Summer Exchange Research Program(SERP) ケンブリッジ大学 2022年 7月~ 9月

Summer Exchange Research Program(SERP) ケンブリッジ大学 2022年 7月~ 9月

留学時の学年:
修士1年
東工大での所属:
工学院 機械系
留学先国:
英国
留学先大学:
ケンブリッジ大学
留学期間:
2022年07月04日 ~2022年09月24日
プログラム名:

派遣大学の概要

ケンブリッジ大学はLondon から北に電車で1時間ほど離れたCambridge という学園都市にあります。市内にはケンブリッジ大学の施設が点在しており、街と大学が一体化しているような都市となっています。
ケンブリッジ大学はカレッジ制という興味深い教育体制を敷いています。学部生・大学院生はケンブリッジ大学(University)に所属すると同時に31あるカレッジ(College)の中の一つに所属することになります。特に、学部生は所属する学部の授業をUniversiyで受け、Collegeでは指導教員の先生とのミーティングを受けるなど、非常に手厚い指導が受けられることが特徴となっています。また、所属するカレッジの学食では食事代が安くなったり、カレッジ内のテニスコートが使えたりといった所属学生向けのサービスも充実しています。
また、ケンブリッジ大学は創立1209年の深い歴史を持つ大学で100人以上のノーベル賞受賞者を誇っています。そのため、観光地としても有名で土日には多くの観光客で賑わいます。

Fig 1. a) Cambridgeと周辺都市。b) Cambridge の街並み

Fig 1. a) Cambridgeと周辺都市。b) Cambridge の街並み

留学準備など

本プログラムでの留学に際し、留学先の研究室の探索を申し込み前に始めました。希望する研究室の検索に当たり自分の研究領域を広げることのできるような研究テーマに取り組みたいと考え、bio-inspired robotics 研究室での研究を志望しました。プログラムの申し込みの前に先生に受け入れ希望のメールを送り、先生に快く了承していただいたことで志望した研究室で留学することが出来るようになりました。
 留学決定後は大きく分けて二種類の準備がありました。一つ目は留学先での研究に関する準備で二つ目は渡航に向けた事務手続きや生活に関わる準備などです。
 まず、研究に関する準備としては留学が決定した1月から研究室のポスドクの方と週に1回程度の頻度でミーティングを行いました。ミーティングでは研究テーマに関する相談を行い、研究領域についての理解を深めながら研究テーマの決定、研究計画の策定を行いました。馴染みのない分野だったこともあり、多くの総説論文、学術論文を読み込みながら研究分野についての理解を深めました。
 渡航に向けては航空券や住居の確保を一か月前までに済ませました。幸いなことに訪問先の教授がcollege内の住居を確保して下さったので、最初の二ヶ月については、そこに滞在しました。残り一か月については他の学生が滞在する関係で他の場所に住む必要がありairbnbで宿泊先を確保しました。その他、VISAやAcceptance letter なども訪問先の教授に用意していただきました。私の場合はコロナ後だったこともあり、ワクチンなどの入国条件について注意深く調べる必要がありました。

所属研究室での研究概要とその経過や成果、課題など

研究室ではゼラチンを用いた柔軟な歪みセンサに関する研究を行いました。当初は、ゼラチンセンサの原材料を変えながらそれによる応答の違いについて研究する予定でしたが、用意する材料を揃えるのにお金と時間が想定していた以上にかかってしまうことが分かったので研究内容の練り直しから始めました。その結果、歪みセンサの形状を変化させることにより変化するセンサの応答について研究することにしました。具体的な研究計画を立案して実験に必要な環境を整えました。分からないところは研究室の学生の助けを借りながら首尾よく実験を進められたことで、最初の一か月で環境を整えてデータの収集に取り掛かることが出来ました。また、実験結果の解釈を考えながら研究をスピーディーに進めることで多くの興味深い結果が二か月目に得られ、最後の一か月については研究結果を論文にして、まとめることに注力することが出来ました。

Fig 2. 実験の様子。左が作製したゼラチンセンサ。メッシュ構造を変化させることによる応答の変化を調査しました。右が実験の様子。ロボットで一端を固定して引張試験を行いました。

Fig 2. 実験の様子。左が作製したゼラチンセンサ。メッシュ構造を変化させることによる応答の変化を調査しました。右が実験の様子。ロボットで一端を固定して引張試験を行いました。

所属研究室内外の活動・体験

研究室には午前10時前くらいに出校し、19時過ぎに帰宅することが多かったです。昼食は研究室のメンバーと近くのcollegeに行って、collegeの食堂でご飯を食べることが多かったです。週に1回から2回程度の頻度で大学の体育館に行って研究室のメンバーとバドミントンをよくやりました。2週間に1回程度の頻度で研究室内の飲み会もあり、pubで親交を深めました。Pubではクイズ大会も開催されていて、楽しむことが出来ました。
 週末には日帰りで旅行にも出かけました。LondonやBath、Liverpoolなどの観光地として有名な地域の他にも自分がManchester United のファンだったこともあり、二回ほどManchester に行ってサッカーの試合を観にいきました。特に二回目の観戦では現地の人に選手からサインを貰うコツを教えてもらい、クリスティアーノ・ロナウドを含む11人の選手から直接サインをもらうことが出来、良い思い出となりました。帰国直前にはスコットランドやイタリアなども観光しました。

