Summer Exchange Research Program(SERP) ソルボンヌ大学 2021年10月~12月
留学時の学年: |
修士1年 |
---|---|
東工大での所属: |
物質理工学院 材料系 |
留学先国: |
フランス共和国 |
留学先大学: |
ソルボンヌ大学 |
留学期間: |
2021年10月4日 ~2021年12月27日 |
プログラム名: |
留学先(参加プログラム/受入れ機関)の概略
2018年にパリ第4大学とパリ第6大学、研究機関が合併統合し創立されたフランスの公立研究大学です。第6大学はピエール・エ・マリー・キュリー大学とも呼ばれています。人文科学部、理工学部、医学部、を構えています。中でも理工学部は、フランスの主要な研究機関の一つです。
理工学部のキャンパスはパリの中心地5区のジュシューに位置します。
留学前の準備
・研究室&テーマ&留学期間決定
受け入れ研究室の教授とのメールで決まりました。
・寮決定
ソルボンヌ大学の留学担当者の案内で国際学生寮CROUSに入所を決めました。
・ソルボンヌ大学の学生登録
学生証発行のための手続きをオンライン入力により行いました。
・家保険&海外保険手続き
・衛生パス取得
2021年現在、レストランや美術館に入るためにはCOVID-19のワクチン接種を求められています。ワクチン接種証の提出により衛生パスの登録のためのQRコードを取得しました。
所属研究室での研究概要とその経過や成果、課題など
リチウムイオン電池(LIB)用のセパレータを作製した。電池が過熱した際、溶解し空孔閉塞することでイオン抵抗が増加し電気化学反応が停止して電池の燃焼や爆発を防止するシャットダウン機能が求められる。そこで、私はセパレータの熱安定性とシャットダウン機能の向上に努めた。
エレクトロスピニングとグローブボックスを使って膜を合成し、プロトン伝導度測定、電気化学インピーダンス分光法、走査型電子顕微鏡を使って解析を行った。
まず、純粋な高分子膜(PVDF-HFP)ハイブリッド膜(PVDF-HFP/SiO2)を合成した。高分子膜のみではシャットダウン効果を発揮するが熱安定性に劣るのに対し、ハイブリッド膜は熱安定性に優れるがシャットダウン効果はない。そこで、この2つの特性を併せ持つ3層膜(PES@HES:Polymer Electrospun Separator @ Hybrid Electrospun Separator)を作製した。作製した膜について気孔率、収縮率、イオン伝導率の温度依存性を測定した。PVDF-HFPの融点(Tm=134〜169)以上では、ポリマー層が溶解し、インピーダンスが上昇することを確認した。
また、逆3層膜(HES@PES:Hybrid Electrospun Separator @ Polymer Electrospun Separator)を作製し機械的特性、電気化学的特性の違いを測定した。両者を比較した結果、PES@HES膜はHES@PES膜よりも収縮率が小さく、イオン抵抗の増加率が高いことがわかった。
本実験から、ハイブリッド膜を外層、高分子膜を内層に用いたセパレータは高温条件で熱安定性が高くイオン抵抗率の大きなセパレータを作製した。
a.) 膜構造(PES@HES, HES@PES) b.)収縮率、気孔率、イオン伝導率の温度依存性
所属研究室内外の活動・体験(日常生活・余暇に行った事など)
・平日
研究室には9:30-18:00でおり、実験やディスカッション、データ整理をしていました。帰宅後も論文閲読、東工大の発表資料の準備(3回分)など、机に向かっていました。これに加え、東工大の授業、研究室のオンラインゼミ、就活を平行させていたため、日本の時間軸でも生活していました。
寮には、自由に使えるスタディールームがあったため、友人を増やすためにもなるべく出向くようにしていました。またランニング友達もでき、寮の裏にある公園をしゃべりながら一緒に走っていました。
・休日
リフレッシュのためにできるだけ街に出かけるようしていました。パリ市内には多くの観光名所があり行き先決めに困ることはありませんでした。欧州内に友人がいたので、会いに行ったり来てもらったりして一緒に観光していました。
また、寮のWhatsAppで仲間を募り、フランス人、イタリア人の友人と一緒に凱旋門に登りました。
-
所属していたRMESの仲間
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モンサンミッシェル
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凱旋門
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ヴェルサイユ宮殿
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クリスマスマーケット
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ディズニーランドパリ
5. 留学先での住居(寮、ホームステイ等)、申し込み方法、ルームメイトなど
ソルボンヌ大学の紹介により、CROUSに決定した。CROUSはパリ市内に約80箇所ある公的機関が運営する学生寮である。予算、間取り、シェアルームなど自由に選ぶことができた。私はstudioタイプ(ワンルーム)の部屋を選択した。
私は15区にあるRÉSIDENCE BERTELOTTEに滞在していた。寮のセントラルヒーティングシステム(暖房)が10月中は使えず、初めの一ヶ月間は凍えながら過ごしていました。冬に欧州に行く場合は防寒対策をしっかりして行くことをお勧めします。共同設備として、洗濯機、wi-fi、勉強部屋があり、とても過ごしやすい環境でした。一人部屋だったため、基本的に寮内では他学生と交流がなかったが、WhatsAppやエントランスですれ違った際に話しかけるなどして友人を増やしました。
世界各国からの学生が集まっていましたが、BERTELOTTEには日本人は私一人のみで少し心細かったです。しかし、日本文化に興味がある仲間に話しかけてもらえ、異文化交流をすることができました。友人の方がアニメに詳しくこちらが教えてもらったりもしました。
6. 留学費用(渡航費、生活費、住居費、保険料)など
・渡航費(成田→ドバイ、ドバイ→シャルル・ド・ゴール) ¥100,000
・生活費(電車賃、食費、調理器具) ¥700,000
・住居費(デポジット+家賃3ヶ月分) ¥200,000
・保険料(生活、家、研究) ¥40,000
・帰宅時のPCR検査 ¥8,000
7. 今回の留学から得られたもの、後輩へのメッセージ、感想、意見、要望
責任感を伸ばすことができました。私にとって、初留学、初海外、初一人暮らしと初めてだらけの3ヶ月間でした。研究室での活動中はもちろん、家事、時間の使い方などたくさんの選択肢に囲まれていました。自分自身と向き合ってそのひとつひとつに責任を持ち判断する必要がありました。非日常に身を置き、人として大きく成長できた3ヶ月だったと思います。
さらに、海外の研究室で実験できたことは自分の自信にもつながりました。東工大とは異なるテーマに取り組むことができ、学部で習った知識を使うこともありました。短い期間ではありましたがディスカッションを重ね試行錯誤し、研究の楽しさを再確認できました。
留学前は不安でいっぱいでしたが、新しい文化や価値観や仲間に出会うことができ将来につながる経験になりました。留学を迷っている人はぜひ勇気を出して挑戦してみてほしいです。
この体験談の留学・国際経験プログラム情報
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