派遣交換留学 ミラノ工科大学 2016年9月15日~2017年8月25日

派遣交換留学 ミラノ工科大学 2016年9月15日~2017年8月25日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
環境・社会理工学院 建築学系
留学先国:
イタリア共和国
留学先大学:
ミラノ工科大学
留学期間:
2016年9月15日~2017年8月25日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

Interior design, design, Politecnico di Milano

留学前の準備

持っていくもの

留学先で手に入るかわからないもの、手に入ったとしても高いものを想定してリスト化した。日本だと100円ショップで手に入るようなサンダルやコンタクトレンズ用品、薬、ビタミン剤 など

就職活動、修士論文

日本での就職活動については、ほとんど対策していない。また、留学前は修士論文についても漠然としており、留学での経験や授業を通して考える予定であった。

ビザ取得方法

ビザ取得に必要だったもの

  • パスポート原本
  • 証明写真(滞在許可証や学生証など、留学先でも何枚か必要だったため10枚以上持参していった。)
  • 海外保険被保険者証 原本
  • 東工大の留学許可証
  • 預金約100万円以上の通帳の全ページコピー
  • 親の通帳だったため、戸籍 原本
  • 実印登録証明書
  • 住民票
  • 奨学金受給証明書
  • ミラノ工科大学からの受け入れ許可書
  • 住居受け入れ許可書(大使館HPよりダウンロードしたが、最新のものに変わっていたので大使館に直接問い合わせする必要があった。大家さんに直接描いてもらう必要があるため、スキャンデータをイタリアに送り、メールで送り返してもらう。)
  • 大家さんの身元証明書(パスポート)

ビザ取得後、当日そのままイタリア大使館でCodice Fiscale(住民番号)の取得。

語学の勉強方法

事前にNHK出版のイタリア語の文法書や単語帳を購入して勉強を始めていたが、耳慣れしていなかったため最初は全くわからず苦戦した。留学前からYouTubeやNHKの語学番組でもっと耳慣れしておけばよかったと思った。

住居の探し方

まず、ミラノ工科大学から送られてきた住居web siteでの住居探し。

ネットでの契約は詐欺が多く、大家がしっかりしていないことも多いと聞いていたので心配していた。住居web siteで家が決まりそうだったが、問題が発生したと言われてキャンセルになってしまい、先にミラノに留学に行っていた先輩から 紹介してもらった日本人の住居仲介人の方に連絡をした。最終的に、学校から近い場所で一人暮らしができる住居を紹介してもらった。

留学中の語学・勉強

前期セメスター

Interior design studio

ミラノ市内にある道路のような細長い外部空間に、仮設空間をデザインするスタジオ課題。テーマは、Ephemeral(儚い)。ミラノのコンテクストの中に他の国の要素(文化や歴史など)を取り入れることが条件だったため、私たちのグループは日本の文化を取り入れることにした。日本のもつ「侘び寂び」という考えがテーマのEphemeral(儚い)を表現している。日本の文化の中でも特に、物理的には短期間だが記憶には一生残るような儚さをもつ「祭り」をメインとしてデザインに取り入れることにした。

テーマや着眼点はよかったと思う。しかし、外部に新たな空間をつくる上で日本では深く考えていなかった夜間の治安の問題やトラムによる道路の横断などからデザインは右往左往し、同時にミラノで設計する上で配慮しなくてはならない様々なことを学んだスタジオだった。

Design material experience

Vegitabile(野菜、植物、果物など)、Animale(動物)、Lapideum(石や砂、セラミックなどの自然素材)、Recuperavit(リサイクル素材)、Mutantis(3Dメタルのような科学技術による素材)の5種類の分類の中から1つ選び、素材から製品を考えるグループワーク授業。実際に食べ物を集めて、乾燥させたり他の材料と混ぜて実験をしたりする。触ってみる、匂いを嗅いでみる、と五感を使って素材について学んでいくのが新鮮で面白かった。私たちのグループは「ねぎ」をテーマとし、調理で残って捨てる部分の再利用方法について考察。乾燥させて古紙のようになったネギの皮を使って、ファッションやアクセサリーデザイナーの商品タグをつくることで、商品のオリジナリティを引き出し、商品タグが商品の購入後に捨てられても環境に優しい素材であることを配慮した。

