派遣交換留学 パリ建築大学ヴィレット校 2017年1月31日~2017年7月7日

派遣交換留学 パリ建築大学ヴィレット校 2017年1月31日~2017年7月7日

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
理工学研究科 建築学専攻
留学先国:
フランス共和国
留学先大学:
パリ建築大学ヴィレット校
留学期間:
2017年1月31日~2017年7月7日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

パリにある国立建築大学の一つ。ラヴィレット公園の近くの元工場を利用した小さな校舎に、生徒数は2000人いると言われるマンモス校。そのうちの1/3が留学生。都市計画・意匠設計・アートに関連する授業内容に偏りがなく、バランスが取れていることを売りにしている。

留学前の準備

修士論文

先生と話し合った結果、留学前に終わらせることに決めました。留学前には、動機が修論のラストスパートにかかっていたので、その勢いの中で一緒に調査や研究を進め、論文をほぼ終わりにしました。

就職・進路

留学生活が始まる直前までの3か月、パリでインターンをし、情報収集を行いながら、自分の進路を考えました。

留学情報の入手方法

ラヴィレットに留学したことのある先輩に話を聞く。

語学の準備方法

  • 留学前の2年間、アンスティチュ・フランセ(旧日仏学院)に通った
  • frantastiqueという有料アプリケーションを使って学んだ
  • RadioFranceのアプリケーションでフランス語でラジオを聞いた
  • フランス語が話せる父から週1回、特別レッスンを受けた
  • TCFを受けまくった

ビザ取得方法

留学ビザとして、ビザを出してもらったが、派遣交換留学として、受け入れ先から受け入れ承諾書をすでに得ている場合は比較的早く取得できるが、ビザ申請に行くための予約が必要な場合もあり、ビザを取得するまでに1カ月以上かかる場合もあるし、フランス語の案内にしか書かれていない項目などもあり、書類漏れや追加の書類を求められることもあるので、念入りに確認し、書類をそろえる必要があります。

住居

父のフランスの大学在籍時の友人の家にホームステイ。
フランス人は一度仲良くなると、とてもフレンドリーなので、友達の友達・・・くらいだとしても、どこかでフランス人と縁ができて、機会があれば、語学のためにもホームステイをすることをお勧めします。しかし、留学前にコンタクトをフランス語で取るための語学力が必要です。フランス人はフランス語が話せるだけで、一気に仲良くなれます。

留学中の勉学・研究

授業履修を主に取り組みました。

履修した科目と評価

From idea to project

最初の建築に落とし込む前のアイディアをマリア・リルクの詩や絵画やアート作品から抽出し、それを元に自分の建築を作り上げるという内容の授業でした。

日本の建築教育とは違い、かなりボザールの手法を取っており、とても興味深かったです。

Music forms et architectural composition

楽器の発展が見られる以前の12世紀から20世紀までの音楽の構造を解説する授業でした。音楽の構造的手法が時代背景や演奏方法の変化によって変容する様は、まさに建築と同様で非常に興味深かかったです。

試験は、最終授業の中でこれまでの授業で聞いた音楽が出題され、その時代背景や構造をわかる限り書くというものでした。授業の中のフランス語がわからないながらも、授業を録音して聞くことにより、内容を復習し、また理解にはホストマザーにも手伝ってもらいました。先生は、私のフランス語能力を考慮して、フランス語の作文に時間がかかったとしても、それを待って提出させてくれました。

Contextualisation and taking into account landscape in the architectural project

グループワークの授業で、パリ郊外のDesert de Retzという元ルイ16世の庭園と各グループが選択した庭園を比較評価しながら、Desert de Retzにランドスケープの新しい提案をしていくというものでした。ランドスケープという概念が絵画から生まれたことを紹介しながらの授業はとても興味深かったです。

しかし、グループワークはそれぞれのメンバーのやる気次第で、成果物のクオリティが変わってくるので、その点がとても歯がゆく、苦労しました。

French as a Foreign Language

フランス語の授業です。講師のフランソワーズはとても親切で、特に日本人の学生をとても心配してくれ、自宅に呼んでフランス語の特別レッスンもしてくれました。

日曜日には、パリの郊外にピクニックに連れ出してくれたりと、私のフランス語を話す練習に付き合ってくれた人の一人です。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

