派遣交換留学 スウェーデン王立工科大学 2019年8月16日~2020年6月5日

派遣交換留学 スウェーデン王立工科大学 2019年8月16日~2020年6月5日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 建築学系 都市・環境学コース
留学先国:
スウェーデン王国
留学先大学:
スウェーデン王立工科大学
留学期間:
2019年8月16日~2020年6月5日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

英語名は”Royal Institute of、スウェーデン語では“Kungliga Tekniska högskolan”。という名称の大学です。スウェーデンの首都ストックホルムに本キャンパスを構える、スウェーデン最大の理工系総合大学で、本キャンパスのほか、 4 つのキャンパスを有します。ヨーロッパ工学系大学ランキングでは 6 位 (2018 年で、特に建築系の学部は世界で 23 位と高いレベルです。また、1877 年設立という スウェーデンで最も歴史ある 理工系大学でもあり、特にキャンパスの荘厳な雰囲気はとても魅力的です。 学士課程の授業はスウェーデン語で、修士課程は英語で授業が行われるので、日本からの留学生は学士・修士に関わらず、修士向けの 授業を履修しています。約 1 万 7 千人 の学部・修士学生が学び、教員数は約 2800 人 です。留学生は全体の約 30% を占めており、全体で女子学生の割合も約 30% です。







留学前の準備、私は学部時から修士まで 3 年間同じ研究室に所属すると決めていたので、学部 4 年時に所属研究室の教授と相談しながら留学を申し込みました。修士で留学したい旨は、もともと研究室所属前の見学時から教授にお話していました。

論文については、スウェーデンのケーススタディを踏まえたテーマを扱いたかったので、渡航前にテーマに関しては綿密に 指導 をしていただきながら決めました。

卒業時期は修士を3 年間とするつもりで、そのためセメスター終了後も一か月ほどスウェーデンに残り、研究のためのフィールドワークを行う予定でした。しかし、万が一のために留学中も講究単位の認定をしていただき、 2 年間で卒業も可能なように取り計らっていただきました。

就職活動は、修士2 年目の冬から始め、修士三年目の春~夏に内定を取るスケジュールを立てていました。

留学中の勉学・研究

授業は前期、後期で基本的に各3~4種類の授業を履修するように設計されていました。東工大での専攻と同じ都市計画系の授業を主に履修し、またせっかくスウェーデンに留学しているので、スウェーデンの歴史・文化に関する授業とサステナビリティに関する授業を履修しました。履修結果はほとんどの授業が C で (A F 評価 、思うように成績が取れませんでした。どの授業もディスカッションが中心だったので、あまり積極的に意見を出せなかったり途中で会話の流れにうまく乗れなかったりしたことが成績にも影響したと思います。語学面は最初の数か月苦 労しましたが、その後は語学そのものよりもコミュニケーション能力の点で自分の力不足を実感しました。

テストは無く、提出物はプロジェクトワークの報告書や文献のレビューがメインでした。読む文献資料が事前に配布され、それを読んだうえで 考察 してレポートにまとめたり、内容について討論することが多かったのですが、読むスピードが遅いので非常に多くの時間を取られて、日本での授業よりは確実に苦労しながら受けていたと思います。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

ボランティア、インターンシップ 、旅行、スポーツなど、幅広く体験を記入してください。
ボランティアとしては、 KTH にある日本語クラスのアシスタントを何回か行いました。また、L anguage Café という他国の文化や言語を学び合うイベントが毎週あるのですが、そこに通って日本語に興味がある学生に日本語を教えました。

旅行はテスト終了後やクリスマスホリデーにイギリス、マルタ、アメリカ、ドイツ、オーストリアに行きました。ヨーロッパ圏内は移動が楽で、航空券も安いので学生でも気軽に旅行できてよかったです。最も印象に残ったのはスコットランドのエディンバラで、歴史ある町並みの散策や 間借りした民家での現地の人との交流を楽しみました。ミュンヘン、ザルツブルグのクリスマスマーケットに行くという経験もして、クリスマスシーズンを満喫できました。国内ではヨーテボリとキルナに行きました。キルナではそりのツアーやオーロラ観賞をしました。私が行った日には、地元の人も驚くほどの大きいオーロラを奇跡的に見ることができました。

スポーツは大学キャンパス内にあるジムに入会し、定期的に通って運動しました。週一回、ZUMBA というダンスのレッスンを受けました。



留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

今までずっと実家で生活してきて、留学中の一人暮らしは初めての経験でした。自己管理や家事など、自立して生活する経験ができたのは貴重なことでした。渡航後一か月は生活するのに精一杯でしたが、その後は少し余裕も出てきて料理や片付けを楽しみながら過ごせました。

勉強面では、ディスカッション中心の授業だったので、多様な価値観に触れる機会が多くありました。グループワークも多く、文化・社会的に背景の異なる人々とコミュニケーションを取りながら意思決定していくことで、環境 への適応力を身に付けられたと思います。

