派遣交換留学 ラッペンランタ・ラハティ工科大学 2019年8月28日~2020年5月31日

派遣交換留学 ラッペンランタ・ラハティ工科大学 2019年8月28日~2020年5月31日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
工学院 電気電子系 エネルギーコース
留学先国:
フィンランド共和国
留学先大学:
ラッペンランタ・ラハティ工科大学
留学期間:
2019年8月28日~2020年5月31日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

ラッペンランタ工科大学(Lappeentranta University of Technology)

留学前の準備

僕の場合は卒業を一年遅らせる計画だったので、東工大や就活に関して特別な準備は必要ありませんでした。ただし、帰国前からインターンシップ先の応募は始めました。

留学情報は、留学先のホームページを見たり、東工大にいたフィンランド人学生に話を聞いたりしました。研究室の指導教員もその中で見つけました。彼にはいきなり受け入れをお願いするメールを 書きましたが、すぐに 受け入れを認めてくれる旨が書かれた返事がきました。また事前に予習するための論文も送っていただきました。ただそこから急に彼は音信不通になりまして、最後に正式な受け入れ許可書 をもらう際は3度メールを送ってようやく書いて 頂けました。ビザ、住居は留学生交流課の皆様からお伝え頂いた通りに進めまして、言われるがままパスポート、在留許可証を発行し、住居を予約しました。

住居に関しては、どの住居が良いか分からなかったので、嫌だったら後々引っ越しすれば良いと思って、幅広く申し込みをしました。結果的にはパーティーピーポー留学生が多く住み、毎晩騒音が酷い大ハズレアパートに当選して本当に引っ越すはめになったのですが。

留学中の勉学・研究

研究内容は100%再生可能エネルギーの世界実現に向けたシナリオについて考えることでした。僕はそこで日本のエネルギー需要を再生可能エネルギーだけで賄うためのエネルギーシステムを設計しました。

東工大では実際に機械を動かして太陽電池を作製しながら研究していたのですが、フィンランドではシミュレーションソフトのみを使用して研究しました。全く違う内容の研究内容でしたが、太陽光発電という点で共通しており、日本ではどうやって太陽電池を作るかを学び、フィンランドではどうやって太陽電池を世の中で使っていくかについて学んで来ました。

研究で特にお世話になったのは実は教授ではなく、同じ研究室の博士学生たちでした。彼らとは毎日一緒に昼食を食べていましたが、その都度再生可能エネルギーについての議論が繰り広げられました。もちろん何でもない雑談もしましたが、こうして日頃から博士学生と議論できる環境があったことは非常に良かったと思います。

授業も研究の知識補填のために少し履修しました。いずれも再生可能エネルギーについての授業でした。

表面的なことしか教わりませんでしたが、それを自分でより深く学びたくなるような、また更に興味をそそられるような教え方をされました。知識を教え込まれたというよりかは、どうやって自習するかの入り口を学んでいた気分でした。

例えば、早く再生可能エネルギーを広めて気候変動を止めないと我々は大変な目に遭うということを教授は本気で伝えてきます。知識を得られるのはもちろんですが、気候変動は本当に大問題だということが分ってくるので、僕も本気で 焦るよう になりました。結果、もっと気候変動について知りたくなり、自然と自習が捗りました。

言い表すのは難しいのですが、教授は当事者意識を植え付けるのが上手かったのかなと思います。とにかく面白い授業でした。

また、与えられた課題も日本とは異なっていました。日本では答えが一つしかない問題を与えられるのですが、フィンランドでは答えのないような問題をよく出題されました。他人と同じ答えではいけませんし、嫌でも自分で考え、自分の意見を練らなくてはなりませんでした。そこで自分の考えをまとめるためにまたよく自習しました。しっかり身に着く学習だったと思います。

研究室の机とお世話になった仲間たち

研究室の机とお世話になった仲間たち

ある教室と図書館

ある教室と図書館

留学中に行った勉学・研究以外の活動

日本ではずっと陸上競技部に所属していたこともあり、走ることが趣味でしたので、ほぼ毎日走り続けていました。陸上競技場、屋内陸上競技場、近所の駐車場、近所の急坂、様々な場所で練習してきました。競技場では三段跳びのフィンランド記録保持者と一緒に練習できたり、足の速さがほぼ同じであるフィンランド人と一緒に練習できたりと、非常に充実した時を過ごせました。ちなみに、走り終わったあとハポッター(Hapottaa)って言うとウケます。陸上部なら伝わると思いますが、これは乳酸溜まったーって意味です。

余談ですがフィンランド人は基本的にフィンランド人グループとフィンランド語で喋っていることが多いので、彼らの輪に入るにはなかなか難しかったです。この辺は日本人と同じです。しかし陸上で繋がれたフィンランド人は別で、すぐに仲良くなることが出来ました。同じスポーツをやることでやはり一気に距離は縮まるなと感じました。

