派遣交換留学 アアルト大学 2023年10月1日~2024年6月11日

派遣交換留学 アアルト大学 2023年10月1日~2024年6月11日

留学時の学年:
博士課程1年
所属:
環境・社会理工学院 融合理工学系 エンジニアリングデザインコース
留学先国:
フィンランド共和国
留学先大学:
アアルト大学
留学期間:
2023年10月1日~2024年6月11日
プログラム名:

留学先大学(機関)の概略

Aalto University (アアルト大学) はテクノロジー、アート、ビジネスを学ぶことができる大学です。3つの大学が統合されてできた大学で、6つの学部(アート・デザイン・建築、ビジネス、化学技術、電気工学、工学、理学) から成り立っています。年間1000人近くの交換留学生を受け入れていて、総学生数は2万人近くにのぼります。

留学前の準備

大学院課程で留学した場合

学部4年に進学する際に半年の早期卒業をすることを決断しました。この時点で博士課程への進学と博士課程1年目での留学を大まかに計画していました。留学への憧れはありつつもタイミングや自分のスキルへの不安から実現していませんでしたが、半年学期がずれることによって留学先のスケジュールとスムーズに繋がる点と、アカデミアでのキャリアを考えるのならば海外での滞在経験が必要だという助言が後押しとなり、決断しました。
実際の渡航よりもかなり早い段階で計画を立てたことで、英語の勉強や自分の興味関心の深掘りや言語化に時間をかけて取り組むことができました。初めから研究留学を予定していたので、研究活動に真摯に取り組むことが一番の準備となりました。
(他の留学プログラムにも合わせて参加していたため、) 修士修了と留学の直前準備が重なってしまい、その時期は多くのタスクを抱え込む大変な期間となってしまいました。予めそのような日程になることが分かっていたので、指導教員の先生方や事務の方々、家族にも協力してもらいなんとか乗り切ることができましたが、想像以上に過酷でした。

その他

留学情報は、留学先大学の留学生向けサイト、フィンランド留学をした方のブログや、経験者の方の生の声から収集していました。
語学では、留学プログラム応募に必要なスコアを上げるために、TOEFL ibt を参考書やYouTubeの練習動画、過去問を利用して勉強したことが1番大きかったと思います。他に、日頃から英語でYouTubeやNetflixを見たり、英語で検索をかけて情報を英語にしたり、なるべく触れる機会を増やそうとしていました。
自分の研究活動を現地の環境で発展させて行うことが当初の計画だったので、特別な準備はしていません。研究について英語で説明できるようにしたり、あらかじめ受け入れ先の研究者と何度か打ち合わせをしたり、などは行いました。受け入れ先の教員とは面識がなかったので、ダメ元で、「あなたの論文のこれとこれを読んでここに関心を持ちました」「自分はこんなことに関心がありこれまでこんなことをしています」と説明をし、受け入れてくれないかとメールで打診しました。
ビザは、移民局のホームページに細かな説明が記載されていて、オンライン申請システムも比較的分かりやすく、過去申請したことがある方がブログ等で解説をしているものもあったので、それに従えばスムーズにできます。私はバタバタしていたこともあり書類の不備があり発行に時間がかかってしまったので、注意してください。
住居は大学のページでも紹介があったHOASとAYYに応募をしました。競争が激しく取れないこともあると話を聞いていたので、あらかじめ応募ページを確認して、必要な書類をチェックし揃い次第すぐに応募をしました。なるべく条件をゆるくして多くの物件が候補となるように応募したこともあって、HOASで住居が無事に決まりました。

留学中の勉学・研究

留学中は現地の大学の授業を履修せずに、研究活動のみを行いました。当初は、受け入れ先の研究プロジェクトに参加することを検討していましたが、自分の研究トピックに関連のあるプロジェクトが終了してしまっていたことと、進行中のプロジェクトと自分のトピックがあまり一致しなかったために、自分自身の研究プロジェクトを自分で実施することとなりました。
私の受け入れ先はDesign Factoryという場所で、学際的な製品開発と学習のハブで、学生・教員・研究者、企業が交流するコミュニティです。多くのプロジェクト型の講義を開講していて、工学系だけでなくビジネスやアートを専攻している学部生・修士学生が様々なプロジェクトに取り組んでいます。起業を支援する体制も整っており、プロジェクトから発展して実際にビジネスを行う人も多いそうです。
デザイン教育の環境と現場を知ることも目的の一つでした。受け入れ先は日本の研究室のようなものではなく、教員や研究者が集まるコミュニティのようなものでしたが、様々な専門の人との交流ができ、中から見えるものも多くとても良い環境でした。