Fig 3. a) 有名な観光地の一つであるBath の風景。世界遺産に登録されているRoman Bathsにて。 b) Manchester United の試合を観戦したときの写真。

Fig 3. a) 有名な観光地の一つであるBath の風景。世界遺産に登録されているRoman Bathsにて。 b) Manchester United の試合を観戦したときの写真。

留学先での住居

住居については準備のセクションで述べたように先生がcollege内の宿泊施設を用意して下さったので、そこに最初の二ヶ月間は滞在しました。渡航の一か月前までは自分で住居探しをSpareRoomというサイトで行っていましたが、半年以上の滞在を希望する人が多く、三か月の滞在を受け入れてくれる宿泊先を探すのは困難でした。そういった事情もあり、最後の一か月についてはSpareRoomではなくairbnbで宿泊先を探して滞在しました。
 最初のcollege内の宿泊施設については一人部屋でシャワールームも部屋の中にありました。洗濯機はcollegeの建物内に共用のものがあったのでそちらを利用しました。部屋の中のキッチンには電子レンジがあったので冷凍食品を買いだめして食べることが多かったです。 最後の一か月に住んだ宿泊施設も一人部屋でしたがシャワールームやキッチンは共用で他の住人と会話をする機会も少しありました。どちらの住居もキャンパスの近くで、スーパーなどのアクセスも良かったです。

留学費用

航空券はロシア/ウクライナの影響で直行便がほとんどなく、直行便があったとしても相当高かったのでトルコのイスタンブールで一度乗り換える便にしました。私が航空券を確保したときは片道6.2万円程度でしたができる限り早めに買っておいた方が安く購入できると思います。ロストバゲージが心配だったので念の為、air tagという荷物の位置情報が分かるものをキャリーバッグに入れておきましたが幸いなことに何も問題はなく英国まで到着することが出来ました。LondonからCambridgeまでは特にバスなどの予約はしていませんでしたが、当日にバスのチケットを買おうとしたら、既に埋まってしまっていました。私は電車で行きましたが英国は電車がストライキで頻繁に止まるので予めバスのチケットを買っておいた方が安心だと思います。
 住居については最初の二か月住んでいた大学寮が月額11.8万円程度で最後の一か月の家が13.5万円程度でした。円安の影響もあり宿泊費用については割高になってしまったような気がします。私が住んでいた地域がCambridge の中心地で相当立地の良い場所だったので、その影響もあると思います。
 食費について、外食はどうしても高くなってしまうので、スーパーで冷凍食品を買っていました。自炊ができると良いと思いますが、私の宿泊施設にはコンロが無かったので宿泊先を決定する前に調べておくとよいかもしれません。
 Cambridge は坂が少ない平坦な街なので、自転車があると非常に便利です。私はサイクルショップで2か月間自転車をレンタルしました。中古の自転車を買って帰国時に売ることも出来るとは思いますが、自転車の盗難が多いので丈夫なロックを買う必要があり、ロックやライトも買うとかなり値段がかかってしまうので3か月程度の滞在であればレンタルの方がお得だと思います。
 旅行の際には、電車を使うことになると思いますがRailcard というカードを発行しておくと、割引が効くのでお勧めです。発行にお金がかかりますが運賃が三割引されるので三回程度電車を使って旅行をすればすぐに元は取れると思います。
 また、現金を引き出す時にどうしても手数料が取られてしまいますが、私はSMBC信託銀行Prestia というところのキャッシュカードを利用したのでATM手数料以外の手数料は0円で現金を引き出すことが出来ました。街中は基本的にクレジットカードでの決済に対応していて現金の出番は余りありませんでしたが、一部のレストランや自転車屋では現金のみの対応だったのである程度の現金は持ち歩いておいた方が良いと思います。

Fig 4. a)生活に関わるお金の大まかな内訳。ここから更に観光にもお金を費やしたので出費はかさみました。1. 郊外の家賃の安いところに住む、2. 極力自炊して外食はしない、ようにすることで出費は大きく抑えることが出来ると思います。

Fig 4. a)生活に関わるお金の大まかな内訳。ここから更に観光にもお金を費やしたので出費はかさみました。1. 郊外の家賃の安いところに住む、2. 極力自炊して外食はしない、ようにすることで出費は大きく抑えることが出来ると思います。

今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ、感想、意見、要望

留学期間中は講義などをあまり取らなかったために必然的に留学先での研究に集中して取り組むことが出来ました。日本にいる時は、アルバイトや授業などと並行して研究を進めることになるので三か月、研究のことだけに集中できたのは良い経験になったと思います。
 また、訪問先の研究室のメンバーはみんな親切に相談に乗ってくれて、研究で行き詰った時や、生活面で困ったことがあった時など大きな助けになりました。私の所属した研究室は英国人が一人で他のメンバーも外国からの留学生だったので、英国だけでなく他の国の文化的な話もすることが出来て非常に面白かったです。今後の自分自身の進路を考える上で大きな経験となったので、もし行くか迷っている人がいたら一歩踏み出してみることを強くお勧めします。

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