Kimpinen 陸上競技場と陸上友達との練習

Kimpinen 陸上競技場と陸上友達との練習

屋内競技場と練習で使っていた近所の急坂

屋内競技場と練習で使っていた近所の急坂

また、学校付属の体育館ではバドミントン、バスケ、サッカーなどを していました。ジムも備えてありました。さすが雪国といいますか、室内運動施設は充実していました。なお、体育館は無料で使えて、ジムは1 学期あたり20€、約2400円でした。僕は2学期分購入しましたが、後半はコロナのせいで学校閉鎖されてしまって、失敗したなと思いましたね。

体育館
体育館

ジム
ジム

クリスマスにはスペインへ旅行してきました。スペイン人の友達が帰省するのに付いてきて良いということだったので、彼の家族とクリスマス期間1週間ほど一緒に過ごさせて頂きました。過去最高の旅行になったと思います。その頃フィンランドは極寒で日も短かったので、暖かく日も長いスペインでいろいろ回復できたと思います。スペイン料理は圧倒的にフィンランド料理よりも美味しかったですし、街はめちゃめちゃ綺麗でしたし、陽気で優しい人々に癒されて帰ってきました。

しかし不思議な生活でした。朝は11時に起きて朝食を頂き、15時に昼食、そこからみんなで昼寝し、23時に夕食、そして午前2時に就寝です。生活リズムが違いすぎました。これは会社員の働き方に起因しているみたいです。彼らは大きな昼休みを取ってその間に昼寝をするというのです。昼っていっても15時ですけど。そしてその後また働くので、帰りが遅くなるということです。国全体が“規則正しく”夜型の生活をしていました。そして一回一回の食事が長いのです。食事の際は家族間なのに国会かってくらいにぎやかになります。スペイン人の会話に入り込むためには、話している人よりも大きな声で話を遮るしかないんだよって教わりました。いやいやそんなわけないでしょうと思いましたが、全く冗談ではありませんでした。それくらい活発な会話を繰り広げ、食事に3時間掛けるのも珍しくなかったです。本当に何もかもが新鮮な1週間でした。





スペインの街Sevilleの風景

スペインの街Sevilleの風景

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

一番はやはり英語能力の向上でした。帰国後オンライン授業で留学生と喋るとき、楽に話せるようになったなあと感じました。また留学の最中も友達に上手くなったねって褒められました。これがモチベを上げてくれましてね。僕は褒められて伸びるタイプなのかななんて思いましたね。

改めて感じたのは、話す能力は話さないと伸びないのだなということでした。下手くそなままでも、とにかく恥捨てて喋り続けて良かったなと思います。ちなみに、我ながら発音も上手くなったと思います 。発音はマイケルジャクソン等、英語の歌を真似することから徐々に上手くなっていったのですが、日に日に自分の声が変わっていくのを実感できて楽しかったです。今も更なる良い発音を求めて練習しています。

一番喋った仲間たち

一番喋った仲間たち

留学費用

トビタテ!留学Japanの奨学金を頂いておりました。
以下、出費詳細

出費合計:113万円

留学前に掛かった費用合計:34.3万円

内訳

  • 航空券:13.7万円
  • 海外保険:12.6万円
  • 在留許可証発行:3.8万円(300€)
  • 寮予約のための前払い金:2.5万円(200€)
  • パスポート:1.6万円
  • HelsinkiからLappeenrantaまでの列車チケット:0.2万円(14.4€)

€支払いの項目はクレジットカードで精算しまして、そのクレジットカードの引き落とし金額を日本円で書いていますので、手数料も含まれています。

生活費関連総額:44万円

内訳

  • 食費、食器等:24.5万円
  • 衣服:2.3万円
  • 交通費:3.5万円
  • 通信料:1.7万円
  • 学生登録費(学生サービス、ジム利用料金等):2.3万円
  • 室内競技場利用料金:0.7万円
  • 旅行:8万円

食費のみの月額平均は2万円でした。外食さえしなければ、物価がそんなに高いとは思いませんでした。また、学食をよく使わせてもらいました。一回260円から310円ほどで野菜から何から食べ放題の最強学食でしたので。

ブッフェ学食の風景

ブッフェ学食の風景

栄養満点の食事

栄養満点の食事

住居費総額:34万円

8月から12月は毎月298€(3.6万円)、1月から5月は314€(3.8万円)の寮に 住んでいました。なお8月分は一週間分なので89€(1.1万円)でした。ただし、光熱費、下水料金等は家賃に含まれていまして、追加で払うことはありませんでした。

共用キッチンと個部屋(最初のアパート)

共用キッチンと個部屋(最初のアパート)