Design thinking and process 単位取得せず

WORKSHOP

Architectural exhibition garden in Brera in Milan

後期セメスター

後期は、2ヶ月間インターンしていたため、単位取得していない。
Design della luce
Museology in contemporary age
Temporary urban solution

留学中に行った勉学・研究以外の活動

インターンシップ

4月、5月の2ヶ月間、Davide Favio Colaciというミラノ工科大学の教授の設計事務所でインターンしていた。イタリアの設計方法やワークスタイルを学んだだけでなく、毎日の会話からイタリア人のライフスタイルも垣間見ることができたと思う。自分と話すときは英語にしてもらっていたが、事務所内ではほとんどイタリア語でのやりとりだったので聞き取れない内容が多く、仕事をする上での言葉の壁を大きく感じた。

旅行

留学中にヨーロッパやアフリカ大陸のモロッコなどに行った。

東工大で会った留学生の友達の家に遊びに行き、現地の生活スタイルや食事について教えてもらうことが多く、気候や宗教による生活スタイルや文化の違いを感じた。また、有名建築を見に行き、直接体感したという経験は非常に貴重なものであった。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

インターンを始めて、最初は工場のリノベーションのプロジェクトを手伝っていた。言葉の違いによる多少のやり取りの弊害はあったが、スタディーや模型製作などを問題なく進めていた。1ヶ月半して、工場のプロジェクトがひと段落したので、住宅のプロジェクトやミラノ市内の建物のリノベーションのプロジェクト、高速道路の看板のデザインの手伝いに移った。慣れない新しい設計ソフトや担当者が変わったことによりイタリア語でのやりとりが増えて、理解できないことが増えていった。そのため、作業時間がかかり、手間をかけさせてしまうことが増えてしまった。その当時は、思うようにできず落ち込んだりすることもたくさんあったが、楽しいだけでなく苦労があったほうが学ぶことが多く、立ち止まって考えることができるようになった。

留学費用

渡航費、生活費、住居費(家賃520euro+光熱費、ガス代、水道代=約600euro, 78000円)、携帯代などは、文部科学省による「トビタテ留学JAPAN」から毎月支給される16万円でまかなっていた。
また、予備として出国時に口座に50万円入れていた。イタリアでは、保険は日本で契約した海外保険のみでよいため、東工大で指定されていた東京海上日動の海外保険のみの契約。

留学先での住居

寮はあると聞いていたが、留学生の数が多すぎて入居できないと聞いていたので初めからアパートを探していた。シェアハウスも念頭に入れていたが、日本人は西洋人との生活スタイルと合わせるのが難しいと聞いたので、最終的に一人暮らしで大家さんが1階に住んでいる家に決めた。住居の探し方は、留学前の準備より。

留学先での語学状況

大学の授業は英語の授業が多いので、英語で履修可能。また、留学生の数がかなり多いので、大学内では英語だけで困ることはない。しかし、建築やデザインの授業では特に、英語の授業よりイタリア語で履修する授業のほうが、レベルが高く、有名な建築家やデザイナーを呼ぶことも多いようなのでイタリア語ができるとしたらイタリア語で行われる授業を履修したほうがいいと言われている。

また、ミラノ中心部は観光地ということもあって英語を話せる人もいるが、郊外では英語を話せる人がほとんどおらず、イタリア語で会話することが多かった。特に、スーパーでの買い物やレストランでの注文、道を聞くときはイタリア語であった。東工大の自分の研究室には留学生が多く、英会話に慣れていると思ったが、英語での授業は苦労することも多かった。常に語学は勉強し続ける必要があると思った。

単位認定、在学期間

留学中に取得した単位は東工大で互換する予定。在学期間の延長(2019年3月まで)も行う予定。

就職活動

希望では、9月から11月のどこかで日本のインテリア設計事務所にインターンをして、12月から就職活動をして、日本の企業に就職できればと思っている。現在、ポートフォリオ作成中。

留学を希望する後輩へのアドバイス

留学前には想定できないことがたくさんあった。想像以上の語学の壁や不安などもあったが、それ以上に感動したことや学んだことが圧倒的に多いと思う。留学中に必ず一度は落ち込んだり不安を感じたりすると思うが、それがとても貴重なものだと感じてほしい。また 、語学対策(ヨーロッパはイギリスを除いて母国語が英語ではないので、現地の言葉を事前に勉強していく必要があると思う。現地の言葉がわからないとスーパーでものを買うのも大変。) やその国の治安情報、文化について事前に調べておいたほうがいいと思う。

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