Summer Exchange Research Program(SERP) ケンブリッジ大学 2022年6月~9月

Summer Exchange Research Program(SERP) ケンブリッジ大学 2022年6月~9月

留学時の学年:
修士1年
東工大での所属:
工学院機械系
留学先国:
英国
留学先大学:
ケンブリッジ大学
留学期間:
2022年6月20日 ~2022年9月16日
プログラム名:

派遣大学の概要

ケンブリッジはロンドンから電車で1時間ほど北部に位置しており、大学施設の間を埋めるように住宅や商業施設が存在する学園都市となっています。中世に創設されたケンブリッジ大学は世界有数の歴史を持つ名門大学で、その一番の特徴はカレッジ制です。ケンブリッジ大学は31のカレッジから成り立ち、学生や教授はどこかのカレッジに所属します。各カレッジは財政的にも独立した組織であり、それぞれが教会や図書館、食堂を持ちます。ハリーポッターを見たことがある方であれば、グリフィンドールやスリザリンをイメージすると分かりやすいでしょうか。私は1977年創立で、31のカレッジの中でも一番新しいロビンソンカレッジに3か月間所属しました。

  • Corpus Christi College

    Corpus Christi College

  • King's College Chapel

    King's College Chapel

  • 街を流れるケム川

    街を流れるケム川

留学準備

留学期間3か月は現地の天候をメインに考えて決定しました。結果的にこれは正解で、留学期間中は日が長く、雨の日もほとんど無かったため、気持ちよく過ごすことが出来ました。6月から9月はオススメの期間ですが、現地は夏休み中です。そのため学部生の数が少なく、大学生活の雰囲気をあまり感じられないのがデメリットだと思います。一方で研究室にとって夏休み期間は関係ないため、研究活動に支障が出ることはあまりないかと思います。
3か月間の滞在ではビザが必要なく、滞在場所についても受け入れ先の教授がカレッジの寮を手配して下さったため、留学準備では特に困ったことはありませんでした。留学前から、研究室がある工学部と寮があるロビンソンカレッジの両方と事前にやり取りをする必要があったので、書類や現地での手続きに漏れが無いよう気を付けました。

所属研究室での研究概要とその経過や成果、課題

<研究概要>
高効率で低環境負荷の燃焼器を開発するために、数値シミュレーションが用いられています。今までは、時間変化しない定常状態をシミュレーションする手法(RANS)が主でしたが、コンピューターの処理能力の発達により、時間変化する場をシミュレーションする手法(LES)が開発においても行われています。近年ではこのLESに機械学習を用いる研究が多数行われており、私はこの機械学習モデルに関する研究を行っています。機械学習にはモデルを学習させるための教師データが必要となりますが、これを簡単に得ることはできません。そこで、私の研究では限られた教師データを拡張することで、より幅広い教師データを取得し、元の教師データを使った場合よりも汎用的なモデルに学習させることを目標としています。

<経過>
現地に到着した次の日に、受入れ先の教授に挨拶に行き、自分の研究プランについて話し合いを行いました。その結果、上記の内容で3か月間研究を行うこととなりました。その後、学生室に自分のデスクを与えていただき、ケンブリッジ大学での研究生活がスタートしました。2週間ほど経過したところで研究室メンバーによるミーティングがあり、自分の研究内容について紹介をすることができました。そこで数人の学生が興味を示してくれ、機械学習に関する研究の難しさや面白さについて話すことができました。つたない英語で自ら発言、発信することのハードルは高いですが、勇気を出してみて後悔することはありませんでした。これは、つたない英語でも理解しようとしてくれる現地の学生や教授のおかげだと思います。

<成果と今後の課題>
3か月間の研究で、考案したデータ拡張方法への理解を深めることができ、より良い教師データを得ることが出来るようになりました。しかしながら、用いている機械学習と拡張方法について理解できていない部分も多くあり、さらなる検証と考察が必要になると思います。

所属研究室内外の活動・体験(日常生活・余暇に行った事など)

朝は自転車で研究室に行き、昼食を他の学生と取り、夕方に寮に帰るのが普段の生活でした。自転車は現地の個人売買サイトである「Gumtree」で購入し、帰国前に同サイトで売りました。ケンブリッジは大きな街ではないため、自転車さえあれば移動には困りません。生活の幅が広がるため、現地に着いたらまず自転車を入手することをオススメします。朝食はシリアル等で簡単に済ませ、夕食は基本的に自炊していました。イギリス、特にケンブリッジは外食の値段が高く、夕食を外で食べようと思ったら最低でも3,000円くらいはかかります。そのため、自炊は必須になると思います。スーパーでは温めるだけのチルド食品なども売っていますがこちらも高価なため、食材を一から自炊することで節約をしていました。野菜や肉などの値段は日本と大きく変わりません。
普段の研究生活の中では会話をする機会が多くは無かったため、「Meetup」というアプリで見つけた国際交流イベントに何度か参加しました。パブでビールを飲みながらひたすら話すというイベントで、初めは会話に入ることも難しく楽しくありませんでした。それでも、少しずつ聞き取れるようになり、会話に参加できてくると会話を楽しむことができるようになりました。英語力の不足を自覚するという面でもよい経験になったと思います。
ロンドンには何度か観光に行き、ビッグベンや大英博物館、バッキンガム宮殿などの有名どころを訪れることが出来ました。8月には東工大の先輩を訪ねに、オランダに旅行しました。その後、先輩とベルギー、ドイツも旅行し大いに楽しみました。

留学先での住居(寮、ホームステイ等)、申し込み方法、ルームメイトなど

現地では教授が手配してくださった、大学の寮に滞在しました。部屋は一人部屋でトイレやシャワー、キッチンは共有のスタイルでしたが、快適に過ごすことが出来ました。寮の高い費用の中には掃除代金も含まれており、共有スペースと自分の部屋の中まで清掃してくれます。夕食は自炊するためキッチンはよく使っていましたが、一から料理をするのは中国人留学生だけだったのが印象的です。その他の学生は温めるだけの食事やデリバリーを主にしていました。何人かのルームメイトとは仲良くなることができ、学期終わりを祝う花火を見に行ったり、カレッジの学食に朝食を食べに行ったりしました。

寮の外観
寮の外観

寮の共有キッチン
寮の共有キッチン

留学費用(渡航費、生活費、住居費、保険料)など

●渡航費:10万円 (アブダビ経由)
●寮の滞在費:40万円
●食費:20万円
●旅行・娯楽:30万円
自炊で食費を抑えたとはいえ、出費は何かとかさみました。国内旅行やヨーロッパ旅行に多くいったのもありますが。

今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ、感想、意見、要望

見識を大きく広げることが出来ました。特に、「その気になれば海外で生活することもできる」と実感できたのは、今後の選択肢の幅を広げたと感じます。また、海外の研究室で研究を行い、自分の研究に他の学生が興味を示してくれたことは自分の自信に繋がりました。
留学前は不安や心配が大きかったですが、大きなトラブルや悩み事なく留学を終えることが出来ました。留学したいという気持ちが少しでもあるならば、留学はきっと最高の経験となるはずです。

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