派遣交換留学 アアルト大学 2017年8月15日~2018年7月1日

派遣交換留学 アアルト大学 2017年8月15日~2018年7月1日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 建築学系 都市・環境学コース
留学先国:
フィンランド共和国
留学先大学:
アアルト大学
留学期間:
2017年8月15日~2018年7月1日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

アールト大学はヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ美術大学の3つの大学を合併させることで2010年に設立された。大学名はフィンランドの著名な建築家でありヘルシンキ工科大学の卒業生でもあるアルヴァ・アールトにちなんでいる。ヘルシンキとエスポーに大部分の拠点があり、エスポーのオタニエミキャンパスはアルヴァ・アールトにより大部分の設計がなされた。現在は、オタニエミキャンパスの新しい拠点となる建物の工事が進行中である。それに伴い、美術・デザイン・建築学部は、2018年夏にオタニエミの新しい建物に移転する予定となっている。

留学前の準備

留学中に就職活動は行わず、留学が終わった帰国後に就職活動を開始することとした。帰国後に修士論文と並行して就職活動を行うことを予定した。修士論文については、留学前に研究室のゼミでの修士論文について議論を踏まえ、研究テーマを明確にした上で留学に臨んだ。留学先では自分の研究テーマと関連するいくつかの講義を履修することを計画した。加えて、留学先で講義を履修するだけではなく、研究テーマと関連する建築の事例を実際に現地訪問することを予定した。そして、留学終了後に留学先で得た知見や経験をもとに修士論文を書き上げることとした。

その他

留学先の基本的な生活情報に関しては、留学先の大学が運営する公式ホームページより入手した。それでも不安がある点に関しては、留学経験のある東工大の先輩から伺った。また、日本人の留学経験者が運営するウェブサイトを閲覧するなどして実際の生活体験などの情報を補った。留学先の建築学部の修士課程での講義は、ほとんどが英語で開講されている。現地語であるフィンランド語を講義で使うことはほぼないので、留学前は英語のスキルを向上させることに集中した。在留許可証については、渡航前に日本にあるフィンランド大使館より受領した。在留許可証の申請方法や必要書類については、フィンランド大使館のホームページに情報が掲載してあるので参照すると良い。渡航前に学生寮への入居申請を行った。学生寮を運営する主な団体としてAYYとHOASの2つがある。留学先大学の留学生交流課からの学生寮についての案内をもとに、AYYとHOASのウェブサイトを介して入居手続きを進めた。

留学中の勉学・研究

授業登録:有り

秋・春セメスターともに設計スタジオを中心にいくつかの講義を履修登録した。自分の研究テーマと関連する講義を優先的に登録した。これまで取り組んだことのないような内容の設計スタジオを積極的に選んだ。設計スタジオや講義を通して、建築設計において必要な能力が身に着いたと同時に、建築設計に対しての考えや自らの建築理論を深めることができた。また、授業内ではプレゼンテーションをする機会が多くあり、実際の発表を通してプレゼンテーション能力を高めることができた。

登録した授業

Autumn Semester 2017

  • ARK-E2509 Design of Structures_ Theory
  • ARK-E3003 Design of Structures_ Autumn Studio
  • ARK-E4000 Wood in Architecture and Construction
  • ARK-A2504 Software Basics II
  • ARK-A2505 Software Basics III

ARK-E3003 Design of Structures_ Autumn Studio最終プレゼン用に制作したCG

Spring Semester 2018

  • ARK-E1007 History of Wood Architecture in Finland
  • ARK-E3504 Reuse of Buildings, Studio
  • ARK-E3506 Revitilize! - Critical thoughts on sustainability and reuse of built environment
  • ARK-E4007 Materials, Tectonics and Aesthetics (V)
  • ARK-E4008 Industrial Wood Construction
  • LC-7311 Finnish 1A
  • LC-7312 Finnish 1B

ARK-E3504 Reuse of Buildings, Studio最終プレゼン用に制作した模型

留学中に行った勉学・研究以外の活動

ボランティア、インターンシップ、旅行、スポーツなど、幅広く体験を記入してください。

秋セメスターが始まる前には、チューターの主催するオリエンテーションなどに参加した。そこで知り合った他の留学生とともに、ヘルシンキから近いポルボーやヌークシオ国立へ出掛けるなどした。それ以降も、仲良くなった他の学生とどこかへ出かけたり何かを一緒にしたりすることがしばしばあった。