留学中に行った勉学・研究以外の活動

研究以外では旅行と他の学生との交流をしました。友人や家族が来た際にはヘルシンキ市内を案内し、フェリーでエストニアのタリンまで行くこともありました。冬には北部のロヴァニエミまで行きフィンランドらしい体験をすることができました。また、冬休みの期間には1人でヨーロッパを数ヶ所回る旅行に行きました。フィンランドの冬は暗く鬱屈としていたので、良い気分転換の旅行になりました。
また、他の学生との交流も出来ました。例えば、日本への留学を考えているという現地の学生と交流し何度か食事をしたり、フィンランドやヨーロッパへの留学を目指す日本人の学生に話を聞かせて欲しいと連絡があり何人かとお話ししたり、といったことがありました。フィンランド留学というキーワード一つかかるだけで、これだけ交流の幅が広がるのだと実感することができました。



留学を終えて、自分自身の成長を実感したエピソード

学会での振る舞いの変化に気づいたことが最も実感できた瞬間でした。奇しくも留学期間の始まりと終わりのタイミングで国際学会での発表があり参加してきました。これが初めての対面での国際学会への参加であったので、留学初期に参加した時には発表も自信が無かったですし、交流の場で1人輪に入れずにいる時間ができてしまっていました。一方、留学終了の頃に参加した時には、語学的な面だけでなく、ディスカッションの仕方や意見の伝え方、プレゼンテーションなどでもスムーズにできるようになった実感がありました。

留学費用

●渡航費:1743€ = 33万6000円
●生活費:月5-10万円程度
●住居費:13万円/月
●保険料:128,990円/年

フライトは直行便の金額です。生活費は食費や交通費、日用品などの費用を含めた金額です。旅行や外食が重なってしまった月にはさらに5万〜10万円程度上乗せされます。住居には家具や洗濯、Wi-Fiが含まれた金額です。保険は大学指定のもののみに加入しました。

●奨学金
 ・JASSO →8万円/月
 ・超スマート社会卓越教育院のオフキャンパスプロジェクト支援金→80万円
 ・民間の博士奨学金→150万円/年

他に応募した留学のための奨学金は採用に至らなかったので、留学前に受給が確定していたのはJASSOのみでした。留学期間中に博士課程向けの奨学金を探し申請をして資金を集めていました。

留学先での住居

住居は見つけるのに苦労すると経験者から聞いていたこともあり、かなり早い段階からリサーチを進め、条件が揃い次第すぐに応募をしました。
私はHOASとAYYという大学生向けの組織を通じて応募をしました。申し込みに必要な情報や書類は異なるので、予め申し込みフォームにアクセスをし、準備をしていました。条件をできるだけゆるくして多くの候補が当てはまるようにした結果、HOASで住居が無事に決まりました。
ヘルシンキ市内の集合住宅で、家具付きのワンルーム、シャワールームも着いている部屋でした。共有キッチンがあり、ランドリーやサウナが建物内にあり予約すればいつでも利用可能でした。ルームメイトは居ませんが共用スペースで顔を合わせて挨拶をすることはありました。

留学先での語学状況

基本的にはすべて英語でコミュニケーションができます。大学内では留学生も多いので英語での応答ができれば問題がありません。
スーパーやカフェなど、日常生活ではフィンランド語で話しかけられる場合がありますが、英語しかできないことを伝えれば英語でやり取りをしてもらえます。店先でのやり取りくらいであれば典型的なコミュニケーションしかないので、簡単なフィンランドが話せるととても円滑です。

単位認定(互換)、在学期間

留学中に授業を履修していないので、単位の互換はありませんが、この留学を卓越教育院のオフキャンパスプロジェクトとして登録する予定です。
在学期間の延長も予定していません。

就職活動

具体的な就職活動はまだ行っていません。ひとまず自分自身の研究活動に邁進することが、いずれアピールできる実績につながると考えて、留学期間も研究活動に勤しみました。

留学先で困ったこと(もしあれば)

行き帰りの荷物が重すぎて徒歩移動や階段で大変だったので、減らしたつもりでもまだ荷物が多いので、心を鬼にして極限まで荷物を減らせばよかったと思いました。
円安が深刻だったので、現地通貨でもらえる奨学金などを十分に検討しても良かったなと少し思います。

留学を希望する後輩へアドバイス

関心があるけど悩んでいるという人や不安が大きいという人は、情報をたくさん集めてポジティブ・ネガティブの両面をキチンと知ることをお勧めします。具体的な対策や準備を考えたり適切な時期を見定めたりと、情報を基に具体的な行動に移せると思います。
留学が決まり準備をしている人へは、住居やビザなどなるべく早くから準備すること、色んな手段で情報を集めて準備をできるだけ万全なものにすることをお勧めします。準備してもし足りないですし、直前は忙しくなるので、Notionなどタスク管理ツールを使ってうまく管理すると良いと思います。

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