Summer Exchange Research Program(SERP) ウィスコンシン大学マディソン校 2022年6月~9月

Summer Exchange Research Program(SERP) ウィスコンシン大学マディソン校 2022年6月~9月

留学時の学年:
修士1年
東工大での所属:
物質理工学院・材料系
留学先国:
アメリカ合衆国
留学先大学:
ウィスコンシン大学マディソン校
留学期間:
2022年6月15日~2022年9月10日
プログラム名:

派遣大学の概要

ウィスコンシン大学マディソン校は、ウィスコンシン州の州都であるマディソンの中心部に位置している。1848年に設立された州立大学で、州内各都市に大学を持つウィスコンシン大学システムの本校である。20以上の学部を擁する総合大学で、45000人ほどの学生が所属している。キャンパスは380 haの広さで、無料のバスが走っているので移動には困らなかった。

留学準備など

留学に行くならアメリカに行きたいと思っていたので、SERPにあるアメリカの大学の中で自分に近い研究を行っていたウィスコンシン大学マディソン校を選んだ。受入研究室決定後は、教授と面談をしたり、研究を一緒に行う方と連絡を取って、研究内容に関する勉強をした。
 アメリカでの留学にはJ1ビザが必要なので事務の方とやり取りをしながら手続きを進めた。大学で書類を発行するのに英語スコアが必要と言われ、急遽受験した。Duolingoという試験が安価で比較的簡単で、自宅で受験ができ、結果が2日で出るので時間がないときにおすすめです。

所属研究室での研究概要とその経過や成果、課題など

骨髄の再生能力を高めるためにマクロファージへのより効率的なトランスフェクションに関する研究を行った。骨髄は約30種類の細胞からなる不均一な組織である。最近の研究から好中球が多くトランスフェクトされることがわかっている。しかし、好中球は寿命が数時間と短いためmRNAの発現時間が短くなってしまう。そこで送達する粒子の特性を変えることでより寿命が長いマクロファージへのトランスフェクションを試みた。
 サイズ、組成を変えた粒子を作製し、細胞実験を行うことで細胞毒性、トランスフェクション効率に及ぼす影響を調べた。また、細胞に添加する際の粒子とmRNAの濃度を変えて実験を行うことで最適な実験条件を調べた。濃度については広い範囲で実験を行うことができたが、粒子の合成に時間がかかってサイズの違いによる評価はほとんどできていないので、今後はより小さい粒子の作製も行って細胞実験を行う必要がある。

所属研究室内外の活動・体験(日常生活・余暇に行った事など)

・研究室
 細胞を扱う研究室だったので、初めはオンラインでの講習と実験の実技講習を受けた。その後は、研究員の方が付いてくれて一緒に研究を進めた。実験を行い結果が出るたびにディスカッションをし、次に行うことを決めた。2週間に一度研究室のミーティングがあり、他の方の研究進捗報告を聞くことができた。研究室内の学生はほとんど交流しないようで、来たら一人で実験をして終わったらすぐ帰るといった感じだった。さみしかったので比較的長時間いるインド人のポスドクの方と昼食を一緒に食べていた。結果的にはその方からアパートを紹介してもらえたので良かった。

・日常生活
 研究室にいる時間は特に決められていなかったが、指導をしてくれる方と一緒に実験することが多かったので午前は論文を調べて、午後に実験をしていた。夕方は自炊をしたり、湖の周りに遊歩道があるので走ったり、散歩をして過ごした。
休日は、バスでマディソン市内を回った。市内のバスに乗り放題のチケットがあったので購入して、美術館やショッピングセンターに行った。長距離バスであれば、2時間ほどのところにミルウォーキー、4時間ほどでシカゴに行ける。どちらもメジャーリーグの本拠地があり、初めてメジャーの野球を見ることができた。

ミルウォーキーブルワーズ VS ピッツバーグパイレーツ

ミルウォーキーブルワーズ VS ピッツバーグパイレーツ

留学先での住居(寮、ホームステイ等)、申し込み方法、ルームメイトなど

はじめの2か月はサブリースで4人部屋のルームシェア、残りの1か月は研究室の方の紹介で大学が運営するアパートに宿泊した。
 ウィスコンシン大学から住宅情報サイトを教えていただいていくつも連絡を取ったが、3か月の短期で入居できるアパートは1つもなかった。ほかの方法として、Facebookでサブリースの募集をしているグループがあるということを教えてもらい、家賃や立地、設備など条件が良いものを探して借主と連絡を取った。借主との交渉が終わってから、アパートの大家さんと契約を交わして2か月分は決まった。ここでの滞在は3人のルームメイトがいたが、お互いにほとんど交流がなく挨拶程度しかしなかった。
 残りの1か月は、到着後に研究室のポスドクの方に相談し、友人のアパートの1室を貸していただくことができた。一緒に住んだ方はインド人のポスドクの方でカレーを食べさせてくれたり、近所にいるほかのインドの方たちで集まったりととても親切にしていただいた。

前半2か月のアパート
前半2か月のアパート

後半1か月のアパート
後半1か月のアパート

留学費用(渡航費、生活費、住居費、保険料)など

●渡航費:20万円
●住居費:25万円
●生活費:10万円
●保険:10万円
●ビザ:5万円

 物価は日本よりかなり高く、外食をすると日本の2,3倍ぐらいはかかりそうだったのでほとんど自炊をした。また、円安の影響もあって全体的にかなり高い印象だった。住居費は、実際に借りることはできなかったが、大学の情報サイトにあったアパートの家賃はもっと高いものが多かったのでサブリースの方が安くできて良かったと思う。保険料は東工大のものとは別でウィスコンシン大学のものにも入った。日本の保険に入っているから免除できないか聞いたら、基準を満たしていないと言われてしまった。

今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ、感想、意見、要望

今まで、海外旅行に行ったり、超短期海外派遣プログラムに参加して、工系での留学プログラムに向けて準備をしていた。絶対に海外での研究を経験してみたいという思いがあったので実現できて非常にうれしかった。英語でのコミュニケーションには自信がなく、何度も聞き返したり、うまく伝えられなかったりとかなり苦労した。しかし、みんなわかりやすく言い換えてくれたり、伝えようと思えばジェスチャーとかでどうにかなったので気合があればなんとかなるもんだと思った。 
 研究としては、東工大で行っているものに比較的近い研究を行った。生体材料の研究の中で私が材料の合成に力を入れているのに対し、留学では細胞の実験をメインで行っていた。生物系には少し苦手意識を持っていたので、今回この環境に身を置いて積極的に学習する機会ができて良かった。また、数多くの細胞実験を行うことができて技術も向上することができたと感じている。世界トップレベルの大学で研究をすることができたのは非常に貴重な経験だった。
 留学は大変なこと、戸惑うことがたくさんあるが、留学を通じて得るものはかなり大きいと思う。英語に自信がなくても案外何とかなるのでぜひ積極的に挑戦してほしい。
最後に、多くの皆様のおかげで無事に留学を終了することができました。このような貴重な機会をサポートしていただきありがとうございました。

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