派遣交換留学 カリフォルニア大学バークレー校 2019年8月15日~2020年3月15日

派遣交換留学 カリフォルニア大学バークレー校 2019年8月15日~2020年3月15日

留学時の学年:
修士課程1年
東工大での所属:
理学院 地球惑星科学系
留学先国:
アメリカ合衆国
留学先大学:
カリフォルニア大学バークレー校
留学期間:
2019年8月15日~2020年3月15日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

カリフォルニア大学系列最古の大学.サンフランシスコ市内から公共交通機関を利用して30分程度でキャンパスに到着するアクセスのよい場所に位置している.Berkeley Seismological Laboratory(地震研究所)では主に北カリフォルニア地域における地震計の設置をはじめ,緊急地震速報のシステム開発や世界各国における地震活動の解析などを行っている.

留学前の準備

留学開始時は修士1年の夏であった.留学先で所属していた研究室は自分の修士論文の研究テーマとは少し異なる分野を扱っている研究室であったため,修士論文とは別のテーマとしてカリフォルニア地域における地震活動の解析を行うことにした.帰国後の5月末の学会で両方の研究成果を発表することを目標に,現地では2つのテーマの研究を同時に進めた.

就職活動

博士課程進学を決めていたので行っていない.

留学情報の入手方法

留学先の情報については同大学に留学の経験がある先輩学生や現地の正規博士課程の学生から直接ヒアリングを行った.また,かつてバークレーに滞在していた研究者の方からもヒアリングを行った.さらに,東工大のホームページ等で過去の留学体験談を熟読した.

専門分野・語学の準備方法

専門分野に関しては卒業論文の内容を詰めて論文化できる状態にまで進めてから渡航した.留学先の研究室に関係する論文も少し読んだ.

語学に関して,派遣交換留学が決まるまではTOEFLの対策をメインで行った.渡航までの期間では,グローバル理工人コースのe-learningによるskypeレッスンや日常会話を学べるアプリやポッドキャストなどを利用して通学時間や隙間時間は常に英語を聴いていた.

留学先大学の指導教員との準備

留学先の指導教員は東工大の指導教員に紹介していただいた.現地での研究テーマについては事前にメールでやりとりしていたが,実際にテーマが決まったのは渡航後であった.

ビザ取得方法

Visiting ScholarおよびVisiting Research StudentはJ-1ビザが必要.ビザを取得するためには現地の受け入れ先大学の事務からDS2019という書類を郵送してもらう必要がある.学科によってはDS2019の発行にかなりの時間を要することがあり,かつ予め発行に必要な書類をメールで送る必要があるため,遅くとも半年前には現地の担当者に連絡をとることを強く推奨する.DS2019が発行された後に,アメリカ大使館での面接予約を行い最終的なJ1ビザ発行となる.

住居の探し方

当初は大学の国際寮(通称ihouse)に滞在する予定であったが,2019年4月の時点でキャンセル待ちの状態であったため,かつてバークレーを訪問していた学会関係者に大学近辺のシェアハウスを紹介していただきそこへ入居した.

留学中の勉学・研究

授業を履修するには授業料を支払う必要があったため履修はしていない.その代わり,学科主催のセミナーやミーティングに積極的に参加した.スケジュールは以下の通り.

月:指導教員との個別ミーティング(1時間):研究の進捗報告と共有.
火:地震研セミナー(1時間):主に地震学分野の研究者による講演.レセプションあり.
水:ランチセミナー(1時間):一週間以内に世界中で発生した地震を知る.
水:研究室のグループミーティング(1~2時間):進捗報告や論文紹介など.
木:地惑セミナー(1時間):地球惑星科学分野の研究者による講演会.レセプションあり.

  • セミナーやミーティング以外の時間は自分で解析を進めたり,論文を読んだり,研究員の方とミーティングを行ったりしていた.
  • 12月にサンフランシスコで大きな国際学会があったので参加した.ミーティングで何度も発表練習ができたのは良かった.
  • 研究方法については誰かが手取り足取り教えてもらえるような受動的な体制ではなく,自分から課題を見つけて相談するとアドバイスがもらえたりするような雰囲気だったので,指導教員や技術系の研究員の方と個別ミーティングを行いながら自分のペースで進めた.日本で扱っていたデータとは異なるフォーマット・プログラミング言語を使用する必要があったため,解析ツール取得のための基礎勉強にも時間を費やした.

