Summer Exchange Research Program(SERP) カリフォルニア大学サンタバーバラ校 2019年6月~9月

Summer Exchange Research Program(SERP)  カリフォルニア大学サンタバーバラ校 2019年6月~9月

留学時の学年:
修士課程1年
東工大での所属:
物質理工学院
留学先国:
アメリカ合衆国
留学先大学:
カリフォルニア大学サンタバーバラ校
留学期間:
2019年6月~9月
プログラム名:

派遣大学の概要

カルフォルニア大学サンタバーバラ校は、サンタバーバラのダウンタウンから13 km、ロサンゼルスから160 km北西に位置するゴリータ近郊に414 haの広さを持つキャンパスを構えている。地中海式気候の地域に位置しているため、気候は比較的穏やかである。創立は1891年であるがカルフォルニア大学として仲間入りしたのは1944年になってからである。2019年度の世界の大学ランキングでは48位であり、材料工学・化学工学は世界でもトップクラスである。青色発光ダイオードで有名な中村修二先生が教員として勤めている。

キャンパス
キャンパス

オフィスの外観
オフィスの外観

留学準備

昨年UCSBに同様のSERPのプログラムで参加した方々にお話しを聞きながら、留学先の情報・イメージを掴んだ。受け入れ研究室決定後は、研究室の論文を読んだり、PythonやUnixの勉強を行ったりした。UCSBの事務の方と連絡を取りながらVISA取得に必要な書類等を作成した。UCSBで夏の二カ月のインターンシップのプログラムに参加したが、より研究を深く行うため滞在期間を延長した。そのため、大学の寮が最後の一カ月間使えず、住宅探しをかなり長期間行った。

所属研究室での研究概要とその経過や成果、課題

所属研究室ではブロック共重合体のナノ構造のシミュレーションを行った。ブロック共重合体とは二種類以上の異なる高分子が共有結合で連結した高分子である。とりわけブロック二共重合体は、これまでに広く研究がなされており、整列集合したナノ構造を構築することから、様々な用途に利用されている。しかし、シンプルなブロック二共重合体の取りえるナノ構造には限りがあり、より新しい複雑なナノ構造を発見することで新たなアプリケーションが見いだされると期待される。本研究では、新たなブロック三共重合体の系を用いることで複雑なナノ構造を発見することを目的とした。最初の二ヶ月間は、自身の新しい研究を始めるために必要なブロック共重合体の様々なナノ構造の発見がメインであったが、最終月には本研究の目的でもある複雑なナノ構造を発見し、相図の作成を行った。スーパーコンピューターでの計算は時間がかかったため、待機時間が長く、もどかしさを感じていたが、その待機時間を使い、先行研究や理論計算への理解をより一層深めると共に、UnixやPythonの技術を磨いた。インターンシップのプログラムでは、毎週のプレゼンテーション練習やポスター発表、12分の口頭発表の機会があり、大変良い経験になった。

ポスター発表の様子
ポスター発表の様子

研究の様子
研究の様子

所属研究室内外の活動・体験

研究室は特にコアタイムがなく、またコンピューターを使った研究であったため、環境を変えながら研究を行うことを心がけた。朝から夕方5時まで研究を行い、帰宅後、ハウスメイト・研究室の友達と海に遊びに行ったり、テニスをしたり、サーフィンをしたり、カードゲームをしたりと夜の時間を楽しんだ後、再び勉強や研究を自宅で行った。サンタバーバラは物価が高かったため、基本的には朝・昼・夜と自炊または友達と一緒にご飯を作った。週末には他のインターンシップ生や研究室の友達と観光したり、外にご飯を食べに行ったり、時に勉強や発表の準備をしたりしながら過ごした。

留学先での住居(寮、ホームステイ等)、申し込み方法、ルームメイト

最初の二ヶ月間はUCSBのインターンシップに参加していたため、大学から寮が用意され、他のインターンシップ生3人(その内一人とルームシェア)と一緒に住んだ。残りの一カ月はFacebookのグループで又貸ししてくれる人を4カ月程度探し、ようやく条件のよい家を見つけることが出来た。そこでは、一つのアパートを二人のUCSB学部生とシェアした。

留学費用(渡航費、生活費、住居費、保険料)

渡航費12万円、住居費40万円、ビザ及び保険9万円、生活費20万円

寮

アパート
アパート

今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ、感想、意見、要望

学部時代は有機合成、高分子合成をメインに行っていたため、コンピューターを使ったシミュレーションを行うのは初めてでした。新しい研究内容に、初めてのプログラミング言語、英語のみでの会話に、初めてのアメリカ、慣れない文化、初めての一人暮らし、誰も知り合いがいない環境、、最初は全てに戸惑いました。時差ボケや寒さに苦しみ、睡眠不足に陥ったり風邪をひいたりと、日本では想像もできなかった自分の弱さに直面しました。毎週のプレゼンテーションでは、人より英語のプレゼンテーションを作るのに時間がかかったり、なかなか原稿を覚えられなかったり、緊張すると思うように英語が使えなくなったりし、悔しい思いもたくさんしました。しかし、UCSBでの研究を理解したいという強い気持ちから、たくさん勉強し、新しいプログラミング言語をマスターしました。また、いろんな人とのコミュニケーションを大事にし、アメリカの文化、ネイティブの英語にも次第に馴染んでいけるようになりました。また、英語でのElevatorPitchContest(60秒間での研究説明)にも挑戦し、賞をいただきました。友達にも大変恵まれ、お互いに助け合うことが出来ました。この留学を経て、自分の弱さを新たに発見しつつも、悔しい思いや逆境をばねにし、常に挑戦し続けられる自分の強さにも気づくことができました。そして、理論化学の面白さ、難しさ、強みを発見しました。また、自分の友達が世界各国にでき、自分の世界を広げることもできました。

この度は、UCSBというトップレベルの環境で三ヶ月間の研究という大変貴重な経験をさせていただきありがとうございました。サポートしていただいた皆様に心から感謝申し上げます。

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