Summer Exchange Research Program(SERP) サウサンプトン大学 2017年8月~12月
留学時の学年: |
修士課程1年 |
---|---|
東工大での所属: |
物質理工学院 |
留学先国: |
英国 |
留学先大学: |
サウサンプトン大学 |
留学期間: |
2017年8月~12月 |
プログラム名: |
派遣大学の概要
SouthamptonはEnglandの南端の中央に位置する海のキレイな地域です.しかし戦争の影響を特に受けたこともあり,歴史的に古い建物はあまり見られません.SouthamptonにはUniversity of SouthamptonとSouthampton Solent Universityの2つの大学があります.University of Southamptonはいくつかのキャンパスを持ち,中でも芸術系と一部のコースのみはイギリスのかつて首都Winchesterにあります.僕は大学のメインキャンパスHighfieldCampusに通っていました.キャンパスのイメージは,赤煉瓦ですね.
Highfield Campusの様子
研究概要(その経過や成果、課題)
近年注目されている迷路構造の音響メタマテリアルを用いた,特定波長における音圧レベル降下に関する研究を行った.本現象は様々な迷路構造において報告され始めており,構造による高い相対屈折率領域が起こす共鳴が,通常その大きさから見積もられるよりも低周波数域で生じる.よって通常必要とされる大規模構造を無しに,低周波数域での音響制御が可能となることが期待されている.しかし本現象をより効果的に発現させるための研究報告は少ない.そこで本研究では既存に報告されている迷路構造の一つに着目し,その構造を変化させた際の周波数特性の変化を見ることにより,本現象の応用可能性を広げることを目的とした.
結果として,迷路構造の各種パラメータを制御できるモデルがCOMSOLにて作製され,また相対屈折率の近似値の算出に成功した.得られたモデルに足して,周波数ごとの共鳴パターンを把握し,パラメータ変化時の音圧レベルのピークシフトと,相対屈折率との関係について考察した.今後機会があれば,今回作製したモデルを3Dプリンタで印刷し,インピーダンス管にて実際の音響特性を測定したい.またセルを並べた際の音圧レベルへの影響に関しても考察していきたい.
構造の違いによる周波数特性の変化
研究室内外の活動・体験
こちらは研究室という単位ではなく,PhDの学生各々が自分の指導教員に付いているという形でした.僕はスペースの都合から,所属しているAcoustics GroupではなくDynamics Groupの学生のOfficeに席をもらいました.そのためDynamicsGroupのCake Meetingにも何度か参加させていただけました.Acoustics Groupには僕と同時期にSONYから研究留学に来られた東工大OGの方もおり,企業での研究の話等,とても興味深い話を聞くことができました.9月からは新歓時期であったため,Societyと呼ばれる,いわゆる大学のクラブ活動のTester Sessonに参加しました.また日曜日には少林寺拳法の支部やSocietyの活動に参加しました.日本の武道を通して海外でも繋がりをもつことができることはとてもありがたかったです.火曜の夜は毎週,学内のバーでLanguage Exchangeのイベントに参加しました.イベントと言っても特に司会者がいるわけでもなく,ただ人が集まっているだけですが,University of Southamptonは留学生がとても多いため,様々な国の人と話すとても良い機会となりました.
週末には2日間かけてLondonの博物館巡りをしました.特にScience Museumは,東工大のインターンプログラムで見つけた時からとても興味を惹かれていたので,訪問できてとても嬉しかったです.
ScotlandのUniversity of Glasgowで開催された5th UK-Japan Engineering Education League Workshopにも参加し,ポスター発表やグループワークを行いました.PhDの学生向けのプログラムでしたが,その分PhDの方々からも多くの刺激を受けました.またWorkshopには僕の研究室出身の先輩も参加しており,現在University of Oxfordに社会人博士課程として通っていらっしゃったため,後日訪問致しました.
住居等について
大学の寮からはなかなかオファーがもらえなかったため,初めの1か月はAirBnBを利用して住居を見つけました.お互いアプリの利用が初めてだったことからトラブルもありましたが,フラットメイトは皆優しく,一緒に夕食やバーに行ったり,ボルダリングに連れて行ってもらったりしました.またサマータイム中は昼が長く,夜7時以降でもホストのおじいさんと外でテニスができたことが新鮮でした.
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Flatmatesと誕生日に
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ピザ屋さんに行った時の写真
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HostのKaliさん
残り2か月はホームステイをしました.こちらでは夕食を当番制で回し,4~5日に一回同居人の分の夕食も作りました.娘さんの小学校の朝の発表会を見学させてもらったり,週末に車で近くを連れ回してもらったりと,とても良くしていただけました.
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New Forestの野生の馬
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試乗したホバークラフト
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教会でのCharity Concert
留学準備・費用
海外での生活経験がなかったため,ネットや友人から必要なものの情報を仕入れはしましたが,不安も多かったため,今思えば余計なものを持っていっていたと思います.「留学先で買うと非常に高価」ということでないなら,生活用品は初めの1週間を過ごせる程度のもので十分かもしれません.具体的には,Southamptonへの留学に,フライパンやなべ,トイレットペーパー等わざわざ嵩張るものを日本から持っていく必要もなかったと感じています.スーツケースの空間が無く,洗剤やシャンプー等も小さいものしか持っていけませんでしたが,現地のもので十分でした.逆にビニール袋やファブリーズ等,便利用品はとても役に立ちました.
レストランは高価ですが(大学近くの安いお店で800円程度は,学食でも700円前後しました)それでもLondonやWinchesterと比べれば比較的安かったと思います.バーや夕食に誘われた際なるべく参加したかったので,その他の食事は極力節約するようにしていました.またSouthamptonでは食材が比較的安く購入できたことにも大変助けられました.8月末でも夜はとても冷えましたが,衣類も比較的安く購入できる店があり,11月まで凌ぐことができました.交通費は,16~24歳向けの割引カードを購入することで抑えました.渡航は,ダイレクトだと非常に高価であったので乗り継ぎました.これにより半額近くになったと記憶しています.住居も学生寮と同程度以下のものを探し極力費用を抑えましたが,それでも非常に高く,全体として金銭面は辛かったです.
今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ
もともとは,海外になんて行きたくないとすら思っていましたが,「学生のうちに一度は」と東工大の超短期の留学プログラムに応募したことをきっかけに海外に対する印象が変わり,今回のプログラムにも応募しました.留学前は留学予定先からの返信がなかなか得られず,不安と焦りでいっぱいでしたが,「自分にとって全部未知,できないことが当たり前,困りに行くんだ」という気持ちで向かったため,トラブルにも前向きに対処していくことができました.3か月で身に付いたことは少ないかもしれませんが,できないことに対して今までより抵抗なく「やってみよう」と思えるようになったと感じています.今後の僕の考え方に大きく影響する非常に貴重な経験ができました.帰国して終わりではなく,感じた事,経験したことを自分に活かして,自分のものにしていきたいと思います.
本留学に対する僕のモチベーションは,「英語が不得意だからこそ,英語ばかりの空間に身を置いてみたい」,「海外の大学の研究や教育を体験したい」,「専門とは異なる分野を学ぶことで視野を広げたい」,そして「学生のうちに海外で生活する経験をしたい」というものでした.皆さんの中でももし何か興味を惹かれることがありましたら,ぜひ応募してみてください.
この体験談の留学・国際経験プログラム情報
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