派遣交換留学 シュツッツガルト大学 2019年9月2日-2020年3月29日

派遣交換留学 シュツッツガルト大学 2019年9月2日-2020年3月29日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
物質理工学院 材料系 原子核工学コース
留学先国:
ドイツ連邦共和国
留学先大学:
シュツッツガルト大学
留学期間:
2019年9月2日-2020年3月29日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

ドイツ南部のBaden Württemberg 州の州都シュツッツガルトにあるシュツッツガルト大学に派遣交換 留学をした.キャンパスは2つに分かれ おり,文系や一部の理系学科は中央駅近くのキャンパスを利用する.他の大半の理系学科は,中央駅から2駅のところにある郊外 Vaihingen) のキャンパスを利用する.Vaihingen キャンパスは広大な森の隣にあり,キャンパス内に学生寮もある.

留学生全体では,ヨーロッパ,南米,中国からが多く,日本人や韓国人は希少であった.私の所属していた研究所では,30人程度のメンバーのうちドイツ人が半数で,次いでスペイン出身が多く,アジア系は私と中国人1人だけだった.

留学前の準備

留学計画

本来は修士1年からの留学を考えていたが,シュツッツガルト大学の留学要件のドイツ語レベルに達していなかったため,卒業を1年間延長し修士2年から留学を開始した.修士2年の9月から 翌年9月まで1年間留学する計画であったが,新型コロナウィルスの流行の影響で,3月末に帰国することになった.

就職活動 ・修士論文

就職活動に関しては秋でも選考してくれる企業をいくつか把握していたため,楽観的に考えていた.在学期間を延長したので,修士論文には特に影響はなかった.卒業を延ばすことに関しては,留学という貴重な経験をできることを考えれば,マイナスではないと思っていた.

情報収集

シュツットガルト大学の情報は,過去に東工大から交換留学していた先輩に聞いていた.留学報告会でその先輩がシュツットガルト大学への留学の話をしていたので,連絡先を教えてもらっていた.シュツットガルト大学の日本語での情報はネット上に多くないので,このようにして質問ができていたのは幸いだった.

留学先の研究室

留学先の研究所とは元々繋がりがなかったので,HP からメールをしてアプライした.想像以上にすんなりと受け入れてもらえた.研究所としても給料を払って雇うわけではないのでハードルが低いのかもしれない.

ビザ取得

日本人はビザなしでドイツに90日まで滞在できるので,ドイツ到着後に現地でビザ取得の手続きをする.一番悩むのは滞在費用の証明だと思う.学生の滞在費用の証明方法としては主に2つあり,①閉鎖口座の預金証明 ②奨学金の証明である.私は①を選択し,ドイツ到着後 日本からTransferWiseでBW Bankに必要金額を 送金し,その証明を提出した.説明には閉鎖口座が必要とあったが,普通口座で問題なかった.②の場合は日本の奨学金の受給証明ではたとえ英語書類でも受け付けてもらえない可能性があるので,ドイツの奨学金 を受け取っていない場合は①を選択した方が良い.

奨学金

「トビタテ!留学JAPAN 」の奨学金を受給した.応募や手続きに関して,東工大のトビタテの先輩方や留学生交流課の方々に本当に多くのことでお世話になった.

また,シュツットガルト大学のあるBaden Württemberg 州の Baden Württemberg Stipendiumという奨学金にも応募し,合格したが,この奨学金は他との併用不可なので 辞退した.通過しやすい奨学金だと思うので,他が落ちたときの保険として応募しておいた方が良いと思う.「トビタテ!留学JAPAN 」の奨学金を受給した.応募や手続きに関して,東工大のトビタテの先輩方や留学生交流課の方々に本当に多くのことでお世話になった.

また,シュツットガルト大学のあるBaden Württemberg 州の Baden Württemberg Stipendiumという奨学金にも応募し,合格したが,この奨学金は他との併用不可なので 辞退した.通過しやすい奨学金だと思うので,他が落ちたときの保険として応募しておいた方が良いと思う.

留学中の勉学・研究

セメスターの始まる一ヶ月前からドイツ語集中学習コースがあり,ドイツ語が高いレベルではない留学生はこのコースを受講しないといけない.このコースの中で,様々な国から来た留学生と知り合うことができた.最終的に特に仲良くしていた友達 たち はこのコースで知り合ったのがきっかけであった.

