派遣交換留学 バンドン工科大学 2017年1月11日~2018年3月31日

派遣交換留学 バンドン工科大学 2017年1月11日~2018年3月31日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 建築学系 建築学コース
留学先国:
インドネシア共和国
留学先大学:
バンドン工科大学
留学期間:
2017年1月11日~2018年3月31日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

インドネシアのトップレベル国立大学の一つ。首都ジャカルタから車で3時間前後の小さな都市バンドンにキャンパスを構える。

留学前の準備

企業への就職活動をしないことを留学最中に確定したので、年末に帰国せずに年度末まで留学を延長しました。修士論文は1年間かけてじっくり取り組む予定で帰国後は夏卒業ではなく冬まで1年間研究室で研究などを行うことを留学前に決めていました。

留学中の勉学・研究

授業は前期と後期で1授業ずつ履修。留学生が私一人しかいなかったのでどの授業でも英語での履修はできませんでした。デザインスタジオは日本の形式とそこまで変わりませんでしたが、担当の先生によって教育姿勢は大きく異なります。

後期の授業は学部のインターンプログラムを特別に履修させていただきました。
留学前に履修登録可能として選択肢にあったものに建築学科の授業がなく、アーバンデザインの授業しかありませんでした。よって到着後に全ての授業の変更手続きをしました。手続きは非常に複雑で時間と労力がかかりましたが、その代わり好きなように選択できました。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

  • バリ島の農村での伝統住居のリサーチと書籍出版個人的興味と研究対象として、バリ北部のプダワ村の伝統住居を調査しました。ジャカルタの建築コミュニティ団体がスポ ンサーとなってISBNを取得してくださったので、自身のリサーチをまとめた書籍を制作し、出版いたしました。2月には ジャカルタで出版イベントも行いました。
  • 上記のリサーチ冊子の 販売と小中学校での配布バリ 島の老舗 ホテルAmandariで、 調査対象の伝統住居に関する展示に参加させて頂きました。リサーチ冊子の販売と地鎮祭にまつわる私のインスタレーションを展示しました。
  • その他にも 、オンラインでの販売や 建築関係者も訪れるウ ブドの大きなレストランに冊子を 置いて頂けることになりました 。このような販売の売り 上げで、 郷土教育の一環としてプダワ村の全ての 小中学校にこのリサーチ本を 配布し、伝統住居 に関するイ ベントを開催しました。
  • バリ島の農村で 、村人と 一緒に 伝統形式の物見小屋を建設調査をしていた村で、村人と 共に今は 無くなってしまった伝統形式の物見小屋を建てました。まだ 古い世代の記憶にあるうちに 、次の世代に 見える 状態、使える状態として残そうというプロジェクト です。(建築コンクール優秀賞受賞)
  • プダワ村コミュニティセンターの設計村の観光地化に伴って 、観光インフォメーションセンターと村人の学びの場となるような施設を設計しました。州政府の補助金が下り次第、村人と村内の資材を利用して建設する予定です。
  • その他農村での活動普段、全ての村人が私の名前と顔を知っているくらいお世話になっているので、村の小学校のトイレの設計などを手伝いました。補助金がおりたので来年新しいものが建設されます。また村役場にて、村の中心メンバー 約100人の前で村の将来をにあたっての外からの意見をプレゼンさせてもらいました。
  • 竹中大工道具館での来年の「東南アジア建築展」の資料収集インターン中に、今年の夏東京と神戸で行われる 「東南アジア建築展 」で展示する建築材料を全て私がバリ島で収集いたしました。偶然のご縁で監修の先生方と出会い、この資料収集と調査補助を行いました。展示計画なども協力することになっています。
  • その他インドネシアでの活動民博や各大学でアジアの建築を調査なさってる教授陣と、インドネシアの島々を調査旅行でまわりました。遺産の保存活用や、原始住居のリサーチなど、様々な先生方の意見や活動を知ることができました。東工大では私の研究を専門にもつ先生がほとんどいないので、国内外の他大学の先生方との交流が盛んな1年となりました。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

インドネシアの情報を日本で収集することが困難なのと、留学前も時間的余裕がなく、あまり計画性のない留学でした。しかし結果的には様々な人の協力やご縁のおかげで人一倍充実した留学期間を過ごせたと思います。

物資と情報に囲まれた東京を初めて出たことで足るを知れたというか、少ないものや質素なものでも十分幸せに生活できることを知りました。そして現地の人の幸福度の高い生活に潜り込むことで、東京では見られない生活や人との付き合い方を学べました。

留学費用

渡航費は往復5万円前後、生活費は月3万円前後、住居費は住み込みでのインターンと現地調査だったのでほぼ無料、保険料は月1万円程度、それに対し奨学金は12万円だったので、毎月大学(ジャワ島)とインターン先(バリ島)を往復したり、色々な島にフィールドワークに行くことができました。なので、合計月に8万円弱の出費だったと思います。

留学先での住居

私が留学した時はITB公式の女子寮はありませんでした。町中に学生アパートがあったので、最初の1週間で30件程内覧して月1万5千円のアパートに入居しました。バリ島ではインターン先にスタッフやボスと一緒に共同生活を送っていました。

留学先での語学状況

授業は基本的にインドネシア語でした。学内の友人との会話は英語で、彼らは日本人学生よりもだいぶ流暢に英語を話します。しかしバリの田舎でのインターンや各地伝統住居でのフィールドワークでは英語が全く通じなかったので、生活の中でインドネシア語の日常会話を習得することができました。

単位認定(互換)、在学期間

単位交換を希望していましたが、手続きに時間がかかり授業申請に間に合わなかったので交換していません。

就職活動

帰国前にインドネシアの建築事務所をいくつかまわりましたが、給与が現地価格になってしまうの現実的ではないことがわかりました。インドネシアで生活したいというのが正直な希望ですが、ゼネコンなどのジャカルタ支社などは自身の希望する仕事内容ではなので、現在就職先は検討中です。どんな形であれ、今後もインドネシアとの関係を持ち続けていきたいと思っております。

留学先で困ったこと(もしあれば)

VISA手続きに非常に時間と労力がかかります。大学の授業申請なども同様ですが、スタンプラリーのような作業を毎回行う必要があります。これらの作業にだいぶ時間を取られました。

留学を希望する後輩へアドバイス

自分の直感や好き嫌いにできるだけ敏感になって、それに素直にしたがって留学先を決めることが一番だと思います。

特に長期留学を希望する人は学歴や成果も大切ですが、せっかくなら留学後や卒業後の活動に繋がるような留学先と計画をするといいと思います。

ちなみに今まで留学先にあまり選ばれていない国や学校はその分チャンスに溢れています。積極的な活動派にはおすすめです。

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