派遣交換留学 ウィーン工科大学 2022年2月7日~2023年1月31日

派遣交換留学 ウィーン工科大学 2022年2月7日~2023年1月31日

留学時の学年:
修士3年
東工大での所属:
建築学系・都市環境学コース
留学先国:
オーストリア共和国
留学先大学:
ウィーン工科大学
留学期間:
2022年2月7日~2023年1月31日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

ウィーン工科大学(TU Wien)は1815年にフランツ2世によって設立された、市内中心部にある国立大学です。数学、電気工学、建築学など、自然科学・工学を中心に8つの学部が存在し、授業の開講言語はドイツ語が多いですが、英語での授業もいくつかあります。また、JASEC(Japanese Austria Science Exchange Centre)という日本から来る留学生をサポートする機関もあり、ビザ申請の手続きや生活関連の相談、そして授業・研究のアドバイスなどもしてくれるので、今思えば日本人にとっては留学しやすい大学だったと思います。

留学前の準備

1年~8か月前

・留学先出願
セメスターの開始時期と留学後の就職時期との兼ね合い、大学の専門、留学先の文化などを考慮してウィーン工科大学に出願を決めました。英語の試験(IELTS)は2回受験し、応募要件の6.0点で応募しました。

半年前

・Academic Adviserへアポ取り
留学先では研究室に所属する予定だったので、留学生交流課からウィーン工科大学にnominateする際に、大学のHPから自分の研究内容に近い研究室を探し、教授に直接メールで連絡を取りました。
・語学面の強化
英語の会話練習は特に行っていませんでしたが、オーストリアの公用語がドイツ語なので、生活で最低限の理解ができるように東工大で開講されている授業「ドイツ語セミナー(入門・基礎&応用・留学)」を一学期分受講していました。留学開始時の自分のドイツ語レベルはCEFRでA1くらいだったと思います。
・奨学金
トビタテには応募していなかったので、民間財団である経団連の奨学金に個人応募しました。

1~2か月前

・ビザ(在留許可)、寮への手続き
オーストリアに6か月以上滞在する場合、在留許可の申請が必要になるため、その申請に必要な書類(戸籍謄本、無犯罪証明書など)を準備し、在日大使館に提出しました。ほかに必要な書類に関しては留学開始後に現地の役所に直接提出しました。
また寮は大学HPに留学生がよく使う寮の情報が提供されているので、そこにアクセスし手続きを行いました。

留学中の勉学・研究

前期はランドスケープの設計スタジオと都市デザインのレクチャー、後期はリサーチを行う授業を取っていました。設計スタジオはウィーン郊外のGöllersdorfという町の公共広場の計画・デザインを行い、最終プレゼンでは現地の住民の方にも聞いてもらったので、アカデミックに限らない実践的な経験をすることができました。リサーチの授業は、ウィーン市内で日常の社会的不平等を生み出している空間に注目し、住民にヒアリング、分析、プレゼンをグループワークで行う授業でしたが、ヒアリングで指定された“coding“というインタビュワーのキーワードを読み解きながら分析していく方法が初めてであったので、大分苦労しました。ウィーン工科大学特有なのかもしれませんが、調査内容やリサーチテーマは自由に設定できたのに対し、調査方法はある程度決められていたように感じました。

研究に関しては、ウィーン各地に点在する遊休地の活用事例であるコミュニティガーデンへボランティア活動として参加し、いくつかの活動団体に運営主体、活動内容、経済状況などをインタビューする機会を得ることができました。当初の予定ではドイツ語の習得も考え、後期から週1ペースで活動に関わりたいと思っていましたが、秋から冬にかけて活動が休みに入ることが多かったため、予定より参加することができなかったことが心残りでした。

前期設計スタジオの発表風景
前期設計スタジオの発表風景

近所のコミコュニティガーデンを住民と一緒に掃除している様子
近所のコミコュニティガーデンを住民と一緒に掃除している様子

留学中に行った勉学・研究以外の活動

ウィーンには美術館やホールが多くある他、イベントも充実しているので休日は友人とオペラを鑑賞したりコンサートを聴きに行ったりしていました。また長期休みには一人旅をすることが多く、留学期間で多くのヨーロッパの国々を訪れることができました。

  • ベルヴェデーレ宮殿

    ベルヴェデーレ宮殿

  • 3月に友人と国内のザルツブルクへ旅行した時の写真

    3月に友人と国内のザルツブルクへ旅行した時の写真

  • ベルゲンの教会

    ベルゲンの教会

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

グループワークを通した授業では、受け身の姿勢では置いてかれてしまうため、積極的に発言しなければならない癖が身に着いたと思います。また数多くのヨーロッパの国を旅していくうちに、改めてウィーンのまちの構造を他の都市と比較しながら考えられるようになり、自分の住んでいるまちの良さを人に説明できるようになったのは、留学での大きな成長だったと思います。

新しく来た寮の人達とピザ

新しく来た寮の人達とピザ

留学費用

経団連グローバル人材育成スカラーシップの給付金200万円(一括)と、事前にアルバイトで貯金していた私費30万円ほどで賄っていました。

大学から徒歩20分ほどの距離にある寮に1年間住んでいました。隣人とバストイレ共用、同フロアの住人とキッチン共用で432€/月でした。

留学先での語学状況

大学では専門の授業のほかに、INNESというドイツ語スクールに前期・後期ともに通っていました。私が取っていたコースは1回2時間、週2のペースで開講されていて、人数も10人未満だったので、発言する機会も多く、日常の息抜きとして楽しく続けられました。留学前に少し文法はさらっていたので、A2レベルから始めて、簡単な日常会話までできることを目標にB1レベルまで習得しました。

単位認定(互換)、在学期間

単位認定は行っていません。在学期間は留学前に1年間延長しました。

就職活動

留学中は留学に専念したかったので、インターンは留学する前の夏にいくつか行きました。留学後に就活を本格的に始めました。

留学先で困ったこと

留学直後に円安の影響を受けてしまったので、海外送金をする際にかなり損をしてしまったと思います。また在留許可申請に関しては、在日オーストリア大使館とオーストリアの役所の連携がとれておらず、同じ書類を2度提出する羽目になったり、なかなか訪問の予約が取れなかったりとかなりストレスでした

留学を希望する後輩へアドバイス

語学や準備で苦労することも多いと思いますが、留学を終えた後の収穫は圧倒的に多いと思います。留学先でやりたいこと、学びたいことなど、ある程度軸を立てていると自分の道標になるので、将来の自分を思い描きながら充実した留学生活を送って欲しいと思います。

ウィーン楽友協会
ウィーン楽友協会

マリア・テレジア広場のスケッチ
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