パリでの滞在中は、ホストファミリーの親戚の家や友達の家に一緒にお呼ばれしたり、ベルギーに旅行にも行きました。家族も建築やアート、音楽に興味があるので、一緒に美術館に展覧会やコンサートに行くこともたくさんありました。

また、私の作る和食がとても好評で、作り方を教えてあげたり、ホストファミリーの友達にも和食を振舞ったりしました。

友達との旅行には、国内では、リヨンやマルセイユに、国外では、チェコやモロッコに行きました。モロッコはフランス語でやり取りができるので、非常にやりやすかったです。

留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

まず、第一にフランス語が上手くなりました。早い速度や一方的に話されることは聞き取れないことがまだたくさんありますが、話す力や1対1でコミュニケーションをとることはできるようになりました。

また、パリでの生活は常にスリなどに気をつけていないと、非常に危険なので、周囲に気をはって暮らすことが身につき、他国に行った時には、スリの手法も大抵見抜けるので、盗難被害などに合わずに済みました。

留学費用

渡航費:往復56000円
交通費:(NAVIGOの月額費(ゾーン1-5))73ユーロ
食費:400ユーロ
保険料:securité socialeの場合200ユーロ
奨学金:JASSOからの給付
その他資金:事前にインターンを3カ月して貯金1000ユーロ

留学先での住居

父のフランスの大学在籍時の友人の家にホームステイ。月300ユーロを食費として納めていた。
それにしても破格すぎる金額なので、毎週日曜日の夜は和食等を私が作ると決めていた。

留学先での語学状況

授業はほぼフランス語。英語での対応可となっている授業もあるが、最後はフランス語で押し切られてしますので、フランス語は必須。フランス語が話せないと、日常の身の回りのことが全く回らない。フランス人はみな英語はそこまで話せないので、日常生活では英語がどんなにできても意味がない。

単位認定(互換)、在学期間

JASSOの奨学金をもらっていたので、留学中に取得した単位の認定を東工大で行う予定。英字科目名のままで、半分の単位数で認定予定。在学期間の延長を行った。

就職活動

特になし。帰国後は、先生と話し合い、博士課程に進むことを決めました。

留学先で困ったこと(もしあれば)

フランスには、ベジタリンの人がときどきいて、パーティーなどで食事を持ち寄る際に、「日本食をぜひ作って」と言われるので、魚も肉も使わない和食の献立を立てることに苦労しました。

留学を希望する後輩へアドバイス

フランスはまず、フランス語ありきの国です。英語でも十分通用するというのは、ただの旅行の範囲です。まずは、フランス語をしっかりやって、フランスに何を勉強に来たか、それを明確に説明できるようでないと、研究等で相手にしてもらえません。逆にその基礎ができていると、フランス人はとても親切に何事も対応してくれ、尊重してくれます。

あとは、パリは「パリシンドローム」という病名がある通り、多くの日本人が夢見ていたパリでの留学生活との違いに打ちのめされて、うつ症状になります。そうならないためにも、頼りになる人を増やすために、本当に信用できる(フランス社会に溶け込んでいる、パリの日本人ネットワークの中にしかいない人ではない)日本人の先輩等をパリで見つける必要があると思うので、パリに留学経験のある人をうまく利用して、無理する必要のない環境を作ってください。

ラヴィレットでの授業は、面白いものもありますが、東工大や日本の建築のレベルと比べると、学生の質がやや足りないと思うかもしれません。特にスタジオの課題は、グループワークが主で、フランス人や他の国の友達と協力して作業を行う経験は有意義ではありますが、ラヴィレットの学生は上下の差が激しいので、友達によって成果物によって差が大きくでます。また、日本人以外とのグループワークは意志の疎通が大変です。2年間など在籍するなら、スタジオ課題で苦労するのも良い経験ですが、一年以内の留学ならば、スタジオをとることはお勧めしません。むしろ、3年生の授業の中の彫刻やアート、動画など建築以外の授業がお勧めです。学校に通うことも大事ですが、それ以外で自分の興味・研究を深められるように活動することを主にお勧めします。

この体験談の留学・国際経験プログラム情報

他の関連する体験談