは聞き取れなかったことである。先生は生徒のレベルに合わせて言葉選びなどに気を付けているが彼らはそういうことはあまり気にしていないからである。試験はそれほど難しくはなかったが、普段の発言やプレゼンテーションが成績に影響した。

國際生實用華語(二)

クラス:初級三

分析:一学期目のこの授業では、先生がずっと自分の話をする授業であり、初級三の生徒に対しては聞き取りが難しいレベルであったため、多くの生徒が途中から授業に来なくなった。國際生華語(二)も同時に履修していたため、内容が被るところも多く聞き取りを中心に勉強できればいいなと考え、授業に挑んでいた。

國際生實用華語(一)

クラス:中級三・高級

分析:用いているテキストの新出単語が非常に難しく、日本語に存在しないものばかりだったため、覚えるのがとても大変だった。第二学期目だったこともあり、先生が話していることや質問の内容で困ることはほとんどなかった。自分にとってとてもいいレベルの授業だったと思う。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

旅行に関して

国内はほとんどの場所を回ることができた。中でも興味深かったところは、台南と花蓮と緑島である。台南は日本でいう京都のような場所であり、古い建物も多いのだが、台南でしか食べることのできない食べ物が多く、友達と食べ歩きの旅をした。台南料理はどの料理も甘く、また一年中温暖なこともあり、マンゴーなどの南国のフルーツがとても安くて美味しかった。花蓮の魅力としてタロコ国立公園があり、日本では見ることのできない迫力の渓谷を見ることができる。また、台湾の魅力として、台湾東部はきれいな海と壮大な山脈が隣り合わせになっていることであり、世界でも非常に珍しい場所となっている(台湾最高峰の山は玉山で3952m)。緑島は台湾一海がきれいと言われており、そこでスキューバダイビングをした。15m下の海底が水面からはっきり確認できるほどの透明度で、人生の中で一番きれいなダイビングスポットだった。

台湾から東南アジアが近く、また安くいくことができるため、夏休みを利用して1か月ほど東南アジアを周遊した。行った国はベトナム・タイ・ラオスである。

  • ランタンフェスティバル

    ランタンフェスティバル

  • 年越し花火

    年越し花火

  • 夜一

    夜一

  • タロコ国立公園

    タロコ国立公園

  • 清水断崖

    清水断崖

  • 日月譚

    日月譚

台南のかき氷
台南のかき氷

緑島のダイビング
緑島のダイビング

スポーツに関して

国立台湾大学には系ごとにサークルがあり、学内対抗リーグが行われている。残念ながら数学系にはサッカーサークルがなかったため、政治・法律合同サッカーサークルに参加した。日本人が数人、韓国人、台湾人、ヨーロッパ人で構成されており、とてもフレンドリーな人たちだった。またリーグ戦やトーナメントの大会が学期ごとに2・3個開催されており、モチベーションも高く、楽しくサッカーすることができた。

また、大学時代セパタクローをしていたこともあり、国立師範大学のセパタクロー部に参加させていただいた。温かく迎えてくれ、外国籍のためなかなか大会には出られず、一年間で一回しか大会に出場できなかったが、とても楽しく活動できた。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

留学当初、現地の人の中国語が聞き取れず、国内旅行やレストランで少しコミュニケーションに支障をきたした。言語を学ぶ上で重要なことは恐れずに発言することだと感じた。特に中国語の大半の単語は日本語で用いたことのある単語だったりするため、読む分にはあまり困らないが、発音が全く違うので、一度聞かないと理解できない、覚えられないことが分かった。また、ほかの言語習得の人に話を聞いても、中国語は他の言語に比べてかなり難しい印象を覚えた。その理由として、中国語の一音に対する情報量の多さと、同じ意味だが表現が違うものがとても多く、単語量の差があるのかなと感じた。この表現は日本語と少し似ており、「起きる」・「起床する」は同じ意味だが、まったく発音が違っていたりする。各単語にこのような複数の表現があるため、すべてを聞き経験するには一年では足りないと感じた。しかし1年たてば 努力次第では話せるようになる。

