Summer Exchange Research Program(SERP) アーヘン工科大学 2019年6月~8月

Summer Exchange Research Program(SERP)  アーヘン工科大学 2019年6月~8月

留学時の学年:
修士課程2年
東工大での所属:
物質理工学院
留学先国:
ドイツ連邦共和国
留学先大学:
アーヘン工科大学
留学期間:
2019年6月~8月
プログラム名:

派遣大学の概要(所在地、創立、規模など)

アーヘン工科大学は1870年に創立され、ドイツの中でも最も大きい工科大学である。学生は4万人を超え、学部生や院生のプログラムは152種類もあり、研究施設はアーヘン市内に分散している。アーヘン市内にはアーヘン大聖堂や温泉地が有名であり、町の名称は水を意味する語に由来している。アーヘンはドイツ西部にあるノルトライン=ヴェストファーレン州内にあるがほぼ端の方にあり、オランダ、ベルギーと国境を接している。

研究室から見えるクリーンルーム

研究室から見えるクリーンルーム

留学準備など

留学が決まった後、教授に連絡をとるなどして、向こうで行う研究内容を固めていた。保険に関しては大学の保険に加入し向こうでドイツの保険に加入しようと考えた。(結局、90日以内の滞在であったため、VISAがいらず入らなかった。)しかし大学の夏学期に入学する場合は保険のvoucherが必要であり、それは大学の保険をあらかじめドイツの保険会社に送る必要があるということを知った。しかし、入学すればSemester ticketがもらえるが、結局向こうで申請する間に1ヶ月かかったため、私は正式に入らなかった。バスのチケットなどは月単位で購入し、特に困ることはなかった。(日本で先にenrollしておけば、交通費などを考えるととてもお得である。)

所属研究室での研究概要とその経過や成果、課題など

私が所属していた研究室は4つのグループに分かれており、私は主にナノテクノロジーのグループに入っていた。そこでグループリーダーの人の監督の元様々な実験・解析を行った。

私は主に3つのプロジェクトに取り組み、最初のプロジェクトはナノギャップの製作で、クリーンルームに入って行われた。ナノギャップとは一対の金ナノ構造をナノスケールで近接させたものである。このプロトコルは、最初にマスク設計を行う必要があり、次に、シリコン基板上に、作製されたマスクと正確な構造を作成するために、電子ビームリソグラフィーを用いた。電子線条件として、レジストにPMMAを使用したが、最初は20 nmの最小ギャップを達成できなかった。PMMAの厚さや用いる電子ビームのパワー等が重要であり、様々な条件を用いた。試行錯誤の上、30 nmのギャップのサイズを達成することができた。しかし、まだレジストまでが完成していることからこれからの課題として金を蒸着した後、それをどのように取るかについて検討する必要がある。

2番目のプロジェクトは、ナノ粒子の自己組織化で、これらのナノ粒子を合成する方法から始めた。次に、これらのナノ粒子はいくつかのタイプのアミノ酸と混合され、私はここで、アミノ酸の違いに応じて、ナノ粒子の電荷が変化し、その変化が放射、励起顕微鏡法から観察できることを学んだ。つまり、ナノ粒子の表面でどのような表面相互作用が行われているかについて考えた。

3番目のプロジェクトはSENSUSプロジェクトであり、これはバイオセンサーの競争で毎年開催され、各チームのオリジナルのバイオセンサーと競って、審査員が主張する特定の生体分子を検出する。チームは世界中から来ており、私たちの周りの人々のために開かれているだけでなく、多くの企業もこのイベントを見に来ている。私は、合成したナノ粒子を彼らに提供し、化学的な事柄に関連するいくつかの解決策の作成を支援することにより、チームをサポートした。私たちのチームはさまざまなバックグラウンドを持つ人々で構成されており、様々な場面で自身の知識を活かす必要があった。私たちのバイオセンサーは、電気と光学的な2つの方法を用いて測定した。特に光学測定では、生体分子に、私が合成したナノ粒子である光学マーカーを取り付けた。LEDライトがセンサーを通過した際に、ナノ粒子からの特定の発光を顕微鏡から画像化して観察した。

バイオセンサーコンテスト

バイオセンサーコンテスト

所属研究室内外の活動・体験(日常生活・余暇に行ったこと等)

研究室には朝10時から、午後18時まで研究を行った。研究室に近いところに住みたかったため、アーヘン市内からは徒歩20分ほど離れた位置に住んでいたが、研究室からはバスで4分、徒歩20分ほどの距離に住んでいた。研究室に所属している人のほとんどは朝早くに来て、午後も早めに帰る人が多かったためなるべくその時間に合わせていた。ミーティングなどは週3回行われゼミなどにも参加した。また、日本での研究をスイスで行われたワーキングショップでの発表や、バイオセンサーのコンテストでオランダに行くこと等、研究室外でも行動することが多かった。

休日は基本土日のみだったため、ユーレイルパスというのを購入し、電車を使ってヨーロッパ周辺を周った。ドイツ国内はもちろんのことイギリスやルクセンブルクなども一人で観光することもしばしばあった。

ボッパルド(ドイツ)

ボッパルド(ドイツ)

留学先での住居(寮、ホームステイ等)、申し込み方法、ルームメイトなど

住居は基本インターネットやINCAS等で検索していたが、ほとんどドイツ語であり、何よりも一人でシャワーやキッチンが利用できるところを探していた。そして、研究室がアーヘン市内から少し離れていたこともあり郵便番号を入れて検索を行い、最終的にリンツ工場の近くにある新しくできたアパートにした。アーヘンでは学生が多く、ドイツ語ができないと難しいと聞いたのでどうしても日本人は市内から遠くに飛ばされてしまうそうだ。なので、寮などを探す場合は大学のサイトを用いる方が良いと考える。

留学費用(渡航費、生活費、住居費、保険料)など

渡航費:18万円、生活費:2万円/月、住居費:4万7千円/月、保険料: 4万円,

今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ、感想、意見、要望

アーヘンは多くの学生が住んでいるため、とても安全な街だと思う。よって、海外初心者にもおすすめだと思う。街はとてもきれいで、スーパーや電車で困ったときは、みんな親切に助けてくれた。少し困った点として、RWTHに登録するために公的健康保険に加入しなければならないと思ったため、何度かオフィスを訪れていたが、結局は必要ないことに気づき、言語のギャップによって上手く伝えられなかった。RWTHinternational office に行けば助けてくれるので、もし迷ったらすぐに聞きに行くことが大事だと思う。

また街では、英語を話せる人も少なく、私は彼らに何かを伝えないといけないときがあります。ドイツ語を知らないと、良好な関係を築くことができません。よって、もしドイツに興味あるなら少し言語を学んでおくともっと楽しくなるのではないかと思う。また、様々な人種の人と話して、日本をどう見るか、そして母国(政治と歴史)についてもっと知る必要があることを学んだ。それだけでなく、実験では、人々は異なる背景を持ち、様々な視点から質問がきた。幅広い視点を持つことの重大さを知った留学だった。

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