スウェーデンの授業では、都市の計画は思想と大きく結びついていることが度々強調され、日本ではあまりなかった概念だったので新鮮でした。例えば、フェミニズムと都市の関係などについて考察したのは初めての経験で、女性が安心して暮らせる街をハード面から考えようという取り組みでした。このように、今までは気づかなかった視点から自身の専攻をみることができるようになり、視野を広げるきっかけになったと思います。

留学費用

奨学金は渡航準備費に20万円、その他月額15万円受給していました。渡航費は FINNAIR 往復で23万円 帰国便をフレキシブルにする手数料含む、生活費は月約十数万円、うち住居費が月約8万円弱でした。旅行に行くと15万円を超えました。保険料は大学で加入する AIG 損保で、一年間のプランでした。治療費3千万円、生活動産30万円の補償がついているものです。
その他、旅行などで出費が多い時には親から私の口座のお金を送金してもらいました。

留学先での住居

私はキャンパス内にある学生寮に住んでいました。留学申し 込みの際に寮を希望し、大学が複数ある寮の中から学生を自動的に割り振り、6月に寮決定通知を受け取りました。一人暮らしで、ルームメイトはいませんでした。また、私の寮はキッチンバストイレ個別で、洗濯機と乾燥機だけ共用のランドリールームを使用する形でした。新しい寮だったので設備も問題なく、快適に過ごせましたが家賃はとても高かったです。



留学先での語学状況

留学前の語学力は決して高くなく、最初の一か月は日常会話も難しかったです。新歓イベントや授業でのディスカッションの経験を通じて、少しずつ慣れていき、専門分野の議論もできるようになったと思います。授業では文献購読の課題が頻繁に出されたので、大量のリーディングをしたことも語学面での成長につながったと思います。授業を聞くうえでの語学上の問題は特にありませんでした。

スウェーデンは公用語はスウェーデン語ですが、皆英語も話せるし修士課程はほぼすべて英語で授業が開講されるので、スウェーデン語が分からなくても全く問題はないです。困る場面は、道に迷ったときや買い物をするときくらいです。スウェーデン人の英語は、皆母国語ではないので日本人にとってわかりやすく、発音も聞き取りやすいように思います。

単位認定(互換)、在学期間

単位認定については、 GPA を保ちたいので成績によって認定してもらうものとしないものを分ける予定です。留学については学部時から決めており、学部四年 で修士課程授業の先取りを行い、修士一年の1 Q にもたくさん授業をとったので、単位認定の必要性はない状態でした。在学期間の延長は就活や修士論文執筆のスケジュール上行う予定でしたが、コロナウイルスの影響で帰国が早まったので二年での卒業を目指しています。

就職活動

留学先では特に就職活動は行ってませんでした。帰国後、セメスター終わり 6月初めまではオンラインで授業を受けていました。その後、KTH での学修が終了してから就職活動を始め、主に海外留学生枠で選考を受けました。

留学先で困ったこと(もしあれば)

留学先では、医療機関を気軽に受診できないという点で困りました。スウェーデンは1年以上の滞在でパーソナルナンバーが付与され、社会保険制度が適用されます。しかし、交換留学だと滞在が1年未満になるので、パーソナルナンバーや社会保険がありません。医療機関はパーソナルナンバーが無いと受診予約ができないところがほとんどで、予約が無いと救急しか受け付けてくれません。プライベートクリニックに行っても何か月待ちという状況で、窓口負担が最低 でも数万円になります。金銭面では、海外旅行保険でカバーされるので問題はないですが、以上の状況で緊急の必要性が無い限りは受診を我慢するという状況になってしまいます。

留学を希望する後輩へアドバイス

留学は勢いです!先のことを考えすぎるとなかなか踏み切れないと思います。私はいつも考えてばかりで行動に移せないタイプだったのですが、今回はまず留学申し込み手続きを一通り行い、後に引けない状況をつくって自分のモチベーションを上げていきました。また、そんな性格なので渡航まで楽しみというよりは不安や憂鬱の方が大きかったのですが、今考えると 留学中の生活は今までの人生の中で一番楽しい時期でした。コロナの影響で残念ながら8か月の滞在となってしまいましたが、また機会があれば何回でもスウェーデンに行きたいです。

留学先でできた人間関係もこれからずっと大切にしていきたいです。日本人留学生とのネットワークはもちろん、グループワークで一緒になった人、新歓で出会った人、ランゲージカフェで出会った人など、帰国後も頻繁に連絡を取り合っています。

人生経験、そして勉強面でも非常に意義のある期間でした。帰国後は就職活動などで自分のキャリアを考える機会が多いですが、留学をしたことで海外で働くこと、国内で働きながらも海外事業に挑戦すること等、とても選択肢の幅が増えたと思います。そして社会問題への意識も強まり、特にジェンダー観や移民問題について考える 機会が多くなりました。

まとめとして、留学は本当におすすめです。この文章を見てくださっている方なら少しでも留学を検討されていると思うので、あとは勢いで申し込むのみです。長期留学が不安なら、自己負担は多少ありますが短期派遣プログラムもあります。大学では手厚くサポートしてくださるので、それも利用しながらぜひ思い切ってみてください。

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