研究に関しては、母語以外でのディスカッションだったため、自分が本当に伝えたいことと自分が話していることのギャップが存在しもどかしい日々が続いた。その分、スライドには力を入れて作り、視覚的に理解できるように努力した。

自身の成長を実感した中で一番記憶に残っているものとして、帰国の最後1か月程度、サークルの友達とお別れのために毎回ご飯を食べに出かけたのだが、留学当初よりも自分の意見も言えるし相手が言っていることをほぼ理解できたことである。留学当初は英語やボディランゲージを用いての会話だったが、1年たつと中国語だけでも十分コミュニケーションできるレベルに達成できるのだと驚いた。

留学費用

渡航費は私の場合、春節の前後で留学を開始終了したため、普段の季節よりも航空券がかなり高かった。片道およそ25,000円である。

生活費は一食おおよそ400円弱、ドリンク代が130円である。

住居費は一人部屋に申し込んだので、一か月25,000円程度だが、二人部屋を申し込めばかなり安く抑えることができる。水道代は無料で使うことができ、電気代と光熱費はそのたびチャージが必要だが、住居費に対してかなり微小なものである。

保険料は、東京工業大学指定のもので一番安いものを申し込んだ。おおよそ16万円である。奨学金をいただくことができたため、向こうでの生活に不自由はなかった。授業料以外で旅行などをするとして100万円は用意するべきだと思う。

留学先での住居

一般的に留学生は留学生専用の寮に住むことができる。国立台湾大学に留学を申し込む際に一人部屋か二人部屋、もしくは寮に住まないことを選択できるので、一人部屋か二人部屋に申請するのがおすすめである。大学までとても近く、周りの住居費に比べて安く住むことができる。

ルームメイトは、二人部屋の場合必ず一人いるのだが、話を聞いたところ、人によっては楽しく生活でき、人によってはルームメイトとそりが合わずストレスを感じるといった声も聞いた。寮の近くにはセブンイレブンがあり、急遽必要なものは何でも買いそろえることができる。また、レストラン街も近いため、ご飯にも困ることはなかった。

留学先での語学状況

授業は基本的に中国語での講義しか存在せず、専門科目を受ける場合はそれ相応の覚悟が必要である。留学前、中国語に関して軽く文法を知っている程度で渡航したが、観光名所ではないため、英語も日本語も通じないことが当たり前であるため、注文をするときなどは最初の3か月は苦労した。留学生は日本人、韓国人、ヨーロッパ人とそれぞれ一定数いて、英語を使う場面はあったが、中国語を毎日勉強する環境ため、英語の能力はどんどん落ちていった。留学前は日常会話程度の英語は話せたが、渡航して半年程度たったころには、英語を話そうとしても最初に中国語が思い浮かんでしまう現象が起きた。台湾に留学する場合には、英語を流暢に 話せるレベルまで上げておくか、中国語のみ勉強することを考えて準備をするのがよさそうである。

単位認定(互換)、在学期間

一学期目にとった単位を東工大の単位に互換する予定である。修士課程の授業を一つしかとっていないため、ほかの語学の授業はそのままの科目名で申請した。

就職活動

海外キャリアフォーラムに参加する学生がある一定数いた。中国語を学んでいるため、上海キャリアフォーラムにも参加できるため、上海キャリアフォーラムもしくはボストンキャリアフォーラムに参加して、内定をもらっている学生もいた。

1月に帰国したため、すぐに就職活動に取り組んでいる。興味のある会社のことを調べたりし、エントリーシート等の準備をしている最中である。

留学先で困ったこと(もしあれば)

中国語が最初のほうは通じなかったこと以外は困ったことはなかった。

留学を希望する後輩へアドバイス

もし留学をするか迷っているのであれば、海外に長期で生活する機会というのは今後あるかどうかはわからないし、第三言語を学ぶメリットも今後の人生の中であると思うので、ぜひ留学をしていろいろな経験をしてほしいと思う。半年の留学だと、長期休暇を経験することなく帰国してしまうため、実質4か月程度とかなり少ないと思う。留学するのであれば1年間行ってみるべきだと思う。

この体験談の留学・国際経験プログラム情報

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