派遣交換留学 ヨーク大学 2018年9月20日~2019年6月25日

派遣交換留学 ヨーク大学 2018年9月20日~2019年6月25日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 融合理工学系 地球環境創生コース
留学先国:
英国
留学先大学:
ヨーク大学
留学期間:
2018年9月20日~2019年6月25日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

ノースヨークシャーの小さな城下町ヨークの郊外にある、比較的新しい公立大学です。9つのカレッジから構成されており、それぞれのカレッジで授業や研究が行われたり、イベントが開かれたり、学生が生活したりしています。英国版アイビーリーグとも認識される「ラッセル・グループ」のメンバー校にも選ばれており、イギリスの中でも名門大学として知られています。心理学やコンピュータ専攻が比較的強いそうです。

留学前の準備

私の場合は修了を1年延長して留学に行ったので、研究について派遣期間中は一旦中止し、帰国後再開するというスケジュールでした。就職活動に関しては、11月にボストンキャリアフォーラムに参加し、4月のイースター休暇中に途中帰国して説明会に参加、帰国後に選考を受けるという流れでした。ビザについては現地の大学がサポートしてくれますが、イギリス政府のホームページで改めて要件を確認したりしていました。語学については、少しのバックグラウンドがあり試験に対しては何もしませんでしたが、渡航前にアメリカとイギリス英語の違いについては勉強していました。

留学中の勉学・研究

環境科(postgraduate)と数学科(undergraduate)の授業を履修していました。基本的にメインは数学で、量子力学の入門やパターン認識・データ分析、動態モデリングなど幅広く履修しています。環境科からは沿岸海洋学入門、環境ガバナンス、環境資源保全のための経済学の授業を取りました。数学科の授業については、難易度が比較的自分のレベルにあっていて、講義のビデオや教材がほぼ全てポータルサイトにアップされるので、自分で復習することができ取り組みやすかったです。この学科ではテストのみで全て評価が決まりますが、テスト前に過去の課題を解き直して準備したので、一部本番のテスト問題と相性の合わなかった科目を除いては比較的高い評価(A: 70点~)を多くいただいています。とはいえ、日本ではマスターで研究を進めていためテスト勉強はかなり久しぶりで、時間や体調面などセルフマネジメントを見直す良いきっかけになりました。環境学科はテストとライティングの両方が評価対象になることが多かったです。特にライティングに関しては英文2000文字や3500文字のものなど、それなりに分量の多い課題が出されていたので大変でした。先生とのチュートリアルには欠かさず参加したり構成を何回も考え直したりしたからか、最終的な評価はクラスの平均から少し上くらいにおちつき、個人的には十分満足できる結果になりました。英語がネイティブかつその分野を本格的に学ぶ学生と肩を並べての課題提出なので、その意味でのプレッシャーが大きかったですが、同じ授業を取っていた学生と話したりすることで何とか乗り切った気がします。内容として授業の中で政治や経済の基礎的な部分を扱ったことで、そのような側面から構成される社会像をよりイメージしやすくなったことと、そこから世間で起こっていることに対してより主体的に考えられるようになったことがプラスになったと 思っています。例えばイギリスのMPA(Marine Protected Area)という政策に対しての各ステークホルダーにおける立場を調べた際、日本と比べてかなりNGOや市民団体の力が強いことがヨーロッパらしく印象に残りましたが、このような視点は留学前あまり持てていなかった気がします。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

自分の将来や社会に関してゆっくり考える良い機会と思い、課外活動には多くは参加していませんでした。日本語を学習する学生向けのピアラーニングセッションを開くボランティアを1ターム続けたり、時々大学主催のtech系のイベントやセミナーに参加してみたり、フラット(寮の同じフロア)メイトとお話したりパーティに参加したりする程度でした。ただ5月上旬、マルタに始めて観光のためだけの海外旅行に行った際、プログラムやサークル活動としてよりもむしろ旅行の方が純粋に海外の言語や文化、歴史などを学ぶ意欲に繋がると感じ、それ以降は一人旅に傾倒していました。イギリス国内の都市だけでなく、アムステルダム、コペンハーゲン、ポーランドとヨーロッパ数か国を訪れています。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

各学期の期末試験への取り組みを通じて、時間的・実力的な意味で現実に即したプランを立てて実行する大切さを感じたことと、そこから少し先を考えて計画的に動く癖がつくようになったことが成長かなと思っています。イギリスの国柄なのかこの大学の教育方針なのかわかりませんが、学問の内容と同じくらいにタイムマネジメントやストレスコントロールなどについて積極的にサポートや指導をされる風潮を感じたので、それが一因かと思います。渡航前までは行動がかなり勢い任せで、難しいものほどかなりぎりぎりまでタスクに手をつけなかったり、準備を怠ったせいで研究データの取得に失敗したり、自分の力量の現実味を考えず仕事を引き受けたりしてトラブルに繋がったことも時々あったので、素直に改善し始めることができよかったです。同時に自分で決めたことを実行することによって得られる安心感と、それを続ける難しさも分かるようになってきた気がします。