留学先での住居

LOAS apartmentという学校付属の寮に滞在していました。上記の通り、月額4万円未満ということで、かなり低価格だったかと思います。

申し込みはLOASのウェブサイトで完結します。希望の住居を選び、申し込んで、あとは待つだけでした。ただし人気の寮ばかり申し込むと待ち時間がとても長くなるので注意が必要でした。

上にも書きましたが、僕は一度引っ越しをしています。最初のKarankokatuというアパートは最悪でした。とりあえず申し込んだアパートが、一番ハズレだったのです。

始め、ルームメイトには恵まれたなあと感じていました。優しいし、明るい。しかし1ヶ月 後、住民たちが仲良くなっていくに連れて、夜中の騒音が酷くなってきました。隣、上下の部屋では毎週末パーティーが行われてガンガン物音がしたり叫び声がしたり、大合唱が行われたり。もう眠れませんでした。彼らの生活スタイルは完全に夜型でした。朝の5時まで騒いではそこから昼の2時頃に起き始める。僕は11時に寝て8時に起きる生活をしていたので彼らとは全く相性が合いませんでした。

ルームメイトも敵でした。彼らは深夜3時頃に酔っ払いながら友達をぞろぞろ連れて帰宅して騒ぎ始め、共用のキッチンや食卓をとんでもなく汚したまま放置して寝るのです。もう大嫌いでした。とうわけで、10月頃には耐えかねて引っ越しを決意しました。

引っ越しは最初と同じように申し込みが出来ました。ただこのときはLOASの事務所に騒音が酷いから引っ越したいと相談しに行ったとき、その場で待たずに新規住居を提示してくれました。ネットで申し込むだけではかなり待つ必要があるのですが、直に相談しに行くと待たなくては良い不思議システムでした。

新しい部屋Laserkatuのアパートに引っ越してからはもう最高でした。ルームメイトは静かで学校からも近いし、快適そのものでした。住所変更届を書きに市役所まで行ったり、荷物運んだりと色々大変でしたが、心底引っ越しして良かったなと感じました。

留学先での語学状況

フィンランド人学生は全員英語を喋るので、学校内で言えば英語だけで十分でした。ただ街中で会ったおじいちゃんフィンランド人は英語を話せなかったので、簡単なフィンランド語は話せた方が良かったと思います。また当然かもしれませんが、フィンランド語を喋った方が圧倒的にフィンランド人との距離が縮まると思います。フィンランド語の授業は取りませんでしたが、取れば良かったと後悔しました。

ちなみに、とりあえずフィンランド人に会ったらノニーン(No niin)と言うとひと盛り上がりします。意味はなんでもありで、日本でいうヤバーイに近い言葉です。

英語は苦手な方で、TOEFL ITPは英語第9の合格基準点ぴったり丁度の500点でしたが、 留学前から日本で留学生と沢山話していたことから、全く話せないということはなかったです。しかし最初に授業を受けたときはなかなか大変でした。英語は早いし知らない単語が沢山出てきました。慣れ始めたのは2か月くらい経った後でした。ただ聞いていただけではなく、分からない単語は調べたり、英語の歌で発音を確かめたりといったことはしました。あとはひたすら話し続けていくうちに 上手くなっていきました。

単位認定(互換)、在学期間

単位互換は行いたいと思っています。合計18単位(ECTSというヨーロッパの単位)取りました。在学期間の延長は行います。修士を3年間で卒業する予定です。

就職活動

2020年4月頃からフィンランドでインターンシップ情報を集め始め、複数申し込みも行いました。陸上部やエンカレッジという就活支援団体に助けられながら進めています。帰国後も同じように活動しています。なお本選考に申し込むのは来年2021年からになります。

留学先で困ったこと(もしあれば)

寮の騒音問題には本当に悩まされましたが、引っ越しで完全に解決しました。
コロナウイルスが広がってき始めたときの対応の仕方。結局は丸く収まりましたが当時は情報が錯綜し、何をしたら良いか全く分からない状態でした。

留学を希望する後輩へアドバイス

新しいことに挑戦することが好きという方なら、留学をお勧めします。留学はまさに新しいことの連続です。きっと楽しめると思います。

また、手っ取り早く英語を身に付けたいなら、留学に行くべきだと思います。日本で英語を身に付けるのは、僕には無理でした。

あとこれは僕の先輩からの受け売りですが、「海外だろうと、大阪に引っ越すくらいの構え方で大丈夫」です。これは本当でした。発展途上国の生活はどうか 分かりませんが、少なくともフィンランドに行くなら、使っている言語が違うだけで生活は日本とほとんど一緒です。そんなに気負うことなく、 スーツケース一つに最低限の荷物だけ持って、気軽に行ってくると良いと思います。





圧倒的に綺麗なフィンランドの自然

圧倒的に綺麗なフィンランドの自然

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