シュツッツガルト大学内にあるIFKBというセラミックス複合材料専門の研究機関に所属していた.私の東工大での研究と近い分野の研究を行っているので,専門の知識に関してあまり戸惑うことはなかった.研究テーマが与えられ,最終的に論文を書くことを 目標に研究を進めていた.

これに関しては IFKB の所長が最初に案内してくれた.研究活動自体は IFKB 内の1つの部署 の教授のもとに所属して行っていた.とはいえ,私のテーマに関して教授が詳しいわけではないので,過去の研究所の論文やテーマに関する論文を読んだりすることで知識をつけた.実験の進め方は完全に私に任されており,自由に進めることができた.先生に報告し休みも自由にとれた.ただし相談しないと基本的に放置ではあった.適宜 進捗報告して先生に意見をもらったり,必要な物を注文したり,他の先生や技術員の方々に協力をお願いした.ドイツでは修士学生の最後の時期に研究活動を行うようで,研究所には博士課程の学生が多かった.しかし,同じく交換留学でフランスから来ている修士課程の留学生が同じ 研究室 にいたので,寂しく感じることはなかった.

専門の授業は,教授に受けると良い専門の授業を教えてもらって受けた.研究所の所長の授業で,ドイツ語の授業であった.専門 の前提知識があることとスライドの内容から,講義内容はある程度は理解できていた.授業登録はしていな いので,試験は受けていない.

ドイツ語コースの履修結果

集中コース,通期コースともに合格者の中間層といった成績であった.筆記試験などはそこそこできていたと思うやはりSpeakingが他に比べてそんなにできていないと感じた.

留学中に行った勉学・研究以外の活動

現地でも東工大で行っていた サイクルサッカーの活動をした.国際交流が盛んなスポーツであるため,シュツットガルトに も知り合いが元々いた.その人の紹介で,地元のスポーツクラブを紹介してもらい,夜や休日に練習に行った.ドイツの大会を観戦したり,国際大会に出場したりした.

ドイツと日本のスポーツ観は本当に異なり,ドイツスポーツ組織の核である「総合型地域スポーツクラブ」を実際に参加して内部を覗くことができたのは貴重な経験であった.大学内での人間関係はコミュニティとしてかなり偏っているが,地元住民が参加するスポーツクラブでの人間関係からは一般的なドイツ人のライフスタイルを見ることができた.

旅行は週末にベルギーやドイツの他の都市に行った.またセメスターの学期末にはイタリアとフランスを旅行した.ヨーロッパでも国によって雰囲気やサービスが異なることを実感した.

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

最初は留学に来たということでいろいろな国の人たちと親しくなろうとしてい たが,最終的に自分と話が合う人が自然と絞られた.日本でもすべての人と親密なわけではないのと同様に,自分に合う人と親しくすれば良いのだとわかった.また,当たり前ではあるが,ドイツ人といっても様々な性格の人がいて,国柄というよりも個人に向き合わないといけないと感じた.
韓国と日本はコンテクストの共通性が高く,世界から見ればかなり近い国だと感じた.

海外の生活や研究では自分で調べたり考えても解決できないことが多くあるので,何でもすぐに人に相談したり,メールで問い合わせるようになった.結果的に日本に帰国してからもフットワークが軽くなり,このあたりのマインドセットが変わったと思う.

留学費用

航空券:往復 約 22 万円 (ANA)
生活費:食費や週末の小さい旅行などを含めて,平均 \6万/月
居住費:学生寮 300 €弱/月
海外保険:東工大指定の保険(動産保証付き) \約1万/月
医療保険:ドイツの医療保険に入っていないと学生登録ができないので加入.大学斡旋のTKを選んだ.105€/月
その他:ドイツ語集中コース授業料(250 €),学生登録料 (118.4 €),その他雑費 (¥1万)
合計:上記すべて合計すると平均約15万円/月
(イタリアとかへの旅行は含まない)

奨学金:トビタテ留学 JAPAN

  • ドイツは日本より 外食が高く,ス ー パーの食材が安い.自炊すれば生活費はかなり安く抑えられる.
  • 私は盗難にあったので,動産保証付きの東工大指定の海外旅行保険に入っていて良かった.

留学先での住居

Vaihingenキャンパス内の学生寮に住んでいた Stuttgart 大学だけでなく周辺の他の大学の人たちもここに住んでいる.シュツットガルトの家賃相場 を 詳しくは覚えてないが,ミュンヘンと並ぶドイツ国内でも家賃が高い地域なので,絶対に寮に入った方が良い.研究室のフランスからの留学生は探すのにも苦労していた.