留学中に行った勉学・研究以外の活動

  • ジム:月額52ドルの学内ジムに課金し,週3~4回ほど利用していた.マシンだけでなく,ヨガやダンスなどのクラスも充実していたため,気分転換に最適であった.
  • ワイナリー:研究員の方の行きつけのワイナリーに何度か連れていってもらった.少しだけカリフォルニアワインに詳しくなった.
  • 旅行:セメスター期間内の週末は研究に追われていて旅行をする余裕がなかったため,主に長期休みを利用.Amtrakと呼ばれる長距離鉄道でサンフランシスコからシカゴまで51時間かけて移動した. 西から中東部にかけてロッキー山脈を越えて北米大陸を横断し,アメリカの大地を堪能した.それ以外ではカリフォルニア州内を中心に回り,東工大の授業である地惑巡検にも参加した.今回の留学ではあまり旅行をするつもりはなかったものの,最終的に留学中に訪れた州は全部で9州であり,それぞれの州で異なる景色や雰囲気を感じることができたのは良かった.
  • 大学訪問:Stanford,UCSB,UCLAなどの大学も訪問した.帰国直前にCaltechの研究室を訪問する予定であったが,新型コロナウイルスの影響で訪問はできず,代わりにskypeで話を伺った.
  • 日本語の先生:日本の学会に参加予定であったポスドクに週1で日本語を教えた.
  • Visiting向けのイベント:訪問研究員やポスドク向けの交流イベントに参加した.

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

能動的な姿勢をもった学生やポスドクが多い環境に囲まれたおかげで,何でもかんでも人に頼らず,自分で考えるべきことは自分で考え抜く力が身についた.また,英語の論文を読むスピードが格段に上がった.

留学費用

  • 渡航費:航空機(JAL)往復約18万円
  • 生活費:月額平均6万円前後.留学初期は必要な物資を購入したり,学会の参加費を立て替えたりで出費が多くなる.
  • 住居費:ワンルーム付きのシェアハウスで家賃は月額1100ドル.
  • 保険料:東工大指定の保険で10万円弱.留学先でも保険の加入を勧められるので,既に加入済みであることを伝えて書類を提出する必要があった.
  • 奨学金:トビタテ留学JAPAN,新学術領域「スロー地震学」若手海外派遣支援金など.

留学先での住居

かつてバークレーを訪問していた学会関係者から直接シェアハウスを紹介していただいた.研究室までは徒歩約15分.シェアハウスのオーナーはとても親切で,私の留学先と同じ学科の関係者であり,知人の紹介以外の入居は受け付けていない(東工大生であれば紹介できる可能性があります). 家賃は部屋や期間にもよるがおおよそ月額1000ドル前後でベイエリアでは比較的安い.12月の国際学会直前は他国から来ていた同じ分野の学生数名が短期滞在していた.

留学先での語学状況

留学前の約半年間,上述の通りグローバル理工人コースのe-learningによるskypeレッスンや日常会話を学べるアプリやポッドキャストなどを利用して継続的に勉強していたため特に困ることはなかった.語学よりもセミナーやミーティングにおけるハイレベルな専門内容の理解に苦労した.

単位認定(互換)、在学期間

単位は修得していない.また,在学期間の延長も行わない.

就職活動

就職活動はしていない.

留学先で困ったこと(もしあれば)

  • 3カ月に一度くらいの頻度で高熱を出していたが,日本から持参した薬を服用して休養した.粉末状のポカリスエットなどは持参しておいた方がよい.
  • 帰国直前の一週間は新型コロナウイルスの影響で留学先の状況が著しく変化した.大学の授業はすべてオンライン化し,学科の建物も立ち入り禁止,最終的には外出禁止令が出され,買い物や軽い運動以外では外出することができなくなった.スーパーでも買い占めが起こった.私も帰国日が一週間遅かったら飛行機が欠航していた.カリフォルニアに限らず,アメリカ国内で留学していた知り合いの日本人留学生の中には,感染拡大防止のために寮から締め出されて早期帰国することになった人もいた.無論,大学から勧告を受けて早期帰国に踏み切った学生も多数いた.

留学を希望する後輩へアドバイス

今回の新型コロナウイルスのように想定外のことはいつでも起こる可能性があります.留学中は常に自分のおかれた状況を把握し,今の自分がやるべきことは何か,どんな行動をとるべきか,周りの人に対して自分ができることは何か,を常に考えて行動するのが大切だと思います.

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