留学費用

出費合計:約160万

(出費内訳)
渡航費:往復13万
ビザ:7万(発行5万、NHS 2万)
英語テスト:5万(TOEFLとIELTS)
住居費:90万(9ヶ月)
海外保険:13万
生活費その他:45万(9ヶ月)
小計:約170万
+個人旅行(国内旅行、一時帰国、ボスキャリ、海外旅行):約60万

(収入内訳)
奨学金:72万(Jasso給付型)

留学先での住居

Goodricke Collegeの中のJanet Baker Courtという寮に住んでいました。5~7人程度で1つのフラットをシェアします。また寮の種類によって、入居期間やバスルームの有無、価格が異なります。基本的に寮・フラットは男女混合だと思います。私は週1回の食事つき、バスルームは共用のフラットに住んでいました。フラットメートはたまたま皆女子留学生で、出身はそれぞれフランス、スペイン、オランダ、ドイツ、香港とヨーロッパからのerasmus生が多かったです。この寮が大学で一番古い住居だそうですが、それでも部屋や共用スペースは広さも清潔感も十分あり、トラブルの際はスタッフがすぐに来てくれ対応してくれるので、とても住みやすかったと思います。応募時期がぎりぎりだったからか、自分で部屋の種類を選ぶことはできませんでした。

留学先での語学状況

授業は基本的にイギリス英語ですが、海外からの先生も多く在籍していらっしゃるので全てがネイティブの講義という訳ではなかったです。例えば量子力学の先生は1人日本人の方がいたり、環境科ではスペインやポルトガル出身の先生の授業を受けたりしました。数学科については講義を聞きテストに備えるという形式なので、その点あまり苦労はしませんでしたが、環境科では時々ディスカッションがあったりグループワークがあったりしたので、その時は少し圧倒されました。個人的に、留学生同士では意志疎通しやすく現地の学生の発言はかなり聞きづらかった印象です。最低でもTOEFL iBTで不自由ないくらいのリスニング力と、物おじしない発言力はあった方がより主体的に授業に取り組めるかと思いました。その点、リスニング力をもう少し上げてから渡航できていればと思います。またイギリス出身の先生の場合、言い回しがかなり独特だったり遠回しだったりするので、そこも難しく感じました。

単位認定(互換)、在学期間

環境科の授業2つを認定予定です。在学期間は渡航前に計画したものから変更しませんでした。

就職活動

11月のボストンキャリアフォーラムに参加して開始しました。渡航後に自己分析や業界・職種研究をしていたので、かなり10~11月は忙しかったです。一応別の予定で4月に途中帰国したため、それを機に再度新しく企業の説明会に参加し、帰国後にその続きの選考を受けています。幸い志望がIT系の子会社のみなので、説明会の際の交渉だけでこのスケジュールで進めることができていますが、他業種や大手企業の場合こうも行かないそうです。

留学先で困ったこと(もしあれば)

イギリスの方は皆とても優しいですが、かなりシャイでパーソナルなところもあるので、コミュニティに所属するのは少し思い切りがいる気がします。ソサエティ(クラブ活動)やアルバイトなどの参加も検討し、実際に体験に行ったり応募してみたりもしましたが、日本人留学生には少し敷居の高い感じがすることも多く最終的には勉強と日本語セッションボランティア、一人旅に落ち着きました。

留学を希望する後輩へアドバイス

日本にいると「留学=人生の中の一大決心」というイメージが強いかもしれませんが、世界的には海外の大学で学ぶことは決して珍しいことではなくなっていると感じます。実際、派遣先の大学で中国はじめ外国籍の学生をたくさん見てきました。その中には語学が得意な方もいれば、苦手な方もいるので、まず語学だけで諦めてしまうのはもったいないと思います。また同時に、単に海外の大学で勉強するだけで明確な強みや周りとの差別化に繋がるわけでもないとも感じました(日本の就活市場に限って言えば、経験だけで十分重宝されるのも事実ですが、、)。もちろん具体的に「○大学の◎先生の授業を受けたい/研究をしたい」というモチベーションがあれば、それは大きな成長の機会になると思いますし、また漠然とした憧れから行っても、日本との違いを観察したり、授業に参加したり何かしらアクションを起こして考えれば良い経験になると思います。

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