学生寮の申し込みは渡航前に大学からの案内通りに行った.初月家賃と敷金を先に送金して支払った.

寮のタイプとしては,キッチンなどのリビング,トイレ,シャワー共用で各個人の個室があるタイプの所謂ドイツ語でのWGである.私は同時期に来た日本人と二人でのWGだった.他の部屋は6人や8人での共同利用だったので,それに比べて気ままに使えた一方で,せっかくなら様々な国の人と共同生活をしたかった.ここに関しては残念であった.寮の外観が本当にお洒落で,生活自体は 何不自由なく暮らせた.

留学先での語学状況

研究室では英語を使っていたが,生活では なるべくドイツ語を使っていた.英会話が得意なわけではなかったが,研究する上で特に困ることはなかった.大学内では英語が普通に使われているが,役所やスーパーなどではドイツ語で話すのが当たり前なので,授業や研究で英語しか必要ない人でもドイツ語が少しでもできるに越したことはない.私の研究所が開講している授業はドイツ語だったが,英語の授業も多くあるので,これは専攻によって異なるようだ.

ヨーロッパの留学生は英語が達者な人が多かった.
また,ドイツ語の発音がはっきりしているためか,ドイツ人の英語は 聞き取りやすいと思う.

単位認定(互換 )、在学期間

東工大の卒業単位はすべて取り終わっていたので,もともと単位互換するつもりはなかった.ドイツ語コースを除いて現地で受けていた授業の受講登録はしていなかったので,専門の単位は取得していない.
東工大の在学期間に関しては,修士の在学期間を1年間延長した.

就職活動

秋に帰国してから就活をして,次の春に入社する計画であった.そのために秋でも採用活動をしている通期採用の会社などはピックアップしていた.また, 留学前に就活イベントに参加した際には,秋に面接などを行ってくれるか,どのような手順を踏めばよいのかを気になる企業には聞いていた.

しかしコロナウィルスの影響で3月末に帰国したため,そこから就活をスタートした.選考中止や採用人数を減らしている企業が多く大変ではあったが,どうにかなった.

留学先で困ったこと(もしあれば)

盗難

盗難被害にあった.ドイツでは大晦日に花火や爆竹を鳴らして大騒ぎして年越しをする.私も友人宅に誘われてパーティをしていて,朝に電車で帰宅した.リュックを自分の隣に置いて座り,寝てしまい起きたときにはリュックが無くなっていた.リュックには財布や iPad が入っていたが,鍵とスマホがズボンに入っていたのが幸いだった.すぐに警察署に行ったり,カードを止めたりした.動産保険の補償を得るために盗難証明が必要だったが,これを入手するのが最も苦労した.

まずは どこかに 届けられてないかを確認してから 手続きが開始 するので,その手 続きのために警察署を 3 軒くらいたらい回しにされた.また,盗難の調書を作成するために後日警察署に行き,刑事にいろいろ質問され回答した.

気候

ドイツの冬は長く,基本的にずっと曇か小雨か雪 であったので日照不足を感じた.日中も氷点下の日があるので,日本から防寒グッズは持っていったほうがいい.北欧では日照不足で鬱になる人が多いと聞くが,ドイツでも気分が沈むと思った.ドイツ人がマヨルカ島でのバカンスに憧れる理由がよくわかった.

騒音

寮には中庭があったが毎週木曜日の夜は大音量で夜通しパーティが行われて いた.煩すぎて寝れない日もあった.他の 寮の 留学生や別の大学の人も同じことを言っていたので,結構ドイツではよくある 光景なのかもしれない.ドイツは不便さを 皆が 許容し合う社会なので,深夜に騒いでいることや役所の手続きが煩雑なことにあまり文句を言わないのかもしれない.

留学を希望する後輩へアドバイス

留学の手続き,受け入れ先探し,語学勉強,奨学金の応募など留学するためには多くのプロセスが必要で大変に思うかもしれませんが,最初の一歩を踏み出せれば次々に進んでいくはずです.そのためには自分の周囲に自分の留学計画を話し,自分が留学するのを当然として扱ってもらえるような周囲の 環境を作ればいいと思います.

この体験談の留学・国際経験プログラム情報

他の関連する体験談