ポルボー
ポルボー

ヌークシオ国立公園
ヌークシオ国立公園

秋には、アート系の学生団体TOKYOが主催するラップランドツアーに参加した。学生全員で貸切りのゲストハウスに宿泊した。ハイキングで1日に40km歩いたことが強く印象に残っている。ツアー中にはトナカイ公園やアメジスト鉱山にも立ち寄った。自分の所属する建築学部以外の学生たちと交流することのできる良い機会であった。

ラップランドの森
ラップランドの森

トナカイ公園にて
トナカイ公園にて

冬季と夏季休暇には、フィンランド国内およびヨーロッパ諸国にある建築を見て回りながら旅行した。フィンランド国内は、特にアルヴァ・アアルトの設計した建築を中心に訪問した。

セイナッツァロのタウンホール
セイナッツァロのタウンホール

ムーラッツァロの実験住宅
ムーラッツァロの実験住宅

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

早く留学先の生活に慣れるためにも、普段からできるだけ積極的に留学先の学生と話すように心がけていた。異なる文化圏からやってきた様々な学生と日常的に関わる中で、専門分野のみならず様々な事柄について話し合う機会が多くあり、日常生活での交流から多くのことが学べた。振り返ってみると、普段受動的な自分が、能動的に行動をするように最初から意識をしていたことが良い方向に働いていたのだと思う。語学の面では自分がすごく成長したという実感はあまりなかった。ところが、他国からやってきた学生の友達から、初めて会ったときと比べると格段に英語を話すのが上手くなったと言われ、成長を実感した。

留学費用

  • 渡航費:約15万円
  • 生活費:約5万円/月
  • 住居費:約4万円/月
  • 保険料:約13万円
  • 奨学金:16万円/月(トビタテ!留学JAPANより)

留学先での住居

学生寮を運営する主な団体としてAYYとHOASがあり、留学先大学の留学生交流課からの案内にもとづいてAYYとHOASのふたつの団体に入居申請を行った。入学許可が下りる前に入居申請をすることができたので、留学先大学からの学生寮の案内を受領した後早急に行った。結果として、AYYの学生寮に入居することになった。AYYでの入居手続きはAYYの運営するウェブサイトにて行った。学生寮によって異なるが、自分の住んでいた寮は1つのフラットに3人のルームメイトがおり、キッチンとダイニングが共用部となっていた。バスルームとトイレは専用部である各個室内に備えてあった。また、寮がオタニエミキャンパス付近にあったので、建築学部のあるオタニエミキャンパスへ毎日徒歩で通学した。

留学先での語学状況

フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語であるが、日常生活ではそれらふたつの現地語がわからなくても英語がほとんどの場面で通じたので困ることはなかった。所属した建築学部の修士課程ではフィンランド国外からやってきた留学生が多く所属しており、ほとんどの講義は英語で開講されていた。大学の授業は勿論であるがそれ以外の時間でも、各国からやってきた留学生と英語で議論や交流することがしばしばあった。出身地によっては訛りや癖のある英語を話す学生もいたので、留学が始まった最初の頃は聞き取りに苦戦することがあった。

単位認定(互換)、在学期間

留学前の段階で卒業要件を満たす単位のほとんど取り終えていたので、留学中に取得した単位の認定を東工大で行う予定はない。また、修士課程2年の後半から1年間留学をする予定となっていたので、1年間の在学期間の延長を申請した。

就職活動

留学先では興味のある企業の情報収集は行っていたが、就職活動は行っていない。帰国後に修士論文と並行して就職活動をする予定である。

留学先で困ったこと(もしあれば)

留学先の住居を見つけるのにひと苦労した。先に受入許可の出たHOASの学生寮の入居をキャンセルし、同時並行で入居申請を行ったAYYの学生寮の入居許可を待っていたが、実際にAYYの寮へ入居することが出来たのは現地へ到着して2カ月を過ぎた頃となってしまった。そのため、それまで一時的に住む住居を現地で自ら探した。住居探しに苦戦する学生は私の他にも多くいたようだ。学生寮への入居待ちをしている学生の数は非常に多いので、入居申請はできる限り早く行うと良い。AYYの学生寮への申し込みをする際はチェックを入れる寮を好みや条件から絞るのではなく選択可能なものの中から出来るだけ多くに入居希望のチェックを入れることを勧める。

留学を希望する後輩へアドバイス

よく言われていることですが、できるだけ英語力を高めてから留学すると良いと思います。とはいえ、留学先に行ってしまえば最低限の英語力があれば何とかなります。

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