派遣交換留学 ミュンヘン工科大学 2017年10月1日~2018年9月15日

派遣交換留学 ミュンヘン工科大学 2017年10月1日~2018年9月15日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
工学院 機械系 機械コース
留学先国:
ドイツ連邦共和国
留学先大学:
ミュンヘン工科大学
留学期間:
2017年10月1日~2018年9月15日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

ミュンヘン工科大は開学150年を迎えた、ドイツで最高峰の理工系大学の一つである。キャンパスは市街の他に郊外のキャンパスを持ち、機械工学部は郊外のキャンパスにある。私は機械工学部のかなでもFZG(Forschungsstelle für Zahnräder und Getriebebau)という歯車などの機械要素を扱う研究所に所属していた。

この研究所は世界をリードする機械要素の研究所であり、機械要素の試験のための豊富な装置や技術を持っている。また製品に近い技術を扱っていることからとくに産業との結びつきが強い研究所である。

図1:研究所内のクリスマスパーティー

図1:研究所内のクリスマスパーティー

留学前の準備

留学の事務手続きなどの準備の進め方は留学フェアなどでの質問や東工大のHPで情報収集を行った。また研究室に留学経験者の先輩がいたため実際にどんな準備が必要かなどの情報が得られた。留学先の選定は自らの研究に関連する研究室があるところを検討した。文献調査で関連する研究を行っておりかつ実験設備やシミュレーション技術が優れている研究所がTUMにあったためTUMを選択した。また東工大で所属する研究グループでお世話になっている東工大の先生にお願いしてTUMの研究所の教授を紹介していただいた 。9月ごろに受入可能とのメールいただき、留学先でのテーマは4月頃に数個の候補の中から選択した。ドイツはビザ無しで入国した後に90日以内に居住許可をとる。必要書類に費用証明書が含まれるため、日本にいるうちに奨学金受給証明を大学に依頼し持って行った。現地で手続きする役所は営業時間が短い上に営業時間内でも待ち人数が多いとその日に手続きできない場合もあるので開業時間前にいって並んで待った。

住居はTUMの交換留学担当から寮の案内がありそれに従って申し込んだ。
現地の健康保険に加入することが入学の条件及び居住許可の条件であったため日本にいるうちにAOKという会社に加入の申込みを行った。メールのやり取りが必要であるため、時差も考慮して早めに手続することをおすすめする。

留学中の勉学・研究

冬学期のみ授業をとった。ドイツ語の語学講義を受講した。機械工学の授業はほとんどドイツ語で開講されるため受講できる講義が少なく、数少ない英語で開講される数値解析に関する授業を受講した。語学の講義は一番初級のものを選択したため、問題なくついていくことができた。ただ聞き取りなどは他のヨーロッパ言語話者に比べると習得が遅く、ドイツ語での指示がだんだんと多くなると理解できなくなることもあった。

数値解析に関する授業については日本の授業と大きく変わったところはなかった。授業スライドが配られるため復習がよういであった。試験勉強は授業スライドと演習問題の見直しを行った。演習問題が多い範囲と少ない範囲があり、少ない範囲では授業内容の理解に努めた。試験問題は分量がおおく全部は終わらなかった。演習問題で練習した部分はできたが、そうでないところはけして難しい問題ではなかったが時間のなさもあり焦ってあまり振るわなかった。

研究は10月から1年間おこなった。研究所の研究者のもとで「焼結材を用いた自己潤滑機構を有する歯車の潤滑油流れの解析」についての研究を行った。研究所でも今までにあまり行われてこなかった解析だったため、文献から類似の問題でのモデルを調査することから始めた。自分でモデルを構築する段階になると指導員に説明を求められることが多くなり、最初は語学面で苦労したが徐々に伝えられるようになっていった。とくに相手の持っているイメージと逆のことを説明する場面では納得させるために苦労したが、最終的にはわかってもらえるようになった。研究所では修士を卒業したあとの人が研究員として働いており5年程度で博士号を取得するのが普通であり、修士課程である私はその中のひとりの研究員のために研究するという形であった 。そのためミーティングは基本的にその人とのみ行った。しかし後半になると自分の研究を引き継ぐ現地の修士学生や、自分の解析と他の解析を連成するときにはその解析に詳しい別の研究者とミーティングをすることも増え、議論する機会に恵まれた。最終的には目標を概ね達し成果を所内で発表し、また報告書を提出した。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

ミュンヘンはかつてのバイエルン王国の首都であるため、周辺には宮殿や城が数多く存在する。興味があったので、1年間有効の年間入場券を購入して各地の宮殿や城を週末に見て回った。航空機や自動車などの博物館にも足をのばした。なかでもマンハイムの近くにある技術博物館は大型の旅客機も展示しているような大きな博物館であり、機械系の学生としてとても興味深く大変有意義であった。

州の他の国に留学中の同期や先輩を訪問したりされたりした。他の大学の雰囲気も感じられ、また現地での生活も垣間見られて観光だけではない旅行となった。

図2:シュパイヤー技術博物館

図2:シュパイヤー技術博物館

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

1年間の留学先での研究の中で多くのことを学び、また結果に対する達成感を得られた。始めは指導員に言われたことをやるところからだったが、次第に自分で解析モデルについて提案するようになった。わかりやすく説明するために簡潔な言葉で説明するように心がけ、また相手の質問の意図がわからない時は適当に答えずになにを求めているのかわかるまで聞き直した。語学力の不足を明らかにしているようで恥ずかしく感じたが、それでも意思疎通を図ることで研究を進めることができた。

指導員は忙しく、ドイツといえども朝早くから夜まで働き疲れた様子の時も多くあった。そんな中でミーティングに時間をとってもらうことが申し訳なく感じることもあった。しかし、情報の共有はお互いのためになっていると感じ積極的に説明し質問できるようになった。

留学費用

ビタテの奨学金を受給していた。月額16万円に加えて準備費用として25万円をいただいた。留学前に航空券代と旅行保険代の支払いがそれぞれ15万円程度であったので資金繰りが大変だった。

ミュンヘンでの寮費は300ユーロ/月程度、現地の強制健康保険は95ユーロ/月程度であった。生活費は寮費と保険料込で1000ユーロ/月程度であった。

奨学金の振込は月末であり、年度初めは5月末に2ヶ月分まとめて振り込まれるなど、最初にある程度余裕を持った資金が必要である。

留学先での住居

現地の大学生協のような組織が運営する学生寮に住んでいた。申込みはTUMの派遣交換担当の人の案内に従って手続きした。地下鉄の駅に近く2つあるキャンパスのどちらにもゆきやすい場所であった。設備は完全な個室で部屋にキッチンとシャワー、トイレがあった。洗濯機と乾燥機だけ共有でランドリーコインを買ってつかうシステムだった。乾燥機は故障が多かったため、バルコニーに干すこともあった。

各階に一つ共用の部屋があり私の部屋はその部屋の横であった。深夜に大音量の音楽をかけてパーティーが行われていることが多々あり、最初は眠れない日もあったが耳栓をつかうようになってから眠れるようになった。

図3:寮の室内

図3:寮の室内

留学先での語学状況

基本的に英語を話していた。研究のミーティングはすべて英語で行い、最初の数カ月は英会話に慣れず伝えるのに苦労することも多かったが徐々に改善していった。数ヶ月に一回所内でプレゼンを行うことがあった。発表は準備していくので問題なかった。最初はなかなかうまく質問に回答できなかったが、最終のプレゼンではできるようになっていた。

ドイツ語はスーパーなどで少し使う程度であった。ただ研究所はドイツ人がほとんどであり会話により参加するにはドイツ語が必要だと思った。

単位認定(互換)、在学期間

東工大での在学期間を伸ばすこともあり単位数は十分であるため互換は申請しない。

就職活動

留学先で就職活動はしていない。帰国後ひとつ下の学年の学生と同時に行う予定である。

留学先で困ったこと(もしあれば)

年末年始の休暇中にインフルエンザのような症状を覚えて自宅で療養していたが、なかなか治らず、熱が夜になると上がるなどインフルエンザとは違う症状が現れたため、元旦に緊急医を受診した。緊急医は同じ寮の現地人に場所を教えてもらった。

留学を希望する後輩へアドバイス

語学に関しては準備が重要だったと感じた。留学中に伸びるだろうと考えているかもしれないが、そのためにもあらかじめ語学力が必要である。語学は留学中に使うから出来るようになるので、会話の機会を得ることが大切だと感じた。会話に参加するにはある程度の力必要なので、準備不足は会話の機会を奪いかねない。留学前はそのほかの準備に忙しくなるが語学の準備も必要である。

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